働きながら学ぶ
小菅 貴行(2019年度修了生)
1.大学院進学を決めた理由
私は学部生時代から海外で仕事をしてみたいと考えており,社会人になってからは念願かなって商社や医療機器メーカーで香港や中国に赴任し,日本製品の販売促進活動や,現地での工場の設立,あるいは撤退業務に携わってきました。現在は帰任し,ものづくり企業を統括するコーポレート部門で経営企画や子会社管理を中心とした業務を行っているのですが,実務上の難しい課題に直面し,マネージャーとして意思決定を求められる場面が増えてくる中,経営学,とりわけ会計という切り口で学術的な理論を学び,実務に生かすことができれば,と考えたのがそもそもの大学院進学のきっかけです。
進学をするにあたり,東京にある有名大学のビジネススクールも検討しましたが,社会情報学研究科の入試説明会に参加した際,経営学を専門とされる先生から大学院での学びや研究内容についてお話を伺い,自分が抱えている実務的課題についての先生とのディスカッションの中で自分が納得ゆくかたちで大学院での研究テーマを引き出していただき,入学前に
大学院での研究イメージをおぼろげながら描くことができたことが,社会情報学研究科を選ぶ決め手となりました。
2.研究テーマ
企業活動における意思決定問題について研究をしています。企業は一義的には営利を目的とした活動をしているので,理屈としては経済合理的であるはずです。しかしながら,実際の企業活動を行い,観察していると,必ずしもそうではない場面に出くわすことがあります。それはなぜなのかを突き詰めて考えてゆくと,ただ単に財務理論や会計の数字として測定できる範囲を超え,人間やその人間で構成される組織の心理が意思決定に影響を及ぼしていることが分かります。このような意思決定のメカニズムと会計情報の利用について,インタビュー調査や統計データを使い実証的に説明しようと試みています。
3.大学内外での生活
私の場合,社会人であることから,生活の中心は仕事です。おのずと研究に費やせる時間には制約があります。そのため平日のすきま時間や週末を有効に利用し,先行研究のレビューやフィールドワーク,修士論文の執筆をおこなっています。ときに研究に行き詰まることもありますが,指導教官による論文指導のみならず,社会学や数理科学の先生などに相談し,アドバイスをいただくことも少なくありません。また,研究室の仲間,公認会計士や他大学院生とのインカレのゼミや勉強会など様々なバックグランドを持った方との交流の機会があり,ゼミのあとの世代を超えた飲み会も楽しみのひとつとなっています。
2019.6