2018年度

研究活動の要旨(2018年度)

石川真一(環境科学第二研究室)

[報告書等]

1.

編者名:青木雅夫,石川真一,大平満,大森威宏,片野光一,小暮市郎,増田和明,吉井広始

題名:群馬県植物レッドリスト(2018年部分改訂版)

発行年月日(西暦):2018年3月

掲載誌名:群馬県ウエブサイト

概要:群馬県は2012年に「絶滅のおそれのある野生動植物種」の一覧を改訂し報告書を作成した。これを見直し,より現状に即した種の保全対策のための基礎資料を作成するため,2016年よりレッドリストの部分改訂作業を行った。その結果作成し公開した部分改定版。


[学会発表]

1.

発表者名:Shin-Ichi Ishikawa, Kazuaki Masuda, Takehiro Ohmori, Mitsuru Ohdaira

題名:Population dynamics of an endangered spring ephemeral plant, Gagea japonica, in a satoyama region for 11 years

発表年月日(西暦):2018年4月22日

発表学会名:The 8th East Asian Federation of Ecological Societies (EAFES) International Congress

開催場所:名古屋大学

概要:The popultation of an endangered (EN) spring ephemeral, Gagea japonica (Liliaceae), found in a satoyama region of Gunma Pref. in 2007, has been monitored for 11years. Estimated or totally counted numbers of flowering plants fluctuated about 500 to 1100 from 2008 to 2014, followed by an increase to about 1200 to 1600 from 2015 to 2017. This recent increase may be caused by animal disturbance. In situ measurement revealed that the number of flower per plant (1-8) depends on the size of bulb. The bulbs larger than 6.5mm major axis made flower(s), and those larger than 5mm did 1-7 sister bulb(s). Flower-based seed production ratio was about 15%. These evidences indicate the growth of population in this species has been mainly caused by vegetative reproduction.


2.

発表者名:Ma Yuan, Quan Xing, Shin-Ichi Ishikawa

題名:Growth and seed germination responses to temperature and/or light environments in an endangered Japanese satoyama plant, Eupatorium japonicum

発表年月日(西暦):2018年4月22日

発表学会名:The 8th East Asian Federation of Ecological Societies (EAFES) International Congress

開催場所:名古屋大学

概要:Eupatorium japonicum is a perennial plant that has been popular among Japanese as one of the "autumn seven herbs". However, human destruction of its habitat seriously reduced the population size, and only 4 sites in Gunma Pref. (ADVANTEST Biotope in Meiwa, Usuigawa River, Yatagawa River, Yabagawa River) are remained. The aim of the research is to clarify optimal germination condition and optimum cultivation condition by using seeds sampled at these 4 sites. The germination experiment at 5 temperature conditions from 10/6 °C to 30/15 °C showed its germination rate tended to be faster at higher temperature conditions irrespective of the sites. As cold stratification was not essential for germination, it does not form a permanent soil seed bank. The growth experiment under 4 light conditions (from 3% to 100% RPPFD) revealed that the relative growth rate (RGR, g/g /day) in 3% was the lowest (0.003 to 0.007), whereas that in 9% - 100 % was higher (0.065 to 0.111). These results indicate that this species may grow well in a relatively wide range of light density from 9% area to 100% area. In extremely dark places (3% RPPFD), this species cannot grow well. This species must be under serious danger of extinction when surrounded by tall plants.


[その他]

講演

1.

開催者名:殖蓮地区自然環境を守る会

題名:第二回群馬ビオトープフォーラム「ビオトープに生育する植物の名前と見分け方」

開催年月日:2018年5月2日

開催場所:殖蓮公民館および男井戸川調整池ビオトープ(群馬県伊勢崎市)

概要: 2017年より,群馬県内で育成中のチノー・ビオトープ(藤岡市)およびアドバンテスト・ビオトープ(明和町)と共同で,地域の方々との交流を深めるための集い「群馬ビオトープフォーラム」を開催している。その第二回目。男井戸川調整池ビオトープでは地域の自然景観を再生しつつあるので,4月・5月にそこで開花する在来植物について説明し,その後観察会を行った。参加者約50名。


社会的活動

1.

開催者名:石川真一

題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習

開催年月日:2018年4月〜10月各月各1回開催

開催場所:群馬県明和町,群馬県館林市,群馬県藤岡市

概要:(株)アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町),東洋水産㈱関東工場(群馬県館林市)および(株)チノー藤岡事業所内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い,これに基づいて講習を行った。(株)アドバンテストとの共同研究「ビオトープの育成管理手法の開発のためのモニタリング調査研究」および(株)チノービオトープ基金により助成を受けた。


2.

開催者名:石川真一(群馬県自然環境調査研究会)

題名:群馬県生物多様性モニタリング調査

開催年月日:2018年4月〜9月(月2回程度)

開催場所:群馬県東吾妻町ほか

概要:群馬県の委託事業である。群馬県野生生物保護条例の制定に伴う生物多様性モニタリング調査として,ホットスポット内での絶滅危惧植物の分布・個体数・生育立地調査,種子採集を担当した。

伊藤賢一(理論社会学研究室)

[学術論文]

著者名:伊藤賢一

題名:小中学生のネット依存と生活満足度 ― 群馬県前橋市調査より ―

発行年月日:2018年3月1日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:25

頁:21~37頁

概要:2016年に群馬県前橋市で小中学生を対象に行った調査にもとづいて,ネット依存が疑われるグループの利用しているネットサービスや生活満足度等について重回帰分析に基づいて探索したもの。利用しているネットサービスでは,オンラインゲームやSNS以上に動画サイトの利用の影響力が大きいこと,また,学校への適応が重要であることを指摘している。(査読あり)


[学会発表]

発表者名:ITO, Kenichi

題名:How to Prevent Teenagers from Falling into the Addiction to the Internet: On a Panel Survey of the Problematic Internet Use of Schoolchildren in Japan [Distributed Paper]

発表年月日:2018年7月16日

発表学会名:XIX ISA World Congress of Sociology 2018, International Sociological Association

開催場所:Metro Toronto Convention Center, Toronto, Canada

概要:2015年~2017年に群馬県前橋市で小中学生を対象に行ったネット依存に関する調査に基づいた報告。韓国で開発されたKスケールを用いたネット依存のスクリーニングテストの結果,小学生にもネット依存が疑われる生徒が増えていることや,追跡調査の結果,一旦ネット依存が疑われる状態になった生徒は翌年の調査でもやはり危険度の高い使い方をしていることなどを指摘した。


[その他(分担執筆)]

編者名:日本子どもを守る会

書名:子ども白書2018

発行年月日:2018年8月15日

発行所:本の泉社

題名:社会学の視点からみる「ネット依存」

頁:170-171

概要:近年ますます注目されるようになった「ネット依存」について,注目度が高まる社会的条件について論じ,さらに現在青少年が直面しているネット依存の状況やその危険性について,筆者が群馬県前橋市で実施した調査データ等を用いて注意喚起したもの。


[その他(講習会での講師)]

講師名:伊藤賢一

講習題目:第6分野 ネット依存(社会学の視点から)

講習会名:埼玉プレ認定インストラクター講習会&研修コース講習会

主催者:ネット健康問題啓発者養成全国連絡協議会

開催年月日:2018年3月4日

開催場所:市民会館うらわ(埼玉県さいたま市浦和区)

概要:ネット健康問題啓発者養成全国連絡協議会主催のネットアドバイザー養成講座の講師を務めた。この問題について,自分で学習会や講演ができるアドバイザーを養成するためのもの。ネット依存について,その定義と診断基準,オンラインゲームとSNSの仕組み,予防法と対策などについて講演した。


[その他(講習会での講師)]

講師名:伊藤賢一

講習題目:ネット依存調査で何がわかるか

講習会名:ぐんま子どもセーフネット活動委員会定例研修会

主催者:NPO法人・ぐんま子どもセーフネット活動委員会

開催年月日:2018年4月22日

開催場所:ぐんま子どもセーフネット活動委員会事務所(群馬県高崎市)

概要:NPO法人・ぐんま子どもセーフネット活動委員会の依頼で,定例研究会の講師を務めた。前橋市で行っているネット依存調査を題材に,調査票の設計や分析結果について説明した。


[その他(講習会での講師)]

講師名:伊藤賢一

講習題目:第6分野 ネット依存(社会学の視点から)

講習会名:平成30年度埼玉県ネットアドバイザースキルアップ研修会

主催者:埼玉県県民生活部青少年課

開催年月日:2018年6月27日

開催場所:全電通埼玉会館あけぼのビル(埼玉県さいたま市浦和区)

概要:埼玉県県民生活部青少年課が毎年行っている研修会の一部を担当した。埼玉県には青少年のインターネット問題について啓発できるネットアドバイザーが60名強いるが,そのアドバイザーのスキル向上のために毎年行っているもの。ネット依存について,定義と診断基準,オンラインゲームとSNSの仕組み,予防法と対策などについて講演した。


[その他(教員免許状更新講習での講師)]

講師名:伊藤賢一,大谷良光,成田弘子

講習題目:ネット・ゲームによる健康被害の現状と学校での指導(選択領域)

