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社会情報学研究センター

研究活動の要旨(2009年度)

情報行動学科

歴史情報論研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:落合延孝

題名:植栗村「抜書記録」の史料紹介

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

発行年月日:2009年3月

巻号数:16巻

頁:217~237

概要:本稿は上野国吾妻郡植栗村(東吾妻町)で百姓代を務めた関市三郎真武(1816-1875年)が書き留めた「抜書記録」(関緑家文書)を翻刻したものである。記録の内容は、村や地域の歴史、江戸幕府の諸政策や触、凶作、ひでり、干ばつ、飢饉、地震、洪水などの災害情報、吾妻郡の生活世界の変遷、山論裁許絵図面や文書の管理などである。


著者名:落合延孝

題名:書評

掲載誌名:歴史評論

発行年月日:2009年9月

巻号数:713号

頁:95~99

概要:須田努『イコンの崩壊』(青木書店)を「戦後歴史学」の影響を受けた団塊世代の一研究者の立場から書評した。


[著書]

著者名:落合延孝

題名:近世の戦争

書名:戦争と群馬、共著

発行所名:みやま文庫

発行年月日:2008年11月

頁:95~119

概要:上州における幕末の政治状況と戊辰戦争について、動員される民衆に焦点を当てて考察した。


[学会等での講演]

発表者名:落合延高

題名:「世間」と日本社会

講演会名:社会情報学部創設15周年記念シンポジウム「ネットは日本社会をどう変えたか」

発表年月日:2008年10月4日㈯

開催場所:群馬大学ミューズホール

概要:阿部謹也の「世間」論を通して、高度経済成長以前の日本社会の個人、共同体、国家の関係について報告した。


発表者名:落合延高

題名:幕末を旅した男

講演会名:2008年度群馬大学地域アカデミー

発表年月日:2008年10月29日㈬

開催場所:群馬大学伊香保研修所

概要:森村新蔵(1794-1874年)が記録した「北国見聞記」「西国見聞記」などの旅日記を通して、幕末の庶民の旅を具体的に考える。


発表者名:落合延高

題名:『忘れられた日本人』を読む

講演会名:群馬大学公開講座

発表年月日:2008年11月7・14・21日㈮

開催場所:群馬大学社会情報学部棟202演習室

概要:宮本常一『忘れられた日本人』を読みながら、村寄合などの村の自治の歴史、若者組を中心とした民衆の文化、「世間師」と呼ばれる無名の人々のライフヒストリーを通じて、前代の民衆文化を考えた。


発表者名:落合延高

題名:「ある集落の年代記を読む」

講演会名:放送大学群馬学習センター「土曜フォーラム」

発表年月日:2008年11月15日㈯

開催場所:放送大学群馬学習センター

概要:群馬県中之条町上沢渡の反下集落は、1802年から現在まで200年以上にわたって集落の寄合の記録「永宝年代記」を残している。この年代記を通して、反下集落の200年の歴史を振りかえる。


[ラジオでの講演]

発表者名:落合延高

題名:群馬の歴史コーナー

放送局名:NHK 前橋放送局

放送年月日:2008年10月~2009年9月の毎月第1水曜日

概要:「上州にもあったええじゃないかの動き」(2008年10月)、「伊勢参宮道中記」を読む(11月)、「岩根承成編著『戦争と群馬』(みやま文庫)を読む」(12月)、「湯治と温泉」(2009年1月)、「歴史は積み重なる」(2月)、「板橋春夫『出産』を読む」(3月)、「新田義貞論」(4月)、「森谷健『地域メディアの市民編集の研究―「笠懸公民タイムス」を事例として―』」(5月)、「高崎五万石騒動」(6月)、「高橋道斎と多胡碑」(7月)、「井上定幸「峠を越えた人と物の交流」を読む」(8月)、「幕末維新期における村の治安と自警」(9月)などの話題提供を行った。

外国文化第二研究室

[演奏会パンフレット]

著者名:荒木詳二

題名:アンサンブル・メゾン第23回演奏会パンフレット

発行年月日:2009年7月19日

概要:本パンフレットは横浜みなとみらいホールで2009年7月19日に催された「アンサンブル・メゾン第23回演奏会」鑑賞のためのパンフレットである。エッセイ「ゲーテと音楽」及び「ゲーテの詩による4つの歌曲の訳詞を担当した。訳詞は「静かな海」「魔王」「駆者クロノスに」「ひめごと」

パーソナルコミュニケーション研究室

[著書]

著者名:榎本博明、岡田努(編)、堀正ほか(著)

書名:自己心理学5―パーソナリティ心理学へのアプローチ「文化とパーソナリティ―自己形成における文化の影響」

発行年月日:2008年12月25日

発行所名:金子書房

概要:パーソナリティ形成の問題において文化がどのような役割を果たしてきたかを論じる。


[学術論文]

著者名:堀正

題名:コーチング心理学の展望

発行年月日:平成21年3月

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻号数:16巻

頁:1~12

概要:コーチング心理学が他の研究分野とどのような関係を持ちながら発展してきたか、コーチング心理学の必要性についてまとめた。


[放送大学面接授業]

担当者:堀正

題名:実験・検査から学ぶ心理学

担当年月日:平成21年4月

概要:放送大学群馬学習センターにおいて放送大学履修生を対象に心理学を分かりやすく講義した。

意思決定科学研究室

[学会発表]

講演者名:富山慶典

題名:民主的決定における混合動機問題~発生条件の分析と発生確率の計算、そして別表現~

単・共の別:単

開催年月日:2009年3月8日

発表学会名:第47回数理社会学会(研究報告要旨集、pp.84-87)

開催場所:京都産業大学

概要:Wolffモデルの基本的な部分を受け入れたままで、数値例を変数に置き換え、投票行動に関する仮定をより広く分類して定式化することにより、混合動機問題の発生条件を分析し、その発生確率を計算した。さらに、混合動機問題が「推論的ジレンマ」として書き換え可能であるというBovens(2006)の主張を、その定式化を用いて検証した。


講演者名:富山慶典

題名:公私指数をともなう混合動機問題

単・共の別:単

開催年月日:2009年9月19日

発表学会名:第48回数理社会学会(研究報告要旨集、pp.7-10)

開催場所:北星学園大学

概要:私益を公益より重視する投票者の割合をあらわす「公私指数(public-private index)」を新たに導入することにより、Wolffモデルを拡張し、混合動機問題の発生条件と発生確率を明らかにした。

地域社会学研究室

[科研費報告書]

執筆者:森谷健

題名:地域メディアの市民編集の研究―「笠懸公民タイムス」を事例として―(平成19年度・平

成20年度科学研究費補助金(基盤研究C)(課題番号:19500208)研究成果報告書)

頁数:286

単著・共著の別:単著

発行年月:平成21年3月

概要:近年注目されている市民編集について、インターネットのサイトやブログなどICT 分野ではなく、むしろ歴史的に古い紙メディアに注目し、群馬県笠懸公民館で発行された公民館報を事例とした。その結果、市民編集が60年近く前から存在したことを明らかにし、市民編集が、全国的・地域的な諸要因によって規定されることを明らかとした。


[講演]

講演者:森谷健

演題:地域住民と行政の協働による地域づくり―「つながって」、「つかう」―

開催日:平成21年9月15日

主催:群馬県教育委員会西部教育事務所

講演会名:平成21年度西部地区社会教育研究集会

開催場所:藤岡公民館

概要:群馬県による「NPOと行政による協働に関する指針」の中の公共性や協働の背景について解説し、地域住民について、協働についての理解や認識の変更が求められていることを、実例を挙げ、主張した。


講演者:森谷健

演題:地域づくりを目指した社会教育の推進―県内某公民館の公民館報を事例として―

開催日:平成21年9月16日

主催:群馬県教育委員会利根教育事務所

講演会名:平成21年度北毛地区社会教育委員研修会

開催場所:利根沼田県民局

概要:初期公民館の構想について解説し、県内某公民館における公民館報の事例を取り上げ、公民館が地域づくりの総合的拠点となりうることについて論じた。

舞台表象論研究室

[学会発表]

発表者名:末松美知子

題名:パネル・セッション:「シェイクスピアとメディア」

単・共の別:単

開催年月日:2008年11月16日

発表学会名:2008年度日本演劇学会研究集会

開催場所:群馬県立女子大学

概要:現代の演劇と様々なメディアの関係を、西洋演劇におけるケース・スタディとしてシェイクスピアをとりあげて論じた。担当部分『日英のシェイクスピア上演におけるメディア・ミックスの現状』では、言語を最も重用な構成要素とするシェイクスピア上演において映像メディアがどのような意味を持ちうるのか、その意義と可能性について検証した。


発表者名:末松美知子

題名:Shakespeare Performance Studies in Japan and the Value of A-S-I-A on Traditional Scholarship

