2010年度

研究活動の要旨(2010年度)

情報行動学科

歴史情報論研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:落合延孝

題名:近世の政治・社会

掲載誌名:群馬文化

発行年月日:2009年10月

巻号数:300号

頁:64~67

概要:『群馬文化』201号からの群馬県における近世史、特に政治・社会を中心とした研究史を整理した。


著者名:落合延孝

題名:幕末維新期における村の治安と自警

掲載誌名:歴史学研究

発行年月日:2009年11月

巻号数:860号

頁:2~12

概要:近世社会において村共同体が保持していた警察権が近代社会への移行のなかでどのように変化していくかを考察した。特に、関東地域において社会の周縁部に滞留していた浪人・無宿・博徒たちが引き起こす具体的な治安問題を、上野国吾妻郡植栗村の日記史料を通して、幕末維新期の植栗村には無宿や浪人たちが豪農の家を強奪する事件が頻発に起きたこと、榛名山信仰を共有する村々(霞組合村)が彼らの襲撃に対して昼夜警戒態勢を取り、山狩を実施して地域の治安維持の機能を果たしていたことを明らかにした。


[著書]

著者名:落合延孝

題名:幕末維新期を生きた一農民の歴史認識

書名:近藤義雄先生卒寿記念論集

単・共の別:共

発行所名:群馬県文化事業振興会

発行年月日:2010年1月

頁:449~466

概要:関市三郎真武は、上野国吾妻郡植栗村の組頭・百姓代を務め、「抜書記録」や38年間の日記(1838-1875年)を残している。幕末維新期を生き抜いた真武が、地域社会における生活世界の変化をどのように捉えていたかを検討した。


[学会等での講演]

発表者名:落合延高

題名:森村新蔵「享和以来新聞記」を読む

講演会名:群馬大学公開講座

発表年月日:2009年11月13日㈮・20日㈮・27日㈮

開催場所:群馬大学社会情報学部棟202

概要:幕末期に日本全国を旅した森村新蔵の旅行見聞記や「享和以来新聞記」を読みながら、江戸時代の旅の様子やどのような人間関係の中から情報を収集・蓄積・記録したかを講義した。


発表者名:落合延高

題名:幕末を旅した上州の情報人

講演会名:ぐんま地域・大学連携協議会連続講演会in東京

発表年月日:2010年1月25日㈪

開催場所:ぐんま総合情報センター

概要:幕末期に日本全国を旅した森村新蔵(1794-1874年)が、幕末維新期の政治経済社会の情報を「享和以来新聞記」にまとめた。彼がどのような旅の体験をして、どのような人間関係の中から情報を収集・蓄積・記録したかを講演した。


[ラジオでの講演]

発表者名:落合延高

題名:群馬の偉人伝

放送局名:NHK前橋放送局

放送年月日:2009年10月~2010年9月の毎月第4火曜日

概要:「田山花袋『時はすぎゆく』を読む」(2009年10月)、「『群馬文化』300号を読む」(11月)、「久保田順一『中世前期上野の地域社会』を読む」(12月)、「番付から見た上州」(2010年1月、「忠治伝説の形成」(2月)、「渡辺三右衛門」(3月)、「森村新蔵」(4月)、「関市三郎真武の「日記」を読む」(5月)、「真塩紋弥と秣場騒動」(6月)、「蘭方医村上随憲」(7月)、「内村鑑三と上州」(8月)、「小栗上野介」(9月)などの話題提供を行った。

外国文化第二研究室

[著書]

著者名:荒木詳二・斎藤佑史

題名:「おもしろドイツ! ―異文化への招待」

発行年月日:2010年4月1日

概要:本書は、異文化理解という観点から作られたドイツ語初級用教材である。全12課で、前半は生活文化、後半は映画、音楽、文学などの芸術をテーマとした。各課はドイツ文化紹介、本文、文法説明、文法問題練習から成る。

意思決定科学研究室

[口頭発表]

発表者名:岩井淳・佐渡一広・富山慶典

題名:電子的意思決定の収斂プロセスのための匿名コミュニケーション支援の枠組み

単・共の別:共

開催年月日:平成22年9月

発表学会名:2010年日本社会情報学会(JASI&JSIS)合同研究大会(研究発表論文集)

開催場所:長崎県立大学シーボルト校

概要:参加者に匿名性を保証する意思決定支援システムの提案は多い。その多くは意思決定当初の発散的思考のプロセスのための匿名性保証である。本研究では、これにつづく収斂的思考のプロセスで匿名性保証を用いるアプローチを検討する。本発表で検討する初歩的実験と実装した仕組みの数学的定式化の議論はすでに発表済みである。この仕組みを電子民主主義研究の一技法と位置づけ、この観点から実験結果を検討する作業が増分である。


[研究成果報告書等]

発表者名:富山慶典

掲載誌名:群馬大学地域共同研究センターニュース

発行年月日:平成22年6月

頁:8~9

概要:平成22年度から実施した大学院修士課程の3つの改革について、カリキュラムと入試制度を中心にして解説した。


著者名:富山慶典

題名:選挙の夏がやってくる~少数の支持しか得られていない政策や候補者が勝者になる⁉~

掲載誌名:放送大学群馬学習センターだより「上州」

発行年月日:平成22年7月

巻号数:37号

頁:1~2

概要:「少数の支持しか得られていない政策や候補者が勝者になる」という直感に反する現象をみごとに例示しているアンスコムの逆理とオストロゴルスキィの逆理について分かりやすく解説した。

地域社会学研究室

[分担執筆]

執筆者:森谷健

題名:『闘う地域社会』「公民館にみる地域社会の「自治」―群馬県笠懸公民館「笠懸公民タイムス」の住民編集を事例として―」、ナカニシヤ出版

頁:286(担当:203~221)

発行年月:平成22年3月

概要:「平成の大合併」における小規模自治体の状況について、全国規模の調査票調査や事例研究を通じて検討した。担当部分では、合併によって消滅した地域メディアを取り上げ、合併前の地域社会においてその地域メディアが有していた意義の合併による欠落を指摘した。


[講演]

講演者:森谷健

演題:地域社会をつくる「人の想い」―障害者にとって住みやすい地域社会を作るには―

開催日:平成22年5月23日

主催:前橋市手話通訳者協会

講演会名:前橋市手話通訳者協会第4回定期総会

場所:前橋市総合福祉会館

概要:『みんなが手話で話した島』(ノーラ・エレン・グロース)を素材として、障害のとらえ方や生活様式論からの地域づくりについて講演した。


講演者:森谷健

演題:活動事例から学ぶICT 活用の地域づくり

開催日:平成22年7月17日

主催:群馬県生涯学習センター

講演会名:課題解決支援講座Ⅱ(ICT 活用による地域活動編)

場所:群馬県生涯学習センター

概要:同講座のコーディネーターを担い、同時にICT 活用の地域づくりが陥りやすい問題点を、市民編集の地域メディアを事例に解説した。

舞台表象論研究室

[著書]

著者名:Suematsu Michiko, Alexander Huang, Charles Ross, Richard Burt 他

書名:Shakespeare in Hollywood, Asia, and Cyberspace

単・共の別:共

発行年月日:2009年10月15日

出版社名:Purdue University Press

担当部分:“The Tokyo Globe Years : 1988-2002”

