小竹裕人

小竹裕人(こたけ・ひろと)准教授

小竹裕人 准教授
  • 出身地: 東京都
  • 最終学歴/学位: 経済学修士,博士課程満期退学
  • 研究室: 社会情報学部棟503
  • 所属学会: 公共選択学会,日本計画行政学会,日本経済政策学会,日本社会情報学会(JSIS),日本社会情報学会(JASI)
  • 専門分野: 公共政策論, 政策評価, 地域の合意形成と公共部門
  • 担当科目: 政策情報論,公共政策論,公共システム特論,シミュレーション論,マルチメディアⅠ,社会情報学A,情報処理入門
  • 個人ページ: http://hir.si.gunma-u.ac.jp/kokyo/

現在の研究テーマ

  • 政策・政策評価に関する研究, 公共部門の効率化方策の研究および両者の実践
  • 市民ニーズを基本とした政策立案過程, 官僚・政治家の行動様式を踏まえた政策論の研究
  • ワークショップをはじめとしたPI手法と政策形成の関係に関する研究

専攻分野・研究内容紹介

公共サービスと環境変化

公共政策を考えるときに公共サービスは避けて通ることはできません.

公共サービスとは何でしょうか?最初にイメージするのはゴミ収集サービスでしょうか,それとも役所が供給するサービスすべてでしょうか?

そもそももうかるようなサービスであれば公共部門で供給する必要はありません.それは民間企業に任せておけばいいことです.公共サービスは採算をとることが難しいもので,さらに付け加えて言えば,ゴミ収集サービスのように,あって当たり前,なければ困るというものです.そのため,市民からはその恩恵はなかなか正しく認識されることはありません.

一つ例をあげましょう.誰が道路をつくっているのでしょうか,維持・補修費用は誰が負担をしているのでしょうか?道路はタダで維持することはできませんからその費用は税金から捻出されることになります.公共部門が適切に道路をつくり管理してしてきたという認識が最近崩れつつあります.市民ニーズを無視して道路をつくっているのではないか?とか,政治家の圧力に負けて利益誘導のために地元に道路をつくっているのではないか?という疑いが投げかけられています.

こういった批判に対して,市民を巻き込み適切に道路をつくり・ 管理していく手法が増加しています.「道路をつくる」つまり公共サービスを供給するに当たっては,市民ニーズを把握し,市民参加型で計画を考えていくと同時に,市民が政策について理解・学習・討議できる環境作りが必要となっています.

研究者を目指したのは疑問・私憤から

研究者になろうとしたきっかけは,身内に文系・理系双方の大学教員がいたということもありますが,何よりも次のような疑問・私憤があったからです.それは東京で生まれ育った自分にとって,「東京で集められた税金が地方へ流れていくのはなぜなのか」ということです.東京は経済活動の場だけではなく生活の場であるはずで,生活者の視点に立つと「渋滞や排気ガスを改善させるような公共投資がもっと行われるべきではないか」と思っていました.小中高の通学時に骨折しそうな混み具合のラッシュを体験していると,さすがにこういう考え方にもなります.そのためデータから東京への投資額を客観的に算出したり,国からの補助金の効果についても研究を行ってきました.こういった疑問(私憤)があったからこそ研究を続けることになったと言えます.大学卒業時に,身内の健康上の理由でいったんは民間企業に就職しましたがこういった疑問・私憤が強かったため,また研究の世界に戻ったわけです.

効果的な政策立案をめざして

群馬大学に赴任し初めて地方での生活を体験すると,東京は異常であること,東京の「引力」がとてつもなく強力であったことに気づきます.多くの人的資源は東京に吸収され,商品やサービスを購入すると,そのお金は地元ではなく東京へと吸収されていくのです.確かに地方からの人的資源や物やサービスの供給なしに東京は成り立ち得ません,だからといって地方は東京から移転された税金をもとに安穏としていられる状況ではありません.三位一体の改革が徐々に進んでいきますので,年々地方は公共部門の予算が減り財政的に厳しい状況です.地方が少ない資金で政策を効率的に進めるためには,効率的な運営とともに市民の協力が不可欠となっています.市民でできることは市民が,市民ができないことは公共部門がという具合にきちんと役割分担をして行っていくことも必要です.公共部門が市民ニーズをきちんと把握することで市民の理解を得られた公共サービス(政策)は,事後の不要なトラブルを避けることができます.そして市民の理解があれば政策の効果も高まることが期待できるでしょう.市民ニーズに整合的で市民の理解をベースにした政策立案という理想を目指して理論モデルの構築にチャレンジするとともに,理論と現実との整合性を高めるべく研究室で悩んでいます.