単・共の別:単

開催年月日:2009年4月28日

発表学会名:Asian Shakespeare Intercultural Archive (A-S-I-A) Collaborator's Workshop

開催場所:シンガポール国立大学

概要:アジアのシェイクスピア上演アーカイブA-S-I-A の構築プロセスとその活用法を検証する研究集会において、日本の伝統的なシェイクスピア上演研究にA-S-I-A が与える影響と今後のデジタルアーカイブの可能性を論じた。

日本文化研究室

[著書]

編著名:高山利弘、久保勇、原田敦史

書名:校訂延慶本平家物語(十一)

単著・共著の別:共著

発行年月日:平成21年4月30日

出版社:汲古書院

概要:「校訂延慶本平家物語」全12冊中の第11冊。重要文化財「延慶本平家物語」は現存の平家物語諸本中で、書写年次が最古の伝本であるが、書写状態は良好とはいえず、その利用が制約されてきた。本書は「延慶本平家物語」全十二巻のうち巻十一について、原文を厳密に翻刻したものである。翻刻に際しては、本文の清濁を確定し、句読点および難解語句の読みを記し、頭注部分に本文をめぐる注解と問題点を示した。筆者は前半部の本文および巻末付載の年表の作成と全般的な校訂作業を担当した。


[分担執筆]

編著名:栃木孝惟、松尾葦江、執筆者13名

書名:延慶本平家物語の世界

単著・共著の別:共著

発行年月日:平成21年5月30日

出版社:汲古書院

概要:「校訂延慶本平家物語」全12冊の完結に伴い、別巻として企画刊行された書。各巻の梗概および年表、延慶本研究史、用字・異体字一覧等から成るハンドブック。筆者は、巻2および巻7の梗概を担当した。


[研究ノート]

著者:高山利弘

題名:『源平闘諍録』における略述性

単著・共著の別:単著

発行年月日:平成21年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻号数:16巻

頁:166~175

概要:『源平闘諍録』本文の特徴として、先行の『平家物語』のある異本からの略述が指摘されているが、巻一下の巻頭部分について、記録等に直接依拠して本文が作られていることを、依拠資料がかかえる叙述の不備がそのまま反映されている点を論拠として指摘した。

社会倫理研究室

[学術論文]

著者名:山内春光

題名:連続幼女誘拐殺人事件・試論―宮﨑にとっての幼女の意味―

発行年月:2009年3月

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻号数:16巻

頁:13~25

概要:1988~89年の連続幼女誘拐殺人事件について、犯人宮﨑勤において4人の幼女を誘拐・殺害してもよいという判断はなぜどのようなものとして下されたのかという視点から、特に第一の被害者A子殺害に至るまでに焦点をあてて考察した。宮﨑の中では幼女との出会いにおいて、自分の手首の障害を知らない幼い頃の「甘い世界」への立ち帰りが望まれていたこと、等を指摘した。

理論社会学研究室

[学術論文]

著者名:伊藤賢一

題名:消費社会論の存立構造―Ritzer再魔術化論をめぐる考察―

発行年月日:2009年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:16巻

頁:27~37

概要:G.Ritzerの脱魔術化論は、なぜ人々が合理化されたサービスシステムに魅了されるのかを説明しようとするもので、一種の消費社会論とよべるものである。彼の議論はいくつかの重要な指摘にもかかわらず、誤った前提に基づいている。さらに、消費者の主体性の欠如を問題視するタイプの消費社会論が直面せざるを得ない問題にも直面している。
本論文は、Ritzerの議論がどこで誤ったかを明らかにするとともに、消費社会論を論じる際の基準について考察するものである。


[学会発表]

発表者名:伊藤賢一

題名:群馬県内中学校・高等学校における指導の現状―「携帯電話等の利用状況に関する調査」より―

開催年月日:2009年9月13日

発表学会名:2009年日本社会情報学会(JSIS & JASI)合同研究大会

開催場所:新潟大学

概要:ワークショップ「青少年の携帯電話等の使用に関する現状と課題」の一環として行ったもの。群馬県教育委員会の協力を得て2008年12月~2009年1月に行った「携帯電話等の利用に関する学校調査」の結果を報告したもの。


[指定討論者]

発表者名:伊藤賢一

題名:シンポジウム社会学的理論構築における承認論の可能性―テイラーとホネットの対話から

開催年月日:2009年9月20日

発表学会名:日本社会学理論学会第4回大会

開催場所:千葉大学

概要:明戸隆浩氏(東京大学大学院)のテイラー理論に関する報告、ならびに出口剛司氏(明治大学)のホネット理論に関する報告に対するコメントを行った。


[調査報告書(分担執筆)]

執筆者名:伊藤賢一

題名:県民世論調査による県民意識の把握と分析

共著者名:石垣光広、伊藤賢一、犬塚元、小田川浩道、小竹裕人、後藤岳、森谷健

発行所名:上毛新聞社・群馬大学社会情報学部

発行年月日:2009年3月31日

分担執筆の頁:3~8

概要:上毛新聞と共同で行った県民世論調査の報告書。「生活時間」「暮らし向き」「生活の豊かさ」を担当した。


執筆者名:伊藤賢一

題名:モバイル・インターネットの進展と親密圏の社会的変容に関する総合的研究2008年度

調査研究報告書

共著者名:伊藤賢一、河島基弘、黒須俊夫、下田博次

発行所名:群馬大学社会情報学部

発行年月日:2009年5月

分担執筆の頁:5~22、25~31、35~42、48~53

概要:群馬大学教育研究改革・改善プロジェクトとして行った研究成果報告書。「携帯電話等の利用状況に関する群馬県学校調査」「ヒアリング調査(石川県野々市町、新潟県妙高市)」「韓国KCSC との合同研究報告―日本からの報告⑴」を担当した。


[その他]

執筆者名:伊藤賢一

題名:「非正規」以外に影響も

掲載紙名:上毛新聞

掲載年月日:2009年1月1日

概要:前年11月に行われた県民世論調査の結果に対して論評したもの。今回調査では生活が「苦しくなった」と答えた対象者が前年調査よりもさらに増えており、不況の影響がすでに県民生活に影を落としていることを指摘した。


執筆者名:伊藤賢一

題名:視点オピニオン21

掲載紙名:上毛新聞

掲載年月日:2008年10月28日

概要:上毛新聞に毎日掲載される「視点オピニオン21」の委員として、およそ2カ月に1回の割合で文章を執筆したうちの、最後の回。タイトルは「『世間』型の日本―ネット上に『社会』を」


[その他(講演)]

講師名:伊藤賢一

題名:土曜フォーラム―高度情報社会を考える

主催者:放送大学群馬学習センター

開催年月日:2009年7月18日

開催場所:放送大学群馬学習センター

概要:放送大学群馬学習センターからの依頼によるもの。高度情報社会という概念の由来や問題点について、社会学・情報社会論の立場から解説した。


講師名:伊藤賢一

題名:子どものケイタイ・インターネット利用―県子育連調査と諸調査から―

主催者:社団法人群馬県子ども会育成団体連絡協議会

開催年月日:2009年9月6日

開催場所:群馬県青少年会館

概要:平成21年度群馬県子ども会育成関係者研究協議会の基調講演。社団法人群馬県子ども会育成団体連絡協議会からの依頼で行ったもの。同協議会が実施した「現代の子育てと地域社会活動の参加等についての調査」の分析結果や他の調査結果から見えてくる、子どもとインターネットの問題について解説した。


[その他(ゲストコメンテータ)]

コメンテータ名:伊藤賢一

題名:ニュースジャスト6 ニュースウォッチ

放送局名:群馬テレビ

放送年月日:2009年4月~9月

概要:群馬テレビの夕方6時からのニュース番組で、「その時々のニュースを読み解く」コーナーにゲストコメンテータとして月1回出演。各回の話題は「ネットいじめから子どもを守るには」(4月12日)「自殺者を減らそう!」(5月22日)「若者の読書離れ」(6月18日)「いしかわ子ども総合条例改正が問いかけるもの」(7月16日)「世帯収入と子どもの学力」(8月12日)「レジ袋有料化に向けて」(9月7日)。

公共政策研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:小竹裕人

題名:消費者と良好な関係を構築するために

掲載誌名:農林中金総合研究所「農中総研情報」

発行年月日:平成21年3月

巻数:2009年3月号

頁:10~11

概要:ブランド機能を整理し、農産物に地域名やニックネームをつけるような従来の地域ブランドの手法ではなく、岡崎(2006)が提唱するような地域全体のブランド構築を展開することが必要で、さらには群馬県川場村と東京都世田谷区の事例から、地域ブランドを持続可能とするために固定客を継続的に確保するモデルを提唱した。(http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/nri0903ki1.pdf ネット上では雑誌名称が「調査と情報」となっているが印刷物の名称は「農中総研情報」である。)


