西村尚之(にしむら・なおゆき)教授
- 出身地: 岐阜県
- 出身高等学校: 岐阜県立斐太高等学校
- 最終学歴/学位: 岡山大学大学院自然科学研究科修了/博士(農学)
- 研究室: 1号館208
- 所属学会: British Ecological Society (BES),International Association for Vegetation Science(IAVS),日本生態学会,日本森林学会,森林立地学会
- 社会的活動: NPO法人森林再生支援センター専門委員,Population Ecology Editorial Board,日本森林学会編集委員
- 専門分野: 森林生態学,森林保全学
- 担当科目: 人間環境論,環境アセスメント,環境政策,環境政策実習
現在の研究テーマ
- 日本の主要な森林における樹木群集動態と樹種共存のメカニズムの解明に関する研究
- 長期間放置された里山林の保全に関する生態学的研究
- 気候の変化が森林の動態現象に及ぼす影響に関する解析手法の確立のための基礎的研究
代表的な研究業績
- 西村尚之・原 登志彦(2011)「樹木の個体間競争と種の共存」『シリーズ現代の生態学 森林生態学』(11章),共立出版,東京.
- Nishimura, N., Kato, K., Sumida, A., Ono, K., Tanouchi, H., Iida, S., Hoshino, D., Yamamoto, S. and Hara, T. (2010), Effects of life history strategies and tree competition on species coexistence in a sub-boreal coniferous forest of Japan, Plant Ecology, 206: 29-40.
- 西村尚之・真鍋徹(2006)「森林動態パラメータから森の動きを捉える」『森林の生態学 長期大規模研究からみえるもの』,種生物学会編,文一総合出版:東京.
専攻分野・研究内容紹介
人間の生存にかかせない森林の重要性について学び,森を生かす社会を創る
本研究室では森林の長期動態現象と樹種共存のメカニズムに関するテーマを中心に,日本の代表的な森林において長期的な継続調査による研究を行っています。これは森林の変化を長期生態モニタリングから早期に察知し,人間の生存に関わる森林の状態や森林環境に及ぼす人間活動の影響について明らかにすることを目的としています。このように本研究室では森林保全をキーワードとして,社会的行動に役立つ環境科学的な思考を養うための体験的な教育を行っています。
具体的には,学部専門科目の人間環境論では世界や日本の森林植生のパターンを例示し,気候と森林植生との関連性や森林の生態的特徴について説明し,適正で快適な人間環境を形成するための森林生態系保全に関する基礎知識について学修します。また,ゼミナールでは現地調査から森林の生きた姿を数値化し,森林樹木集団についての生態学的な理解を深め,森林保全や森林管理,森林再生に役立つ森林科学的な知識について学修します。このような講義を通して,森林環境を適正に保全することが社会全体の責務であるということを理解し,人間生活に必要な物質的資源としての森林の機能だけでなく,水源かん養や自然災害防止,生物多様性の保全,保健休養などの森林の多面的な機能を持続的に維持するための森林保全に関わる行政・企業・教育・研究という多様な視点からの知識を習得することができます。
以上のように群馬大学社会情報学部環境科学研究室では「人間の生存にかかせない森林の重要性について学び,森を生かす社会を創る」ための教育・研究を目指しています。最後にフィンランドのある建築家の言葉を紹介したいと思います。
「森は強い,森は森だけで生きていけるが,ヒトは森なしでは生きられない」
私たちは社会全体でこの言葉について真剣に考えなければならない時代に生きているということを忘れてはいけないと私は思います。
その他
現在,環境省モニタリングサイト1000プロジェクトに参画し,日本の森林における将来危惧される現象を明らかにするための基礎的研究を継続中。