研究活動の要旨(2014年度)
情報行動学科
伊藤賢一(理論社会学研究室)
[著書]
著者名:豊泉周治,鈴木宗徳,伊藤賢一,出口剛司
書名:〈私〉をひらく社会学 ― 若者のための社会学入門(シリーズ 大学生の学びをつくる)
発行年月日:2014年4月21日
発行所:大月書店
頁:227
概要:大学生向けの社会学の入門書。現代社会の姿を社会学の理論をつかって読み解くとどのように見えるか,分かりやすく解説したもの。担当箇所は5章「ほしいものは何ですか? ― 社会のなかでつくられる欲望と消費」(77〜94頁),9章「やりたいことがわからない ― 自由化/個人化の帰結」(146〜164頁),11章「公共空間をつくりだす ― 公共圏とコミュニケーション」(185〜202頁)。
[学会発表]
発表者名:伊藤賢一
題名:近代社会と加速化 ― H. Rosaの社会学理論
開催年月日:2014年6月28日
発表学会名:第54回日本社会学史学会大会
開催場所:尚絅学院大学
概要:近年注目されているドイツの社会学者Hartmut Rosaの社会学理論,とくに社会的加速化の理論について報告したもの。この中で,Rosaよって社会的加速化として捉えられる現象を確定し,とめどもなく進行するとされる加速化の「メカニズム」を読み解き,結果的に理論の名宛人である現代社会に生きるわれわれにもたらされる帰結を確認した。
発表者名:伊藤賢一
題名:What the Ubiquitous Network Society Brings in Japan: Influences of the Mobile Internet Devices on Teenagers.
開催年月日:2014年7月17日
発表学会名:XVIII ISA World Congress 2014 in Yokohama
開催場所:パシフィコ横浜
概要:In this paper we want to describe current trends of the Internet use among Japanese schoolchildren based on several surveys we exercised in 2010 – 2013 in Gunma prefecture. The results show that many teenagers use their mobile Internet devices in a quite unguarded manner.
We are convinced that, basically, teenagers are exposed to three types of different risks. The first risk is caused by the fact that they are connected directly with the outer world, where evil adults (or non-adults) are waiting for their victims. This risk contains cyber-crimes such as enticement, deception or false billing. Another risk comes from the situation in which the teenagers are connected online with themselves. Cyber-bullying, or cyber-troubles are getting serious because they happen where neither teachers nor their parents can observe. The last risk comes from the recent convenient condition of the ubiquitous network. Schoolchildren are exposed to the risk of addiction to the Internet activities, such as online games, blogs, SNSs, live-chatting or online-shopping.
[その他(シンポジウム記録)]
著者名:正村俊之,伊藤守,米山優,遠藤薫,伊藤賢一,田中秀幸
題名:Socio-Informatics and the World: Toward New Sharing and Creation(2012 the Society of Socio- Informatics, SSI, Annual Conference, Keynote Symposium, Theoretical Session)
発行年月日:2013年9月30日
掲載誌名:Journal of Socio-Informatics
巻数:Vol.6 No.1
頁:1〜27頁
概要:2012年社会情報学会(SSI)学会大会での基調シンポジウムの記録を英訳したもの。英文誌Journal of Socio-Informatics 6(1) に収録された。
[その他(講演)]
講師名:伊藤賢一
題名:(第一部)インターネットを正しく使おう (第二部)子どものネット利用の現状と課題 〜大人が知るべきこと,子どもに伝えるべきことは何か〜
開催年月日:2013年10月15日
場所:足利市立小俣小学校
概要:足利市立小俣小学校の依頼により,生徒(5・6年生)対象の講演と,その後で保護者(PTA)対象の講演会を行った。いずれも前半は子どもが陥り易いトラブルについて解説し,後半はネット依存・ゲーム依存について注意を喚起する内容にした。
講師名:伊藤賢一
題名:現代の情報環境とネット依存/ゲーム依存のリスク
開催年月日:2013年11月21日
場所:前橋市総合福祉会館
概要:前橋市教育委員会の生徒指導主任会議での講演を依頼されたもの。聴衆は前橋市内の小中学校の生徒指導担当者約90名。前半は近年の情報環境の変化とフィルタリングについて,後半はゲーム依存などのインターネット嗜癖の問題やその対策について解説した。
講師名:伊藤賢一
題名:ネット時代の子どもの心を育てる〜子どもの人権とゲーム依存・ネット被害〜
開催年月日:2014年1月24日
場所:老神温泉 吟松亭「あわしま」
概要:沼田市教育委員会からの依頼で,平成25年度人権教育指導者養成講座・沼田市家庭教育研修会で講演したもの。聴衆は沼田市内の学校関係者・PTA役員約70名。前半は近年の情報環境の変化について解説し,後半はゲーム依存などのインターネット嗜癖の問題とその対策について解説した。
講師名:伊藤賢一
題名:子どものケータイ利用環境の現状と家庭・地域の役割
開催年月日:2014年2月27日
場所:桐生市立青年の家
概要:桐生市教育委員会・桐生市青少年ネット見守り活動委員会からの依頼で,平成25年度桐生市青少年ネット見守り活動委員会の第二回研修会で講演したもの。聴衆は桐生市内の学校関係者・PTA役員約60名。前半は内閣府の調査結果から読み解いた近年の青少年の動向とフィルタリングについて解説し,後半はインターネット嗜癖の問題とその対策について解説した。
[その他(パネルディスカッションのコーディネーター)]
コーディネーター:伊藤賢一
題名:ネットいじめの現状を考える
開催年月日:2014年2月2日
場所:群馬県庁ビジターセンター
概要:第5回子どものケータイ利用を考える全国市民ネットワーク全国会議群馬大会でのパネルディスカッションでコーディネーター(司会)を務めた。パネリストは,飯野眞幸氏(高崎市教育委員会教育長),竹内和雄氏(兵庫県立大学准教授),匹田篤氏(広島大学大学院准教授),竹村順吾氏(株式会社ウォンツ)。
[その他(審査員)]
審査員名:伊藤賢一
題名:第5回小中学生新聞感想文コンクール
主催:上毛新聞社
日時:2013年10月21日, 11月23日
場所:上毛新聞社本社
概要:県内の小中学生を対象とした新聞感想文コンクールの審査員を務めた。
井門 亮(言語コミュニケーション研究室)
[学術論文]
著者名:岡田聡宏・井門 亮
題名:省略語・イディオム解釈とアドホック概念
発行年月日(西暦):2014年3月31日
掲載誌名:言語・文化・社会
巻数:12
頁:1-29
概要:本論文では,関連性理論に基づいて,認知的な観点から発話解釈の仕組みについて考察した。特に,アドホック概念構築という語解釈のための推論プロセスに焦点を当て,省略語やイディオムの解釈において,そのプロセスがどのようにかかわっているのか分析した。さらに井門(2012)で指摘した検討課題について検討を行った。(担当:pp.1-3, 21-26)
[翻訳]
著者名:Nicholas Allott
訳者名:今井邦彦(監訳)岡田聡宏・井門 亮・松崎由貴・古牧久典(訳)
書名:語用論キーターム事典
発行年月日(西暦):2014年5月12日
発行所名:開拓社
頁:403
概要:本書は,語用論を中心に,意味論や認知言語学などの関連諸分野まで網羅した用語集の翻訳である。(担当:Introduction: pp. 4-7, Key Terms: 100/236項目, Key Thinkers: pp. 315-321, 328-348)
岩井 淳(意思決定支援研究室)
[学術論文]
著者名:岩井 淳
題名:政策決定のための幸福指標は実現するか〜社会的選択理論の情報学的展開
発行年月日(西暦):2014年2月28日
掲載誌名:『シナジー社会論』(東京大学出版会), 2014.