開催年月日:2018年8月19日

開催場所:群馬大学教育学部

概要:大谷良光氏(弘前大学教育学部元教授),成田弘子氏(白梅学園大学前特任教授)と共同で,現職教員を対象とした教員免許状更新講習を実施した。児童生徒のネット・ゲームへの長時間接触が問題視される中,発達阻害・健康被害の事実・現象とネットとの相関関連,エビデンスを分析し,参加者と共に学校での指導のあり方を考える講習。89名が受講した。


[その他(審査員)]

審査員名:伊藤賢一

題名:第9回小中学生新聞感想文コンクール

主催:上毛新聞社

日時:2017年11月2日, 11月25日

場所:上毛新聞社本社(前橋市古市町)

概要:県内の小中学生を対象とした新聞感想文コンクールの審査員を務めた。

井門 亮(言語コミュニケーション研究室)

[著書]

著者名:高見 健一・行田 勇・大野 英樹 (編)井門亮ほか

書名:〈不思議〉に満ちたことばの世界(下)

発行年月日(西暦):2017年3月25日

発行所名:開拓社

頁:252

概要:本書は,英語や日本語など,ことばとそれに関係する領域(ことばの文法・意味・語用)に見られる現象を解説したものである。担当した「会話の含意はどのように解釈されるか?」では,会話の含意の解釈について,Griceが提案した協調の原理と会話の格率の観点から検討を行った。(担当:井門 亮「会話の含意はどのように解釈されるか?」pp. 219-223.)


[著書]

著者名:中野 弘三 (編)井門亮ほか

書名:語はなぜ多義になるのか ―コンテキストの作用を考える―

発行年月日(西暦):2017年3月20日

発行所名:朝倉書店

頁:183

概要:本書は,語が多義化する主要な原因は語が使用されるコンテキストにあるという観点から,語の多義化に関する様々な問題を扱ったものである。担当した「多義語の分析と語用論」では,語彙語用論に基づき多義語の解釈過程について分析を行った。(担当:井門 亮「第5章 多義語の分析と語用論」pp. 106-127.)

岩井 淳(意思決定支援研究室)

[学術論文]

著者名:Atsushi Iwai

題名:A Design of Privacy-Enhanced Survey System that can be Used for Hospital Evaluation by Patients

発行年月日(西暦):2017年11月1日

掲載誌名:Proceedings of ICMEMIS2017(1st International Conference on Mechanical, Electrical and Medical Intelligent System)

頁:(オンライン,計5頁)

概要:「患者による病院評価」に利用可能なプライバシー保全型の調査システムの設計を提案した。医療サービスの提供者が患者データを匿名化して病院外に提供する枠組みの研究は多い。本研究は,この文脈では想定されない医療サービスの提供者に対する患者のプライバシー保全を目標とした点で特徴的である。(査読有)


著者名:Atsushi Iwai

題名:Optimization of Attributes Elimination Order in a Privacy-Enhanced Survey System

発行年月日(西暦):2018年4月19日

掲載誌名:Proceedings of ICTSS2018 (International Conference on Technology and Social Science 2018)

頁:(オンライン,計7頁)

概要:本研究では,プライバシー保全に焦点を当てた社会調査システムの設計の一部として,属性削除順序を最適化する計算法の提案を行った。既存の枠組みでは,入力データの特性が結果的な情報流出を導く問題について,被調査者の属性データをデータベース内で順に切り分けていくことで対処する。しかし,その属性削除の順序は事前設定を要するため,収集情報の保全の観点からは必ずしも最適な順序とならない。すなわち,プライバシー保全が実現される一方で必要以上に収集情報が失われる場合がある枠組みであった。本研究では,収集情報の保全の観点から最適な属性削除順序を決定して適用するルーチンの提案を行った。(査読有,Best Paper Award)

大野富彦(経営学研究室)

[学会発表]

発表者名:大野富彦

題名:観光地経営におけるDMOの役割について-ステークホルダーとの関係からの考察

発表年月日(西暦):2017年9月2日

発表学会名:地域デザイン学会第6回全国大会

開催場所:東海大学高輪キャンパス

概要:観光庁が中心となって推進する日本版DMOは,観光地経営における「舵取り役」として期待され,具体的には,次の3つの役割が求められている。(1)多様なステークホルダーと合意形成をはかること,(2)継続的にデータを収集・分析し,データに基づいた戦略策定とKPIを設定する。そしてPDCAサイクルを繰り返して改善をはかっていくこと,(3)ステークホルダーが実施する観光事業を調整したりプロモーションを行ったりすること,である。本稿はこの役割について実際事例をもとに掘り下げて検討していく。すなわち,日本版DMOが始まる数年も前からDMO的な活動をしている雪国観光圏と信州いいやま観光局の事例を分析し,上記の役割をどのように果たしていくのかについて,ステークホルダーとの関係から考察する。そこでは,「観光地域のビジョンと戦略の作成・共有」と「ステークホルダーの活動支援」という2つの役割が相互補完的に行われることが強調され,同時に今後に向けた課題が提示される。


発表者名:大野富彦

題名:観光地経営におけるDMOと地域ステークホルダーの関係構築のプロセスについて-雪国観光圏の事例からの考察-

発表年月日(西暦):2017年12月16日

発表学会名:平成29年度日本観光研究学会 東北支部大会

開催場所:福島大学

概要:本稿は,先進的な取り組みを行っているDMO(一般社団法人雪国観光圏)と地域ステークホルダー(松之山温泉合同会社まんま)について,「DMOと地域ステークホルダーの関係はどのようなプロセスを経て構築されるか」,「DMOの地域ステークホルダーに対するリーダーシップはどのようなものか」をリサーチ・クエスチョンとし,それをインタビューで得られた情報をもとに分析した。分析の結果,(1)制度ありき,構造ありきではなく,観光地の持続的な発展のために行動し続けるというプロセス重視であること,(2)DMOは,リーダー役:「観光地域のビジョンと戦略の作成・共有」とサポート役:「地域ステークホルダーの活動支援」の2つの役割が相互補完的に行われていることが分かった。


[その他:研究会発表など]

発表者名:大野富彦

題名:観光地経営の研究視点-地域力共創を目指して-

発表年月日(西暦):2017年9月6日

発表会名:群馬大学金融機関等意見交換会(平成29年度第1回)

開催場所:群馬大学

概要:群馬県内の金融機関に対して,発表者の研究分野と最近の研究内容を以下の順番で説明した。(1)観光地経営の研究視点,(2)研究分野と方法,(3)旅館のマネジメント,(4)観光地経営とDMO。特に,(4)については,現在,観光庁を中心に日本版DMO(Destination Management/Marketing Organization)を推進しているなか,群馬県には9つものDMO(平成29年5月12日現在。候補法人含む)があり,県の観光産業を牽引していく上で,それらDMOの役割が重要であることを指摘した。


発表者名:大野富彦

題名:温泉地の価値共創-群馬県地域DMOとステークホルダーの関係を中心に-

発表年月日(西暦):2017年11月12日

発表会名:地域デザイン学会 第3回温泉文化フォーラム

開催場所:鹿教湯温泉交流センター

概要:先進的な取り組みを行っているDMO(一般社団法人雪国観光圏)と地域ステークホルダー(松之山温泉合同会社まんま)の関係性分析から得られた知見-(1)プロセス重視,(2) DMOのリーダー機能とサポート機能-を基に,一般社団法人中之条町観光協会(地域DMO)と四万温泉協会の関係について考察した。両者の関係づくりは発展途上であるが,いずれにしても,様々な場を通じたステークホルダーとのコミュニケーションの重要性が明らかとなった。

柿本敏克(社会心理学研究室)

[学会発表]

発表者名:柿本敏克・五百川柚希美

題名:日本人は本当に集団主義的か―日本人意識と集団主義的自己認識―

単・共の別:共

発表年月日:2018年8月26日

発表学会名:日本応用心理学会第85回大会

開催場所:大阪大学(大阪府吹田市)

概要:日本人は集団主義的であるという通説が維持されるメカニズムとして,日本人としての自己意識が日本人ステレオタイプの自己投影を引き起こすことによる自己ステレオタイプ化過程が予想される。そこで,日本人意識を実験的に高揚させ,集団主義的自己認識が高まるかを検討した。183名の日本人大学生を無作為に日本人意識高揚条件と非高揚条件に割り当てた実験の結果,両条件の間に集団主義的自己認識の差はみられなかったが,日本人意識と集団主義的自己認識の間に正の相関が認められた。

川畑泰子(計算社会科学研究室)

[学術論文]

著者名:Akira Ishii, Yasuko Kawahata

題名:Sociophysics Analysis of the Dynamics of Peoples’ Interests in Society

発行年月日(西暦):2018年9月(公開予定)

掲載誌名:Frontiers in Physics

概要:ソーシャルメディアをデータとした社会現象の分析・予測手法として,社会物理学の理論の一つである数理モデルに基づく分析を提示した。社会物理学の手法を用いた数学的モデルを使って様々な事例の推移を説明し,従来の数理モデルのアップデートをおこなった結果をまとめた。