頁:121~28

概要:1990年以降の日本におけるシェイクスピア上演状況を、上演の中心となったパナソニック・グローブ座(98年より東京グローブ座)に注目して分析した。また、上演の場としての劇場が果たす意味を考察した。16世紀にシェイクスピアの劇団が上演を行っていたグローブ座を模した「東京グローブ座」という劇場が、ある種の「権威」を持ち、日本のシェイクスピア上演を「西洋」という「権威」から解放するに至った過程を検証した。


著者名:Suematsu Michiko, Dennis Kennedy, Yong Li Lan他

書名:Shakespeare in Asia : Contemporary Performance

単・共の別:共

発行年月日:2010年2月4日

出版社名:Cambridge University Press

担当部分:“Import/export : Japanizing Shakespeare”

頁:155~169

概要:アジアの現代におけるシェイクスピア上演を論じる本著において、担当部分では、明治以来の日本におけるシェイクスピア上演を、上演の「輸入」、「輸出」と言う視点から捉え直して論じた。西洋と東洋の対立を超えるインターカルチュラルな上演の出現に至るまでの過程を、鍵となる上演を中心に分析した。


著者名:末松美知子・小林かおり他

題名:日本のシェイクスピア上演研究の現在

単・共の別:共

発行年月日:2010年3月31日

出版社名:風媒社

担当部分:日本の上演史から見た歌舞伎『蜷川十二夜』、日本におけるシェイクスピア上演・上演研究

頁:28~38、164~180

概要:日本のシェイクスピア上演及び上演研究を体系的に論じる本著において、担当部分では、シェイクスピアと日本独自の伝統芸能である歌舞伎の融合を試みた歌舞伎『NINAGAWA 十二夜』を、明治以来の日本のシェイクスピア上演史のコンテクストにおいて検証した。具体的には、日本のシェイクスピア上演史という縦軸とインターカルチュラリティという横軸の双方の観点から考察を進め、この上演作品の極めて特異な位置づけと意義を明らかにした。


[学術論文]

著者名:Suematsu Michiko, Koabayashi Kaori

題名:Asian Shakespeare Intercultural Archive (A-S-I-A): A Collaborative Digital Project

単・共の別:共

発行年月日:2010年4月1日

掲載誌名:Shakespeare Review(The Shakespeare Association of Korea)

巻数:45

号数:No.1

頁:23~34

概要:アジアのシェイクスピア上演アーカイブA-S-I-A の構築計画と活用方法を検証し、さらに、日本の伝統的なシェイクスピア上演研究にA-S-I-A が与える影響と今後のデジタルアーカイブの可能性を論じた(2009年10月の韓国シェイクスピア学会での発表を基にした論文)。


[学会発表]

発表者名:Suematsu Michiko, Koabayashi Kaori

題名:Asian Shakespeare Intercultural Archive (A-S-I-A): A Collaborative Digital Project

単・共の別:共

開催年月日:2009年10月23日

学会名:韓国シェイクスピア学会

開催場所:Sookmyung Women University(ソウル)

概要:アジアのシェイクスピア上演アーカイブA-S-I-A の構築計画と活用方法を検証し、さらに、日本の伝統的なシェイクスピア上演研究にA-S-I-A が与える影響と今後のデジタルアーカイブの可能性を論じた。


発表者名:末松美知子・小林かおり

題名:ウェブ・アーカイブA-S-I-A の意義と可能性

単・共の別:共

開催年月日:2009年12月12日

学会名:名古屋シェイクスピア研究会

開催場所:同朋大学(名古屋)

概要:アジアのシェイクスピア上演アーカイブA-S-I-A の構築計画と活用方法を検証し、さらに、日本の伝統的なシェイクスピア上演研究にA-S-I-A が与える影響と今後のデジタルアーカイブの可能性を論じた。


[学会報告]

報告者名:末松美知子

題名:国際学会レポート(London/Seoul):The Fourth British Shakespeare Association Conference & the International Shakespeare Conference at Seoul 2009

単・共の別:単

発行年月日:2010年1月31日

掲載誌名:Shakespeare News(日本シェイクスピア協会)

巻数:49

号数:No.2

頁:32~36

概要:2009年9月と10月に開催されたThe Fourth British Shakespeare Association Conference(King’s College London)とThe International Shakespeare Conference at Seoul 2009: Shakespeare in Asia(Sookmyung Women’s University/淑明女子大学)について報告した。前者は、大会テーマを反映してlocal/globalな視点からシェイクスピアを読み直すセミナーが大勢を占め、英国、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アラブのシェイクスピア、インターカルチュラルなシェイクスピアまで、幅広くバランスを心がける配慮が見えた。後者では、アジアの研究者達が欧米の先行研究や研究手法を共有かつ依存している現状が明らかとなり、今後は、西洋と東洋のbinaryにより規定されないアジアの概念やアジア独自のシェイクスピア研究手法模索を進める必要性があることを確認した。


[講演会]

講演者名:末松美知子

題名:劇場空間とシェイクスピア

単・共の別:単

開催年月日:2010年1月23日

学会名(講演会名):早稲田大学演劇博物館グローバルCOE プログラムシェイクスピア・ゼミ講演会

開催場所:早稲田大学早稲田キャンパス

概要:シェイクスピア作品を上演するにあたり、劇場空間はどのような意味を持つかを検証した。近年、劇場研究はグローブ座やローズ座の発掘にはじまり、大きな成果を上げており、シェイクスピア上演研究もあらゆる角度から盛んに行われている。しかし、現代の上演における劇場空間の重要性はまだまだ十分に論じられてはいない。本講演では、日英の劇場や上演の映像資料を交えながら劇場空間を中心とした上演研究の可能性を探った。


[劇評]

著者名:Suematsu Michiko

題名:Bloody Pieta : AUN Company’s Macbeth

単・共の別:単

発表年月日:2010年3月31日

掲載誌名:Shakespeare Studies(The Shakespeare Society of Japan)

巻数:47

頁:54~56

概要:1997年以来東京でシェイクスピア上演を継続している劇団AUN の『マクベス』(2008年)について、マクベス夫妻が造形する血塗れたピエタ像のイメージや魔女の表象を中心に分析した。


[国際共同プロジェクト]

担当者名:末松美知子・小林かおり他

プロジェクト名:ウェブ・アーカイブA-S-I-A(Asian Shakespeare Intercultural Archive)

単・共の別:共

公開年月日:2010年4月30日

公開URL:http://www.a-s-i-a-web.org/、群馬大学社会情報学部末松研究室 http://www.si.gunma-u.ac.jp/~sue/index.htm

概要:デジタル化の進展を生かした比較演劇の研究手法確立を目指し、シンガポール国立大学と共同でアジアにおけるシェイクスピア上演ウェブ・アーカイブA-S-I-A(Asian Shakespeare Intercultural Archive)の構築を行った。アーカイブのコンテンツ(アジアにおけるシェイクスピア上演作品映像と上演に関する資料など)取得と詳細な上演作品分析データの作成後デジタル化し、2010年4月にウェブ上で第一期を公開した。複数のシェイクスピア上演作品(全編)と上演分析データを収蔵したウェブ・アーカイブは世界初であり、インターカルチュラルな視点からのシェイクスピア上演研究の発展に大いに貢献できると思われる。