[社会的活動(講演等)]

講演者名:小竹裕人

題名:市民と行政で一緒に考えていこう~住民エゴから市民ニーズそして協働へ~

開催年月日:2009年5月17日

主催者:富岡市NPO法人くらし&地域づくりサポーターズ

開催場所:富岡市生涯学習センター

概要:市民ニーズと政策の乖離が叫ばれて久しい。市民ニーズに行政が的確に応えるために、市民側には、住民エゴではなく多様な市民ニーズを比較考量し調整の結果としての市民ニーズを行政に求めていくこと、行政側には市民と協働する際には費用節減を目的とした関係にならないよう注意する必要があることを指摘した。


[社会的活動(委員会)]

題名:群馬県「公共施設のあり方検討委員会」副会長

開催年:2009年

主催者:群馬県総務課

概要:県有施設を対象にその存続の是非・運営方法などについて検討する委員会。副会長として参加し、公共サービスのあり方という観点から意見した。


題名:群馬県協働推進会議アドバイザー

開催年:2009年度

主催者:群馬県NPOボランティア課

概要:群馬県庁内で協働をすすめるために部局長を集め行われている会議にアドバイザーとして参加し意見した。


題名:群馬テレビ「放送番組審議会」会長

開催年:2009年

主催者:群馬テレビ

概要:群馬テレビで放送される番組の内容について審議する委員会において会長を務めている。


題名:群馬県都市計画課公園等選定委員会委員長

開催年:2009年

主催者:群馬県都市計画課

概要:群馬県公立公園、群馬の森の指定管理者の選定を委員長としてとりまとめた。

意思決定支援研究室

[学術論文]

発表者名:Atsushi IWAI, Hiromu MASAKI, Yosuke YOSHIZAKI

題名:A Design for a Document Evaluation System Allowing Critical Evaluation with Ordered Discussion

発行年月日:2009年3月18日

掲載誌名:IMECS2009 (International Multi-Conference of Engineering and Computer Scientists 2009) Proceedings, Vol.1

頁:324~329

概要:本研究では、文献評価システムの設計案として、批判的評価の発信支援とともに自律的な秩序維持の支援も行う設計法を提案した。プロトタイプシステムを構築し、実現性を検討した。


発表者名:岩井淳

題名:議論の収斂プロセスの動的変更が可能な匿名型予算決定支援システムの開発

発行年月日:2009年5月18日

掲載誌名:科学研究費補助金研究成果報告書(課題番号18700246)

概要:「集団思考による意思決定の質の低下」の問題を抑制するため、匿名保証型DSS が提案されている。本研究では、匿名保証型DSS 構築で課題として残されていた収斂支援機構のインプリメントを行い、予算案の作成プロセスで収斂過程が改善するか否かを「多数の代替案や反対案が洗練された少数案となるか否か」の視点から実証的に確認した。技術的には、当初目標とした議事プロセスの動的変化への対処だけでなく、議事規則の動的変更にも対応できる枠組みを構築した。


発表者名:Linda MARUSIC, Atsushi IWAI

題名:A Web-Based Approach to Improve the Learning Environment of Japanese in Slovenia

発行年月日:2009年9月30日

掲載誌名:Journal of Socio-Informatics (The Japan Association for Social Informatics:JASI and The Japan Society for Socio-Information Studies:JSIS)Vol.2, No.1.

頁:53~68

概要:本研究ではスロヴェニアの事例から、独自言語をもつ欧米の小規模国家が日本語の学習環境を整える際の問題点を整理し、暫定的改善策として情報システムを用いた学習支援環境の構築を提案した。またプロトタイプシステムを作成し、実現性を検討した。提案方法は利用サイトとして代表的な1サイトを立ち上げるという意思決定の手続きを含む点に特徴がある。また、提案方法はスロヴェニアと同様の問題をもつ小規模国家にも適用可能と考えられることを説明した。


[学会発表]

発表者名:岩井淳

題名:討議のシミュレーションモデル

開催年月日:2008年11月9日

発表学会名:2008年秋季経営情報学会大会

開催場所:東北大学

概要:本研究は、集団意思決定過程としての討議に形式的モデルを与える方法を検討する。会議の過程を念頭におき、選択肢が議論の中で提出され、最終的にそのうちの1つが採択される条件の討議モデルを提案する。参加者は固定であるが、その選択肢に対する態度は議論の中で変化しうる。また、可能な選択肢は、それぞれその選択肢を支持する有限数の根拠をもち、その根拠数の多さでその選択肢の潜在的な優秀性を定めるものとした。


発表者名:岩井淳

題名:プロセスプログラムに基づく電子的会議進行

開催年月日:2008年11月10日

発表学会名:2008年秋季経営情報学会大会

開催場所:東北大学

概要:プロセスプログラミングはソフトウェア工学において開発された一種のグループウェア技術に数えてよい。本研究では、その電子会議への応用の手法を提案する。主な目的は、従来よりも、隔離された会議参加者がより論点を見失う事なく正しく議論を追うことを可能にすることである。多数決によるプロセス進行を前提とするため、合意形成の確認が可能となるメリットもある。本稿では、特に階層的かつ関数的特徴をもつプロセスモデルの利用に焦点を当てる。


発表者名:岩井淳

題名:権威的意思決定の理論と討議支援システム

開催年月日:2008年11月10日

発表学会名:2008年秋季経営情報学会大会

開催場所:東北大学

概要:本研究は会議の経済学の文脈におけるW.Desseinの権威的意思決定の理論のレビュー研究である。Desseinの議論は、リーダによる決定は多数決による民主的決定と比べて、高速であるだけでなく、しばしば結論の質においても優れているとする点で特徴がある。本研究では、その基礎モデルの位置付けに焦点を当て、コンピュータネットワーク上の討議支援システムへの応用可能性という観点から新たな検討を行った。同基礎モデルが会議の効率や導出案の質の分析研究に貢献するだけでなく、より実践的に討議支援システムのデザインにも成りうるという見解を説明した。


発表者名:正木弘、岩井淳

題名:書籍選択のための協調フィルタリングシステムの効率的機能拡張

開催年月日:2009年1月23日

発表学会名:第15回社会情報システム学シンポジウム(第15回社会情報システム学シンポジウム学術講演論文集、pp.101-106)

開催場所:電気通信大学

概要:本研究では、書評など批判的評価を含む必要のある領域での利用を念頭に、批判的評価の発信支援とともに自律的な秩序維持の支援も行うシステム設計を提案した。特に個人的集団的な書籍決定に役立つ文献評価システムの設計を題材として、提案内容を説明した。


発表者名:吉崎陽介、岩井淳

題名:自律的な秩序維持機能をもつ電子掲示板システム

開催年月日:2009年1月23日

発表学会名:第15回社会情報システム学シンポジウム(第15回社会情報システム学シンポジウム学術講演論文集、pp.13-18)

開催場所:電気通信大学

概要:電子掲示板などのコミュニケーションシステムの運営では、誹謗中傷の応酬などによって秩序維持が困難な状態となる。本研究では、この問題への対策として、電子掲示板システムに自律的な秩序維持の機能を与える方法を提案し、プロトタイプを示してシステムの構築方法を説明した。構築の際の主要な論点は投票者集合の決定である。ここで自律的とは、システム内部の規則の設定と運用を、特定管理者に任せず利用者の集合決定にもとづきおこなうことである。誹謗中傷を繰り返す利用者に対しても他の利用者は規則の設定と運用を通して対処できる枠組みとなり、これにより誹謗中傷の応酬に発展するケースが少なくなるという着想にもとづく。


発表者名:曽江哲也、吉崎陽介、落合延孝、岩井淳

題名:郷土史料の電子情報化~俳山亭文庫資料の電子化作業からの知見

開催年月日:2009年1月23日

発表学会名:第15回社会情報システム学シンポジウム(第15回社会情報システム学シンポジウム学術講演論文集、pp.203-208)

開催場所:電気通信大学

概要:近年、図書館・美術館・博物館等の資料の電子化が社会的に求められているが、地方で所管される資料の電子化は時間と費用の制約から遅れがちである。本研究では、地方の資料のうちでも特に電子化の遅れがちな郷土史料(郷土史の資料)に着目し、具体的な事例として高崎市立図書館が所有する郷土史料である「俳山亭文庫」の電子化作業とそれに伴う問題を分析した。これにより、時間と費用の問題がある中で、地方の電子化作業を少しでも効率的に推進するための方法を検討した。また、地方の電子化に時間と費用の制約が生じる背景事情についても合わせて検討した。

言語コミュニケーション研究室

[学術論文]

