西村淑子

西村淑子 (にしむら・よしこ)教授

西村淑子 教授
  • 出身地: 埼玉県
  • 最終学歴/学位: 成城大学大学院法学研究科博士課程/博士(法学)
  • 研究室: 社会情報学部棟502
  • 所属学会: 日本公法学会,環境法政策学会,行政判例研究会等
  • 専門分野: 行政法, 環境法
  • 担当科目: 行政法Ⅰ・Ⅱ,環境法Ⅰ・Ⅱ,社会情報学B,社会情報学演習B他

現在の研究テーマ

  • アメリカの環境訴訟
  • 行政訴訟の原告適格
  • 福島原発事故による被害者の救済

専攻分野・研究内容紹介

法律学はエキサイティング

子供の頃から読書が好きで,高校時代まで多くの時間を空想の世界に浸って過ごしました。大学では文学や哲学を勉強したいと思っていましたが,なぜか法律学を学ぶことに。案の定,学部時代の私は,法律学にほとんど興味を持てませんでした。法律は杓子定規で,心がないように感じたからです。

折しも大学に入学した1990年,日本のバブル経済は崩壊し,卒業の頃には,女子学生の就職は大氷河期に突入していました。就職に希望を持てなかったこと,いまひとつ勉強に身が入らなかった法律学への心残りから,そのまま大学院に進学して勉強を続けることにしました。いま思えば,実社会に出るのが怖かったのかも知れません。

大学院の授業では,先生方から学説や経験談のほか,大教室では聞けない歴史的事件の裏話など,貴重で刺激的なお話を伺い,法的な思考方法,調査方法,法律論文の書き方についてもきめ細かいご指導を頂きました。お金もなく,勉強とアルバイトに追われていましたが,新鮮で,とても充実した毎日でした。無機質に思えた条文や判決文の背後に,生々しい現実の社会と人間の存在がひしひしと感じられ,法律学がとてもエキサイティングな学問であることに気づいたのです。

環境保護に役立つ法律

大学院では憲法と行政法を中心に勉強していました。21世紀を目前に,国際的な環境問題に関心が高まりつつある時期であり,恩師からのアドバイスもあって,博士論文では「アメリカの環境市民訴訟」に取り組みました。環境市民訴訟は,個人の財産や健康に対する侵害がなくとも,環境の保護を目的として,誰でも訴訟を提起することができるというものです。残念ながら,日本では,訴訟を提起する資格(原告適格といいます)がとても狭く,このような訴訟は認められていませんが,近年,行政事件訴訟法の改正により,原告適格は拡大され,抗告訴訟の活用が期待されています。

2005年3月から9月まで,ハワイ大学のロースクールで研究する機会に恵まれました。環境市民訴訟の制定に大きな影響を与え,アメリカ環境法の父とも呼ばれるジョゼフ・サックス教授の講義に参加し,たどたどしい英語でなんとか意見交換を行いました。強烈な太陽光線下,青い海を臨み,南国の木々が茂る丘に建つキャンパス,冷房の効きすぎた教室で過ごした数ヶ月を,一生涯忘れることはないでしょう。

ロースクールでは,様々な人種,宗教の学生が学んでいました。彼らは非常によく発言し,社会活動に参加します。彼らは,その社会の言語や規範を自らのものとして,その社会のメンバーになろうと懸命に努力しているのです。法律は単なる文章にすぎませんが,私たち市民が,その制定や施行に関わることによって,私達にとって役立つ道具にもなります。行政法や環境法の授業を通じて,学生の皆さんには,社会的関心を深め,法律や裁判を身近に感じるようになってもらいたいと思っています。