著者名:川畑泰子,源田悦夫,石井晃

題名:Possibility of Analysis of" Big Data" of Kabuki Play in 19th Century Using the Mathematical Model of Hit Phenomena

発行年月日(西暦):2013年11月

掲載誌名:Advances in Computer Entertainment.Springer International Publishing

頁:656-659

概要:過去と現代のメディアの種類や話題の伝わり方が違う点に注目をし,複雑系科学の観点でデータを考察した。その過程で,国内外の美術館,博物館,図書館,大学機関の所蔵する古文書のデジタルアーカイブスを収集,分析をした。また,人気役者の話題性は競演した役者や物語の話題性にも影響することが定量的にわかった。


著者名:メンジョウン,源田悦夫,川畑泰子

題名:顔印象評価を用いた 3DCG 顔印象連続変形装置

発行年月日(西暦):2013年9月

掲載誌名:Proceedings of ASIAGRAPH 2013 in Kagoshima 招待論文

頁:72-75

概要:従来の人間の表情印象に関する研究は,二次元情報が対象であった。そこで,デジタルアーカイブス技術によって保存した人間の表情(3D)を使用した。さらに,撮影した人間の表情(3D)の印象評価実験(SD法)を行った。実験の印象語は女性向け雑誌からとった流行語(16種類)を使用した。その結果を元に,表情の変化を形成できるシステムの設計をした。


著者名:川畑泰子,源田悦夫,石井晃

題名:江戸後期の出版物の性質を考慮した三代目歌川豊国の活動傾向の分析-ヒット現象の数理モデルを用いて-。

発行年月日(西暦):2014年4月

掲載誌名:Proceedings of ASIAGRAPH 2014 in Bali 招待論文

頁:21-25

概要:浮世絵を描いた画家の大半を占めていたのが3代目歌川豊国(1849-1855)であった。ここで,江戸の芸術を楽しんでいた江戸の一般市民の社会心理学の動きを,多数の文書からの応答から定量的な考察の手法の検討を行った。


著者名:Yasuko Kawahata, Takayuki Mizuno, Akira Ishii

題名:Measurement of human activity using velocity GPS data obtained from mobile phones

発行年月日(西暦):2017年5月

掲載誌名:オンラインで閲覧可能(https://arxiv.org/abs/1706.04301

概要:人間活動のレベルは,1 日を通して変化する。本論文では,日本の人口密度が最も高い東京の渋谷駅周辺の人々から携帯電話の GPS データを取得した。2016 年 4 月の熊本県の地震では,その日の活動は通常よりもはるかに低かった。他の先進国の自然災害が発生した場合,災害時における人間の行動の変化(例えば,熊本大震災)を速度の観点から考えると,緩和策の計画を改善することができる。


著者名:Kimitaka Asatani, Yasuko Kawahata, Fujio Toriumi and Ichiro Sakata

題名:Communication based on unilateral preference on Twitter: Internet luring in Japan

発行年月日(西暦):2018年9月

掲載誌名:Socinfo2018, Springer International Publishing

概要:人間関係や会話などのネットワークには様々なメゾなレベルの構造が存在しうる。本研究では有向グラフを対象とし,特定の集団から他の集団への一方的な選好を自動的に検出する方法を提案した。


著者名:川畑泰子,岡野のぞみ,東大将,若林俊道,石井晃

題名:The Influence of Social Media Writing on Online Search Behavior for Seasonal Topics: The Sociophysics Approach

発行年月日(西暦):2018年12月

掲載誌名:IEEE BIGDATA (in press予定)

概要:季節的なトピックに関連するソーシャルメディアコンテンツと検索アクションの投稿間隔の時間間隔を調査。社会物理学の理論のように検索行動の数理モデルを用いて行った。


[学会発表]

発表者名:川畑泰子

題名:時空間情報を用いた商業集積地域の現状分析

発表年月日(西暦):2018年3月7日

発表学会名:第二回計算社会科学ワークショップ

開催場所:東京大学

概要:様々な政治施策が行われ都市開発が行われていく中で,積極的に文化資産などを活用したプロジェクトを推進している産業動向に関して時空間的な変動を捉えるために,電話帳データの活用を提案し,さらに有効な手法を検討していくことを目的とした。


発表者名:川畑泰子

題名:電話帳データを用いた文化政策による都市再生のための定量的指標

発表年月日(西暦):2018年3月22日

発表学会名:2018年電子情報通信学会総合大会

開催場所:東京電機大学 東京千住キャンパス(東京)

概要:2020 年に向けて,地方創生の一環として大規模なアンケート調査活動や実際に数理的な解析が始まっていることに着眼し考察を得た。文化資産も地域の公共・福祉水準の向上に寄与することが期待される。さらに,それらの発展は市外からの集客効果や関連産業の需要を喚起すること等経済的な面でも地域の活性化に貢献する。本研究では上記のような背景を元に,現状として様々な政治施策が行われ都市開発が行われていく中で,積極的に文化資産などを活用したプロジェクトを推進している新潟県における産業動向に関して時空間的な変動を捉えるために,人口データ,電話帳データの活用を提案し,さらに有効な手法を検討していくことを目的とした。


発表者名:川畑泰子

題名:千葉市の文化施設来場者の人流分析

発表年月日(西暦):2018年3月28日

発表学会名:第22回進化経済学会九州大会

開催場所:九州大学

概要:スマートフォンにおける位置情報データの活用を提案し,さらに有効な手法を検討した。特に千葉市の区について,来場者がどこから来たかどのように出ているか解析を行った。

北村 純(行政学研究室)

[論説(一般向け)]

執筆者名:北村 純

題名:「西郷どん」に続け!NHK大河ドラマ誘致合戦の白熱

発行年月日(西暦): 2018年1月1日

掲載誌名:文春ムック 文藝春秋オピニオン 2018年の論点100

頁:278-280

概要:1990年代後半からNHK大河ドラマの誘致運動が各地で活発になってきた。本稿は誘致活動の経緯と現状を紹介し,誘致活動の背景にある地方経済と政治の事情(社会経済的要因,政治的要因)を概観する。メディア(映像作品)と地域活性化への期待が結びつく理由について考察している。

吉良知文(ソーシャル数理研究室)

[学術論文]

著者名:吉良知文, 神山直之, 岩下洋哲, 大堀耕太郎, 穴井宏和

題名:きょうだいを考慮した保育所の利用調整 : ゲーム理論による公平性の追求

発行年月日(西暦):2018年1月5日

掲載誌名:Pacific Journal of Mathematics for Industry

巻数:平成30年1月号

頁:6 pages

概要:保育所の利用調整(選考)では,保育の必要性に基づく申請者の優先順位だけでなく,きょうだいの同一保育所への入所希望も考慮する。いわゆる“Matching with Couples”という問題であり,安定マッチングの存在も保証されておらず,扱いが難しいことが知られている。そこで,展開形ゲームの理論に基づいて,保育の必要性に基づく公平性ときょうだいへの配慮を両立させる利用調整方法を提案した。本稿では,自治体の担当者向けにこの方法を解説している。


[学会発表]

発表者名:吉良知文*, 神山直之, 穴井宏和, 岩下洋哲, 大堀耕太郎

題名:動的セキュリティゲームと最適化

開催年月日:2017年9月14日・15日

発表学会名:日本オペレーションズ・リサーチ学会2017年秋季研究発表会

開催場所:関西大学千里山キャンパス


発表者名:中尾悠里*, 大堀耕太郎, 大輪拓也, 吉田宏章, 吉良知文, 神山直之,

題名:人工知能を用いた移住促進への取り組み:福岡県糸島市における最適地域推薦の実証実験

開催年月日:2016年9月21日・22日

発表学会名:経営情報学会 2017年秋季全国研究発表大会

開催場所:岩手県立大学アイーナキャンパス


発表者名:吉良知文

題名:保育所の入所選考と動的計画とその周辺

開催年月日:2017年10月18日・19日

発表学会名:第13回DP研究会

開催場所:ホテル松本楼(群馬県)


発表者名:吉良知文

題名:協力ゲームの理論に基づく相乗り交通のデザイン

開催年月日:2017年10月18日・19日

発表学会名:第13回DP研究会

開催場所:ホテル松本楼(群馬県)


発表者名:岩下洋哲, 吉良知文*, 神山直之, 大堀耕太郎

題名:きょうだいを考慮した保育所マッチングと展開形ゲーム (特別講演)

開催年月日:2017年10月28日・29日

発表学会名:日本オペレーションズ・リサーチ学会60周年記念事業「九州地区におけるOR若手研究交流会--2017湯布院--」

開催場所:FITセミナーハウス(大分県)