著者名:井門亮

題名:アドホック概念形成の観点から見た接尾辞-ishと-like

掲載誌名:日本語用論学会第10回大会発表論文集

巻号数:3号

発行年月日:2008年11月3日

頁:9~16

概要:本論文では、接尾辞-ishと-likeについて、関連性理論におけるアドホック概念形成の観点から、これらの接尾辞が基体に付加されることによって、記号化された語彙概念の解釈にどのような影響を与えるのか分析を行い、接尾辞が手続き的意味を有する可能性とその分析の妥当性について検討した。

比較文化社会学研究室

[報告書]

著者名:高山利弘、河島基弘

題名:福岡県芦屋町訪問調査報告

単著・共著の別:共著

発行年月日:2009年5月30日

報告書名:モバイル・インターネットの進展と親密圏の社会的変容に関する総合的研究(2008年度調査研究報告書)

頁:31~32

概要:町内の子供に携帯電話を持たせない運動である「こども、脱ケータイ宣言」をするなど、携帯電話問題でユニークな活動を行っている福岡県芦屋町の教育委員会の活動について取材・報告した。

情報科学研究室

[学会発表]

発表者名:柿本敏克、細野文雄

題名:集団間関係研究の道具としての仮想世界ゲーム

単・共の別:共

開催年月日:2009年9月12~13日

発表学会名:日本応用心理学会第76回大会

開催場所:九州大学

概要:仮想世界ゲームを集団間関係研究の道具として捉えたときに、それがどの程度集団間状況としてリアルなものであるかを、状況の現実感尺度と集団同一視の程度を測定する質問項目を用いて検討した。

情報社会科学科

会計学研究室

[学術論文]

著者名:中島照雄

題名:市民会計の一考察⑴ ―現代社会と会計情報―

単著・共著の別:単著

発行年月日:2009年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:16巻

頁:197~216

概要:社会情報と会計情報の融合に向けての研究は、従来の会計情報を拡大して、会計情報の機能を「社会的用具」として捉えている。そして、会計の使命とは、「金銭文明の病の医者」を目指すことにあると位置づけた。このような機能や使命を考慮するには、会計情報を市民社会的アプローチとして捉える「市民会計」という新しい視点が必要になっている。そこで、市民会計について明らかにする。


[講演]

講演者名:中島照雄

題名:非営利組織のアカウンタビリティ~説明責任と評価

単・共の別:単

開催年月日:2008年12月26日㈮

講演会名:前橋市市民活動支援センター「NPO・コミュニティビジネス」

開催場所:前橋テルサ5階研修室

概要:前橋市市民活動支援センター主催、公共職業安定所長から受講指示を受けた方(雇用保険受給中でハローワークから受講指示又は推薦をされた方)を対象に、NPO法人の運営・起業に関する説明責任と評価を展開した。さらに、非営利組織体の運営事項の改正も展開した。


講演者名:中島照雄

題名:ディスクロージャーとアカウンタビリティ

単・共の別:単

開催年月日:2009年3月31日㈫

講演会名:2008年度社会情報学シンポジウム「情報社会の諸課題―持続可能な社会の実現に向けて―」

開催場所:群馬大学社会情報学部205講義室

概要:2008年度社会情報学シンポジウム「情報社会の諸課題―持続可能な社会の実現に向けて―」以下の内容で実施した。
1.「持続可能な地域生態系の再生事業―ビオトープ―」石川真一
2.「持続可能な地域再生プロジェクトを目指して―“The Valley of Death”を克服するために―」寺石雅英
3.「ディスクロージャーとアカウンタビリティ」中島照雄
4.「規制緩和と経営の効率化」杉山学
5.「問題群としての「記録管理システム」―社会情報学的接近―」北村純
6.「情報社会と人々の社会行動―情報社会における人々の社会行動の意味とその研究方法―」柿本敏克


[社会貢献活動・審議会委員等]

題名:「前橋市第六次総合計画審議会」委員および同審議会起草委員

開催年:2006年~2008年

主催者:前橋市

概要:前橋市の総合計画第六次の策定(特に起草委員に就任)を行い、前橋市長に第六次総合計画の答申書を提出した。総合計画は10年先の前橋市をどのような都市にするのか、またそれを実現するためにどのように取り組んでいくのかの計画書を策定した。


題名:「政府管掌健康保険の健康保険事業に関する懇談会」委員および懇談会座長

開催年:2007年~2008年

主催者:厚生労働省社会保険庁

概要:政府管掌健康保険の健康保険事業に関する意見を交換し、今後の健康保険事業の検討を行った。


題名:「前橋市廃棄物減量等推進審議会」委員および審議会会長

開催年:2003年~2009年

主催者:前橋市

概要:環境政策等の実施から、前橋市民に廃棄物減量等を促す諸処の施策を検討する。廃棄物減量等推進の審議を行い、前橋市長に答申書を提出している。


題名:「群馬県後期高齢者医療懇談会」委員および懇談会座長

開催年:2007年~2008年

主催者:群馬県後期高齢者医療広域連合会長・松浦幸雄(高崎市長)

概要:後期高齢者医療に関する意見交換し、今後の後期高齢者医療制度の検討を行った。


題名:「平成20年度市場化テスト事業評価委員会」委員および委員会委員長

開催年:2007年~2008年

主催者:厚生労働省社会保険庁

概要:社会保険庁の事業において、市場化テスト事業評価を行った。


題名:「前橋地方法務局評価委員会」評価委員および評価委員長

開催年:2008年

主催者:前橋地方法務局

概要:地方法務局の事業において事業評価を行った。


題名:「全国健康保険協会」群馬支部評議員および評議会議長

開催年:2008年~2009年

主催者:全国健康保険協会

概要:政府管掌健康保険の健康保険事業に付き、2008年10月1日に全国健康保険協会に移行した。全国健康保険協会(群馬支部)の健康保険の事業運営に付き、支部の事業計画並びに予算事業、都道府県単位保険料率の変更に係る事業等、協会支部の運営に関して意見を述べて的確な事業活動を促進する。


題名:「財団法人群馬大学科学技術振興会」理事

開催年:2003年~2009年

主催者:財団法人群馬大学科学技術振興会

概要:群馬大学および群馬県内における科学技術に関する研究・教育活動の援助と奨励を行い、地域社会の産業発展に寄与する。財団法人の運営に関する助言および指導をする。

経営学研究室

[学術論文]

著者名:寺石雅英

題名:地域再生プロジェクトにおけるエクイティ・スキームの活用法―地域再生が直面する“The Valley of Death”を克服するために―

発表年月日:平成21年8月

掲載誌名:日本中小企業学会論集

巻号数:28巻

頁:36~48

概要:「魅力的かつ有望な構想やプランが出来上がっているにもかかわらず、それが有効な地域再生には結びつかない」という、地域再生プロジェクトの計画・検討段階と本格的な実行段階の間に横たわる深刻なギャップを地域再生版の“The Valley of Death”と位置付け、それがどのような要因によって生み出されているのかを明らかにするとともに、これらの要因を克服するための現実的な解決策として持株会社システムを活用した地域再生スキームの導入を提案した。

環境科学研究室

[査読付き原著学術論文]

題名:Growth and photosynthetic responses of one C3 and two C4 Chenopodiaceae plants to three CO2 concentration conditions

著者名:Shin-Ichi ISHIKAWA(単著)

掲載誌名:Journal of Ecology and Field Biology

巻号数:31(4)

頁:261~267

発行年月日:2008年11月

概要:大気CO2濃度の歴史的変遷に伴い、アカザ科のC3およびC4光合成系を有する草本植物計3種の生長がどのように変化するかを実験的に解明した。用いたCO2濃度は、243ppm(産業革命前の濃度)、378ppm(現在)、465ppm(21世紀後半の予測値)である。光合成系にかかわらず、過去から現在までのCO2濃度上昇によって生長が促進されたが、将来にわたるCO2濃度上昇には促進効果がないことが示唆された。C4植物2種では、C3植物1種に比べると過去に起こった生長促進度は小さい。いずれの植物でも光合成活性には処理区間で有意な差がなかったことから、これらの反応性の違いは純同化率と葉面積比の、2つの生長パラメータの反応性の違いに起因することが示唆された(原著は英文)。


[著書]

著者名:小松裕幸、小田信治、石川真一(監修)他、日本建築学会・編

題名:まちづくりのインフラと基礎知識

発行年月日:2008年9月10日

発行所名:技報堂出版

概要:本書の中の「II―3 環境と共生する2 アドバンテスト群馬R&Dセンタビオトープ(63-67頁)」に掲載されている結果を出した調査、および監修を担当した。


著者名:石川真一(編著)、清水義彦、大森威宏、増田和明、柴宮朋和

題名:外来植物の脅威群馬での分布・生態・諸影響と防除方法(ブックレット群馬大学5)