頁:73-85
概要:社会的選択を社会の情報処理過程の一つととらえ,その情報処理量を測定する手法を検討した。具体的には,社会的選択過程で失われる人々の匿名性水準として測定する手法を提案し,特にAmartya Senの理論の有効性検討を念頭に議論を行った。(2012年度の研究原稿に加筆した内容)。
[学会発表]
発表者名:永井しおり,岩井 淳
題名:人口の年齢別構成に着目した類似自治体抽出システム
開催年月日:2014年3月2日
発表学会名:第8回若手研究交流会(日本計画行政学会関東支部・社会情報学会共催)
開催場所:学習院大学
概要:人口の年齢別構成の類似する自治体を自動抽出するシステムを構築し,ある程度直感に訴える結果を得た。また,自治体間の参照行動に関する先行研究の論点について,同システムを用いた妥当性検討を行い,概ね肯定的な結果を得た。(優秀賞を受賞。)
発表者名:橋本 和樹,岩井 淳
題名:組み合わせ型匿名性尺度における得票数秘匿の効果 ─エントロピー型尺度における効果との比較─
開催年月日:2014年3月8日
発表学会名:第57回数理社会学会大会
開催場所:山形大学
概要: 投票の匿名性水準の主な尺度として,自己情報量の総和に着目する組み合わせ型尺度の提案と,相互情報量としての分析に着目するエントロピー型尺度の提案がある。当選者のみを公開し得票数を秘匿する効果について,後者には投票者総数の増減という視点を含めた分析があるが,前者にはまだない。本報告では,前者における同様の分析を行い,結果の比較検討をした。
発表者名:岩井 淳
題名:社会的選択理論の情報学的展開の射程
開催年月日:2014年3月9日
発表学会名:社会情報学会関西支部第1回研究会
開催場所:同志社大学
概要:社会情報学の新たな研究領域として「社会的選択理論の情報学的展開」に焦点を当て,現段階におけるその研究アプローチの射程を整理する。ここで「情報学」は,議論の出発点としてあえて狭い意味で用いており,C. Shannonの情報理論(Shannon, 1948)を第一義としている。社会的選択理論は,厚生経済学,法哲学,社会学等多くの領域に影響を与え続けてきた重要な理論であるが,K. Arrowの民主制の不可能性定理のように,従来は可能と不可能をめぐる定性的な議論が主であった。これに対して社会情報学では,近年の一つの成果として,投票を社会的な情報処理過程と捉え,その情報処理量を計量的に測定する手法が提案されている。ここでは,その研究アプローチの潜在的可能性に関する初期的議論を踏まえ,現段階で見込まれる研究上の射程を整理した。
発表者名:富山慶典,岩井 淳
題名:「社会的選択理論の情報学的展開」と社会情報学の基本問題
発表年月日(西暦):2014年9月21日
発表学会名:2014年社会情報学会(SSI)学会大会
開催場所:京都大学
概要:社会的選択理論の情報学的展開は,集合的意思決定研究の文脈では多様な解釈に結びつく表現である。当初の着想は,投票を社会的な情報処理過程と捉え,その情報処理量を計量することにあるが,これ以外の展開可能性もあると思われる。本稿では,集合的意思決定理論の研究における社会的選択理論の位置づけを整理した。この過程で社会情報学の重要性も併せて示し,その上で特に討議民主主義の文脈における情報学的展開の可能性を指摘した。
発表者名:猪原健弘,岩井 淳
題名:「社会的選択理論の情報学的展開」の数理論的検討
発表年月日(西暦):2014年9月21日
発表学会名:2014年社会情報学会(SSI)学会大会
開催場所:京都大学
概要:社会的選択理論では,通常は可能と不可能を問う定性的議論が行われる。少人数より多人数の方が,あるいは無記名投票より記名投票の方が多くの情報処理を伴うと思われるが,この種の定量的議論はまれである。これに対し,近年の社会情報学研究では,投票等の社会的選択過程の情報処理量をShannonの情報理論に基づき計量する手法を提案している。本稿では,この「社会的選択理論の情報学的展開」の手法で前提している基本式の数理論的検討を行った。また,計算システムのプロトタイプ設計を報告した。
小竹裕人(公共政策研究室)
[学術論文]
著者名:小竹裕人
題名:市民ニーズと政策の差違に関するシミュレーション:ブレトンのフルライン・サプライの観点から
発行年月日:2014年2月
掲載誌名:社会情報学部研究論集
巻数:第21巻
頁:1-11.