発表者名:吉良知文

題名:社会システムデザインのための数理と社会実装へのアプローチ

開催年月日:2017年12月2日

発表学会名:社会情報学シンポジウム2017「自動運転×社会情報学で議論する群馬発☆超スマート社会」

開催場所:群馬大学荒牧キャンパス


発表者名:吉良知文

題名:保育所マッチング:展開形ゲームによる公平性の追求

開催年月日:2018年1月18日

発表学会名:応用計量統計ワークショップ

開催場所:東北大学大学院経済学研究科


発表者名:吉良知文

題名:保育所の入所選考~公平性の追求ときょうだいの考慮~

開催年月日:2018年1月25日

発表学会名:第16回アゴラカフェ・ミニレクチャー

開催場所:群馬大学中央図書館


発表者名:吉良知文

題名:動的警備計画に対する3つの定式化

開催年月日:2018年2月6日

発表学会名:日本オペレーションズ・リサーチ学会 第9回危機管理と防衛のOR研究部会

開催場所:政策研究大学院大学


発表者名:福本康秀*, 中尾悠里, 大堀耕太郎, 大輪拓也, 吉田宏章, 穴井宏和, 吉良知文, 神山直之

題名:福岡県糸島市におけるAIによる移住地推薦に関する実証実験

開催年月日:2018年3月14日~16日

発表学会名:平成30年電気学会全国大会

開催場所:九州大学伊都キャンパス


発表者名:岩下洋哲, 吉良知文*, 神山直之, 大堀耕太郎, 穴井宏和

題名:保育所マッチング:きょうだいの考慮と展開形ゲーム

開催年月日:2018年3月15日

発表学会名:日本オペレーションズ・リサーチ学会 第41回企業事例交流会

開催場所:東海大学高輪キャンパス


発表者名:吉良知文

題名:保育所の利用調整:きょうだい同所希望への配慮と展開形ゲーム

開催年月日:2018年8月29日~31日

発表学会名:日本オペレーションズ・リサーチ学会 本部 SSOR 2018,

開催場所:水上温泉 松乃井(群馬県)


[その他]

若者向け体験講習型ハッカソン『Web×IoTチャレンジ in 前橋』, 運営委員(2017年8月~2018年2月)。(https://webiotmakers.github.io/2017/maebashi/

小竹裕人(公共政策研究室)

[発表]

著者名:小竹 裕人,天谷賢児

題名「eCOM-8導入と利用者の行動変容」

発行年月: 2018年7月

発行:産学官金連携推進会議ポスター発表

概要:eCOM-8が導入されることによって,居住者の笑顔と外出の頻度が増加することがわかった。今回は桐生市宮本町に加え菱町のアンケート結果をあわせて分析したものである。


[研究会]

・群馬大学理工学府,Future Kiryu,月一回

・WbridgeによるeCOM-8導入のための住民会議(桐生市菱町)


[講演]

・連合群馬,政策学習会,タイトルは同題,3/27

・前橋市Mサポセミナー,「協働入門」,8/23


[社会的活動(委員会等)]

○政策全般にかかわるもの

・安中市総合計画審議会会長,9/28,2/1,2/6

○政策立案にかかわるもの

・総務省行政評価局行政懇談会委員,2/28

・群馬県未来創生懇談会検証部会委員,6/4,6/5

・連合群馬政策委員会(おもに県民アンケート関係)政策アドバイザー,12/27,8/1

○行政と市民との協働にかかわるもの

・前橋市市民提案型パートナーシップ事業審査委員長,12/18,3/10,4/21

・伊勢崎市協働まちづくり事業審査委員長,6/24

○政策評価・行政の効率化にかかわるもの

・前橋市行革推進幹事会,11/8

・群馬県ヘリポート評価委員会,7/10

○その他

・群馬県公益認定等審議会委員,3/6,9/20

・群馬テレビ,放送番組審議会会長,毎月


[社会的活動(コーディネーター等)]

・連合群馬政策フォーラム,7/21


[社会的活動(ワークショップ等)]

・赤城山振興にかかわる市民会議,前橋市・AKAGIやる気塾,偶数月

坂本和靖(計量経済学研究室)

[学術論文]

著者名:坂本和靖・森田陽子

題名:妻の所得が夫妻所得の格差に与える影響に関する分析 : 妻の就業,就業履歴と所得格差

発行年月日(西暦):2019年9月30日

掲載誌名:大阪大学大学院国際公共政策研究科 『国際公共政策研究』

巻数:22(1)

頁:37-48

概要:The recent upsurge of the employment rate of Japanese women seems to cause a widening of earnings disparities among married-couple households. Based on panel data derived from the Japanese Panel Survey of Consumers (the Institute for Research on Household Economics), we explore women’s employment and decisions on their career path at their first birth (continue to work / leave / change jobs), and examine the impacts on the family earnings inequality among them. Our findings confirm the following three points. First, wives in their 20s and 30s are likely to work if their husbands’ earnings are low (Douglas-Arisawa’s Law). Second, wives’ earnings contribute to increase family earnings inequality until 2003 but to equalize it after 2008. Third, among couples of working mothers, although wives’ earnings have an effect to equalize family earning inequality regardless of wives’ career decisions, the effect is larger among the couples of wives who choose to continue to work after the first birth, compared to the couples in which wives chose to leave or change jobs after the first birth.


[著書]

著者名:阿部正浩,山本勲編

書名:『多様化する日本人の働き方 ―非正規・女性・高齢者の活躍の場を探る』(担当部分:「結婚・出産後の継続就業―家計パネル調査による分析」

発行年月日(西暦):2018年1月

掲載誌名:発行所名:慶應義塾大学出版会.

頁:第4章.

概要:本稿の目的は,個人を追跡したパネルデータを用いて,女性のライフイベント(結婚や出産)および就業行動に対して,本人の属性のみならず,就業環境や家族のサポートがどのような影響を与えているのかを明らかにすることである。分析結果は以下の通りとなった。(1)大卒, 親と同居, 賃金率の高い女性ほど婚姻し,正社員の中では,通勤時間の短い女性ほど結婚する。(2)夫の所得が低く,本人の賃金率・学歴が高い女性,育休取得しやすい女性ほど結婚後も継続就業する。(3)休日における夫の家事・育児時間の長い世帯の女性ほど出産する。(4) 育児休業制度の利用しやすい企業,さらには幼児数に対し保育所定員の多い地域に居住する女性ほど出産後も継続就業する。(5) 夫の家事・育児時間が長い世帯の女性ほど早く復職する。ワークライフバランス制度による影響だけでなく,出産,出産後の復職については,夫によるサポートが重要であることが確認された。(共著者:樋口美雄・坂本和靖・萩原里紗)


[学会発表]

著者名:坂本和靖・森田陽子

題名:Women’s Career Decisions and Earnings Disparities among Married Couples in Japan,

発表年月日(西暦):2017年9月10日

発表学会名:日本経済学会2017年度秋季大会

開催場所:青山学院大学

概要:近年,妻の就業率が上昇し,夫妻の所得格差に影響を与えていることが指摘されている。本稿では,「消費生活に関するパネル調査」(公益財団法人家計経済研究所)を用いて,妻のライフ・コース選択(第1子出産時の就業継続,無業継続,離職,復職)が夫妻所得の格差に与える影響を所得階層移動の観点から実証分析をおこなった。
分析の結果,以下のことが明らかとなった。第1に,妻が出産後も継続的に就業すること,あるいは復職することは,夫高所得層において所得階層を上方に移動させる効果があり,無業が続くことは,夫低所得層において下方移動を促進する。第2に,育児休業の利用は夫高所得層で上方移動を促進する効果が大きく,夫低所得層において下方移動を抑制する効果が大きい。第3に,妻が継続的に就業することは貧困抑制につながり,特に低所得層においてその効果は大きい。
したがって,夫高所得層の妻に対して,就業支援をすることは夫妻所得の格差を拡大するため,ワーク・ライフ・バランス施策の制度の中立性を高めることが所得格差の観点から重要である。加えて,貧困対策の観点から夫低所得層の妻に対する就業支援を重点的におこなうことが期待される。


著者名:坂本和靖・森田陽子

題名:Women’s Employment, Childcare Leaves and Earnings Mobility among Married Couples in Japan

発表年月日(西暦):2018年8月22日

発表学会名:The International Association for Research in Income and Wealth 35th General Conference

開催場所:DGI-byen Conference Centre, Copenhagen, Denmark

概要: This study analyzes the impact of married women’s continuous employment on married couples’ income mobility, using wave 11-24 (2003−2016) of the Japanese Panel Survey of Consumers.
The findings are, first, married women’s continuous employment after the first birth or taking childcare leave make the couples’ income level transitioned to upward. Second, however, taking the endogeneity of women’s income level and continuous employment or taking childcare leave into account, the upward effect is observed only in couples with high husband’s income. Third, the upward effect expired within ten years after the first birth.
These findings suggest that work life balance policies, aiming at married women’s continuous work, have the possibility to increase income inequality among married couples’ income in the future.

