坂本和靖

坂本和靖(さかもと・かずやす)准教授

  • 出身地:富山県
  • 最終学歴/学位:一橋大学/博士(経済学)
  • 研究室:社会情報学部棟601
  • 所属学会:日本経済学会、日本人口学会、日本統計学会、社会情報学会
  • 専門分野:労働経済学、計量経済学
  • 担当科目:経済情報論、計量経済入門、計量経済分析、応用経済解析、生活経済政策 計量経済学特論(大学院)、経済情報特論(大学院)

現在の研究テーマ

家族内の親子・夫妻関係を軸とした、消費行動、就業行動、同居行動、結婚行動などの家計行動をミクロ計量経済学の分析手法を用いた、研究を行っている。

  • 親子間の資源配分(親から子への所得移転・実物移転など)からみた結婚行動メカニズムおよび階層化に関する実証研究
     結婚行動メカニズムおよび階層化に関する実証研究である(北村・坂本 2004、2007、Sakamoto and Kitamura 2007)。 具体的な成果では、親からの所得移転、実物移転が充実している子どもほど、結婚選択をしていないことを実証した。 また、親の経済的支援を軸に、子どもの家計行動を観察することで、社会保障機能としての家族内支援の重大さとともに、 もしその庇護下にない場合には、就学、就業、(借り入れ)市場参加へのアクセスが制限されるという階層化の問題も捉えてきた(坂本 2006b、2009)。
  • 夫妻間の資源配分(支出、貯蓄、生活時間)に関する実証研究
     近年、人口・家族経済学において普及しつつある分析枠組み(Collective Model:家計の意思決定者を主稼得者【夫】のみとする旧来のUnitary Modelと異なり、 世帯構成員各人【夫、妻、その他の世帯員】の交渉過程に注目したModel)をいち早く取り入れ、共働き世帯内では、夫妻間の相対的な所得差が、 妻の支出・余暇時間に与える影響をみると、妻の賃金が高まることで、より多くの自由裁量支出、(休日の)余暇時間を享受できることが確認された。 稼得賃金をより多く得ることで、世帯内における夫妻間の資源配分の不平等は解消される結果を得た(坂本2008b, 2012b)。  加えて、坂本(2011b)では、「児童手当」から「子ども手当」に制度変更されたことにより、世帯内における配分がどのように変化したのかを考察した。 その結果、(前年同月と比べて)「子ども向け」支出が手当増分の約3割を増加させ、子どもをターゲットとした施策としての一定の効果が確認された。
  • 少子化対策・社会保障制度の政策評価に関する実証研究
    ⅰ)国立社会保障人口問題研究所「職場・家庭・地域環境と少子化との関連性に関する理論的・実証的研究」プロジェクトでは、両立支援制度 が夫の家事時間配分に与える効果、 またそれが妻の出産意欲、夫婦関係満足度に与える効果に関する研究を行った(坂本 2011a)。 ⅱ)同「家計の経済資源・人的資源と社会保障の機能の関連性に関する実証的研究」プロジェクトでは、社会保障の「意図せざる機能」に関する研究(Groezen, Leers and Meijdam 2003)、特に「厚生年金分割制度」が妻の立場を優位にし、 家族形成・世帯内の資源配分に影響を与えるかについて分析を行った(坂本 2008a)。また、「寿退職」、「出産退職」といった女性に就業行動から、性別役割分業意識が持つ影響とともに、その規定要因に関する研究を行った(坂本 2012c)。 ⅳ)「小1の壁」を学童保育が有配偶女性の就業継続、ならびに就業再開行動にどのような影響を与えているかについて分析を行っている(坂本・森田・木村 2013、森田・坂本 2015)。
  • 若年世帯の家計行動の捕捉、並びに家計簿記帳による消費教育効果の測定を目的とした家計調査研究
     公益財団法人家計経済研究所「生活経営における家計記録に関する研究」プロジェクトでは、一般家計調査では、捕捉しにくい若年層の家計行動の把握のみならず、同一個人に複数回、 家計簿記帳を経験させることで、調査前後の金銭意識の変化、家計行動の変化に関する分析を行った(重川・坂本2012a,2012b, 坂本2012a)。
  • アンケート調査の実査と回答結果の精査に関わる研究
     パネルデータの脱落サンプルの特徴の捕捉と、脱落に伴うサンプルバイアスに関する基礎研究に従事してきた(坂本2006a)。 これにより、ミクロデータのハンドリングに関する一定の知識が備わり、大学・企業などで、データ分析に関する講演を行っている(坂本 2015など)。