概要:Bretonの”The Economic Theory of Representative Government"が指摘したポリシーパッケージを原因とする市民ニーズと政策のずれの大きさについてシミュレーションを行った。シミュレーションは1000回試行し10000人の市民と二人の立候補者を想定して行った。その結果,市民の「不満足度」は0.5を超えることが確認され,不満足度は立候補者が提示する政策の大きさと選択肢数に影響を受けることが分かった。
著者名:小竹裕人
題名:高等教育市場の計量経済学的分析 : 全入時代を迎えた市場の動向
発行年月日:2014年3月
掲載誌名:法政大学経済志林
巻数:81(2)
頁:127-154
概要:文部科学省は長年補助金によって高等教育機関をコントロールしてきたが,近年少しずつ状況が変化しつつある。大学は少子化の強い影響を受けているが,制度的に入学定員数をすぐに変化させることはできない。高等教育機関に関する11本の方程式と29の内生変数を持つモデルを構築し,2013年から2029年までの将来予測と政策選択シミュレーションを行った。政策選択で次の三つのケースを比較検討した。(1)20億円の私大経常費補助を行うケース,(2)各学生が5万円の奨学金を得るケース,(3)(1)と(2)の双方のケース。三つめのケースのみが私大の経営を安定化させる施策となったが,その実行可能性については財政的に疑問点が残る結果となった。
[社会的活動(委員会等)]
○協働と政策提案に関わるもの
・題名:協働プラットフォーム意見交換会
開催年:2014年
主催者:群馬県NPOボランティア男女共同参画推進課
・題名:多々良沼・城沼自然再生協議会
開催年:2014年1月26日
主催者:群馬県館林土木事務所
○政策評価に関わるもの
・題名:指定管理者評価委員会会長(県営群馬ヘリポート)
開催年:2014年7月23日
主催者:群馬県県土整備部交通政策課
・題名:指定管理者評価委員(県営スキー場・キャンプ場)
開催年:2014年1月27日
主催者:群馬県産業経済部観光局観光物産課
・題名:外部評価委員会委員
開催年:2013年9月17日
主催者:安中市企画課
・題名:行政改革審議会委員
開催年:2012年2月8日
主催者:安中市企画課
○その他
・題名:公益認定等審議会委員
開催年:月1回
主催者:群馬県総務部学事法制課
・題名:放送番組審議会会長
開催年:月1回
主催者:群馬テレビ
[社会的活動(ワークショップ)]
題名:赤城山振興にかかわるワークショップ
開催年:2010年から現在
主催者:前橋市観光課・AKAGIやる気塾
概要:富士見村が前橋市と合併した際,前橋市は新たな観光資源赤城山を市内に持つこととなった。赤城山山頂付近の振興を図るため前橋市と一緒になってワークショップを行い,コーディネーターとして市民ニーズの吸い上げおよび取りまとめを行った。
末松美知子(舞台表象論研究室)
[学会発表]
発表者名:末松美知子
題名:シェイクスピアの「異性配役」を再考する
発表年月日(西暦):2013年10月6日
発表学会名:第52回日本シェイクスピア学会
開催場所:鹿児島大学
概要:現代イギリスのシェイクスピア上演における「異性配役」について報告した。1990年代以降の成人俳優による「異性配役」上演を4種に区分し,その内のオール・メイル・キャスト上演に限定して考察した。対象としたのは,ロンドンの新グローブ座(Shakespeare’s Globe)による『十二夜』公演である。この作品は,2002年の初演以来再演が重ねられ配役も変更されているが,発表では,Mark Rylanceのオリヴィア,Paul Chahidi のマライア,Eddie Redmayneのヴァイオラを取り上げ,それぞれの造形について分析した。また,これら異種の「異性配役」の共存が登場人物のジェンダーの不確かさを増幅し,『十二夜』におけるアイデンティティの混迷状況をより鮮やかに浮かび上がらせていることを指摘した。
発表者名:Michiko Suematsu
題名:Verbal and Visual Representation in Modern Japanese Shakespeare Performance
発表年月日(西暦):2013年11月1日
発表学会名:The International Shakespeare Conference at Seoul 2013
開催場所:ソウル大学
概要:In spite of the growing interest in Asian Shakespeare performance, intercultural strategy of Asian Shakespeare has still largely been discussed from a scenographic perspective due to the powerful visual representation that easily goes beyond cultural boundaries. For instance, in the case of Japanese Shakespeare, the productions’ use of authentic Japanese theatre discipline such as kabuki and kyogen, which shows visually distinctive “otherness”, generally draws attention. This paper aims to correct the imbalance and over-emphasis on visual representation in critical assessment of Asian Shakespeare performance by discussing characteristic use of dramatic texts in modern Japanese Shakespeare productions by theatre companies such as Ryutopia, Ku Na’uka, and Shakespeare for Children Company. Apart from an obvious fact that the text is translated into Japanese, some productions have a uniquely bold mode of engagement with the text, for example, in the way they split, shift and move lines.
発表者名:Michiko Suematsu
題名:“From Bourn to Bourn”: Journeys of Ninagawa Shakespeare
発表年月日(西暦):2014年5月17日
発表学会名:The Inaugural Conference of the Asian Shakespeare Association
開催場所:国立台湾大学
概要: Since his first international debut with NINAGAWA Macbeth in 1985, Yukio Ninagawa has toured overseas regularly with Shakespeare productions. These productions are invariably renowned for the definitive Ninagawa style, which is marked by bold localisation, visual splendours, excessive lyricism and downright eclecticism. However, not all of them are similar in their appropriation and exploitation of the aesthetics of Japanese theatre conventions. In exporting his Shakespeare, Ninagawa varied his strategies to exploit Japanese styles as “foreign” because some of them were intended for international tours from the beginning while others were not, and the latter underwent subtle transformations during their journeys to the West. By discussing these two types of touring productions and juxtaposing them with the third group of his Shakespeare productions that have only been staged domestically, this paper clarifies impact of “journeys” abroad on Ninagawa Shakespeare, and assesses his intercultural strategy to accommodate international audience’s appreciation of the exotic.
高山利弘(日本文化研究室)
[その他]
平成25年度千葉大学公開市民講座・講演
講座名「仏像半島――「歴史」のなかの仏たち」
発表年月日:2013年12月21日
開催場所:千葉大学
講演題目:「妙見菩薩をめぐって――房総にわたってきた仏」
概要:千葉一族に信仰され,今なお千葉県内で信仰の対象になっている妙見菩薩には,群馬県の妙見寺(群馬県高崎市)から渡ってきたという伝承がある。千葉氏の祖・平良文によって盗み出されたとか,古代の上野国を治めていた羊氏にかかわるとされる「羊妙見」など,さまざまな伝承から,千葉と群馬のかかわりが浮かび上がる。群馬における伝承や妙見寺の紹介を交えつつ,古代東国における妙見信仰の一端に触れた。
細野文雄(情報科学研究室)
[研究会発表]
発表者名:柿本敏克,細野文雄
題名:仮想世界ゲーム電子版のパッケージ化とデータベース構築
発表年月日(西暦):2014年2月22日
発表研究会名:S研(社会心理学研究会)
開催場所:筑波大学東京キャンパス 文京校舎
概要:環境問題と集団間関係における多主体間の合意形成における様々な問題を明らかにし,その解決を図るための研究パラダイムの一つとして,仮想世界ゲームがある。発表者らはこれまで,この仮想世界ゲームをコンピュータネットワーク上で実現する電子版システムを開発してきた。システム面での開発はほぼ完了したため,次のステップとして,この電子版システムのパッケージ化を通した利用促進と,ゲーム・データの蓄積・相互利用のためのデータベース構築を構想している。今回は仮想世界ゲーム電子版を使ったこれまでのささやかな研究成果を紹介しつつ,研究者間のデータ相互利用を図るこの構想について報告した。
情報社会科学科
新井康平(会計情報分析研究室)
[学術論文等]
著者名:Rei Goto, Kohei Arai, Hirotsugu Kitada, Kazuei Ogoshi, Chisato Hamashima
題名:Labor Resource Use for Endoscopic Gastric Cancer Screening in Japanese Primary Care Settings: A Work Sampling Study
発行年月日(西暦):2014年2月1日
掲載誌名:PLOS ONE
巻数:9巻2号 (e88113)
頁:1-6
概要:小規模な診療所で胃がん検診に胃内視鏡を利用した場合,どれほどのコストを負担しなければならないのかを調査した。新潟市の複数の診療所を対象としたフィールド調査を実施し,経鼻内視鏡の利用などが検診時間を増加させる要因であることを突き止めた。
著者名:新井康平,服部泰宏
題名:経営学に関する宣言的知識
発行年月日(西暦):2014年2月28日
掲載誌名:日本情報経営学会誌
巻数:34巻2号
頁:40-50
概要:経営学の宣言的知識が,一般的にどれだけ普及しているのか,またどのような属性が普及に関連しているのかを経験的に明らかにした。
著者名:新井康平,大浦啓輔,加登豊
題名:顧客収益性の統計的分析:管理会計研究へのマルチレベル分析の適用可能性
発行年月日(西暦):2014年3月31日
掲載誌名:原価計算研究
巻数:38巻2号
頁:78-88
概要:活動基準原価計算などを用いた場合に獲得可能となる顧客収益性情報の統計的な分析方法を提案した論文。シミュレーションデータを用いて,特にサンプルサイズが結果に与える影響を示し,一般的な状況下で企業が分析を進める上での注意点を示した。
著者名:福嶋誠宣,新井康平,松尾貴巳
題名:自由裁量費のコスト・ビヘイビアがCVP分析に与える影響:回帰分析による固定費推定の問題
発行年月日(西暦):2014年9月1日
掲載誌名:会計プログレス
巻数:15号
頁:26-37
概要:費用と売上高の関係を線形で推定するいわゆる固変分解において,回帰分析による推定が抱える問題を明らかにした。特に,自由裁量費を含めた分析が固定費の過少推定に影響していることを実証した。
石川真一(環境科学第二研究室)
[学術論文等]
1.