発行年月日:2009年4月10日

発行所名:上毛新聞社

概要:著者らのこれまでの研究により、群馬県において侵入・定着が確認された特定・要注意・県内危険外来植物計27種について、分布・生態学的特徴・諸影響・防除上の留意点をまとめた。全体編集および9種についての調査・解析・執筆を担当した。


[報告書]

著者名:石川真一、大森威宏、増田和明

題名:西榛名地域貴重植物種モニタリング

発行年月日:2008年11月

報告書名:群馬県自然環境課「良好な自然環境を有する地域学術調査報告書(XXXIV)」

頁:199~201

概要:2007年度に行われた群馬県自然環境調査研究会による学術調査の報告書。群馬県西榛名地域において2005-2006年度調査で生育が確認された30種の絶滅危惧・希少植物種の生育・分布状況をモニタリングした。このうち4種について新たな生育地が確認された一方で、盗掘と開発行為によって個体群が消滅した地点も確認され、緊急的に保全措置を講ずる必要性を強く指摘した。今後、群馬県の自然環境保護政策の策定・実施の基礎資料となる。


著者名:石川真一

題名:男井戸川遊水池予定地の植物相

発行年月日:2008年10月

報告書名:男井戸川調整池利活用検討委員会資料

頁:1~3

概要:県と住民で構成する委員会からの委託調査の報告書。群馬県伊勢崎市の市街地に、群馬県が調整池(遊水池)整備を計画している、休耕田の植物相調査を行った。絶滅危惧種4種を含む多数の在来植物の生育を確認し、施工後の植生再生方法を提案した。委員会と県土木課では、この報告に基づいて当該地の一部の表土を別所に温存し、施工後に再配置して植生を再生させる計画を実施している。


[学会等での口頭発表]

発表者名:石川真一、高橋美絵、増田和明、大森威宏

題名:群馬県内の里山地域に生育する在来植物種・希少植物種の種子発芽の温度特性

発表年月日:2009年3月19日

学会名:第56回日本生態学会大会

開催場所:岩手県立大学(盛岡市)

概要:近年の継続的調査によって、群馬県の通称・西榛名の里山地域において、多くの在来植物、特に絶滅危惧種を含む多くの希少植物種が生育していることが明らかになりつつある。里山は田畑耕作やコナラ二次林の伐採利用などの伝統的農耕手法によって、長い間人為的な中規模撹乱が断続的に課せられている地域である。したがってそこに生育する植物は、種子発芽の時期や場所を何らかの方法により選択することによって、人為的中規模撹乱の中を生き延びてきたと想定される。そこで本研究ではまず、これら里山地域に生育する在来植物・希少植物の種子発芽の温度特性を解明することを目的として、15種の植物について発芽実験を行った。各種子を2カ月または3カ月間、4℃で冷湿処理を行い、その後10/6、17/8、20/10、25/13、30/15℃の5段階(昼/夜、14L/10D)の温度レジーム下で約2カ月間培養した。最終発芽率は、冷湿処理を3カ月施した種子の方が全体的に高くなった。最終発芽率と温度レジームの関係は、大別すると5つのタイプに分けることができた。すなわち、TYPE I(イトイヌノヒゲ、ダイコンソウ):全温度レジームにおいて100%近くが発芽、TYPE II(カラハナソウ、ナガミノツルキケマン、キバナアキギリ):全温度レジームにおいて10%-30%程度が発芽、TYPE III(タウコギ、アブラガヤ、イヌビエ、サクラソウ、フシグロセンノウ):10/8℃ではあまり発芽せず、より高温のレジームでより多くの種子が発芽する)、TYPE IV(アキノウナギツカミ):低温のレジームほど発芽率が高い、TYPE V(ヒロハヌマガヤ、サジオモダカ、ノブキ、キンミズヒキ):22/10-25/13℃で最も発芽率が高いが、全体的に発芽率は60%以下、である。TYPE I 以外の種では、永続的土壌シードバンクを形成する可能性が高いと考えられる。また、種子発芽特性の多様性と生育環境の多様性が、里山の植物種多様性を支えているものと推察される。


発表者名:Shin-Ichi Ishikawa, Mie Takahashi and Tomokazu Shibamiya

題名:Differential seed traits and growth patterns of an endangered native and an invasive alien plant species belong to genus Veronica

発表年月日:2009年8月17日

学会名:10th International Congress of Ecology

開催場所:Brisbane Convention and Exhibition Centre(ブリスベン・オーストラリア)

概要:Conservation of native endangered species and control of invasive alien species are simultaneous social demands on ecological research. To meet these social demands, we compared seed traits and growth patterns of two closely-related herbaceous plant species which distribute in wetland areas in Japan. One is Veronica undulata,an endangered native species,the other is V.angallis-aquatica,an invasive alien species introduced from Eurasia. Seeds of these species are quite small and are produced so many, and seed weight of V.angallis-aquatica (0.016mg) was much smaller than that of V.undulata (0.024mg). Seed germination experiment revealed that seeds of both species can germinate so quickly under 25/13 C (day/night) condition that over 90% of seeds germinated within 7days. Growth experiment under contrasting light conditions (36,55,139,245 and 445μmol m-2s-1 PPFD with 12/12 hour light cycle) revealed that,under the highest light condition of 445 PPFD, relative growth rate (RGR) of V. angallis-aquatica (0.073g g-1 day-1) was significantly higher than that of V. undulata (0.063). In contrast, under 245 PPFD, RGR of V. angallis-aquatica (0.045) was significantly lower than that of V. undulata (0.058).
These differential growth responses is attributable to responses of net assimilation rate (NAR)and leaf area ratio (LAR). That is,LAR of V. undulata (0.035-0.057 m-2 g-1)were higher than that of V.angallis-aquatica (0.020) independent of light conditions,and NAR of V.angallis-aquatica (4.9g m-2 day-1)was much higher than that of V. undulata (3.5) under 445 PPFD. These differences may be caused by structural differences ; that is, V. undulata has phalanx morph and V. angallis-aquatica has guerilla morph. With these different traits,V. angallis-aquatica may invade and grow more quickly at open and well-lighted sites and V. undulata may be excluded.


[社会的活動]

開催者名:国土交通省八ツ場ダム工事事務所

題名:八ツ場ダム環境委員会

開催年月日:2008年12月―2009年9月(6回開催)

開催場所:埼玉県大宮市、群馬大学、群馬県長野原町

概要:八ツ場ダム建設に伴う地域環境の改変状況についてアセスメントを行い、完成後の環境保全・復元対策を策定する。植物相・生態系に関する検討を担当した。


開催者名:石川真一

題名:教養教育合宿実習「群馬県本白根山の自然環境の成り立ちと保全」

開催年月日:2009年6月27日・28日

開催場所:群馬県草津町

概要:群馬大学学生を対象とし、草津白根山の自然環境資源としての重要性や、周辺地域の産業がいかに自然環境資源をうまく利用して成り立っているかを体験する実習。


開催者名:石川真一

題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習

開催年月日:2009年4月~月一回開催

開催場所:群馬県明和町

概要:㈱アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町)内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い、これに基づいて講習を行った。㈱アドバンテストビオトープ基金により助成を受けた。


開催者名:石川真一(群馬県自然環境調査研究会)

題名:群馬県・絶滅危惧植物実態調査

開催年月日:2009年3月~9月(月3回程度)

開催場所:群馬県東吾妻町、板倉町、南牧村他

概要:群馬県の委託事業である。群馬県レッドデータブックの改訂に必要な情報を得るため、群馬県内各地における絶滅危惧植物の分布・個体数・生育立地調査、種子採集を担当した。


開催者名:石川真一

題名:公開講座「外来植物の観察と標本作製」

開催年月日:2009年9月12日

開催場所:群馬大学荒牧キャンパス(教養教育GA 棟)

概要:地域の小学生と保護者対象の公開講座。外来植物の形態と生態に関する講義と実習を行った。参加者9名。

行政学研究室

[学術論文]

著者名:北村純

題名:映像作品に描かれた政策過程-「映画の力」をめぐる試論-

単著・共著の別:単著

発行年月日:2009年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻号数:16巻

頁:39~59

概要:本稿は映像作品に描かれた政策過程を分析する。映像作家・羽田澄子氏は秋田県鷹巣町などを長期にわたって取材し、住民参加の福祉のまちづくりを描くドキュメンタリー作品を製作してきた。映像作品は、政策過程の底流にある人々の感情の流れを垣間見させ、人々に共通の課題を直観させ政策過程を揺さぶり動かす要因となり、地域のケアシステム構築を阻む保守政治の頑迷な基盤を何気なく示唆するなど、思わぬかたちで政策過程の営みを描き出している。映像メディアと政策過程の関係をより深く研究していくための1つのケースとして羽田作品を取り上げ考察した。


