平田知久

平田知久(ひらた・ともひさ)准教授

平田知久 准教授
  • 出身地:和歌山県
  • 最終学歴/学位:京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得認定退学/博士(人間・環境学)
  • 研究室:社会情報学部棟504
  • 所属学会:社会情報学会(SSI),日本社会学会,日本哲学会,日本倫理学会,社会思想史学会,日本社会学理論学会など
  • 専門分野:メディアの社会史,アジア諸国のメディア利用の比較社会学,メディアと思想・社会哲学の連関
  • 担当科目:学部;社会情報学基礎論,情報社会基礎論,情報メディア基礎論,ソーシャルメディア論,大学院;社会情報学特論

現在の研究テーマ

  • メディア技術とその利用,メディアによって発信される情報などの展開と影響の社会史
  • アジア諸国/諸都市のメディア利用の比較社会学
  • メディアと思想/社会哲学の関係

代表的な研究業績

  • Hirata, Tomohisa, 2017, “Do Data Analysts Fill the Role of the Psychoanalyst? The Contemporary Digital Divide and Freud’s Theory.” in Massimo Ragnedda & Glenn W. Muschert (eds.), Theorizing the Digital Divides, Routledge, pp. 35-47.
  • 平田知久, 2017, 「インターネットカフェという場所――マニラ首都圏の事例からみるつながりの課題」秋津元輝・渡邊拓也編『せめぎ合う親密と公共 中間圏というアリーナ』京都大学学術出版局, pp. 191-214.
  • 平田知久, 2016, 「アジアを移動する人々とネットカフェの風景」佐藤卓己編『岩波講座 現代 第9巻 デジタル情報社会の未来』岩波書店, pp. 233-257.

専攻分野・研究内容紹介

パソコンとインターネットに「初めて出会った」とき

皆さんはパソコンとインターネットに初めて触れたときのことを覚えていますか?

私がパソコンとインターネットに最初に接触したのは,1995年(平成7年)でした。当時私は高校に入って間もない頃で,友人宅でオンラインの麻雀ゲームをしたのが最初です。でも,このときの私は,パソコンとインターネットを「遠くにいる人と一緒にゲームができる機械」としか認識していませんでした。その頃の私にとって,パソコンとインターネットは「ゲーム機の延長」という意味しか持っていなかったのです。

私が初めて「パソコンとインターネットとはこういうものか!」と認識したのは,そこから少し時代が下った1999年のことです。最初のデスクトップパソコンを(上記の友達の勧めで)組立キットとして購入しました。その友人と格闘すること5~6時間,ようやく完成した段階で,その友達は「終わったな。じゃあ,またな」と私を放置して帰っていきました。

当時を振り返ると,「何と不親切な友人なのか」とは思いますが,今私がここにいるのは彼のおかげと言えるのかもしれません。「ウィーン,カタカタ……」という音を立てつつ,なかなかご機嫌に起動している「初めてのマイパソコン」を前にして途方に暮れた私が最初にやったことは,画面に表示されている「マイドキュメント」を恐る恐るダブルクリックして,「新しいフォルダ」を作成し(出来上がったフォルダを見てかなり満足したのを覚えています),その新しいフォルダをまたダブルクリックして,そこでさらに「新しいフォルダ」を作成し……,ということを,延々10回ほど繰り返す,ということでした。

とてつもなく馬鹿馬鹿しい使い方ですね(実際,こうして作られたフォルダはその後すぐにゴミ箱に捨てられるという憂き目に合いました)。ですが,私はこの経験があって,やっとパソコンが「情報を収集し,弁別し,処理する機械」なのだと知り,その延長上の情報収集ツールとしてインターネットがあると認識しました。改めて考えてみると,このとき私は,パソコンとインターネットに「出会いなおした」のだな,と思います。なぜなら,情報メディア技術に対する接し方が,このときを境にそれまでとは違ったものになったからです。

私はこれまで様々な研究領域(思想史,メディアの社会史,アジア地域の比較社会学)を渡り歩いてきましたが,その中で変わらなかった認識(考え方)の一つは,ここまでに述べてきたような,実際に情報メディア技術に触れて何かを行うとき,情報メディア技術に対する意味づけが変わる可能性があるということ,あるいは情報メディア技術を用いながら人間や社会について考えてきた人々がいるということです。そして,この考え方を過去に対して適用したものが「社会史」,アジアの現在に適用したものが「メディア利用の比較社会学」,それらを踏まえつつ,情報メディア技術を自らの思想に生かした人々について考える際には「メディアと思想/社会哲学の関係」という,私の3つの研究テーマになります。

アジアのインターネットカフェから

ただ,上のような説明だけでは,具体的にどのようなことをしているのか,よく分からないという人もいるでしょう。

ですので,私のごく最近の研究テーマ,現代アジアのインターネットカフェ調査について,ごく簡単に紹介しておきます。このページの最初に載っている私の写真ですが,これは9月のとあるアジアのインターネットカフェで,私の調査を手伝ってくれた留学生が撮影してくれたものです。

ネットカフェ風景

元のカラーの写真を載せてみましたが,皆さんはこの1枚の写真を見て,ここがアジアのどの都市のインターネットカフェなのか分かるでしょうか?

答えは香港です。では,どこに注目すればここが香港だと分かるのか。それについては,私の授業を受けるか,私の研究室まで直接尋ねにきて下さい。どのようなパソコンやインターネット環境が,どのような場所で,どのような人々に,どのようなかたちで提供されているかが,アジア各国の大都市のインターネットカフェで大きく異なっていたということ,そしてアジアの社会が急速に変容しつつある中に,スマートフォンなどのモバイルメディアが普及する過程で,多様なメディア利用が生み出されていることをお話できると思います。

私の現在の研究関心は,その違いを現地での調査によって明らかにし,そのような違いが起こる社会的な原因を考えることで,それぞれの社会の特性と日本を含めた今後のアジア各国の社会情報環境を展望することにあります。