日本文化研究室

[論文]

著者:高山利弘

題名:『源平闘諍録』の志向

単・共の別:単著

発行年月日:平成22年3月31日

掲載誌名:「『源平闘諍録』を基軸とした古代中世をめぐる軍記文学の基礎的研究」(科学研究費補助金研究成果報告書)

頁:5~16

概要:『源平闘諍録』がかかえる重要な問題の一つに、その奇妙な巻立てのあり方がある。現存本5冊(巻一上・下、巻五、巻八上・下)という事実をめぐっては、いくつかの巻が散逸したとする見解と、もともと現存本のみが作られたとする見解が出されている。現存していない巻をめぐっての検証はきわめて困難であるが、現存本文に描かれている千葉常胤をめぐる独自の虚構の問題から、『闘諍録』作者の志向を明らかにした。『闘諍録』における千葉常胤は頼朝挙兵に際して重要な位置を占めているが、それは千葉氏の妙見信仰に連動している。すなわち、『闘諍録』においては、妙見菩薩を保持する常胤が常に大手の軍勢に属するという独自の構成になっている。『闘諍録』は屋島合戦以降の具体的な記述を欠いているが、常胤が義経に従軍していたとする虚構が設定されており、常胤=妙見菩薩という構図を見ることができ、これによって源氏方に勝利がもたらされるという独自の物語の志向が確認できるのである。


[報告書]

編著名:高山利弘

執筆者:高山利弘・栃木孝惟・久保勇・清水由美子・小番達・原田敦史

報告書名:科学研究費補助金研究成果報告書「『源平闘諍録』を基軸とした古代中世をめぐる軍記文学の基礎的研究」(基盤研究(C)、課題番号19520133)

単・共の別:共著

発行年月日:平成22年3月31日

頁:1~126

概要:平成19~21年度科学研究費補助金(基盤研究(C)、課題番号19520133)による研究成果報告書。研究代表者として研究成果報告書をとりまとめた。8編の論文と1編の資料を収める。

理論社会学研究室

[学会発表]

発表者名:伊藤賢一

題名:マクドナルド化理論のアクチュアリティ

開催年月日:2009年12月5日

発表学会名:2009年日本社会学史学会研究例会

開催場所:日本大学文理学部

概要:Ritzerのマクドナルド化理論はさまざまな批判に晒されながらも現代社会のアクチュアルな側面を捉えているといえる。そのアクチュアリティの中心がどこにあるかを、Beck らの議論と対比させながら、社会学史における位置づけという問題を考察しつつ探った試み。


発表者名:伊藤賢一

題名:鉄の檻テーゼとマクドナルド化理論

開催年月日:2010年6月26日

発表学会名:第50回日本社会学史学会大会

開催場所:奈良女子大学

概要:Ritzerのマクドナルド化理論はWeberの「鉄の檻テーゼ」の現代版として彼自身によって紹介されているが、初期Ritzerのメタ社会学はWeberの議論について批判的なとらえ方をしている。Ritzerの理論体系の中で、Weberの議論とマクドナルド化理論の位置づけがどのように処理されているのかを論じたもの。


発表者名:ITO Kenichi

題名:The Mobile Internet Use in Japan : Cyber-bullying through Mobile Phones

開催年月日:2010年7月15日

発表学会名:ISA World Congress 2010 in Gothenburg

開催場所:Svenska Mässen, Gothenburg, Sweden

概要:わが国において青少年とインターネット問題がどのような社会問題として扱われているのか、ネットいじめに焦点を当てつつ紹介した報告。2009年12月に群馬県内の市町村で行った調査のデータを示した。


発表者名:伊藤賢一

題名:群馬県における中学生・高校生のインターネット利用の実態

開催年月日:2010年9月5日

発表学会名:2010年日本社会情報学会(JSIS & JASI)合同研究大会

開催場所:長崎県立大学シーボルト校

概要:ワークショップ「青少年のインターネット利用問題への対策と課題―日韓比較の試み―」の一環。2010年1月~3月に行った、群馬県高校生・保護者調査の結果を報告したもの。


[調査報告書(分担執筆)]

執筆者名:伊藤賢一

題名:県民世論調査による県民意識の把握と分析

共著者名:伊藤賢一・後藤岳・多田素生・西山健太郎・宮村恵介・森谷健

発行所名:上毛新聞社・群馬大学社会情報学部

発行年月日:2010年3月31日

頁:11~14(分担執筆分)

概要:上毛新聞と共同で行った県民世論調査の報告書。「社会関係資本」の部分を担当した。


[その他]

執筆者名:伊藤賢一

題名:人々の交流盛んな本県

掲載紙名:上毛新聞

掲載年月日:2010年1月1日

概要:前年11月に行われた県民世論調査の結果に対して論評したもの。ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の衰退が指摘されるが、本県における近所づきあいは全国の動向に比べると活発であり、比較的豊かであることを指摘した。


[その他(シンポジウムのパネリスト)]

講師名:伊藤賢一

報告題目:群馬県小中学生のメディア環境とネットいじめ

シンポジウム名:情報社会のいじめ問題―解決に向けた地域からのアプローチ

主催者:群馬大学地域連携推進室・群馬大学社会情報学部

日時:2010年1月22日

場所:群馬大学教育学部

概要:群馬大学地域貢献シンポジウム・群馬大学社会情報学シンポジウム「情報社会のいじめ問題」にパネリストとして参加し、前年12月に群馬県内の市町村で行った調査結果の要点を報告した。また、その後のパネル・ディスカッションに参加し、情報社会におけるいじめ問題について討議した。


[その他(研究会での報告)]

講師名:伊藤賢一

報告題目:小中学生のメディア利用とその問題点

主催者:群馬大学社会情報学部モバイル・インターネット調査グループ、韓国放送通信審議委員会(KCSC)

日時:2010年2月22日

場所:韓国KCSC 研究センター

概要:韓国KCSC との研究交流の一環として、前年末に群馬県内の市町村で行った調査結果を示しながら、わが国における青少年のメディア利用、とりわけモバイル・インターネットの問題について報告し、意見交換を行った。


[その他(イベントでのゲスト講師)]

講師名:伊藤賢一

イベント名:教育改革・いせさき未来会議

主催者:伊勢崎市教育委員会

日時:2010年7月1日

場所:伊勢崎市立北小学校

概要:伊勢崎市内の学校教育関係者と伊勢崎市の教育問題について自由に語り合うイベント。青少年のインターネット利用について、調査データなどを元に開設し、生徒児童上の問題点などについて意見交換を行った。


[その他(招待講演)]

講師名:伊藤賢一

題名:青少年とインターネット問題の社会的構築

発表学会名:情報教育シンポジウムSummer Symposium in Shibukawa 2010

主催者:情報処理学会・コンピュータと教育研究会

日時:2010年8月19日

場所:伊香保温泉・森秋旅館

概要:前年度に群馬県内で行った調査に基づいて、青少年とインターネットの問題の社会的構築過程について解説した。

公共政策研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:小竹裕人

題名:指定管理者制度の現状と課題

掲載誌名:群馬県「都市計画ぐんま」

巻数:vol.13

発行年月日:平成22年3月

頁:21~23

要旨:群馬県における指定管理者の現状と課題を整理したもの。指定管理者選定における財団の取り扱い方、選定後の議会のかかわりなどについて整理したもの。


[社会的活動(講演等)]