末松美知子(舞台表象論研究室)

[パネル・ディスカッション]

発表者名:末松美知子

題名:シェイクスピア研究におけるディジタル・ヒューマニティーズの成果と可能性

発表年月日(西暦):2017年10月8日

発表学会名:第56回日本シェイクスピア学会

開催場所:近畿大学

概要:欧米では Digital Humanities(以下,DHと略記)が進展し,これまでの成果,課題,今後の可能性を論じる時期に入ったが,日本では遅れをとっている。もちろん,DH には功罪も批判もあるが,本パネルでは,日本におけるDHの進展の遅れに危機意識を抱き,あえてシェイクスピア研究におけるDH の成果と可能性を積極的に探ることにした。 担当の報告「ディジタル化とシェイクスピア上演・上演研究」では,ディジタル化の進展が現代のシェイクスピア上演及びその研究・教育にもたらした功罪を,「上演作品」,「上演を観るメディア」,「上演の研究」という3つの観点から考察した。「上演作品」については,今世紀のイギリスでの上演においてディジタル表現がどのように変遷したかをたどり,特にMR (Mixed Reality)が舞台上で優れた効果を上げた作品として Royal Shakespeare Companyの The Tempest (2016-17年)を分析した。「上演を観るメディア」については,演劇の一回性,現前性を盾に劇場中継を長らく拒み続けてきたイギリス演劇界でもここ数年広まりつつあるLive-viewing について報告した。あくまで劇場での観劇体験とは似て非なるものではあるが,劇場以外で上演作品を観るメディアは多様化し,市民権を得てきている。RSC Live from Stratford や NT Liveといった映画館での生中継から,Shakespeare’s Globe 劇場のGlobe PlayerやDigital Theatreなどのウェブ上での視聴まで,ディジタルテクノロジーの進展が可能にした観劇体験について考察した。一方,研究・ 教育を目的とした上演作品のウェブ・アーカイブも,MITのGlobal Shakespeares,シンガポール国立大学の Asian Shakespeare Intercultural Archive (A|S|I|A),国立台湾大学の Taiwan Shakespeare Database など,アジアのシェイクスピア上演作品を中心に整備されてきている。「上演の研究」に関しては,上記のうち末松が構築に関わっているウェブ・アーカイブA|S|I|Aを例に,ICT を活用した比較演劇研究の可能性について報告した。オンデマンドでの全編映像の視聴,各作品の分析データによる比較分析,利用者同士のインタラクティブなオンライン上での意見交換などは,シェイクスピア上演研究をDHとして捉え直し,「従来の主観的な印象批評」や他者の劇評に依存する間接的な上演研究とは異なる,地理的・時間的制約を超えた新たな上演研究の可能性を開くことが期待できると結論づけた。

杉山 学(経営管理研究室)

[学術論文]

著者名:杉山学

題名:DEAとInverted DEAのノンパラメトリック検定を用いたわが国の電力各社の生産性に対する電力自由化の効果検証

発行年月日:2018年3月1日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:25

頁:59-69

概要:本論文では,著者の電力自由化に関する検証の一連の研究の新たな展開として,電力自由化の開始前後の各10年間程度の計21年間を対象に,電力各社の生産性の推移,すなわち,DEAとInverted DEAの各効率値の推移に対して,電力自由化に関する効果の有無を統計学的に有意であるかを検証することが目的である。なお,本論文では,DEA効率値に対するパラメトリック検定とノンパラメトリック検定の両者を,IDEA非効率値に対しても新たに適用し,電力自由化の効果検証を行い,考察を行った。


[その他 (講演)]

講演者名:杉山学

題名:ビジネスプラン策定スキル② ~ 事業構造と競争関係のデザイン ~

開催年月日:2017年11月16日

講演会名:平成29年度 群馬大学公開講座「社会起業家特論(先端応用情報学特講A・B)」【群馬大学 産学連携・共同研究イノベーションセンター 荒牧分室 共催】

開催場所:群馬大学サテライト高崎会場

概要:平成29年度 群馬大学公開講座として,「ビジネスプラン策定スキル② ~ 事業構造と競争関係のデザイン ~」という題目の講演を行った。具体的な内容として,ビジネスプラン策定において「決定理論」と「ゲーム理論」の考えを活用した合理的な意思決定を企業活動の例題にて解説を行った。


講演者名:杉山学

題名:金融ビジネスの基礎知識⑤ ~ 総合評価手法 ~

開催年月日:2018年7月19日

講演会名:平成30年度 群馬大学公開講座「企業・産業分析スキル特論(金融ビジネスの基礎から実際まで)」【群馬大学 産学連携・共同研究イノベーションセンター 荒牧分室 共催】

開催場所:群馬大学サテライト高崎会場

概要:平成30年度 群馬大学公開講座として,「金融ビジネスの基礎知識⑤ ~ 総合評価手法 ~」という題目の講演を行った。具体的な内容として,総合評価をして合理的な意思決定支援を行う階層分析法(Analytic Hierarchy Process : AHP)を,身近な例題の意思決定に用い,合理的に結論を導き出す解説を行った。

高木 理(医療情報学研究室)

[学会発表]

発表者名:Osamu Takaki, Tsuyoshi Kato, Kota Torikai, and Yuichiro Saito

題名:Data analysis for medical services based on diverse information systems

発表年月日(西暦):2017年11月6日

発表学会名:Gunma University Medical Innovation 2017 (GUMI 2017)

開催場所:前橋商工会議所

概要:本発表は,群馬大学医理工連携プロジェクトにおける研究課題の1つである,病院情報システム上のデータ連携による医療サービス向上のためのデータ解析に関する研究成果を述べたものである。本発表では,ナースコールシステムに記録された各入院患者によるナースコール履歴データと電子カルテ上のデータとを連係させつつ時系列解析を行うことを支援するツールである“Nurse Call Data Analyzer”の開発経緯について説明を行った。また,院内のスマホユーザの位置を特定するためのオントロジーモデルと,そのモデルに基づく位置特定アルゴリズムの開発に関する展望についても説明した。


発表者名:高木 理

題名:事象発生頻度の変化を表現するための論理

発表年月日(西暦):2017年11月16日

発表学会名:電子情報通信学会 研究会(“システムのモデリングと制御・検証・最適化の手法,機械学習的アプローチ及び一般”:CAS, MSS, IPSJ-ALによる共同開催)

開催場所:日立中央研究所

概要:本発表では,データベースに記録される時系列データ上に記録される事象の発生頻度の変化を表現するための形式言語,および,その意味論によって構成される頻度論理を提案した。また,頻度論理によって表現される独特な性質として,事象の偏在性についても述べた。


発表者名:Osamu Takaki, Takayuki Asao and Yoichi Seki

題名:Extensions of l-diversity to reduce the risk of revealing patient severe health conditions

発表年月日(西暦):2017年11月29日

発表学会名:International Conference on Mechanical, Electrical and Medical Intelligent System 2017 (ICMEMIS 2017)

開催場所:桐生市市民文化会館

概要:抽出された医療データに基づいて患者状態の深刻さが推定される可能性を低減させるための指標となる,l-多様性の拡張概念を提案した。この拡張概念である“強l-多様性”は,患者の要配慮情報の深刻さの度合いを数値化するための“要配慮情報リスク・インパクト・オントロジー”に基づいて定義される。さらに,強l-多様性の単調性を示し,強l-多様性を満たしつつ,できるだけデータ利用者の利便性を損なわないように匿名化するための枠組みのアウトラインを提示した。


発表者名:高木理,内住圭吾,鈴田伊知郎,鳥飼幸太,齋藤勇一郎,佐藤哲也,遠藤広樹,新善文

題名:ホワイトリストによるパケット監視制御機能付きネットワークスイッチの院内ネットワーク導入に向けた評価

発表年月日(西暦):2018年3月5日

発表学会名:電子情報通信学会 研究会(“インターネットと情報倫理教育,一般”:IA, SITE, IPSJ-IOTによる共同開催)

開催場所:鬼怒川温泉ホテル

概要:ホワイトリストに基づくパケットのモニタリング・フィルタリングが可能な“ホワイトリスト機能付きネットワークスイッチ(WLS)”は,工場などの閉じたネットワーク環境における情報セキュリティの強化に特に有効である。本発表において,セキュリティ面で特に重要であり,かつ,使用されるネットワークプロトコルの種類が限定される大規模病院内のナースコールシステムの基盤ネットワーク環境に注目し,WLSの有効性および実運用に向けた要点を述べた。


発表者名:Osamu Takaki

題名:A Perspective on Database-Based Data Analysis

発表年月日(西暦):2018年3月26日

発表学会名:International Conference on Technological Challenges for Better World 2018 (ICTCBW 2018)

開催場所:Big Hotel(セブ市)

概要:本発表では,データベース上のデータに基づくデータ分析について,従来の,研究デザインに基づくデータ分析とは異なる課題点として,(i) データの質保証,(ii) 異なるデータベース上のデータを連係させる際の課題,(iii) ランダム化比較試験に代わる新たな研究デザインの3つの課題点について説明を行った。さらに,それらの課題点に対する解決に向けた提案を手短に述べた。


発表者名:Osamu Takaki

題名:Towards Privacy Preservation in Data Utilization Based on Patient Information Severity

発表年月日(西暦):2018年4月18日

発表学会名:International Conference on Technology and Social Science 2018 (ICTSS 2018)

開催場所:桐生市市民文化会館

概要:本発表では,ICMEMIS 2017において提案された患者情報インパクトオントロジーに基づて,日本国内の(病床数が20未満の)診療所と(病床数が20以上の)病院において扱われる医療データにおける患者情報の深刻さの調査および比較を行った。今回の調査を通じて,診療所が保有するデータにおける患者情報の深刻さも決して小さくはないこと。それでも,病院と比較すると1人あたりの深刻さは1/4程度であること,などが示された。