著者名:石川真一
題名:A new habitat of an endangered (IA in Gunma Prefecture) aquatic plant species, Hydrocharis dubia,in the Prefecture.
発行年月日(西暦):2013年5月31日(実際は2014年8月だが,発行遅れで過去の日付となっている)
掲載誌名:Field Biologist
巻数:21(1・2合併号)
頁:26-28
概要:群馬県絶滅危惧IAの水生植物トチカガミ(Hydrocharis dubia)の県内新産地の記録である。
2.
著者名:石川真一
題名:An aquatic alien plant species, Limnobium laevigatum, the first description in Gunma Prefectur
発行年月日(西暦):2013年5月31日(実際は2014年8月だが,発行遅れで過去の日付となっている)
掲載誌名:Field Biologist
巻数:21(1・2合併号)
頁:29-30
概要:外来水草アマゾントチカガミの群馬県内での野生化初記録である。本種は群馬県立自然史博物館の収蔵標本リストに無く,群馬県内での採取は初記録となった(標本収蔵番号GMNHJ-BS-14076)。
3.
著者名:石川真一
題名:海岸砂丘植生の保全推進にむけた 3 つのコメント
発行年月日(西暦):2014年9月
掲載誌名:景観生態学
巻数:19(1)
頁:51-56
概要:海岸砂丘植生・植物は,すでに1980年代から全国的に衰退が著しい。その保全のためには,以下の3点に留意する必要がある.第一に,海岸砂丘植物の研究は100年以上の歴史のある領域であり,また環境省の分類では「自然草原」に入り,植生自然度10という最も自然度の高い植生であるなど,学術上。保全上貴重な自然植生帯である。第二に,日本の海岸砂丘は様々な開発行為により,そのほとんどがすでに失われ,今後地球温暖化により海面が1m上昇すると,日本の砂浜面積の90%が消失すると予測されている。しかし海岸砂丘植物はレッドリストにほとんど掲載されておらず,社会的/学術的認知度が非常に低い。東日本大震災による地盤沈下・大津波が沿岸域の自然植生に及ぼしている影響をモニタリング調査し,レッドリストにおける海岸砂丘植物のランク評価をやり直す必要がある。第三に,海岸植物図鑑の復活など,研究成果・教育普及活動を推進し社会的理解を深める必要がある。また海岸法の改正で「海岸環境の整備と保全」が必須となり,その計画は各自治体が策定することとなったので,工学系・実学系の研究者および国土交通省と関連機関・自治体と生態学分野の共同研究・共同事業を実施していくことが,海岸砂丘植生・植物の保全に不可欠である。
[学会発表]
1.
発表者名:石川真一,高橋美絵,青木良輔,松田紗依,荒川唯,都丸希美,塚越みのり,浦野茜詩,春原悠樹
題名:群馬県内のフジバカマの保全について
発表年月日(西暦):2013年10月26日
発表学会名:群馬野外生物学会2013年度大会
開催場所:群馬大学
概要:フジバカマは古来より「秋の七草」の一つとして,日本人に親しまれてきた多年草であるが,生育地である河川土手の破壊とコンクリート化により,近年では国・準絶滅危惧種,群馬県・絶滅危惧II類に指定されるまでに減少している。本研究では,本種の保護増殖のため,発芽特性・生長特性の解明を行った。群馬県内で採取した種子を用いた発芽実験により,1ヶ月間以上4℃で冷湿処理すると発芽が促進される可能性があること,発芽の最適温度は10/6℃〜25/13℃(昼╱夜)と幅広く45%程度発芽すること,小さな個体群で生産された種子は発芽率が低いこと,が明らかになった。挿し穂実験では,60%以上が活着したが,根元に近い部分の方が活着率は高かった。実生および栽培2年目の株を相対光量子密度3%,9%,13%,100%の被陰区で栽培したところ,いずれも13%以下の区では相対生長速度が著しく低下した。フジバカマの自生地は土手の上部で日当たりが非常に良く,重量土壌含水率は24%〜34%程度とさほど高くなく,土壌水中の三態合計窒素濃度は47〜72 mg L-1と比較的高かった。フジバカマの保護増殖のためには,実生を育てて遺伝的多様性を高める必要があり,また常に日当たりが良く,土壌窒素濃度の高い環境を維持することが不可欠であるといえる。
[その他]
報告書
1.
著者名:石川真一,大森威宏,増田和明,安類智仁,小暮市郎,須藤志成幸,谷畑藤男,小林栄一,小池正之
題名:西榛名地域生物多様性モニタリング調査II
発行年月日(西暦):2013年12月
掲載誌名:群馬県自然環境課「良好な自然環境を有する地域学術調査報告書」
巻数:XXXVIX
頁:235-255
概要:2012年度に行われた群馬県自然環境調査研究会による学術調査の報告書。群馬県西榛名地域において2005-2007年度調査で生育が確認された30種の絶滅危惧・希少植物種の生育・分布状況をモニタリングした。このうち6種について新たな生育地が確認された。さらに,同地域の貴重在来種の受粉を行う昆虫相の一部と,飛来する鳥類相を明らかにした。今後,群馬県の自然環境保護政策の策定・実施の基礎資料となる。筆頭著者として調査・解析・執筆を担当した。
社会的活動
1.
開催者名:石川真一
題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習
開催年月日:2014年4月〜10月各月各1回開催
開催場所:群馬県明和町,群馬県藤岡市
概要:(株)アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町)および(株)チノー藤岡事業所内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い,これに基づいて講習を行った。(株)アドバンテストビオトープ基金および(株)チノービオトープ基金により助成を受けた。
2.