講演者名:小竹裕人

題名:「NPOと行政との協働」

開催年月日:2009年11月13日

主催者:太田市

開催場所:太田市役所

概要:太田市役所職員を対象とし、NPOとは何か、協働の定義やそれが求められる背景について解説した。


[社会的活動(委員会)]

題名:群馬県「馬事公苑のあり方検討委員会」副会長

開催年:2010年

主催者:群馬県農政部

概要:県営馬事公苑の存続の是非および運営方法などについて検討する委員会。副会長として参加し意見した。


題名:群馬県協働推進会議アドバイザー

開催年:2010年度

主催者:群馬県NPOボランティア課

概要:群馬県庁内で協働をすすめるために部局長を集め行われている会議にアドバイザーとして参加し意見した。


題名:群馬テレビ「放送番組審議会」会長

開催年:2010年

主催者:群馬テレビ

概要:群馬テレビで放送される番組の内容について審議する委員会において会長を務めとりまとめを行った。


題名:群馬県都市計画課公園等評価委員会委員

開催年:2010年

主催者:群馬県都市計画課

概要:群馬県営都市公園の指定管理者による評価状況の評価を行った。


題名:群馬県県土整備部評価委員会委員

開催年:2010年

主催者:群馬県県土整備部

概要:群馬県営ヘリポートの指定管理者による評価状況の評価を行った。


題名:群馬県指定管理者評価委員会委員

開催年:2010年

主催者:群馬県産業労働部・観光物産課

概要:群馬県営キャンプ場・スキー場・福祉センターの指定管理者による評価状況の評価を行った。


題名:群馬県企業局指定管理者評価委員会委員

開催年:2010年

主催者:群馬県企業局

概要:群馬県営駐車場・ゴルフ場の指定管理者による評価状況の評価を行った。


題名:前橋市中心市街地活性化基本計画策定に係る市民会議

開催年:2010年

主催者:前橋市にぎわい商業課

概要:前橋市中心市街地の活性化基本計画の策定と、中心市街地の活性化を目的とした市民会議に出席し意見した。


題名:前橋市コンプライアンス委員会委員

開催年:2010年

主催者:前橋市行政管理課

概要:前橋市職員の不祥事が明らかとなったため設置された委員会である。法令遵守のために規則の見直しや研修方法の見直しについて委員として出席し検討を行った。


[社会的活動(ワークショップ)]

題名:赤城山振興にかかわるワークショップ

開催年:2010年

主催者:前橋市観光課

概要:富士見村が前橋市と合併し、前橋市は新たな観光資源赤城山を市内に持つこととなった。赤城山山頂付近の振興を図るため前橋市と一緒になってワークショップを行い、コーディネーターとして市民ニーズの吸い上げおよび取りまとめを行った。

意思決定支援研究室

[学術論文]

発表者名:Atsushi IWAI, Kazuhiro SADO

題名:A Design of Web-based GDSS that Supports Anonymous Communication and the Convergent Process

発行年月日:2010年3月

掲載誌名:IMECS2010(International Multi-Conference of Engineering and Computer Scientists 2010)Proceedings, Vol.1.

頁:693~698

概要:匿名コミュニケーションを支援する多くのGDSS では、収斂に先立つ発散のプロセスにおける匿名性を支援する。本研究では、収斂プロセスにおける匿名コミュニケーション支援の枠組みを提案した。また購入書籍を選択するという具体的例題を用いて提案システムの実験的評価を行った。


[学会発表]

発表者名:岩井淳・佐渡一広・富山慶典

題名:電子的意思決定の収斂プロセスのための匿名コミュニケーション支援の枠組み

開催年月日:2010年9月5日

発表学会名:2010年日本社会情報学会(JASI & JSIS)合同研究大会

開催場所:長崎県立大学シーボルト校

概要:本研究では、収斂的思考のプロセスで匿名性保証を用いる集団的な意思決定支援のアプローチを検討した。特にWebを介して意思決定を行う電子民主主義研究の一技法と位置づけ、実験結果を踏まえつつ将来的可能性を検討した。


[学会発表]

発表者名:岩井淳

題名:『社会的選択と集合的厚生』の「抽象的な母国」について~価値自由とリベラル・パラドクスの議論からの一考察

開催年月日:2010年9月11日

発表学会名:第50回数理社会学会大会

開催場所:獨協大学

概要:A.Senの『集合的選択と社会的厚生』(Sen, 1970)の冒頭の1段落について、その解釈法を示した。特に原文中のan abstract motherlandの表現について、著者の価値自由やリベラル・パラドクスの議論を踏まえてその意味を整理した。この議論のうえで、本書に冷戦時代の両陣営に対してコメントする意図があることを説明した。

言語コミュニケーション研究室

[翻訳]

翻訳者名:今井邦彦(編) 井門亮・岡田聡宏・松崎由貴・古牧久典・新井恭子(訳)

題名(書名):最新語用論入門12章

発行所名:大修館書店

発行年月日:2009年12月25日

原著者名:Deirdre Wilson, Tim Wharton

原著名:Issues in Pragmatics, Logic and Meaning

要旨:本書は、関連性理論の創始者であるD.Wilson教授らのロンドン大学での講義録を翻訳したものである。関連性理論を中心に、語用論の基礎から最新の研究動向までまとめられている。第3章~第7章(pp.39~121)を担当。

情報科学研究室

[学術論文]

著者名:柿本敏克・細野文雄

題名:状況の現実感尺度の再検討:2つの仮想世界ゲーム実験から

単・共の別:共著

発行年月日:2010年2月

掲載誌名:実験社会心理学研究

巻数:49

号数:2

頁:149~159

概要:状況の現実感尺度(柿本、2004)の妥当性を、仮想世界ゲームを用いて構成された集団間状況において検討した。研究1では従来型の仮想世界ゲームを用いた実験が行われ、研究2では今回新たに開発されたその電子試作版を用いた実験が実施された。下位尺度の得点パターンとともに、全体としてこの尺度が状況の現実感を比較的良好にとらえていると解釈できた。研究方法論および理論上の問題がいくつか議論された。


[学会発表]

発表者名:細野文雄・柿本敏克・広瀬幸雄

題名:仮想世界ゲーム電子版の試作

単・共の別:共

開催年月日:2009年12月4-5日

発表学会名:日本シミュレーション&ゲーミング学会2009年度秋季全国大会

開催場所:横浜国立大学

概要:南北地域間の葛藤と協調のプロセスをシミュレートする仮想世界ゲーム(広瀬、1997)を、コンピュータ上で実施する電子版を試作した。電子版はクライアント・サーバ方式を採用しており、各プレーヤーはパソコンを通してゲームに参加する。また、ゲーム中の会話内容や取引などの行為はすべてサーバ上に記録される。今回はその詳細について報告した。電子版の試作によって、仮想世界ゲームがコンピュータ上で実現できるものであることを示し、当初の目的であるコスト軽減と条件統制の厳密化がある程度達成された。