発表者名:高木 理

題名:頻度の変化を表現するための論理

発表年月日(西暦):2018年5月17日

発表学会名:第31回 回路とシステムワークショップ

開催場所:北九州国際会議場

概要:本発表では,データベース上の時系列データに基づく事象の発生頻度の変化を表現するための形式言語と,その意味論を提案した。事象の変化を表現するために,統計学における検定の理論を用いた。さらに,頻度論理の有用性を評価するために,実在の病院において収集されたナースコール履歴データに関する命題を頻度命題として表現し,実際のナースコール履歴データを用いた検証を行った。


[その他・講演]

講師名:高木 理

題名:データの利活用とプライバシー保護

年月日(西暦):2018年3月17日

開催:安全・安心まちづくりセミナー IN 桐生 2018

場所:群馬大学桐生キャンパス理工学部3号館

概要:現代社会におけるデータの利活用に関する概況と,医療データの二次利用について概説した。また後半において,データの匿名化について解説した。


講師名:高木 理

題名:頻度変化に基づく時系列データ検索システム

年月日(西暦):2018年7月23日

開催:平成30年度 産学官金連携推進会議

場所:前橋商工会議所

概要:群馬大学の研究者と群馬県内の自治体,企業および金融機関が連携して事業を進めるための意見交換の場である本会議に出席し,頻度論理とその応用プログラムの紹介を行った。


講師名:高木 理

題目:社会調査におけるサンプリング ~アメリカ大統領選挙予想をめぐって~

年月日(西暦):2018年7月17日(第1回),2018年8月17日(第2回)

開催:群馬大学 オープンキャンパス 社会情報学部 模擬授業

場所:群馬大学荒牧キャンパス社会情報学部棟

概要:社会情報学部の1年生が対象となる「データ解析基礎」や「研究方法基礎論」におけるトピックの1つであるサンプリングの理論を,高校生向けにカスタマイズして解説を行った。

鳶島修治(計量社会学研究室)

[学術論文]

著者名:鳶島修治

題名:Family Structure and Children’s Academic Achievement in Japan: A Quantile Regression Approach

発行年月日(西暦):2018年3月

掲載誌名:Educational Studies in Japan: International Yearbook

巻数:No.12

頁:107-119

概要:国際学力調査PISA2012の日本調査データを用いて,高校1年生の数学の学力に対する家族構造の効果について検討した。分位点回帰による分析の結果,ふたり親家族と比較した母子家族の子どもの不利は10パーセンタイル点や25パーセンタイル点で相対的に大きいこと,他方で,父子家族の子どもの不利は50パーセンタイル点(中央値)付近で相対的に大きいことが示された。また,母子家族の子どもの場合と異なり,10パーセンタイル点や25パーセンタイル点における父子家族の子どもの不利は親の学歴の低さを考慮してもほとんど説明されないことが示された。


[その他(研究ノート)]

著者名:鳶島修治

題名:大学進学における学力の効果と出身階層

発行年月日(西暦):2018年3月1日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第25巻

頁:115-127

概要:「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」(若年パネル調査)のデータを用いて,大学進学行動の決定要因としての学力(中学3年時の成績)の効果が出身階層によってどのように異なるのか,また,1990年代からの進学率上昇にともなって学力の効果の階層差がどのように変化したのかを検討した。分析の結果,大学進学に対する中学3年時成績の効果の弱まりがマニュアル層の出身者においてのみ生じたこと,その帰結として,近年では大学進学の決定要因としての中学3年時成績の効果に階層差がほとんど見られなくなっていることが示された。


[その他(報告書)]

著者名:鳶島修治

題名:教育期待と教育達成の不一致からみた大学進学機会の格差

書名:2015年SSM調査報告書4 教育Ⅰ(古田和久編)

発行年月日(西暦):2018年3月20日

発行所名:2015年SSM調査研究会

頁:169-186

概要:2015年社会階層と社会移動調査(SSM調査)のデータを用いて,中学3年時の教育期待と実際の教育達成との関連に着目して大学進学機会の階層間格差に関する検討を行った。分析の結果,1990年代以降に高卒後進路の選択を行った年齢層において,中学3年時に大学進学を期待していなかった層における大学進学者の割合が上昇していることが確認された。また,1990年代以降の進学率上昇期には,中学3年時に大学進学を期待していなかった層において大学への進学/非進学に対する出身階層の影響が強まっていることが示唆された。

永野清仁(数理情報学研究室)

[学会発表]

発表者名:永野清仁,岸本章宏

題名:劣加法的集合関数の負荷分散最適化

発表年月日(西暦):2017年9月19日

発表学会名:情報処理学会 第164回アルゴリズム研究会(AL)

開催場所:京都大学

概要:劣モジュラ関数を一般化した概念である劣加法的集合関数について,負荷分散最適化などの最適化問題を扱い,近似アルゴリズムを提案し,その近似性能を解析した。さらに,マルチロボットルーティング問題に適用し,計算機実験によって提案アルゴリズムの性能を検証した。


発表者名:永野清仁

題名:劣加法的集合関数の限界と応用可能性について

発表年月日(西暦):2018年8月31日

発表学会名:日本オペレーションズ・リサーチ学会60周年記念事業 本部SSOR2018

開催場所:水上温泉 源泉湯の宿 松乃井

概要:劣加法的集合関数に関する最適化問題の理論的な限界について議論し,劣モジュラ最適化の場合との理論的な扱い易さの違いを検証した。さらに補間手法を通じ,劣加法的集合関数の応用可能性について議論した。


[その他]

発表者名:永野清仁

題名:デマンドバス最適化とマルチエージェントシステム

発表年月日(西暦):2017年12月2日

シンポジウム名:社会情報学シンポジウム2017 「自動運転×社会情報学で議論する 群馬発 超スマート社会」

開催場所:群馬大学 荒牧キャンパス

概要:デマンドバス最適化の数学的な扱いや人工知能分野との関連について述べ,その数学的な難しさと,離散最適化に基づいたアプローチについて解説した。

西村淑子(行政法研究室)

[その他]

著者名:西村淑子

題名:建築制限付土地の収用と補償の価額

発行年月日:2017年11月

掲載誌名:別冊ジュリスト(行政判例百選Ⅱ)

巻号数:53巻5号

頁:512-513頁

概要:最高裁昭和48年10月18日判決(民集27巻9号1210頁)は,建築制限等の課せられた土地が収用の対象となった場合,損失補償額の算定にあたって基準とすべき価格について,建築制限等 が課せられたことにより低く評価か,それともそのような制限が課せられていなければ成立したであろう価格かが争われた事案であり,本判決は,土地収用法72条によって補償すべき「相当な価格」とは,被収用地が,建築制限等を受けていないとすれば,裁決時において有するであろうと認められる価格をいうと判示したものである。本稿では,土地収用法72条にいう「相当な価格」の意義について解説し,本判決,最高裁昭和28年12月23日判決(民集7巻13号1523頁)及び最高裁平成14年6月11日判決(民集56巻5号958頁)との関係について検討した。


著者名:西村淑子

題名: 委託処理基準刑事事件―木くずの産業廃棄物該当性

発行年月日:2018年9月

掲載誌名:別冊ジュリスト(環境判例百選)

巻号数:54巻4号

頁:80-81頁

概要:東京高裁平成20年4月24日判決・判タ1294号307頁①事件は,木くずが廃棄物処理法2条4項にいう「産業廃棄物」に該当するか否かが争われた事案である。本稿では,「廃棄物」の解釈について,廃棄物処理法,通知,学説および従来の判例を解説し,水戸地裁平成16年1月26日判決(未登載)と比較したうえで,本判決の特徴および意義を検討した。

藤井正希(憲法研究室)

[学術論文]

著者名:藤井正希

題名:表現の自由をめぐる憲法理論 ― パブリック・フォーラム論と敵意ある聴衆の理論を中心として

発行年月日(西暦):2017年10月1日

掲載誌名:清和研究論集

巻数:23

頁:25-49

概要:憲法21条の“表現の自由”は,人権体系上,優越的地位を占める人権とされ,特に重要な権利と位置づけられている。また,萎縮的効果を最も嫌うデリケートな人権であり,人権の中で一番傷つきやすい権利とも言われている。表現の自由の分野においても,様ざまな憲法理論が主張されているが,本稿では,表現の自由についての憲法理論の出発点,大前提となっている「表現の自由の優越的地位論」を押さえた上で,「パブリック・フォーラム論」と「敵意ある聴衆の理論」についての理論的根拠,理論的有用性,理論的弱点等を多角的に検討していく。この点,パブリック・フォーラム論と敵意ある聴衆の理論は,表現の自由を十全に保障するためにきわめて有益な理論であり,今後,さらなる理論的展開を図るべきであると考えている。この論稿が,そのための微かな一歩を記すことができたなら望外の幸福である。