開催者名:石川真一(群馬県自然環境調査研究会)
題名:群馬県生物多様性モニタリング調査試行
開催年月日:2014年4月〜9月(月2回程度)
開催場所:群馬県東吾妻町ほか
概要:群馬県の委託事業である。群馬県野生生物保全条例(仮)の制定と生物多様性モニタリング調査の実施に必要な情報を得るため,ホットスポット内での絶滅危惧植物の分布・個体数・生育立地調査,種子採集を担当した。
大野富彦(経営学研究室)
[著書]
著者名:丹沢安治,大野富彦ほか
書名:日中オフショアビジネスの展開(共著)
発行年月日(西暦):2014年1月30日
発行所名:同友館
頁:310
担当章:第12章 ソフトウェア開発におけるコミュニケーション問題と場のマネジメント,277-292頁
概要:本稿は,人の認識に起因する問題を「コミュニケーション問題」として,それを日常の理論の観点から議論していく。コミュニケーション問題とは,ソフトウェア開発の委託者と受託者,受託側の技術者間などで生ずる日常の理論が影響する問題であり,オフショア開発やニアショア開発が行われる今日,その複雑性が高まっているといえる。この問題によって,開発メンバーが,たがいのことを認識し理解するのに困難をきたしてしまい,取引費用が増加してしまう。本稿は,相手の日常の理論を理解することがコミュニケーション問題克服の第一歩であるとの立場に立ち,さまざまな人の関与するソフトウェア開発を,場とそのマネジメントという視点から分析する。今日のフラット化する世界は,個人個人は異なる(日常の理論が異なる)といった多様性が前面に出てくる,いわばパラドキシカルな世界である。そうしたパラドキシカルな世界で多様性を前提にしつつ,どのように場を機能させるかが,今日のソフトウェア開発には求められている,とういうことを最後に指摘する。
[学術論文等:研究ノート]
著者名:大野富彦
題名:旅館業の市場情報活用と価値創造のマネジメント-伊香保温泉旅館天坊における「場」に着目した考察-(査読有)
発行年月日(西暦):2014年3月30日
掲載誌名:地域デザイン
巻数:3
頁:127-148
概要:本稿は,伊香保温泉旅館天坊の市場情報を活用し価値創造につなげるプロセスについて,「場」に着目して考察する。具体的には,天坊について,顧客の声を中心とした市場情報を活用し価値創造につなげる,そのマネジメントのあり方を考察し,価値創造のマネジメントに関して実践的な含意を導くことを目的とする。考察の結果,天坊は,経営層と従業員間といったタテ方向のみならず,従業員間といったヨコ方向にも会議等を通じて市場情報が流れ活用されていることがわかった。つまり,天坊では,ヒエラルキー(階層)に場を機能させて市場情報を活用し価値を創造している。本稿ではさらに,タテとヨコのミックスによる価値創造のマネジメントを機能させることについて,仮説を提示した。本稿の実践的な含意は,経営トップの姿勢とツールの存在が「情報の流通性」と場を機能させる前提になり,この前提の基に,リーダー(経営者や従業員等)が,タテ方向に加えてヨコ方向の場を促進し価値を創造していくということである。その結果として,タテ(経営トップ)とヨコ(従業員間)とが心理的な面で距離が近くなっていく。つまり,「経営トップとの近接性」と「組織としての一体性」が保たれるのである。
[その他:雑誌寄稿記事]
著者名:大野富彦
題名:「お客様相談室」の活用と成功事例
発表年月日(西暦):2014年10月号
掲載誌名:月刊金融ジャーナル
巻数:No.698
頁:84-87
概要:お客様相談室の提供する価値には「コミュニケーターの顧客への価値」と「お客様相談室の社内組織への価値」の2つがある。カルビーのお客様相談室は地域のお客様相談室と顧客の声を社内で共有するITシステムを活用するなど,顧客に迅速かつきめ細かく対応し2つの価値を提供している。お客様相談室の活用には「経営トップのスタンスの明確化」「現場部門が使いたくなる情報の提供」「顧客関係データの整備」が求められる。
[その他:企業調査レポート]
著者名:大野富彦ほか
題名:2013ベトナム現場研修会レポート(パナソニックシステムネットワークス・ベトナム)(共著)
発表年月日(西暦):2014年1月
発行所名:日本インダストリアル・エンジニアリング協会
頁:43-54
概要:パナソニックシステムネットワークス・ベトナムは,経営のあり方や仕組みがよい意味でシステム化され洗練されている。特に目を引くのが教育の徹底である。工場見学では,労働者が皆あいさつをし,またドアを開けてくれるなどの配慮が見られる。これは,松下幸之助の経営理念(それは経営の基本ともいえる考え)が徹底され,その理念を基に改善活動等が行われているのだと思われる。一方で,人材の現地化も進めている。現在は,ローカルのスタッフが7人であるが,この人数は多くなっていくものと予想される。そうした彼ら・彼女らが,同社の将来を担っていくと考えられるが,それも,同社の継続的な教育の上に成り立つものと思われる。
柿本敏克(社会心理学研究室)
[著書]
著者名:日本認知心理学会(編)柿本敏克ほか145名
書名:認知心理学ハンドブック
単著・共著の別:共著(分担部分は単著)
発行年月日:2013年12月
発行所名:有斐閣
総頁数:425頁
概要:本書は,学会の総力を結集し,認知心理学の全体像を173項目でカバーした手引書・事典である。各項目について,基本的な概念や理論から,新しい重要な概念や理論まで,最も適切な執筆者が見開き2頁,4頁で明解に解説してある。
担当部分:集団認知について論じた項目を執筆した。
[学術論文]
著者名:柿本敏克
題名:社会情報学と社会心理学 ―群馬大学社会心理学セミナーの紹介を中心に―
単著・共著の別:単著
発行年月日:2013年10月
掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集
巻数:学部創設20周年記念特別号
頁: 51-60
概要:(学部20周年記念特別号の中の依頼論文)
長年求められてきた,社会情報学および社会情報学部のアイデンティティの確立の基準が,内在的には「学部メンバーの自己認識の確立」であることを提唱した。さらに,その自己認識を,共通の部分と各人の「思い入れ」による部分に分類し,後者の一つとして,筆者の立場から,社会情報学と社会心理学との関係について論じた。その関係の例示のため,群馬大学社会心理学セミナーの企画を紹介した。
著者名:柿本敏克・阿形亜子
題名:環境配慮行動を促進する新変数の検討
単著・共著の別:共著
発行年月日:2013年11月
掲載誌名:応用心理学研究
巻数:39
頁: 122-131
概要:本研究の仮説は,(a)状況の現実感と(b)経済的ゆとり感(c)地域への帰属意識がそれぞれ環境配慮行動を促進する,というものであった。45名の大学生が仮想世界ゲーム電子版に参加した。このゲームでは参加者の活動に伴って環境問題が発生し,参加者が対処を求められるよう設定されていた。ゲーム終盤に組み込まれた質問紙調査で関連変数が測定された。重回帰分析の結果,(a)状況の現実感と(b)経済的ゆとり感は環境配慮行動を促進することを示したが,(c)地域への帰属意識は環境配慮行動に影響を及ぼさなかった。これらの結果は,援助行動研究の観点から考察され,また持続可能な社会の構築に向けた意義が議論された。
[その他報告書]
編者名:柿本敏克
題名:平成25年度群馬大学社会心理学セミナー報告
発行年月日:2014年 5月
発行所名:群馬大学社会情報学部
総頁数:40
概要:平成25年度に社会情報学部主催で実施された第10回「群馬大学社会心理学セミナー」(池田謙一先生)および群馬大学社会心理学研究会主催・社会情報学研究センター共催で実施された第10回群馬大学社会心理学研究小集会(縄田健悟先生)の講演録として作成された。
[学会発表]
発表者名:Kakimoto, T.