発表者名:柿本敏克・細野文雄・安藤香織

題名:仮想世界ゲーム電子版に参加者はリアリティを感じるか―集団間関係の研究手法としての仮想世界ゲーム電子版―

単・共の別:共

開催年月日:2010年9月17日・18日

発表学会名:日本社会心理学会第51回大会

開催場所:広島大学

概要:仮想世界ゲームをもとにして開発されたその電子版を、集団間関係の研究枠組みとして用いることの妥当性について考察した。最初に2007年に行なわれた電子試作版の実施例の概略を記述し、次に、研究の前提となる集団間関係状況の迫真性がそこに認められるか、電子版を用いることにより独自の特徴が生じるかを、主としてゲーム参加者からの言語報告に基づき探索的に探った。

情報社会科学科

会計学研究室

[学術論文]

著者名:中島照雄

題名:市民会計の一考察⑵―現代社会と会計情報―

単・共の別:単著

発行年月日:2010年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究録集

巻数:第17巻

頁:175~186

概要:社会情報と会計情報の融合に向けての研究は、従来の会計情報を拡大して、会計情報の機能を「社会的用具」として捉えている。そして、会計の使命とは、「金銭文明の病の医者」を目指すことにあると位置づけた。このような機能や使命を考慮するには、会計情報を市民社会的アプローチとして捉える「市民会計」という新しい視点が必要になっている。そこで、ここでは、前号(環境政策・世代会計など)に引き続いて市民会計のなかで、自治体公会計とNPO会計について展開する。


著者名:中島照雄

題名:グローバル化・市場主義の弊害と会計情報システムの一考察―持続可能な社会の実現に向けて―

単・共の別:単著

発行年月日:2010年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究録集

巻数:第17巻

頁:187~196

概要:従来の経済活動は、一国という経済圏の中で規制が存在した。そうしたなか、規制緩和が進展し、さらに、規制緩和を追いかけるようにグローバル化も急速に進み、自由の枠組みの限界が市場の関係者にも見えにくくなってしまった。
他方、金融商品のリスク分散という手法(たとえば金融工学など)が開発され、信用度の低い金融商品も、各種の優良商品と結合することによってリスク分散が図られると考えられてしまった。これにより、リスクの高い金融商品が優良商品であるかのような錯覚までも生じてしまった。そこで、ここではグローバル化・市場主義の弊害のなかで、会計の使命についての一考を展開する。


[講演]

講演者名:中島照雄

題名:非営利組織のアカウンタビリティ~説明責任と評価~

単・共の別:単

開催年月日:2009年10月28日㈬

講演会名:前橋市市民活動支援センター「NPO・コミュニティビジネス」

開催場所:前橋テルサ5階研修室

概要:前橋市市民活動支援センター主催、公共職業安定所長から受講指示を受けた方(雇用保険受給中でハローワークから受講指示又は推薦をされた方)を対象に、NPO法人の運営・起業に関する説明責任と評価を展開した。


[社会貢献活動・審議会委員等]

題名:「全国健康保険協会」群馬支部評議員および評議会議長

開催年:2009年~2010年

主催者:全国健康保険協会

概要:全国健康保険協会(群馬支部)の健康保険の事業運営に付き、支部の事業計画並びに予算事業、都道府県単位保険料率の変更に係る事業等、協会支部の運営に関して意見を述べて的確な事業活動を促進する。


題名:「群馬県後期高齢者医療懇談会」委員および懇談会座長

開催年:2009年~2010年

主催者:群馬県後期高齢者医療広域連合会長・松浦幸雄(高崎市長)

概要:後期高齢者医療制度の現状と今後についての意見交換を行った。また、保険料率の試算などの意見交換も行った。


題名:「前橋市廃棄物減量等推進審議会」委員および審議会会長

開催年:2009年~2010年

主催者:前橋市

概要:環境政策等の実施から、前橋市民に廃棄物減量等を促す諸処の施策の検討を行った。

経営学研究室

[報告書]

著者名:寺石雅英

題名:高度医療拠点を契機にした健康ツアー(ウェルネスツーリズム)整備事業化プロジェクト報告書

発表年月日:平成22年3月

発行所:前橋商工会議所

頁:計114

概要:ウェルネスツーリズム推進協議会が「平成21年度地方の元気再生事業」として取り組んだ「高度医療拠点を契機にした健康ツアー(ウェルネスツーリズム)整備事業化プロジェクト」の成果を報告するとともに、前橋が「健康医療都市」の実現を追求するにあたっての大きな潜在的可能性や重大な課題について明らかにした。


著者名:寺石雅英

題名:八ッ場ダム周辺観光関連事業検討業務最終報告書

発表年月日:平成22年3月

発行所:群馬県八ッ場ダム水源地域対策事務所

頁:計108

概要:八ツ場ダム建設予定地域におけるまちづくり構想である「ダイエットバレー構想」の計画概要をまとめるとともに、林地区で建設・運営計画の策定が進められている販売施設に関する事業計画の骨格を策定した。

環境科学研究室

[報告書]

著者名:石川真一・大森威宏・増田和明

題名:西榛名地域貴重植物種モニタリング􌒀

発行年月日:2009年11月

報告書名:群馬県自然環境課「良好な自然環境を有する地域学術調査報告書(XXXV)」

頁:269~272

概要:2008年度に行われた群馬県自然環境調査研究会による学術調査の報告書。群馬県西榛名地域において2005―2007年度調査で生育が確認された30種の絶滅危惧・希少植物種の生育・分布状況をモニタリングした。このうち2種について新たな生育地が確認された。また貴重在来種ノダイオウが外来種エゾノギシギシと交雑していることが明らかになり、「遺伝子浸透」という新たな環境問題が提起された。今後、群馬県の自然環境保護政策の策定・実施の基礎資料となる。筆頭著者として調査・解析・執筆を担当した。


[学会等での口頭発表]

発表者名:石川真一

題名:企業と生物多様性―生態学と企業の協働をめざして―イントロダクション

発表年月日:2010年3月17日

学会名:第57回日本生態学会大会シンポジウム「企業と生物多様性―生態学と企業の協働をめざして」

開催場所:東京大学(東京都・駒場)

概要:生物多様性条約COP10名古屋会議開催の年を迎えて、生物多様性保全のため、改めて企業と学界の協働活動を求めるシンポジウムを開催した。イントロダクションとして、石川がこれまでに行ってきた企業の生物多様性保全活動の支援活動を紹介し、その意義を再確認した。


[社会的活動]

開催者名:石川真一

題名:教養教育合宿実習「群馬県本白根山の自然環境の成り立ちと保全」

開催年月日:2010年6月26日・27日

開催場所:群馬県草津町

概要:群馬大学学生を対象とし、草津白根山の自然環境資源としての重要性や、周辺地域の産業がいかに自然環境資源をうまく利用して成り立っているかを体験する実習。


開催者名:石川真一

題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習

開催年月日:2010年4月~ (月一回開催)

開催場所:群馬県明和町

概要:㈱アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町)内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い、これに基づいて講習を行った。㈱アドバンテストビオトープ基金により助成を受けた。


開催者名:石川真一(群馬県自然環境調査研究会)

題名:群馬県・絶滅危惧植物実態調査

開催年月日:2010年3月~9月(月3回程度)

