結果

1種子発芽実験
 30℃/15℃の高温条件では、水上で採取した種子の最終発芽率は10.7%であったのに対し、前橋で採取した種子の最終発芽率は44.7%であった。15℃/7℃の低温条件では水上で採取した種子の最終発芽率は80.7%で、前橋で採取した種子の最終発芽率は84.7%であった。高温、低温ともに前橋で採取した種子のほうが最終発芽率が高かった。(図1−1図1−2表1−1表1−2

2生存率の季節的推移
 水上の調査地におけるオオブタクサの生存率は10月末に13.4%であったのに対し、伊勢崎の調査地における10月末のオオブタクサの生存率は5.7%だった。水上の調査地では8月、9月に生存率が大きく下がったのに比べ、伊勢崎の調査地では6月、7月、8月の生存率の低下が著しかった。(図2−1表2−1表2−2
 6月2日の伊勢崎の調査地におけるオオブタクサの芽生え密度は1m2あたり200個体で、5月14日の水上の調査地におけるオオブタクサの芽生え密度は1m2あたり427個体だった。1m2あたりの個体群密度は時間の経過とともに低下し、10月末には伊勢崎の調査地は11個体、水上の調査地は57個体であった。(図12

3生長様式
 水上の調査地のオオブタクサと大学構内で栽培したオオブタクサのバイオマスがほぼ同様の推移をした。一方、伊勢崎の調査地のオオブタクサのバイオマスは調査開始時から1.7gもあり、すでに水上および大学構内のオオブタクサのバイオマスの0.097gを大きく上回っていた。そして、時間の経過とともにバイオマスの絶対値の差は拡がり、最終的には10月末に水上の調査地のオオブタクサが33.3g、大学構内のものが39.2gであったのに対し、伊勢崎の調査地のオオブタクサのバイオマスは130.4gにもなった(図3−1表3−2表4−2表5−2)。
 大学構内で栽培したオオブタクサのLARは7月、8月頃に上昇し、0.013(m2/g)を記録したが、以降は徐々に低下した。水上の調査地のオオブタクサは調査開始当初の6月頃が一番高く、0.0095を記録し、以降は低下を続けた。伊勢崎の調査地のオオブタクサは調査開始当初の6月頃の値が最も高く、0.015を記録し、以降は急激に低下し、最終的には0.0061まで落ちた(図4表3−1表4−1表5−1)。
 NARは大学構内で栽培したオオブタクサ、水上の調査地のオオブタクサともに7月〜8月頃まで低下して大学構内のものは2.8(g/ m2/day)、水上の調査地のものは4.3まで落ち、その後は9月頃まで上昇した。一方、伊勢崎の調査地のオオブタクサは調査開始当初の6月頃に10.5と最も高かったが、8月頃には1.4まで激減し、その後は上昇した(図5表3−1表4−1表5−1)。
 RGRは大学構内で栽培したオオブタクサ、水上の調査地のオオブタクサともに6月〜9月頃にかけて0.060〜0.035(g/g/day)の間を推移したが10月頃に急激に低下し大学構内のものは0.013、水上の調査地のものは0.016まで下がった。一方、伊勢崎の調査地のオオブタクサは調査開始当初の6月頃に最も高い0.14を記録するが、7月頃に0.022まで激減し、その後は大きな変化はなく一定した(図6表3−1表4−1表5−1)。
 種子生産数とバイオマスの関係は、伊勢崎の調査地において、種子生産数が最大の個体が1211個の種子を生産し、バイオマスは146.7gだった。種子生産数が最小の個体は71個の種子を生産し、バイオマスは42.4gであった。水上の調査地において種子生産数が最大の個体は418個の種子を生産し、バイオマスは57.8gだった。種子生産数が最小の個体は12個の種子を生産し、バイオマスは10.3gだった。大学構内で栽培したものは、種子生産数が最大の個体が749個の種子を生産し、バイオマスは69.7gだった。種子生産数が最小の個体は65個の種子を生産し、バイオマスは32.8gであった。
 1m2あたりの種子生産数を算出したところ、伊勢崎の調査地は5730個、水上の調査地では7171個であった。
 水上、伊勢崎の両調査地における気温測定の結果、6月中は1日の最低気温は水上の調査地の方が低いものの、最高気温は水上、伊勢崎の調査地間に大きな差はみられなかった(図14)。しかし、7月にはいると伊勢崎の調査地では1日の最高気温の上昇し、水上の調査地の最高気温との差が拡がっていった(図15)。8月においても7月と同様に最高気温の差は大きかったが、下旬には差が小さくなった(図16)。9月下旬から10月下旬にかけては水上の調査地の気温が急に低下し始め、伊勢崎の調査地における1日の最高気温との差がまた拡がった(図17図18)。
一方、1日の最低気温は7月、8月中はやや拡がったものの、1日の最高気温の差ほど大きく拡がらなかった。
 水上と伊勢崎の調査地における6月〜10月までの月毎の平均気温をみると、常に伊勢崎の調査地における気温の方が高かった(表6−1表6−2)。また、両調査地間の平均気温の差が最も小さかったのは6月で、2.6℃の差があった。一方、最も差が大きかったのは7月で、4.2℃の差があった。

4発芽日の推定
 伊勢崎の調査地のオオブタクサの発芽推定日は2001年2月1日、水上の調査地のオオブタクサの発芽推定日は2001年4月10日だった。

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