題名:Effects of communication among group members on group reality formation: An examination using three communication indices.
単・共の別:単
発表年月日:2013年8月23日
発表学会名:The 10th Biennial Conference of Asian Association of Social Psychology
開催場所:Yogyakarta, Indonesia
概要:Subjective group reality ―a key concept for explaining group-related activities― is hypothesized to be formed through communication among group members. 45 students participated in a computer-based simulated society game (cSIMINSOC), where communications were mediated by, and recorded in, the chat system. Subjective group reality was measured by a composite index of the Sense of Field Reality (SFR) scale score and a group identification scale score. Communication of a player was measured in three ways: 1) the number of messages the player sent, 2) the number of recipients of the player’s messages, and 3) the number of total characters in the player’s messages sent in the chat system. Only the third was significantly related to the group reality index. It was independent of the player’s tendency to “submerge him/herself in” the situation.
The results suggested the importance of the quantity of group members’ communication to form a subjective sense of group reality.
発表者名:柿本敏克・安藤香織
題名:地域への帰属意識は環境配慮行動を促進するか
単・共の別:共
発表年月日:2013年11月3日
発表学会名:日本社会心理学会第54回大会
開催場所:宜野湾市
概要:地域への帰属意識と地域内コミュニケーション,および主観的規範が,環境配慮行動に及ぼす影響について探った。全国5地区計7大学の大学生662名からの回答を分析した。地域への帰属意識と地域内コミュニケーションは,環境配慮行動のうち,3R行動の実行度のみに有意な影響を与えた。
発表者名:柿本敏克・高橋 遥
題名:ポテンシャル・エネミー法の改良の試み
単・共の別:共
発表年月日:2014年7月27日
発表学会名:日本社会心理学会第55回大会
開催場所:札幌市
概要:集団意思決定の質を高める方法としてのポテンシャル・エネミー法の効果をさらに高める方法として,討議集団メンバーの匿名性の要因を操作した。南関東1都3県在住の20〜30代の男性120名が,4人1組でポテンシャル・エネミー法を用いた集団討議課題に取り組んだ。15集団は通常の対面状況(対面条件)に,残りの15集団は匿名状況(匿名条件)に割り当てられた。議論の質と集団討議の満足度に,条件間の有意差はなかった。
北村 純(行政学研究室)
[報告]
著者名:北村 純
題名:戦後日本公文書管理史の研究(科学研究費助成事業 研究成果報告書)
発表年月日:2014年5月23日
提出先:独立行政法人 日本学術振興会(科学研究費助成事業)
頁:4頁(所定様式)
概要:「独立行政法人日本学術振興会」平成23〜25年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金基盤研究(C):課題番号23530140)「戦後日本公文書管理史の研究」(研究代表者北村純)の成果報告書。(http://kaken.nii.ac.jp/にて公開予定)
坂本和靖(計量経済学研究室)
[学術論文]
著者名:坂本和靖(森田陽子・木村牧郎氏との共著)
題名:女性のライフイベントと就業継続――結婚・出産・小学校就学
発行年月日(西暦):2013年10月15日
掲載誌名:季刊家計経済研究
巻数:100
頁:32-41
概要:本稿では,ライフイベント前後における女性の就業継続に関する分析を行った。先行研究と異なり,分析範囲を就学児童がいる母親までに拡大し,女性が就業継続する要因について考察した。その結果,育児休業関連法などの法律による影響は,出産前後において継続を促し,また家族資源(夫の家事時間,親との同居)が長子出産時と長子入学時に就業継続を促し,性別役割分業意識(婚前からの専業主婦希望)が全てのタイミングで女性の就業を抑制する結果が得られた。加えて,2000年代以降の学童保育事業が女性の就業継続に与える影響を考察したところ,就業を促進する効果が見られた。さらに,家族資源と学童保育施策との関係をみると,夫の家事時間との交差項が正に有意な結果が得られた。これは,学童保育施策だけではなく,学童保育と家族内における子育て資源の両方が利用できることが就業継続において重要であることを示唆している。
[学会発表]
発表者名:坂本和靖(森田陽子・木村牧郎氏との共著)
題名: 「女性のライフイベントと就業継続――結婚・出産・小学校就学」
発表年月日(西暦):2014年6月22日
発表学会名:生活経済学会
開催場所:九州大学片淵キャンパス
概要: 上記論文とほぼ同じ内容
杉山学(経営管理研究室)
[学術論文]
著者名:Sueyoshi,T., Goto,M., Sugiyama,M.
題名:DEA window analysis for environmental assessment in a dynamic time shift: Performance assessment of U.S. coal-fired power plants
発行年月日(西暦):2013年11月
掲載誌名:Energy Economics
巻数:40
頁:845-857
概要:This study discusses a new use of window analysis for DEA environmental assessment in a time horizon where DEA stands for Data Envelopment Analysis. The data sets on environmental protection are often structured by time series. In applying DEA to environmental assessment, it is necessary for us to examine a frontier shift between different periods because it indicates a technology progress on desirable and undesirable outputs. An important feature of the proposed approach is that it incorporates the concept of natural and managerial disposability into the computational framework of DEA and extends the two disposability concepts in a time horizon. To capture the frontier shift, this study proposes a new type of DEA window analysis for environmental assessment. This study applies the proposed DEA window analysis to a data set on U.S. coal-fired power plants during 1995–2007. The application finds that the coal-fired power plants have gradually paid attention to environmental protections under Clean Air Act (CAA). Consequently, their performance under managerial disposability has increased from 1996 to 2007. This indicates the importance of CAA and regulation on industrial pollutions. Thus, it is necessary for the United States to extend the scope of CAA for controlling the amount of CO2 emission because current regulation has a limited policy influence on the source of global warming and climate change in our modern society.
著者名:Sugiyama,M., Sueyoshi,T.