開催場所:群馬県東吾妻町、板倉町、上野村他

概要:群馬県の委託事業である。群馬県レッドデータブックの改訂に必要な情報を得るため、群馬県内各地における絶滅危惧植物の分布・個体数・生育立地調査、種子採集を担当した。


開催者名:石川真一

題名:公開講座「地球市民講座―地球温暖化への挑戦―」

開催年月日:2010年9月25日

開催場所:群馬大学荒牧キャンパス(社会情報学部106教室)

概要:地域住民対象の公開講座。「地球温暖化研究の歴史と成果」に関する講義を行った。参加者12名。

行政学研究室

[講演]

講演者名:北村純

題名:政策・予算の執行

開催年月日:2010年2月27日

講演会名:平成21年度イラク行政官セミナー

開催場所:JICA 東京(東京都渋谷区)

概要:独立行政法人・国際協力機構[中東欧州部・東京国際センター]開催(実施主体:特定非営利法人・日本政治総合研究所)によるイラク行政官(大統領府職員、首相府職員、その他政府関係者)を対象とした「平成21年度イラク行政官セミナー」(2010年2月23日~3月11日)における研修プログラムの1つとして、わが国の「政策・予算の執行」について概観的な講義および参加者との質疑応答を行った。

社会心理学研究室

[学術論文]

著者名:柿本敏克・細野文雄

題名:状況の現実感尺度の再検討:2つの仮想世界ゲーム実験から

単・共の別:共著

発行年月日:平成22年2月

掲載誌名:実験社会心理学研究

巻数:49

頁:149~159

概要:状況の現実感尺度(柿本、2004)の妥当性を、仮想世界ゲームを用いて構成された集団間状況において検討した。研究1では従来型の仮想世界ゲームを用いた実験が行われ、研究2では今回新たに開発されたその電子試作版を用いた実験が実施された。下位尺度の得点パターンとともに、全体としてこの尺度が状況の現実感を比較的良好にとらえていると解釈できた。研究方法論および理論上の問題がいくつか議論された。


[学術論文]

著者名:柿本敏克

題名:状況の現実感尺度の項目改訂

単・共の別:単著

発行年月日:平成22年3月

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:17

頁:37~45

概要:大学の講義場面から得られたデータを用い、状況の現実感尺度の尺度項目改訂を目指した。大学の講義中に改訂版の尺度項目を含む質問紙を配布し、67名からの回答を得た。因子分析の結果、想定された3つの下位尺度項目に対応した比較的単純な因子構造が観測された。各下位尺度のクロンバックの信頼性係数の値はすべて適切なものであった。関連が予想される「状況への取組みの真剣さ」についての回答を用いて尺度の妥当性が確認された。


[その他報告書]

編者名:柿本敏克

題名:平成21年度群馬大学社会心理学セミナー報告

発行年月日:2010年3月

発行所名:群馬大学社会情報学部

総頁数:69

概要:平成21年度に社会情報学部主催で実施された第6回「群馬大学社会心理学セミナー」(大坊郁夫先生)および計2回開催された群馬大学社会心理学研究小集会(飛田操、野波寛両先生)の講演録として作成された。


[学会発表]

発表者名:柿本敏克

題名:A sense of field reality that makes a group situation real

単・共の別:単

開催年月日:2010年7月11日~16日

発表学会名:27th International Congress of Applied Psychology

開催場所:Melbourne, Australia

概要:A new concept to evaluate an experimental situation is developed for the experimental study of intergroup relations : a sense of field reality. Methodological importance of experimental reality has long been appreciated for any experimental study, but its theoretical importance has not been recognized fully for the experimental study of intergroup relations. The present study demonstrates that a subjective sense of reality of an experimental situation is necessary for a group situation to be a “real”group situation.


[学会発表]

発表者名:柿本敏克・細野文雄・安藤香織

題名:仮想世界ゲーム電子版に参加者はリアリティを感じるか―集団間関係の研究手法としての仮想世界ゲーム電子版―

単・共の別:共

開催年月日:2010年9月17-18日

発表学会名:日本社会心理学会第51回大会

開催場所:広島大学

概要:仮想世界ゲームをもとにして開発されたその電子版を、集団間関係の研究枠組みとして用いることの妥当性について考察した。最初に2007年に行なわれた電子試作版の実施例の概略を記述し、次に、研究の前提となる集団間関係状況の迫真性がそこに認められるか、電子版を用いることにより独自の特徴が生じるかを、主としてゲーム参加者からの言語報告に基づき探索的に探った。


[学会発表]

発表者名:潘偉春・柿本敏克

題名:インターネット環境における社会的浸透

単・共の別:共

開催年月日:2010年9月4-6日

発表学会名:日本社会情報学会(JASI & JSIS)合同研究大会

開催場所:長崎県立大学シーボルト校

概要:インターネット上での対人関係の進展度合いの指標としての自己開示量が、⑴ネット上の対人関係から得られる心理的報酬と、⑵ネット上の対人関係における心理的コストとによって規定されるか、⑶その度合いがネット利用経験の量に依存するかを、中国のインターネット利用者を対象としたオンライン調査により検討した。心理的コストは予想に反して自己開示量を増やすことが見いだされた。回答者が5年以上利用経験のある長期利用者に偏っていたこと、想定した因果関係が実態からずれている可能性があることが今後の検討課題としてあげられた。


[学会発表]

発表者名:細野文雄・柿本敏克・広瀬幸雄

題名:仮想世界ゲーム電子版の試作

単・共の別:共

開催年月日:2009年12月4-5日

発表学会名:日本シミュレーション&ゲーミング学会2009年度秋季全国大会

開催場所:横浜国立大学

概要:南北地域間の葛藤と協調のプロセスをシミュレートする仮想世界ゲーム(広瀬、1997)を、コンピュータ上で実施する電子版を試作した。電子版はクライアント・サーバ方式を採用しており、各プレーヤーはパソコンを通してゲームに参加する。また、ゲーム中の会話内容や取引などの行為はすべてサーバ上に記録される。今回はその詳細について報告した。電子版の試作によって、仮想世界ゲームがコンピュータ上で実現できるものであることを示し、当初の目的であるコスト軽減と条件統制の厳密化がある程度達成された。

経営管理研究室

[著書]

著者名:杉山学

書名:経営効率分析のためのDEA とInverted DEA ―基本概念と方法論から、主観的な判断を加味できる応用モデルまで―

単・共の別:単

発行年月日:2010年2月17日

発行所名:静岡学術出版

総頁数:152

概要:企業の業績評価を行なう代表的な方法として経営分析があげられるが、近年、企業の活動実績を示す様々なデータを用いて、企業の相対的な効率を評価するDEA(データ包絡分析法)が実用性の高い分析手法として注目視されている。本書は、経営の効率分析が行える実用性の高いDEA と、DEA とは逆の非効率を評価するInverted DEA(インバーテドDEA)について、基本概念と方法論が詳しく述べられている。さらに、DEA とInverted DEA を基に評価者の主観的な判断を加味できる応用モデルについても詳しく述べられている。したがって、経営の効率分析に興味のある人にとって読み応えのある内容であり、そして、具体的な分析事例も掲載されている。本書は、経営の効率分析を行う上で新たな示唆を与えるものである。


[著書]