著者名:藤井正希

題名:生存権の具体的な実現方法の憲法的考察 ― ベーシックインカムの実現可能性を中心にして

発行年月日(西暦):2018年3月1日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:25

頁:91-114

概要:筆者はこれまで生存権について3本の紀要論文を執筆してきたが,いずれも生存権の人権としての実効性を強化し,日本の貧困格差社会を是正する憲法解釈の確立を目的とするものであった。本稿では,それらの論文で主張した憲法解釈論を再確認し,体系的にまとめ上げるとともに,そのさらなる理論的強化を図っていく。また,生存権についての近時の判例も概観する。そして,それらを前提に,生存権を実現するための方法・手段として,ベーシックインカムの実現可能性を憲法的観点から考察していく。ベーシックインカムは,究極的かつ理想的な生存権の実現方法と考えうることから,その概念内容や法的性質等の基礎的事項の確認から始め,日本国憲法の下における意義や実現可能性を議論していく。


[その他(研究ノート)]

発表者名:藤井正希

題名:群馬の森追悼碑裁判の経緯と憲法的問題点

発行年月日(西暦):2018年3月1日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:25

頁:129-146

概要:本稿において考察の対象にするのは,2014(平成26)年11月13日,前橋地方裁判所に対して提起された群馬の森追悼碑設置期間更新不許可処分取消等請求事件(行政訴訟)である。この訴訟は,憲法的に多くの論点を含んでおり,まさに憲法的考察なしには解決しえない事例と言え,学問的にもきわめて注目に値する。本来,裁判の検証は判決の確定を待って行われるべきだが,本件の持つ意義を衆目に知らしめ,早期に積極的な研究を促すためにも,また,公正かつ妥当な判決の実現に寄与するためにも,現時点でその経緯と憲法的問題点を考察しておくことは非常に有意義であると考える。かかる観点からして,本稿では,公にされている文献・資料やマスメディアの報道,さらには訴訟関係者の証言などから,本裁判の経緯と憲法的問題点を明らかにしていく。


[その他(書評)]

発表者名:藤井正希

題名:法学館憲法研究所編『日本国憲法の核心』

発行年月日(西暦):2017年11月30日

掲載誌名:神奈川大学評論

巻数:88

頁:138

概要:施行70年を経た日本国憲法と日本の歴史を踏まえて,日本国憲法の骨格の中心となってきた理念や価値の核心と真意をいま一度,現実社会にどう実現すべきかを考えてみるための取り組みの一つとして,法学館憲法研究所所長で“憲法の伝道師”と名高い伊藤真弁護士をはじめ,総勢8名の憲法研究者によって分担執筆された『日本国憲法の核心』の書評。テーマは,国民主権,平和主義,地方自治,表現の自由,憲法改正,象徴天皇制,さらには軍事裁判所の問題点まで多岐に渡っている。それらのテーマについての筆者の主張を読み解いていく。


[社会的活動(委員会等)]

題名:高等理論研修講師

開催年:2018年

主催者:財務省


題名:税関研修所講師

開催年:2018年

主催者:財務省


題名:通関業法に基づく審査委員

開催年:2018年

主催者:東京税関


題名:情報公開・個人情報保護救済委員会委員

開催年:2017年

主催者:東京都北区


[社会的活動(公開講座)]

題名:市民のための憲法講座 ― 判例から憲法を学ぶ!

開催年:2017年

主催者:群馬大学

松井 猛(システム最適化論研究室)

[学会発表]

発表者名:Takeshi Matsui

題名:An Interactive Fuzzy Satisficing Method for Multiobjective Portfolio Optimization through Mean-Variance Model

発表年月日(西暦):2017年11月30日

発表学会名:International Conference on Mechanical, Electrical and Medical Intelligent System 2017

開催場所:桐生市市民会館

概要:本研究では,平均分散モデルによる多目的ポートフォリオ最適化のための対話型ファジィ満足化手法を提案した。意思決定者の人間としての判断の曖昧性を考慮し,目的関数に対してファジィ目標を持つと仮定し,意思決定者にとっての満足解を導き出すための対話型ファジィ満足化手法のアルゴリズムを構築した。


発表者名:Takeshi Matsui

題名:Interactive fuzzy multiobjective programming for operation planning

発表年月日(西暦):2018年8月18日

発表学会名:2018 International Symposium for Advanced Computing and Information Technology(ISACIT)

開催場所:台湾日月潭教師會館

概要:近年,地域冷暖房システムにおいて,プラントの運転計画の最適化に対する研究が行われ,有効性が示されてきている。このような観点から,実際の運転計画をより反映した非線形多目的計画問題としての運転計画問題の定式化を試みるとともに,粒子群最適化手法により意思決定者の満足解の導出を行った。(ISACIT2018 Award受賞)

松宮広和(情報法研究室)

[学術論文]

(1)

著者名:松宮広和

題名:実用新案権のライセンスにおける販売価格・販売先・販売数量比率の制限[公共下水道用鉄蓋カルテル事件]

単著

発行年月日(西暦): 2017年10月25日

掲載誌名:経済法判例・審決百選 第2版 [No. 234]

号数:別冊ジュリスト 234号

頁:185-186頁

概要:独禁法21条((旧)23条)は,「この法律の規定は,著作権法,特許法,実用新案法,意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」と規定する。かつては,独禁法21条が創設的適用除外を定めると解釈する説が有力であった。近年は,それが,確認的適用除外を定めると理解する説が有力である。
特に,知的財産権法と独禁法は,知的財産権と製品の公正かつ自由な競争秩序を確保する上で「特別法」と「一般法」という相互補完的な関係にあり,独禁法21条は,不当な模倣・ただ乗りとなる知的財産権の侵害を排除する正当な行為であるところの「権利の行使と認められる行為」については,独禁法の目的にも合致するため,同法は適用されないことを確認する規定であると解釈する所謂「趣旨逸脱説」は,独禁法21条の文言に忠実であること,及び,知的財産権の行使としての外観を有するが,しかし,正当化事由を有さない行為に対する独禁法の適用の余地を認め得ることから,最も影響力の大きな説となっており,公取委の実務も当該説に基づくと言われてきた。
公取委は,本審決時点の「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針」(平成11年7月30日)(以下「特許指針」)において,「独占禁止法第23(現21)条は,①特許法等による「権利の行使と認められる行為」には独占禁止法の規定が適用されず,独占禁止法違反行為を構成することはないこと,②他方,特許法等による「権利の行使」とみられるような行為であっても,それが発明を奨励すること等を目的とする技術保護制度の趣旨を逸脱し,又は同制度の目的に反すると認められる場合には,当該行為は「権利の行使と認められる行為」とは評価されず,独占禁止法が適用されることを確認する趣旨で設けられたものであると考えられる」と述べる(特許指針第2-2)。(その後,平成19年9月28日,公取委は,特許指針に置換する「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」(以下「知財指針」)を公表した。)
技術の利用に係る制限行為が,「事業者が……他の事業者と共同して……相互にその事業活動を拘束し,又は遂行する」(独禁法2条6項)ものである場合,当該行為に対する不当な取引制限の規定(独禁法3条)の適用が問題となる。特に,技術の利用に係る制限行為の当事者が競争関係にある場合,より具体的には,競争者間で行われるパテントプール,クロスライセンス,及び多数の競争者が同一の技術のライセンシーとなるマルティプルライセンス等における制限行為について,同法同条からの検討が必要となる(知財指針第3-2)。
本件は,公共下水道用鉄蓋の実用新案権のマルティプルライセンスにおける不当な取引制限の事例である。マルティプルライセンスとは,ある技術を複数の事業者にライセンスを行うことを意味する。現行の知財指針において,公取委は,「マルティプルライセンスにおいて,ライセンサー及び複数のライセンシーが共通の制限を受けるとの認識の下に,当該技術の利用の範囲,当該技術を用いて製造する製品の販売価格,販売数量,販売先等を制限する行為は,これら事業者の事業活動の相互拘束に当たり,当該製品の取引分野における競争を実質的に制限する場合には,不当な取引制限に該当する。」と述べて,その具体例として,本件を挙げている(知財指針第3-2-(2))。
本件で,被審人らは,本件販売数量比率の設定は,日之出水道機器株式会社が,実用新案権の正当な権利行使として他の被審人らに対し実施許諾したことに基づくものであると主張した。日之出水道機器株式会社が,その他の被審人らの各々に実用新案権の実施許諾するに際して,各々の実用新案製品である本件鉄蓋の販売数量比率に制限を加えたものであるという主張である。この主張が事実であるとすれば,当該行為は,不公正な取引方法に該当しないことになる可能性がある(知財指針第2-1,第4-3(2)イ)。しかし,本件審決で,この様な被審人らの主張は,証拠に基づくものではなく,証拠に依れば,当該行為は,日之出水道機器株式会社を含む被審人全員で協議して相互に本件鉄蓋の販売数量競争を完全に排除したものであり,不当な取引制限に該当し,独禁法3条に違反すると判断された。そして,公取委は,本件審決で,当該行為に加えて,被審人全員による本件鉄蓋に係る販売価格及び販売先の協議・決定をも含めて,全体として,不当な取引制限に該当する,と判断している。
本稿では,この所謂「公共下水道用鉄蓋カルテル事件」(平成3年(判)第2号審決集40巻3頁及び平成3年(判)第3号審決集40巻29頁)についての解説を行った。