著者名:北村純

題名:公文書管理改革の議論過程

単著・共著の別:単著

発行年月日:2009年5月9日

掲載誌名:日本行政学会編『変貌する行政~公共サービス・公務員・行政文書』〔年報行政研究44〕

出版社:ぎょうせい

頁:87~108

概要:表題の通り、情報公開法制の論議が本格化した90年代末以降、公文書管理法制定の実現が間近となった本稿執筆期(2009年1月)までを(暫定的に)区切り、同期間に行政文書管理をめぐって関係者によって交わされた論議を、公文書管理改革の議論過程と捉え考察する。すなわち、本稿において⑴一連の議論過程を概観し、論議の道筋を辿り、⑵「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」の最終報告書について、その意義と限界にコメントし、⑶今後の展望について論述した。


[報告書]

著者名:北村純

題名:問題群としての「記録管理システム」―社会情報学的接近-

単著・共著の別:単著

発行年月日:2009年3月

報告書名:群馬大学社会情報学部「持続可能プロジェクト」運営委員会・編『「持続可能な社会の構築のための社会情報学的研究」総括報告書』〔群馬大学社会情報学部研究プロジェクト〕平成21年3月。[報告書の執筆者(執筆順): はじめに(石川真一)、1.(石川真一)、2.(寺石雅英)、3.(中島照雄)、4.(杉山学)、5.(北村純)、6.(柿本敏克)。]

頁:44~51

概要:情報社会における記録管理システムの構築という課題は、公文書管理法の制定によって転換点を迎えた官庁に限らず、現代の高度情報社会に遍在する課題と考えられる。本稿は、記録管理システムのあり方が問題になった5つの事例(警察、病院、大学、学校、議会)を記述し、情報を基盤とする社会への急速な移行のなかで、情報システムがどのような記録管理システムを基盤にして運用されているかに注目し、その望ましいあり方を模索することが、われわれの社会にとって共通の課題になることを指摘し、社会情報学がこの面でも探求を進める必要性を示唆した。

社会心理学研究室

[学術論文]

著者名:柿本敏克、細野文雄

題名:状況の現実感尺度の再検討:2つの仮想世界ゲーム実験から

単著・共著の別:共著

発行年月日:印刷中(2009年2月19日受理)

掲載誌名:実験社会心理学研究

概要:状況の現実感尺度(柿本、2004)の妥当性を、仮想世界ゲームを用いて構成された集団間状況において検討した。研究1では従来型の仮想世界ゲームを用いた実験が行われ、研究2では今回新たに開発されたその電子試作版を用いた実験が実施された。下位尺度の得点パターンとともに、全体としてこの尺度が状況の現実感を比較的良好にとらえていると解釈できた。研究方法論および理論上の問題がいくつか議論された。


[著書](事典)

著者名:日本社会心理学会(左は編者)・柿本敏克ほか205名

書名:社会心理学事典

単著・共著の別:共著(分担部分は単著)

発行年月日:2009年6月

発行所名:丸善株式会社

総頁数:702

概要:本書は日本社会心理学会創立50周年記念事業として出版された。社会心理学における関心の高いトピックスと最新研究成果を約300の項目(中項目)に凝縮し、各項目を2ページで解説するというスタイルで構成された事典である。

担当部分:「8.集団過程」のなかの項目「社会的アイデンティティ」について執筆した。


[翻訳]

著者名:Michael W. Eysenck

訳者名:山内光哉[左は日本語版監修]・柿本敏克ほか38名

書名:『アイゼンク教授の心理学ハンドブック』

単著・共著の別:共著(分担部分は単著)

発行年月日:2008年11月10日

発行所名:ナカニシヤ出版

総頁数:1,364

概要:Michael W. Eysenck による“Psychology: A student’s handbook”.(Psychology Press)の翻訳である。

担当部分:第20章「社会関係」(翻訳書742-78頁)を、原典の第20章“Social Relationship”(Pp.522-553)に基づいて忠実に翻訳した。一部誤りを修正した。


[その他報告書]

編者名:柿本敏克

題名:平成20年度群馬大学社会心理学セミナー報告

発行年月日:2009年3月

発行所名:群馬大学社会情報学部

総頁数:94

概要:平成20年度に社会情報学部主催で実施された「第5回群馬大学社会心理学セミナー」および群馬大学社会心理学研究会主催の第1回~第4回群馬大学社会心理学研究小集会の講演録として作成された。大渕憲一、熊谷智博、神信人、浅井暢子、安藤香織の各先生の講演内容等が収録された。


著者名:柿本敏克

題名:情報社会と人々の社会行動―情報社会における人々の社会行動の意味とその研究方法―

単著・共著の別:単著

発行年月日:2009年3月

報告書名:群馬大学社会情報学部「持続可能プロジェクト」運営委員会・編『「持続可能な社会の構築のための社会情報学的研究」総括報告書』〔群馬大学社会情報学部研究プロジェクト〕平成21年3月。[報告書の執筆者(執筆順):はじめに(石川真一),1.(石川真一),2.(寺石雅英),3.(中島照雄),4.(杉山学),5.(北村純),6.(柿本敏克)。]

頁:52~59

概要:群馬大学学長裁量経費により5年間にわたって実施したプロジェクトのうち,柿本が担当した上記題名の成果概略を記載した。


[学会発表]

発表者名:柿本敏克、細野文雄

題名:集団間関係研究の道具としての仮想世界ゲーム

単・共の別:共

開催年月日:2009年9月12-13日

発表学会名:日本応用心理学会第76回大会

開催場所:九州大学

概要:仮想世界ゲームを集団間関係研究の道具として捉えたときに、それがどの程度集団間状況としてリアルなものであるかを、状況の現実感尺度と集団同一視の程度を測定する質問項目を用いて検討した。オリジナル版と電子試作版で実施された計2つのゲームの結果、ゲーム参加者にとって予想通り概ねリアルな状況が生み出されていることが示唆された。また集団同一視の得点結果から、多くのゲーム参加者がゲーム状況を集団(間)状況であると認識し、比較的強く集団との一体感をもっていたことが示唆された。


[講演]

講演者名:柿本敏克

題名:地域はあなたを待っている! ―人間関係、社会的排斥、社会的アイデンティティ―

開催年月日:2009年8月2日

主催者:㈶群馬県長寿社会づくり財団

講演会名:平成21年度シニアのための地域デビュー講座(第1回)基調講演

開催場所:藤岡公民館

概要:㈶群馬県長寿社会づくり財団から依頼された上記講座の基調講演として、退職後の社会参加の意義について、人間関係論、社会的排斥、社会的アイデンティティの観点から述べた。


[社会的活動]

著者名:柿本敏克

題名:選ぶ:’09ぐんま衆院選・識者の視点/中柿本敏克・群馬大准教授/群馬

発行年月日:2009年8月1日

発行所名:毎日新聞[群馬版]

概要:今回の総選挙に関連して、有権者の選挙での投票が集団や社会とどう結びつくのかについて、社会的アイデンティティや効力感をキーワードにして解説した(実際の記事構成は担当記者が行った)。

経営管理研究室

[学術論文]

著者名:内田陽子、清水さゆり、杉山学、高橋陽子、加藤綾子

題名:認知症ケアのアウトカム評価票の項目別にみた重み付け得点と影響する評価者因子

発行年月日:2009年2月

掲載誌名:The Kitakanto Medical Journal

巻数:59

頁:59~66

概要:【目的】認知症ケアのアウトカム評価票の項目別にみた重み付け得点と影響する評価者の因子を明らかにすることである。【方法】第1段階の調査ではA 県で行われたケアマネジャー研修とA 県看護協会の研修に参加した計542人を対象に評価票の大カテゴリーの重み付け得点化を行った。第2段階の調査では、脳神経疾患を専門に扱う美原記念病院とその関連施設で働く認知症経験をもつ職員22人を対象に、大・中カテゴリーに対する重み付け得点化を行った。分析はAHP 理論を活用した。【結果】第1調査では重み付け得点に関連する評価者の因子は職種、所属機関、経験年数であった。第2調査では背景条件との関連はみられなかった。両調査とも「その人らしい生き方」に対する得点は高かった。【結論】これらの評価者の因子の調整を行い、重み付け得点化を行う必要がある。


[学術論文]