編者名:吉田浩

共著者名:秋吉貴雄・太田聡一・金田隆・神田清人・島田亨・杉山学・照井伸彦・吉田浩・渡辺一生

書名:サービス・イノベーションの新展開

単・共の別:共著(担当部分は単著)

発行年月日:2010年3月1日

発行所名:東北大学大学院経済学研究科サービス・イノベーション人材育成推進プログラム編

総頁数:240

担当部分:105~128頁「第4章マネジメント・サイエンスの概説と意思決定支援の具体例」

概要:「第4章マネジメント・サイエンスの概説と意思決定支援の具体例」の章(計24頁)を分担執筆。マネジメント・サイエンスの概要を、大学院レベルとしてわかり易い内容で記述した。そして、意思決定支援の具体的例題について詳しく解説を示し、論じた。


[学術論文]

著者名:杉山学

題名:データ包絡分析法によるJR と大手私鉄の事業活動効率比較―Inverted DEA/ウィンドー分析によるJR 旅客各社の推移―

発行年月日:2010年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:17

頁:47~69

概要:本研究は、国鉄の分割・民営化から今年で22年が経過し、本当にJR は国鉄時代の事業活動から、大手私鉄並みの事業活動に改善されたかを、データ包絡分析法(DEA)の諸手法を用いて実証的に検証、評価することが目的である。これにより、国鉄の分割・民営化に対する本来の目的が達成されたかを議論でき、一連の政策決定が妥当なものであったかを議論する上で、重要な資料を提示できると考える。第3報である本論文では、第1報の論文「データ包絡分析法によるJR と大手私鉄の事業活動効率比較のための時系列業績データ基礎分析―各種業績データに基づくJR 旅客各社の推移―」で示された鉄道事業者の事業活動に対する効率性評価の枠組みを用い、第2報の論文「データ包絡分析法によるJR と大手私鉄の事業活動効率比較―DEA/ウィンドー分析によるJR 旅客各社の推移―」に対応して、Inverted DEA のヴァリエーションの中のInverted DEA/ウィンドー分析を適用して、本格的にJR 旅客各社と大手私鉄の事業活動を時系列的に非効率性評価を行い、実証的に検証し、考察を行った。


[研究報告書]

共著者名:石川真一・寺石雅英・中島照雄・杉山学・北村純・柿本敏克

書名:群馬大学社会情報学部研究プロジェクト「持続可能な社会の構築のための社会情報学的研究」総括報告書

単・共の別:共著(担当部分は単著)

発行年月日:2009年3月

発行所名:群馬大学社会情報学部「持続可能プロジェクト」運営委員会編

総頁数:60

担当部分:30~43頁「4.規制緩和と経営の効率化」

概要:群馬大学学長裁量経費により5年間にわたって実施した研究プロジェクトのうち、杉山が担当した箇所の研究について、第4章にて「規制緩和と経営の効率化」という題目で研究成果を報告した。具体的には、実際に規制緩和が行なわれ、民営化、自由化などが実施された後、経営の効率化がなされたかを、いくつかの実証分析をもとに報告し、まとめた。


[講演]

講演者名:杉山学

題名:総合評価手法① ~AHP~

開催年月日:2010年7月22日

講演会名:平成22年度群馬大学公開講座「マネープラン養成講座(企業・産業分析スキル)」

開催場所:群馬大学サテライト高崎

概要:平成22年度群馬大学公開講座として、「総合評価手法① ~AHP~」という題目の講演を行った。具体的な内容として、総合評価をして合理的な意思決定支援を行う階層分析法(Analytic Hierarchy Process:AHP)を、身近な例題の意思決定に用い、合理的に結論を導き出す解説を行った。


[講演]

講演者名:杉山学

題名:総合評価手法② ~DEA~

開催年月日:2010年7月29日

講演会名:平成22年度群馬大学公開講座「マネープラン養成講座(企業・産業分析スキル)」

開催場所:群馬大学サテライト高崎

概要:平成22年度群馬大学公開講座として、「総合評価手法② ~DEA~」という題目の講演を行った。具体的な内容として、総合評価をして合理的な意思決定支援を行うデータ包絡分析法(Data Envelopment Analysis:DEA)を、身近な例題の意思決定に用い、合理的に結論を導き出す解説を行った。

情報法研究室

[公表論文]

著者名:松宮広和

題名:近時のアメリカ合衆国における情報サービス規制をめぐる議論について―ケーブル事業者であるComcast Corporationによるエンド・ユーザーのP2P トラフィック/通信量の遮断が提起する問題に対するFCC の判断を中心に―

単・共の別:単著

掲載紙名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第17巻

発行年月日:2010年3月31日

頁:71~111

要旨:アメリカ合衆国のブロードバンド政策においては、近時の合衆国最高裁判所判決及びFCC による規制緩和によって、ケーブル・モデム・サービスを含むブロードバンド・インターネット・アクセス・サービスが、連邦通信法第I編のもとで、より緩やかな規制にもとづく情報サービスとして規制されることが確定した。しかし、「ネットワークの中立性」をめぐる議論の活発化とともに、FCC が、情報サービスのプロバイダーに対して、如何なる法的根拠のもとで、如何なる範囲で規制権限を行使し得るかという問題が、顕在化してきた。筆者は、本稿で、ケーブル事業者であるComcast Corporationによるエンド・ユーザーのP2P トラフィック/通信量の遮断の終了を命じたFCC の判断を中心に、当該問題に対する検討等を行った。


著者名:松宮広和

題名:利益供与による拘束[資生堂再販事件]

単・共の別:単著

掲載紙名:経済法判例・審決百選[№ 199]

号数:別冊ジュリスト199号

編者名:舟田正之/金井貴嗣/泉水文雄

出版社名:有斐閣

発行年月日:2010年4月30日

頁:150~151

要旨:独占禁止法2条9項4号((旧)(昭和57年)一般指定12項)は、再販売価格維持行為を禁止する。本稿では、当該行為の「拘束」の要件について、(1) 当事者の交渉過程の全体を捉えて、従前の審決及び「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(平成3年7月11日平成17年11月1日改正/以下「指針」)の例を超えて、「暗黙の合意」による再販売価格維持の成立が認定されたこと、(2) サンプルの提供又は販売促進の支援という経済上の利益の供与(指針第2部第一2(2)②(例)b)が、再販売価格維持のための人為的手段として認定されたこと、及び⑶ 取引先小売業者全体ではなく、個別の2社に対する行為をもって「拘束」に該当すると判断されたこと、において画期的な意義を有する、所謂「資生堂再販事件」(平成7年(判)第3号審決集42巻97頁)についての解説を行った。


著者名:松宮広和

題名:近時の米国における大型通信合併について

単・共の別:単著

掲載紙名:日本経済法学会年報

号数:第31号通巻53号2010年

出版社名:有斐閣

発行年月日:2010年9月25日

頁:109~122

要旨:筆者は、日本経済法学会2009年大会において、個別報告担当者の1人として標記と同名の学会報告を行った。本稿は、紙幅の都合上、当該大学での個別報告の概要を記したものである。その詳細については、[研究会発表]の項目に記した、当該学会報告に関する記載を参照のこと。


[翻訳・編集等]

研究代表者名:松宮広和

報告書:(財)放送文化基金平成20年度助成・援助金研究題目「放送類似のメディア・サービスが普及する状況下における放送事業規制に対する経済法・産業法的視点を含む再検討―特に事業者に対する規制の非対称性の問題を中心に―」(平成21年度)報告書