題名:Finding a Common Weight Vector of Data Envelopment Analysis Based upon Bargaining Game
発行年月日(西暦):2014年2月
掲載誌名:Studies in Engineering and Technology
巻数:1
頁:13-21
概要:Data Envelopment Analysis (DEA) is a mathematical programming method for measuring the relative efficiency of Decision Making Units (DMUs) by evaluating their outputs and inputs. In the history of DEA, the cross-efficiency of jth DMU is widely used as an efficiency measure of a given DMUo among researchers. The approach always utilizes weights related to inputs and outputs in the assessment. Unfortunately, the weights are not always uniquely determined in the cross-efficiency measurement because DEA always suffers from an occurrence of multiple solutions, so indicating an occurrence of multiple weights. To overcome such a difficulty, this paper proposes a new approach for determining a common weight vector of DEA based on bargaining game.
[著書]
著者名:日本経営工学会 編 杉山学ほか138名
書名:ものづくりに役立つ経営工学の事典
発行年月日(西暦):2014年1月20日
発行所名:朝倉書店
頁:318-319 (総頁数408)
概要:第9章「意思決定・評価」において「9.7 DEA (data envelopment analysis)」に関する記述を担当。
[学会発表]
発表者名:杉山学
題名:複数科目の総合評価(得意科目を活かす)をDEAの理屈を紹介
発表年月日(西暦):2014年3月19日
発表学会名:日本経営工学会 「マネジメント科学ビジョン研究会」
開催場所:キャンパス・イノベーションセンター(CIC)東京
概要:本発表では,DEA (Data Envelopment Analysis)という数理的な総合評価手法について,高校生にも理解でき,興味を抱かせるような解説は,いかに行えば良いかを検討し,具体的例題に基づき口頭発表を行った。加えて,経営工学関連のこれら手法を世の中に認知,浸透させるにはどうすれば良いかを,参加者と討論した。
[その他 (講演)]
講演者名:杉山学
題名:ビジネスプラン策定スキル② 〜 事業構造と競争関係のデザイン 〜
開催年月日:2013年11月30日
講演会名:平成25年度 群馬大学公開講座「社会起業家特論(ビジネスプラン策定スキル)」
開催場所:群馬大学社会情報学部
概要:平成25年度 群馬大学公開講座として,「ビジネスプラン策定スキル② 〜 事業構造と競争関係のデザイン 〜」という題目の講演を行った。具体的な内容として,ビジネスプラン策定において「決定理論」と「ゲーム理論」の考えを活用した合理的な意思決定を企業活動の例題にて解説を行った。
講演者名:杉山学
題名:金融ビジネスの基礎知識③ 〜 総合評価手法 〜
開催年月日:2014年7月31日
講演会名:平成26年度 群馬大学公開講座「企業・産業分析スキル(金融ビジネスの基礎と実際を知る-産業金融から個人金融まで-)」【群馬大学 産学連携・共同研究イノベーションセンター 荒牧分室共催】
開催場所:群馬大学サテライト高崎
概要:平成26年度 群馬大学公開講座として,「金融ビジネスの基礎知識③ 〜 総合評価手法 〜」という題目の講演を行った。具体的な内容として,総合評価をして合理的な意思決定支援を行う階層分析法(Analytic Hierarchy Process : AHP)を,身近な例題の意思決定に用い,合理的に結論を導き出す解説を行った。
西村淑子(行政法研究室)
[学術論文]
著者名:西村淑子
題名:福島原発事故の被害と国の責任
発行年月日(西暦):2013年10月13日
掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集
巻数:創設20周年記念特別号
頁:61-75
概要:平成23年3月に発生した福島原発事故を踏まえ,原子力損害賠償制度と国の賠償責任について検討した。また,平成24年に実施した東日本大震災による群馬県内避難者に関するアンケート調査の結果を紹介し,これを考察するととともに,原発事故子ども被災者支援法の課題を指摘した。
[その他]
著者名:西村淑子
題名:平成26年度群馬大学地域貢献事業 放射能汚染に関する意識・行動調査報告書
発行年月日(西暦):2014年3月
概要:平成23年3月に発生した福島原発事故を踏まえて実施した群馬県住民の放射能汚染に関する意識行動調査の結果をまとめた。本調査は,放射能汚染に関して,群馬県の住民,おもに被ばくの影響を受けやすいとされる小さな子どもの保護者が,どのように考え,行動しているかなどを調査し,把握することにより,放射能汚染に関するコミュニケーションのあり方を検証するために行った。調査内容は,①原発事故から1ヶ月間の放射能汚染に関する意識・行動,②現在の放射能汚染に関する意識・行動,③放射能汚染対策に関する知識,④放射能汚染に関するコミュニケーション等である。
発表者名:西村淑子
題名:群馬県における「放射能汚染に関する意識・行動調査」
発表年月日(西暦):2014年2月8日
シンポジウム名:「終わらない3.11原発震災の被害 ―北関東の被災者・福島県からの避難者調査から考える―」(宇都宮大学国際学部附属多文化公共圏センター主催)
開催場所:明治学院大学白金キャンパス 本館1201教室
概要:平成23年3月に発生した福島原発事故を踏まえて実施した群馬県住民の放射能汚染に関する意識・行動調査の結果を報告し,群馬県における放射能汚染対策の課題を指摘した。
藤井正希(憲法研究室)
[学術論文]
著者名:藤井正希
題名:平和主義(憲法9条)の法解釈論―集団的自衛権を中心にして
発行年月日:2014年2月
掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集
巻数:21
頁:13-32
概要:日本国憲法は平和主義の立場に立っているが,平和主義は現在大きな岐路に立たされている。この点,改正が現実味を帯びて来た今こそ,9条をめぐる問題点を再検討することが,是非とも必要となる。かかる問題意識に立って,まず9条をめぐる典型的な論点についての判例や学説の立場を確認していく。そのなかでも,注目の集まっている集団的自衛権の是非について焦点を当てて検討していく。そして,それらの議論を踏まえ,いま憲法9条を改正する必要があるのか,また,集団的自衛権を認める必要があるのかについて,試論としていくらかの自説を展開していく。
著者名:藤井正希
題名:特定秘密保護法の問題点―伝統的憲法論の視点から
発行年月日:2014年6月
掲載誌名:清和大学紀要『清和法学研究』
巻数:19-2
頁:87-118
概要:国家機密を保護する特別法を制定しようとする議論は,戦後繰り返しなされ,その必要性が主張されてきた。成立した特定秘密保護法はその声に答えたものと言える。しかし,伝統的憲法論,とりわけ表現の自由の視点からして,同法は違憲の疑いが強いと考える。それを多角的に論証することが本稿の最大の目的である。その際には,西山記者事件を念頭に議論を進めていく。この点,第一審判決と最高裁判決を比較対照し,伝統的な憲法問題を検討していく。そして,同法の問題点を明確にして,同法は廃止されるか,少なくとも大幅に修正されるべきことを提唱したいと考える。