著者名:杉山学

題名:データ包絡分析法によるJR と大手私鉄の事業活動効率比較―DEA/ウィンドー分析によるJR 旅客各社の推移―

発行年月日:2009年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:16巻

頁:61~82

概要:本研究は、国鉄の分割・民営化から今年で21年が経過し、本当にJR は国鉄時代の事業活動から、大手私鉄並みの事業活動に改善されたかを、データ包絡分析法(DEA)の諸手法を用いて実証的に検証、評価することが目的である。これにより、国鉄の分割・民営化に対する本来の目的が達成されたかを議論でき、一連の政策決定が妥当なものであったかを議論する上で、重要な資料を提示できると考える。第2報である本論文では、第1報の論文「データ包絡分析法によるJR と大手私鉄の事業活動効率比較のための時系列業績データ基礎分析―各種業績データに基づくJR 旅客各社の推移―」で示された鉄道事業者の事業活動に対する効率性評価の枠組みを用い、本格的にDEA/ウィンドー分析を適用して、JR 旅客各社と大手私鉄の事業活動を時系列的に効率性評価を行い、実証的に検証し、考察を行った。すなわち、副題の「DEA/ウィンドー分析によるJR 旅客各社の推移」を中心に報告した。


[学会等での発表]

発表者名:金貞潤、杉山学

題名:韓国における首都機能移転に関する研究

開催年月日:2008年11月8日

発表学会名:経営情報学会2008年度秋季全国研究発表大会

開催場所:東北大学

概要:韓国では、2002年大統領選挙時に前大統領である「盧武(ノ・ムヒョン)」が選挙公約としていた「首都機能移転」が進められてきた。本研究では、韓国の「首都機能移転案」を再評価することを目的とする。具体的には、選定された各移転候補地の評価点を推定し、データ包絡分析法(Data Envelopment Analysis:DEA) を用いて総合評価を行った。


[講演]

講演者名:杉山学

題名:消費者の嗜好傾向を探るには

開催年月日:2008年10月18日

講演会名:平成20年度群馬大学公開講座「経済と地域の再生を考える―持続可能な社会をめざして―」

開催場所:群馬大学

概要:地域経済の活性化は地域内での消費を拡大させることが効果的である。その消費を拡大させるには「現在、消費者が何を求めているか?」を把握することが欠かせない。この点は企業経営の上においても最重要課題である。そこで、消費者や顧客の潜在的な選好構造を把握し、嗜好傾向を探るには、どうすれば良いかを具体例から解説・報告した。


講演者名:杉山学

題名:規制緩和と経営の効率化

開催年月日:2009年3月31日

講演会名:平成20年度群馬大学社会情報学シンポジウム「情報社会の諸課題―持続可能な社会の実現にむけて―」

開催場所:群馬大学

概要:平成20年度群馬大学社会情報学シンポジウム「情報社会の諸課題―持続可能な社会の実現にむけて―」において、「規制緩和と経営の効率化」という題目の講演を行った。具体的には、実際に規制緩和が行なわれ、民営化、自由化などが実施された後、経営の効率化がなされたかを、いくつかの実証分析をもとに報告した。なおこの報告は、平成19年度群馬大学公開講座「持続可能な社会をめざして」において、「規制緩和と経営の効率化」という題目の講演を行ったが、その後、本研究を進めた結果をまとめたものである。

情報法研究室

[著書]

著者名:松宮広和

担当箇所:第12章「米国の大型通信合併」

単著・共著の別:共著

書籍名:『情報通信の政策分析ブロードバンド・メディア・コンテンツ』

出版社名:エヌティティ出版

編者名:依田高典、根岸哲、林敏彦

発行年月日:2009年9月2日

頁:263~286

概要:近時の米国では、1984年の修正同意判決(MFJ)によって分割された、旧AT&T Corporation系の地域Bell電話会社(RBOC(s))を当事者とする、(1)SBC Inc.とAT&T Corporationとの合併、(2)Verizon Communications Inc.とMCI, Inc.との合併及び(3)AT&T Inc.とBellSouth Corporationとの合併という3つの大型合併が、発生した。筆者は、これらに対する考察を行った。そこから導かれるこれらの合併事件の意義は、以下のとおり。第1に、所謂「1996年電気通信法以後」の通信政策、特に固定系の通信サービスの提供者に対する新たな競争上の枠組みについての政策が、近時の競争環境の劇的な変化に対応し、かつ、インターネットの物理的構造にも合致する形で、事実上形成されたことである。第2に、競争当局と規制当局との関係及びそれらによる規制のあり方に関する重要な事例が示されたことである。特にFCC が合併審査でコミットメントを活用したことは、包括的な規則制定を行うことなく、かつ、単に競争政策に限定されない広範な範囲で、個別具体的に問題を解決することを可能とした。第3に、「ネットワークの中立性」の議論に関連して、先行する2つの合併では、FCC の「インターネット政策声明」と調和するやり方での2年間の業務の遂行が、後続する1件の合併では、「トラフィック/通信量の差別化」の禁止が、コミットメントとして誓約され、FCC による合併承認に際しての条件とされたこと、等である。更に、筆者は、これらの連邦政府の当局による判断に対する検討を通じて、公共インターネットのみならず、次世代のネットワーク(NGN(s))に代表される新たな通信ネットワークが、既存の公衆電話交換網(PSTN)に置換しつつある今日の状況における情報通信政策の現状と今後の課題についても、考察を行った。


[翻訳・編集等]

研究代表者名:松宮広和

報告書:平成19年度㈶電気通信普及財団助成研究題目「インターネットを経由するコンテンツ配信サービスの発展が既存の情報通信制度に与える影響に関する研究(継続)」(平成20年度)報告書

単・共の別:単独

報告年月日:2009年6月

研究支援者:㈶電気通信普及財団

概要:筆者は、㈶電気通信普及財団の支援を得て、平成19年度以降前記の研究に、研究代表者として従事してきた。平成20年度は、審査を経て、昨年度からの研究に継続して従事してきた。主たる研究対象は、(1)インターネットを経由するコンテンツ配信サービスを提供する事業者に対する規制のあり方、及び(2)インターネットを経由するコンテンツ配信サービス及び既存の放送サービスに対する規制のあり方である。平成19年度の終了に際して、同年度に遂行した研究についての報告書を作成し、当該財団に提出した。当該研究活動の一部は、同財団によって作成されたCD-ROM に収録されて、全国の幾つかの主要な図書館に収蔵されるほか、当該財団のWWW サイト上からも閲覧が可能とされる予定である。


[研究会発表]

報告者:松宮広和

題名:「近時の米国における大型通信合併について」

単・共の別:単独

研究会名:東京経済法研究会(2009年9月例会)において、報告担当者として報告。

報告年月日:2009年9月19日

概要:本報告は、メンバーの1人として参加した、東京経済法研究会(2009年9月例会)において行われたものである。
インターネット通信の発展、特に、近時のブロードバンド・サービスの普及は、アメリカ合衆国の1996年電気通信法の起草者による想定とは必ずしも一致しない形で、情報通信産業に多大な影響を与えてきた。当該報告では、近時の情報通信市場における大幅な競争環境の変化がもたらした、地域Bell電話会社と大規模な長距離通信事業者との合併である、SBC Communications Inc.とAT&T Corporationとの合併、Verizon Communications Inc.とMCI, Inc.との合併、及びそれらに続いて発生したAT&T Inc.とBellSouth Corporationとの合併に対する検討を通じて、「IP への収束」が実現されつつある同国における規制の現状と今後の課題についての考察、解説及び質疑応答を行った。


[研究活動その他]

研究代表者名:松宮広和

研究題目:平成19年度㈶電気通信普及財団助成研究題目「インターネットを経由するコンテンツ配信サービスの発展が既存の情報通信制度に与える影響に関する研究(継続)」(平成20年度)

研究代表者名:松宮広和

研究支援者:㈶電気通信普及財団

概要:㈶電気通信普及財団の支援を得て、平成19年度以降前記の研究に、研究代表者として従事してきた。平成20年度は、審査を経て、昨年度からの研究に継続して従事してきた。主たる研究対象は、(1)インターネットを経由するコンテンツ配信サービスを提供する事業者に対する規制のあり方、及び(2)インターネットを経由するコンテンツ配信サービス及び既存の放送サービスに対する規制のあり方である。


研究代表者名:松宮広和

研究題目:平成20年度放送文化基金助成・援助「放送類似のメディア・サービスが普及する状況下における放送事業規制に対する経済法・産業法的視点を含む再検討-特に事業者に対する規制の非対称性の問題を中心に-」(平成21年度)

研究代表者名:松宮広和

研究支援者:㈶放送文化基金

概要:㈶放送文化基金の支援を得て、平成21年度以降前記の研究に、研究代表者として従事してきた。主たる研究対象は、インターネットを経由するコンテンツ配信サービスが普及する時点における、放送類似のメディア・サービスを提供するIT 事業者と既存の放送サービスを提供する放送事業者との間の規制の非対称性及びそれに関連する問題に対して考察を行い、これらのサービスに対する規制のあり方を追求することである。

政治学研究室

[学術論文]