単・共の別:単独

報告年月日:2010年7月

研究支援者:(財)放送文化基金

概要:筆者は、(財)放送文化基金の支援を得て、平成21年度に、前記の研究に、研究代表者として従事してきた。近年のインターネット、更にブロードバンド・サービスの発展は、従来は電磁波の周波数のライセンス等を根拠とする厳格な規制に服する放送事業者によって提供されてきた放送サービスに類似のメディア・サービスが、放送事業者のみならず、当該サービスを専業とするIT 事業者及び非営利団体等によっても提供される状況をもたらしてきた。本研究は、放送類似のメディア・サービスが普及する状況下における放送事業規制のあり方について、特に当該サービスの発展が著しい近時の米国における状況を参考に、経済法・産業法的視点を含む再検討を行うことを目的とする。本研究では、表現の自由との関連で従来から行われてきた憲法学的視点のみならず、国営放送局や公共放送局のみならず私企業を含む事業者が競争する市場との関連で、これらのサービスを提供する事業者間に存在する規制の非対称性の問題を中心に、経済法・産業法的視点からも再検討を行った。そして、既存の放送サービス及び放送類似のメディア・サービスに対して将来的に如何なる規制が課されるべきか、及びそれらの規制が如何なる範囲の事業者に対して課されるべきか、という問題を明らかにすることを試みた。本研究は、近い将来に我が国で予定されている通信・放送法制の統合化に際して有用な材料を提供することが期待される点に、その意義を有する。本報告書は、これらの研究の実施状況について記載したものである。


研究代表者名:松宮広和

報告書:科研研究題目:「次世代のネットワークが通信・放送の融合法制の実現に与え得る影響について」(若手研究(B))(平成21年度)報告書

単・共の別:単独

報告年月日:2010年4月

研究支援者:独立行政法人日本学術振興会

研究期間:平成21(2009)年4月~平成22(2010)年3月

概要:標記と同名の科研研究に、研究代表者として従事してきた。その詳細については、[研究活動その他]の項目に記した、当該科研研究に関する記載を参照のこと。平成21(2009)年度は、特に、(1) 「次世代のネットワーク」(以下「NGN(s)」)を経由してサービスを提供することが想定される電気通信事業者に対する規制のあり方、及び(2) NGN(s)を経由して提供されるものを含む「情報サービス」に対する規制のあり方、に関連する研究に従事し、その研究成果の一部を公表した。本報告書は、これらの研究の実施状況について記載したものである。


[研究会発表]

報告者:松宮広和

題名:近時の米国における大型通信合併について

単・共の別:単独

研究会名:日本経済法学会2009年大会において、個別報告担当者の1人として報告。

報告年月日:2010年10月17日

概要:本学会報告は、会員の1人として参加した、日本経済法学会2009年大会において、個別報告の1つとして行われたものである。インターネット通信の発展、特に、近時のブロードバンド・サービスの普及は、アメリカ合衆国の1996年電気通信法の起草者による想定とは必ずしも一致しない形で、情報通信産業に多大な影響を与えてきた。当該報告では、近時の情報通信市場における大幅な競争環境の変化がもたらした、地域Bell電話会社と大規模な長距離通信事業者との合併である、SBC Communications Inc. とAT&T Corporationとの合併、Verizon Communications Inc. とMCI,Inc. との合併、及びそれらに続いて発生したAT&T Inc. とBellSouth Corporationとの合併という3つの大型通信合併、並びにそれらに対する連邦の当局による合併審査に対する検討を行った。そして、(1) (特に固定系の通信サービスに関するものを中心とする)所謂「1996年電気通信法以後」の通信政策の事実上の形成、(2) 米国における連邦の競争当局であるDOJと州際通信事業及び放送事業に対する規制当局であるFCC との間の協調及び規制権限の行使のあり方、並びに(3) 「ネットワークの中立性」及び「有線(通信)と無線(通信)との収束/融合」(Fixed Mobile Convergence/FMC)に関連するものを中心とする、近い将来における政策的課題、についての考察、解説及び質疑応答を行った。


[研究活動その他]

研究代表者名:松宮広和

研究題目:科研研究題目「次世代のネットワークが通信・放送の融合法制の実現に与え得る影響について」(若手研究(B))(平成21年度~23年度)

研究支援者:独立行政法人日本学術振興会

研究期間:平成21(2009)年4月~

概要:上記の科研研究に、研究代表者として従事している。本研究は、近時にその実現に向けて検討が開始された通信・放送の融合法制のあり方についての研究の一部に位置付けられる。近い将来に情報通信の領域において重要な役割を果たすであろう「次世代のネットワーク」(NGN(s))が、レイヤー型の通信・放送の融合法制の実現に与え得る影響について、特にレイヤー型規制の導入に際して最大の課題となることが予測され、将来的にNGN(s)を経由して提供されるであろう「放送類似のメディア・サービス」及びそれに対する規制のあり方を中心に追求することをその目的とする。より具体的には、(1) 各国におけるNGN(s)及びそれに対する規制の現状又は将来的展望、(2) 近時にはインターネットに代表される各種のネットワークを経由して提供される様になってきた、既存の「放送サービス」に類似する「放送類似のメディア・サービス」及びそれに対する規制の各国における現状、並びに(3) 将来において、当該サービスが特にNGN(s)を経由して提供される場合に発生し得る問題及びそれに対する政策のあり方、の3つを中心的課題として、融合法制の実現に貢献し得る成果の獲得を目指す。平成21(2009)年度は、当該研究題目に関連する研究に従事した。

行政法研究室

[学術論文]

著者名:西村淑子

題名:条例制定行為の処分性

発行年月日:2010年1月

掲載誌名:訟務月報

巻号数:第56巻第1号別冊

頁:90~104

概要:最高裁平成21年11月26日第一小法廷判決・民集63巻9号2124頁は、市立保育所を廃止する条例の制定行為について、抗告訴訟の対象となる行政庁の処分に当たると判示したものであり、これは、条例制定行為の処分性を認めた初めての最高裁判決である。本稿では、条例制定行為の処分性の有無に関する判断基準を検討するとともに、本判決の意義と射程を検討した。


著者名:西村淑子

題名:県警本部県外出張旅費住民訴訟事件

発行年月日:2010年1月

掲載誌名:平成20年度行政関係判例解説

頁:17~26

概要:最高裁平成20年3月17日第一小法廷判決・判夕1267号152頁は、市民オンブズマン組織が平成6年度及び平成7年度における宮城県警本部の県外出張旅費の支出について、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、上記旅費を受領した職員に対し宮城県に代位して損害賠償を求めた事案である。本稿では上記「正当な理由」の有無の判断基準について検討した。


[講演]

講演者名:西村淑子

題名:地球温暖化に関する法と訴訟

開催年月日:2010年9月25日

講演会名:平成22年度群馬大学公開講座

開催場所:群馬大学社会情報学部106講義室

概要:「地球市民講座~地球温暖化への挑戦~」において、現在検討中である温室効果ガスの国内排出量取引制度や近時注目されているJ-VER 制度について検討し、また、アメリカにおける温暖化に関する訴訟について紹介した。