文献

  • 北村行伸・坂本和靖(2004)「優雅な「パラサイトシングル像が変容」樋口美雄・太田清・財団法人家計経済研究所編『女性たちの平成不況』日本経済新聞社, 第3章.
  • 坂本和靖(2006a)「サンプル脱落に関する分析―「消費生活に関するパネル調査」を用いた脱落の規定要因と推計バイアスの検証―」『日本労働研究雑誌』No.551, 55-70.
  • 坂本和靖(2006b)「借り入れ制約と親からの移転と消費行動」『季刊家計経済研究』No.71, 79-90.
  • 北村行伸・坂本和靖(2007)「世代間関係から見た結婚行動」『経済研究』Vol.58(1), 31-46.
  • 坂本和靖(2008a)「厚生年金分割制度の成立は妻の立場を優位にしたか?」『季刊 家計経済研究』No.80, 17-30.
  • 坂本和靖(2008b)「世帯内における消費・余暇配分の構造」チャールズ・ユウジ・ホリオカ、財団法人家計経済研究所編『世帯内分配と世代間移転の経済分析』ミネルヴァ書房, 第1章.
  • 坂本和靖(2009)「親の行動・家庭環境がその後の子どもの成長に与える影響-The Sensitivity Analysis of Hidden Bias-」『家計経済研究』No.83, 58-77.
  • 坂本和靖(2011a)「両立支援制度が夫婦の生活時間配分に与える影響」樋口美雄・府川哲夫編, 『ワーク・ライフ・バランスと家族形成 少子社会を変える働き方』東京大学出版会.
  • 坂本和靖(2011b)「子ども手当の配分状況と世帯支出への影響」『季刊家計経済研究』92, 32-45.
  • 重川純子・坂本和靖(2012a)「「生活経営における家計記録に関する研究」プロジェクトの目的と調査方法について」公益財団法人家計経済研究所『ひとり暮らしの若者と家計簿-インターネット調査による若年単身家計と家計管理』家計経済研究所研究報告書No.6, 3-14.
  • 重川純子・坂本和靖(2012b)「「ネットリサーチによる単身者の家計簿調査」の回答者の特性」公益財団法人家計経済研究所『ひとり暮らしの若者と家計簿-インターネット調査による若年単身家計と家計管理』家計経済研究所研究報告書No.6, 15-25.
  • 坂本和靖(2012a)「家計簿記帳の継続に対する規定要因と脱落者の特徴の分析」公益財団法人家計経済研究所『ひとり暮らしの若者と家計簿-インターネット調査による若年単身家計と家計管理』家計経済研究所研究報告書No.6, 91-107.
  • 坂本和靖(2012b)「日本における夫妻間の消費・余暇時間の配分の変化とその要因」『季刊家計経済研究』96, 47-57.
  • 坂本和靖(2012c)「「寿退職」「出産退職」を規定するものはなにか――性別役割分業意識と就業行動」井堀利宏・金子能宏・野口晴子編『新たなリスクと社会保障-生涯を通じた支援策の構築』東京大学出版会, 169-186.
  • 坂本和靖・森田陽子・木村牧郎(2013)「女性のライフイベントと就業継続――結婚・出産・小学校就学」『季刊家計経済研究』No.100,32-41.
  • 森田陽子・坂本和靖(2015)「就学児童がいる女性の就労と学童保育」Discussion Papers in Economics No,598,The Society of Economics Nagoya City University.
  • 坂本和靖(2015)「サンプル脱落がもたらす推計バイアスに関する考察」Japanese Stata Users Group Meeting.
  • Groezen BV, Leers T and Meijdam L (2003)“Social Security and Endogenous Fertility: Pensions and Child Allowances as Siamese Twins,” Journal of Public Economics, 87: 233-251.
  • Sakamoto, Kazuyasu, and Yukinobu Kitamura,(2007)“Marriage Behavior from the Perspective of Intergenerational Relationships,” The Japanese Economy, 34(4), 76-122.