[翻訳・編集等]

(1)

研究代表者名:松宮広和

報告書:

科研研究題目:「持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究」(国際共同研究加速基金(国際共同研究強化))(平成29年度)(JSPS科研費 15KK0109)実施状況報告書(研究実施状況報告書)

単独(研究は,共同研究)

報告年月日(西暦):2018年5月

研究支援者:独立行政法人日本学術振興会

研究期間:平成28(2016)年4月-

概要:上記の科研研究に,研究代表者として従事している。本研究は,基研究である「持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究」(基盤研究(C))(平成24年度-28年度)(JSPS科研費 JP24530056)を格段に発展させ,優れた研究成果をあげることを目的とする。当該基研究は,持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究を行うことをその目的とする。具体的には,過去約20年間 ICTの利活用で比類無い成功を収めてきた米国を参考に,(1) 通信インフラストラクチャーの更なる整備・更新,(2) アプリケーション層における競争環境の整備,(3) クラウド化及びスマート・グリッド,並びに(4) 公共サービスに関連するICTの利活用,の4つを中心的課題として,前記の目的に貢献し得る成果の獲得を目指す。本研究は,現在の我が国の最大の政策的課題(の1つ)である持続可能な経済成長の実現に,ICTが果たし得る役割についての有用な示唆を提供し得る点に,その意義を有する。
本研究は,当該基研究との関連で,特に,(1) 電磁波のスペクトル利用の更なる拡大のあり方,(2) 上位レイヤーにおける規制のあり方,並びに,(3) ICT領域の規制当局であるFCC及びその規制のあり方を中心に,在外研究によって,外国の研究機関に在籍する研究者と共同して研究を行うものである。
平成29(2017)年度は,当該研究題目に関連する研究に従事し,米国に渡米して,University of California, Berkeleyに「客員研究員」(='Visiting Scholar')として在籍して,在外研究を行ってきた。
本報告書は,これらの研究の実施状況について記載したものである。


[研究会発表]

(1)

報告者:松宮広和

題名:「所謂「第4次産業革命(IoT・ビッグデータ・人工知能(AI))」を促進するICT政策のあり方について」

単独

研究会名:Berkeley Japanese Academic Network (BJAN) 第39回発表会&交流会において,報告担当者として報告。

報告年月日:2018年3月16日

開催場所:University of California, Berkeley

概要:本報告は,メンバーの1人として参加した,Berkeley Japanese Academic Network (BJAN) 第39回発表会&交流会において,報告担当者として報告を担当したものである。
今日,所謂「第4次産業革命」が,進行中であると主張される。所謂「第4次産業革命」に対しては,「(第4次産業革命と有望成長市場の創出)今後の生産性革命を主導する最大の鍵は,IoT (Internet of Things),ビッグデータ,人工知能,ロボット・センサーの技術的ブレークスルーを活用する「第4次産業革命」である。」(首相官邸「日本再興戦略-第4次産業革命に向けて-」(平成28年6月2日) 2頁)等として,大きな期待が寄せられている。そして,米国における「インダストリアル・インターネット」(='industrial Internet')及びドイツにおける「インダストリー4.0」(='Industrie 4.0' (独)/ 'Industry 4.0' (英))に代表される,その発展を促進する政策が,各国で策定されてきた。
「物のインターネット」(='Internet of Things'/IoT),「ビッグ・データ」(='big data'),及び「人工知能」(='Artificial Intelligence'/AI)等の技術に依存する,所謂「第4次産業革命」の実現を意図するこの様な政策は,インターネットを経由して,エンド・ユーザーが,自由に情報及び知識等の送受信が可能であること,すなわち,その上に所謂「門番」(='gatekeeper(s)')が存在しない場合に初めて可能となる。しかし,現在,過去約25年のインターネットの発展の前提となってきた,その「開放性」(='openness')が,危ぶまれる状況が,発生してきた。
2015年3月12日,民主党のObama政権下のFCCは,「インターネットの開放性」の実現を目的として,所謂「2015年のオープン・インターネット命令」(='FCC Open Internet Order 2015')を,採択した。しかし,2017年12月14日,共和党のTrump政権下のFCCは,所謂「2017年の開放されたインターネット維持命令」(='FCC Open Internet Preservation Order 2017')を,採択して,「2015年のオープン・インターネット命令」が,導入した諸規則を,事実上全て廃止し,更に,従前の中立性政策の完全な(若しくはそれ以上の)巻き戻しを行うことを決定した。
当該報告は,近時のFCCによる当該政策を中心に,近時の米国を中心に,「インターネットの開放性」を巡る現状及びその政策的課題について議論を行うものである。
当該報告の後,研究者,政策担当者及び実務研究者等と,当該問題に対する質疑応答等を行った。当該会合の詳細については,BJANのWWWサイト(visited Aug. 31, 2018)を参照のこと。


(2)

報告者:松宮広和

題名:「所謂「データ駆動型社会」の発展等を促進する産業政策のあり方について-その現状及び法的課題を中心に-」

単独

研究会名: Bay Area Social Science Seminar (BASSS) (April 26, 2018)において,報告担当者として報告。

報告年月日:2018年4月26日

開催場所:University of California, Berkeley

概要:本報告は,メンバーの1人として参加した,UC Berkeley,UC Davis,及びStanford Universityの3大学に所属する研究者及び学生等をメンバーとする研究会であるBay Area Social Science Seminar (BASSS) (April 26, 2018)において,報告担当者として報告を担当したものである。
1990年代半ば以降のインターネットの普及は,「知識社会」(='knowledge society')への移行を一気に実現し,我々の社会の,政治,経済,文化等に多大な影響をもたらしてきた。この「リアルからヴァーチャルへ」の動きが発展する一方で,2000年代半ば以降,自動運転車の実証試験に代表される「ヴァーチャルからリアルへ」の動きが,顕在化してきた。同時に,米英仏に代表される先進国を中心に「製造業の復権」が叫ばれる様になった。この2-3年,これら一連の動きは,より広く所謂「データ駆動型社会」の到来等として説明され,各国でその発展を促進する産業政策が模索されてきた。本報告では,まず,日本を中心に,それらの産業政策の現状を把握した。特にそれを実現する中心的技術である「物のインターネット」(='Internet of Things'/IoT),「人工知能」(='Artificial Intelligence'/AI),及び「ロボティクス」(='robotics')等にどの様な期待が寄せられているか,そして,それらを活用する如何なる政策が模索されているかを把握した。そして,当該社会の実現にともなって発生する課題,特にICTに関連する法的課題に対して,経済法・産業法的視点から考察を行った。
そして,当該報告の後,米国在住の研究者及び実務家等を含む参加者と,当該問題に対する質疑応答等を行った。


[研究活動 その他]

(1)

研究代表者名:松宮広和

科研研究題目:「持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究」(国際共同研究加速基金(国際共同研究強化))(平成28年度-30年度)(JSPS科研費 15KK0109)

共同

研究支援者:独立行政法人日本学術振興会

研究期間:平成28(2016)年4月-

概要:上記の科研研究に,研究代表者として従事している。本研究は,基研究である「持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究」(基盤研究(C))(平成24年度-28年度)(JSPS科研費 JP24530056)を格段に発展させ,優れた研究成果をあげることを目的とする。当該基研究は,持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究を行うことをその目的とする。具体的には,過去約20年間 ICTの利活用で比類無い成功を収めてきた米国を参考に,(1) 通信インフラストラクチャーの更なる整備・更新,(2) アプリケーション層における競争環境の整備,(3) クラウド化及びスマート・グリッド,並びに(4) 公共サービスに関連するICTの利活用,の4つを中心的課題として,前記の目的に貢献し得る成果の獲得を目指す。本研究は,現在の我が国の最大の政策的課題(の1つ)である持続可能な経済成長の実現に,ICTが果たし得る役割についての有用な示唆を提供し得る点に,その意義を有する。
本研究は,当該基研究との関連で,特に,(1) 電磁波のスペクトル利用の更なる拡大のあり方,(2) 上位レイヤーにおける規制のあり方,並びに,(3) ICT領域の規制当局であるFCC及びその規制のあり方,を中心に,在外研究によって,外国の研究機関に在籍する研究者と共同して研究を行うものである。
平成29(2017)年度は,当該研究題目に関連する研究に従事し,米国に渡米して,University of California, Berkeleyに「客員研究員」(='Visiting Scholar')として在籍して,在外研究を行ってきた。

森谷 健(地域社会学研究室)

[その他(講演)]

講演者:森谷 健

題名:学び・ボランティア・NPO

開催年月日:2018年4月23日

講演会名:前橋市中央公民館高齢者教室「明寿大学」

開催場所:前橋市中央公民館ホール

概要:前半の1時間は生涯学習における学習過程と学習成果の社会的還元について講演した。後半の1時間は,学習成果の社会的還元の形としてボランティア活動やNPOでの活動を示し,県内の事例を紹介した。