[学会発表]
発表者名:藤井正希
題名:ジャーナリストの有する取材源秘匿権の重要性およびその規制可能性
発表年月日:2014年9月21日
発表学会名:社会情報学会・学会大会
開催場所:京都大学
概要:マスメディア関係者は,通説・判例上,憲法上の権利として,取材源秘匿権を有すると解されている(憲法21条)。この取材源秘匿権が問題となる典型的ケースが,公務員の守秘義務との関係であるが,通説・判例は,報道機関の取材源秘匿権に力点を置く比較衡量を行うことを要求している。ただし,報道機関に対する取材源秘匿権の保障が,かえってマスメディアの無責任体制を助長している面もある点には注意すべきである。例えば記事が完全に記者の捏造だったとしても,マスメディアが取材源秘匿権を口実に捏造の事実の隠蔽を図る危険性すらある。報道被害が発生した場合には,再発防止のためにその発生プロセスを丹念に検証することが必要不可欠であり,そのためには,事後的に,マスメディアの取材源秘匿権をある程度,制限することも止むを得ない。その際におけるマスメディア規制の在り方,態様が今後の大きな課題となる。
[その他]
研究発表論文
著者名:藤井正希
題名:ジャーナリストの有する取材源秘匿権の重要性およびその規制可能性
発表年月日:2014年9月
掲載誌名:社会情報学会・研究発表論文集
頁:213-216
概要:同上
[社会的活動(委員会等)]
題名:税関研修所講師
開催年:2014年
主催者:財務省
題名:通関業法に基づく審査委員
開催年:2014年
主催者:東京税関
題名:情報公開・個人情報保護救済委員会委員
開催年:2014年
主催者:東京都北区
[社会的活動(公開講座等)]
題名:まちなかキャンパス「市民のための憲法講座 〜 平和主義を学ぶ」
開催年:2014年8月
主催者:前橋商工会議所
題名:公開講座「市民のための憲法講座 〜 日本国憲法の三大原則を学ぶ」
開催年:2014年9月
主催者:群馬大学
松宮広和(情報法研究室)
[翻訳・編集等]
(1)
研究代表者名:松宮広和
報告書:科研研究題目 「持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究 」(基盤研究(C))(平成25年度)報告書
単独
報告年月日(西暦):2014年4月
研究支援者:独立行政法人日本学術振興会
研究期間:平成24(2012)年4月-
概要:上記の科研研究に,研究代表者として従事している。本研究は,持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究を行うことをその目的とする。具体的には,過去約15年間 ICTの利活用で比類無い成功を収めてきた米国を参考に,(1)通信インフラストラクチャーの更なる整備・更新,(2)アプリケーション層における競争環境の整備,(3)クラウド化及びスマート・グリッド,並びに(4) 公共サービスに関連するICTの利活用,の4つを中心的課題として,前記の目的に貢献し得る成果の獲得を目指す。本研究は,現在の我が国の最大の政策的課題(の1つ)である持続可能な経済成長の実現に,ICTが果たし得る役割についての有用な示唆を提供し得る点に,その意義を有する。平成25(2013)年度は,当該研究題目に関連する研究に従事し,その研究成果の一部を公表した。本報告書は,これらの研究の実施状況について記載したものである。
[研究会発表]
(1)
報告者名:松宮広和
題名:「情報社会の規制における官民の分担・連携の可能性と限界」
共同
報告年月日(西暦):2013年12月8日
研究会名:情報通信政策研究会議(Information and Communications Policy Conference/ICPC)の2013年12月会合において,モデレーターとして報告/発言。
開催場所:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)
概要:本報告は,メンバー・プログラム委員の1人として参加した,情報通信政策研究会議(Information and Communications Policy Conference/ICPC)の会合である「ICPC2013年秋」のセッション2「情報社会の規制における官民の分担・連携の可能性と限界」において,モデレーターとしてその他の担当者と共同で報告を担当したものである。最近,マルチ・ステークホルダー等の考えの下に,従前から存在した,公的部門による公的規制,私的部門による自主規制に加えて,両者による共同規制のあり方等が模索される様になってきた。当該報告は,この様な官民の分担・連携の意義とその問題点について議論を行うものである。当該報告の後,研究者,政策担当者及び情報通信関連事業者と,当該問題に対する質疑応答等を行った。当該会合の詳細については,ICPCのWWWサイト(visited Oct. 3, 2014)を参照のこと。
(2)
報告者名:松宮広和
題名:「独占禁止法24条に基づく接続拒否差止請求訴訟において電気通信事業法が別途定める総務大臣による認可を受けていないことを理由として請求が棄却・却下された事件-ソフトバンク対NTT東西事件」
単独
報告年月日(西暦):2014年9月20日
研究会名:経済法判例研究会(2014年9月例会)において,報告担当者として報告。
開催場所:立教大学池袋キャンパス
概要:本報告は,経済法判例研究会(2014年9月例会)において行った。本件で,原告ソフトバンクテレコム株式会社及びソフトバンクBB株式会社は,被告東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社に対して,光ファイバ設備を用いた戸建て住宅向けのFTTHサービスの提供を目的として,(当該被告が保有する,加入者光回線設備の一部を構成する1つの光信号主端末回線収容装置(Optical Subscriber Unit/OSU)を複数の事業者で共用することを前提とする)光ファイバの1分岐端末回線単位での接続を求める,独占禁止法24条に基づく接続拒否差止請求訴訟を提起した。しかし,東京地方裁判所は,電気通信事業法32条が別途定める総務大臣による認可を受けていないこと等を理由として,当該請求を棄却・却下した。当該報告では,この所謂「ソフトバンク対NTT東西事件」(東京地方裁判所平成26年6月19日判決 平成23年(ワ)第32660号 独占禁止法第24条に基づく差止請求事件 LEX/DB25504287)に対する考察を行った。(当該報告は,その後,拙稿「独占禁止法24条に基づく接続拒否差止請求訴訟において電気通信事業法が別途定める総務大臣による認可を受けていないことを理由として請求が棄却・却下された事件-ソフトバンク対NTT東西事件」ジュリスト 1474号 115頁以下 (2014年)として公表された。)
[研究活動 その他]
(1)
研究代表者名:松宮広和
科研研究題目:「持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究 」(基盤研究(C))(平成24年度-27年度)
単独
研究支援者:独立行政法人日本学術振興会
研究期間:平成24(2012)年4月-
概要:上記の科研研究に,研究代表者として従事している。本研究は,持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究を行うことをその目的とする。具体的には,過去約15年間 ICTの利活用で比類無い成功を収めてきた米国を参考に,(1)通信インフラストラクチャーの更なる整備・更新,(2)アプリケーション層における競争環境の整備,(3)クラウド化及びスマート・グリッド,並びに(4) 公共サービスに関連するICTの利活用,の4つを中心的課題として,前記の目的に貢献し得る成果の獲得を目指す。本研究は,現在の我が国の最大の政策的課題(の1つ)である持続可能な経済成長の実現に,ICTが果たし得る役割についての有用な示唆を提供し得る点に,その意義を有する。平成26(2014)年度は,当該研究題目に関連する研究に従事してきた。