著者名:犬塚元

題名:「ヒューム『イングランド史』のスコットランド史」

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:16巻

発行年月日:2009年3月

頁:83~100

概要:査読論文。ヒュームの『イングランド史』におけるスコットランド史叙述について体系的に解明。そのうえで、なぜ彼がスコットランド史ではなく、イングランド史を歴史叙述の主対象としたか解釈を提示した。


[書評]

著者名:犬塚元

題名:「書評 Neil McArthur, David Hume’s Political Theory: Law, Commerce, and the Constitution of Government, Toronto : University of Toronto Press, 2007, xii+193pp.」

掲載誌名:経済学史研究

巻数:50巻

号数:2号

出版社名:経済学史学会

発行年月日:2009年2月

頁:97~98

概要:近年の代表的なヒューム研究についての書評。ヒュームの政治理論を分析するにあたって「法の支配」を重視する解釈の特徴と、その重大な欠陥・難点を指摘した。


著者名:犬塚元

題名:「書評 Quentin Skinner, Hobbes and Republican Liberty, Cambridge, 2008」

掲載誌名:イギリス哲学研究

号数:32号

出版者:日本イギリス哲学会

発行年月日:2009年3月

頁:141~143

概要:政治思想史研究の第一人者のひとりであるクエンティン・スキナーの新著について、その紹介と批判を行った。


[学会報告]

報告者名:犬塚元

題名:「歴史/歴史叙述のなかの伝統と革命」

学会名:第8回韓国・日本政治思想学会国際学術会議(「伝統と革命、政治思想の課題と挑戦」)第3セッション

会場:立教大学

発表年月日:2009日7月5日

概要:国際学会における報告。「政治思想としての歴史叙述」との観点から、ヨーロッパ政治思想史における歴史叙述の諸相について報告した。


[研究会報告]

報告者名:犬塚元

題名:「共和主義研究の30年」

学会名:東北大学法学部政治学研究会

会場:東北大学

発表年月日:2008日11月7日

概要:この30年余りの共和主義思想史研究の動向について整理するとともに、思想史解釈の作業にあたって共和主義概念の多様化・混迷にどう対応するかを提言した。


報告者名:犬塚元

題名:「あらためて共和主義をめぐって:近年の内外の研究から」

学会名:近代思想研究会

会場:慶應義塾大学

発表年月日:2009日1月10日

概要:国内外における近年の共和主義思想史研究の動向について整理するとともに、思想史解釈の作業にあたって共和主義概念の多様化・混迷にどう対応するかを提言した。


報告者名:犬塚元

題名:「政治思想史における歴史叙述:ヒュームのスコットランド史解釈を事例にして」

学会名:東北大学法学部政治学研究会

会場:東北大学

発表年月日:2009年9月16日

概要:上述の学術論文「ヒューム『イングランド史』のスコットランド史」を中心に,政治思想史研究における歴史叙述の取扱について現状と課題を報告した。


[その他]

著者名:犬塚元

題名:「政権交代に期待と不安」、「視点:消費増税は世論を二分」、「視点:「全額税」も浸透進まず」

掲載誌名:『上毛新聞』2009年1月1日(17面)、1月3日(1面)、1月4日(1面)

出版社名:上毛新聞社

発行年月日:2009年1月

概要:上毛新聞社と社会情報学部が共同でおこなった群馬県民世論調査の集計結果をふまえた調査分析。3回のそれぞれにて、政権交代を容認する世論が高まっている一方で民主党に対する不安が少なくないこと、具体的政策をめぐる県民意識の様態、社会保障制度をめぐる県民意識の様態を指摘した。


著者名:上毛新聞社・群馬大学社会情報学部(森谷健教授ほか6名)

題名:平成20年度県民世論調査による県民意識の把握と分析報告書

発行年月日:2009年3月

頁:全37+29

概要:上毛新聞社と社会情報学部が共同でおこなった群馬県民世論調査の集計結果をふまえた調査分析。政治、政権選択に関連する項目について執筆(pp.10、12-16、19、27-32)。政権選択を中心テーマにした今回の調査では、調査票の作成、調査結果の分析に従事した。

行政法研究室

[学術論文]

著者名:西村淑子

題名:土地区画整理事業計画の決定の処分性―平成20年大法廷判決の意義

発行年月日:2009年1月

掲載誌名:訟務月報

巻数:55巻

号数:1号別冊

頁:90~101

概要:最高裁平成20年9月10日大法廷判決・民集62巻8号2029頁は、土地区画整理事業の事業計画の決定について、その処分性を否定したいわゆる青写真判決(最高裁昭和41年2月23日大法廷判決民集20巻2号271頁)を42年ぶりに変更し、その処分性を認めた。本稿では、平成20年大法廷判決の意義について論じるとともに、処分性を認める根拠及び本判決の射程を検討した。


[社会貢献活動]

出席者:西村淑子

日時:毎週月曜日

場所:法務省大臣官房行政訟務課

概要:行政訟務課の調査員として、国が当事者となっている訴訟について、学術的観点から調査・検討を行っている。


出席者:西村淑子

日時:毎月第三火曜日

場所:埼玉県庁県政情報センター

概要:埼玉県個人情報保護審査会の委員として、保有個人情報の開示、訂正又は利用訂正に関する決定に対する不服申立て等について調査・審議し、答申を行っている。


出席者:西村淑子

日時:毎月1回程度(不定期)

場所:群馬県庁産業経済商政課

概要:群馬県大規模小売店舗立地審議会の委員として、大規模小売店舗の新設又は変更について、周辺地域の生活環境を保持し、適正に行われることを確保するために調査・審議を行っている。

計量経済学研究室

[著書](共著)

書名:経済統計の新展開

単著・共著の別:共著

共著者名:野口和也編著(早稲田大学)、佐竹元一郎、西郷浩、稲葉敏夫(早稲田大学)、勝浦正樹(名城大学)

発行年月:2008年12月

出版社:早稲田大学出版部

頁:全152

概要:経済統計を利用する際に直面する様々な問題、我が国の統計制度、統計調査の方法、近年増加している調査拒否や無回答への対応、マイクロデータを用いた統計分析などについて分担執筆した。第4章「全国物価統計調査の2次元価格分布の検討」を担当した。ここでは、全国物価統計調査の個票データを利用して、2次元の価格分布の特徴と価格の相関関係について検討した。(pp.91-120)


書名:公的統計の利用と統計的方法

単著・共著の別:共著

共著者名:美添泰人編著(青山学院大学)、荒木万寿夫、後藤智弘、成田淳司(青山学院大学)、両角良子(富山大学)、藤原丈史、櫻井尚子(東京情報大学)、西郷浩(早稲田大学)、元山斉(統計情報研究開発センター)、大野忠士(筑波大学)、椿広計(統計数理研究所)

発行年月:2009年8月

出版社:㈶統計情報研究開発センター

頁:全276

概要:政府統計制度と統計法の改革や、政策立案・評価における統計の役割など、公的統計を巡る諸問題から、公的統計を利用する実証分析、統計調査の手法と評価まで、公的統計に関する諸問題について分担執筆した。執筆担当箇所は9章「価格分散の存在と持続性に関する統計的分析」である。この章では、全国物価統計調査と商業統計調査のマイクロデータを利用して、価格分散の存在と持続性、市場構造と価格分散の関係についての計量分析を行った。(pp.185-195)


[社会貢献活動]

開催者名:経済産業省

題名:統計基礎研修「標本調査」講義

開催年月日:2009年7月31日、2009年8月4日(計6時間)

開催場所:東京都千代田区

概要:経済産業省職員を対象とする統計基礎研修コースのうち、「標本調査」を担当した。全数調査と標本調査、単純無作為抽出、層化抽出、標本サイズの決定法など、標本調査理論の基礎について講義した。

憲法研究室

[著書]

著者名:辻村みよ子編著

書名:基本憲法

単著・共著の別:共著

発行年月日:2009年4月

発行所名:悠々社

概要:平等権(日本国憲法14条)の解釈について、判例と諸外国の事例を用いながら解説した。

担当部分:81~94


著者名:元山健、建石真公子編

書名:現代日本の憲法

単著・共著の別:共著

発行年月日:2009年5月

発行所名:法律文化社

概要:「日本国憲法」の教科書のうち、三つの章を担当した。「生命に対する権利」では、生命に関する自己決定権とその限界、生命に対する権利と人身の自由を解説した。「現代社会と表現の自由」では、報道被害やインターネット上の表現の自由等について幅広く解説した。「学問の自由」では、子どもの学習権と教育の自由、学問の自由を解説した。

担当部分:219~227、273~288


[学術論文]

著者名:田代亜紀

題名:「大泉町の外国人行政」

単著・共著の別:単著

発行年月日:2009年6月

掲載誌名:法学セミナー

概要:群馬県の憲法事情として、大泉町の外国人行政を紹介し、その憲法的課題を論じた。


Last Update 2016/03/02