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社会情報学研究センター

研究活動の要旨(2004年度)

社会情報基礎講座

対話情報環境の社会学研究室

[著書]

著者名:下田博次

書名:ケータイリテラシー

発行所名:NTT出版株式会社

発行年月日:2004年11月30日

要旨:携帯インターネット(モバイル インターネット)市場は日本の高校生など10代の子供達が中心的ユーザーとなり開拓されてきた。しかし子供達に買い与えたインターネットのできる携帯電話は、保護者や学校関係者にとって頭痛の種とも言うべきトラブルや問題を起こしている。とりわけ最近では携帯インターネット利用による少年犯罪や非行が増加し学校関係者や警察の強い関心を引くようになった。本書は、この携帯インターネットというパーソナルメディアの特性を踏まえて、青少年による情報化時代の社会問題解決のための方策を提示したものである。


[講演]

演題:子供社会の情報化と大人の責任

主催者: 東京都

開催日時:2004年10月27日午後6時より

要旨:東京都の呼び掛けで作られた「ネット社会と子供達協議会」の特別講演として行われたもので、主として小中学校の生徒の日常的インターネット利用の実態と問題の整理を行うとともに、学校のインターネット教育の問題点と学校外での子供達の携帯電話とパソコンからの複合的インターネット利用の問題指摘ならびにその問題解決に向けた方途につき解説を行った。

環境科学第3研究室

[学会等での発表]

発表者名:三上紘一

題名:生体の情報撹乱物質としての環境ホルモン研究の現状と展望

学会名(講演会名):社会情報学シンポジウム2003(創設10周年記念シンポジウム)

発表年月日:2003年10月3日

開催場所:群馬大学社会情報学部205教室

要旨:シーア・コルボーンらの著書「奪われし未来」で、我々が何の疑いもなく使っている多くの化学物質やプラスチック製品から溶け出る物質の中に内分泌機能を撹乱する作用、特に女性ホルモンと同様の作用が有ること、その作用により、生命の存続が脅かされる危険性があるとの指摘がなされた。これをきっかけにその危機感が全世界に広がった。日本では、NHKがその危険性を持つ物質を「環境ホルモン」として紹介したのをきっかけに問題意識が急速に広がった。その後、関係省庁も、いち早く対応策を講ずる動きをした。当研究室でも、ほぼ同時期に問題意識を持ち、疑われている化学物質に環境ホルモン作用が有るかどうかを確かめるために生物で判定する方法の確立のための実験をスタートした。環境ホルモンの代わりに、標準として、エストラジオールという合成女性ホルモンを用い、オスのオタマジャクシがメス化するかどうか(性転換)を指標として判定する方法の有効性を検討した。その結果、1nMという低濃度でも性転換が認められ、生物を使って判定することが可能であることなど、内分泌機能を撹乱する物質が存在することが指摘された事の紹介から、各国での取り組みの様子、さらに、我々の研究室での環境ホルモンへの取り組みの様子などを紹介した。


[学会等での発表]

発表者名:三上紘一、花岡陽一、木村修子、谷田部文彰

題名:アフリカツメガエルオス幼生の性転換を指標とした環境ホルモン物質の検出法の検討

学会名(講演会名):日本環境ホルモン学会第6回研究発表会、(口頭発表)

発表年月日:2003年12月2日〜3日

開催場所:仙台国際センター

要旨:多くの化学物質が動物の生殖機能を撹乱させることが指摘されながら、それを確認する方法が十分でない。多くの内分泌撹乱物質(EDCs)はオスをメス化する方向に働くとされていることから、我々が持っている遺伝的にオスしか生まれないアフリカツメガエルのオタマジャクシ(幼生)を用い、このオスを性転換させるかどうかを指標として、EDCsであるか否かを判定できると考え検討を行った。その結果、エストラジオール、デネストロールともに1nMという低濃度でも性転換が認められ、この方法がEDCsの判定に有効であることを報告した。(発表要旨集p.79) なお、この研究の一部は、環境省の「平成14年度内分泌撹乱作用に関する両生類のスクリーニング・試験法開発」の助成を受けて行われた。

比較文化基礎論研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:砂川裕一

題名:「新たな日本語教員養成プログラム」と日本事情論

掲載誌名:21世紀の「日本事情」 — 日本語教育から文化リテラシーへ —

巻数:

号数:第5号

発行年月日:2003年12月1日

頁:52〜73

要旨:「日本語教員養成についての新しい考え」が含意する諸論点を解釈的に再構成し、日本語教育が「言語(日本語)とその教育」という限定された領域から、関連諸領域を大きく包括する方向へと“日本事情論的展開”を遂げようとしていることを指摘している。


[学会等での発表]

発表者名:砂川裕一

題名:言語的運用力と社会的・文化的<場>の相関 — 日本語教育の新たなパラダイムに即して —

学会名(講演会名):日本現象学・社会科学会第20回大会

発表年月日:2003年12月6日

開催場所:京都女子大学

要旨:言語の運用力の修得とそこに内存在する世界の獲得の双対性を指摘しつつ、新しい日本語教育のパラダイムが含意しつつも未だ十分に自覚化されていないと思われる哲学的論点を指摘しようとした。


[学会等での発表]

発表者名:砂川裕一

題名:「日本事情とその教育」の視界 — 具体的実践の可能性から包括的理論化の展望まで —

学会名(講演会名):2004年英国日本語教育学会(BATJ)「春の日本語教師研修会」

発表年月日:2004年3月30日

開催場所:Durham大学(連合王国・Durham市)

要旨:「日本事情」の具体的な授業の組み立ての可能性とその可能性を支える理論的な考え方、また教室における具体的な実践的在り方とそれらの試みの理論的な分析を介して、「日本事情とその教育」の可能性について講じたもの。


[学会等での発表]

発表者名:砂川裕一

題名:構造変動・生態史観・行為連関 — 「廣松行為論と政治的実践について」の1つの局面について —

学会名(講演会名):第157回現代史研究会

発表年月日:2004年6月26日

開催場所:明治大学駿河台リバティー・タワー1145

要旨:研究会の求めに応じて、「原理的な議論としての廣松行為論」と「様々な前提諸条件や制約諸条件や偶然的な諸条件などによる束縛のもとでの妥協的・暫定的な選択的態度決定」との距離感をどのように架橋するかその手掛かりについて論じた。


[学会等での発表]

発表者名:砂川裕一

題名:『21世紀の「日本事情」』から『リテラシーズ』へ — 「日本事情」メディアの5年間 —

学会名(講演会名):第17回日本語教育連絡会議

発表年月日:2004年8月18日

開催場所:土日基金文化センター(トルコ・アンカラ市)

要旨:1988年の『ラジオ番組「朝日新聞の声」を聴く — 日本語で現代社会を考える — 』(共著)の執筆から現在までの個人研究史を手掛かりにして、「日本語日本事情教育研究」の近年の歴史的変化をたどりつつ、日本国内・外の日本語教育や日本研究教育の動向に含意される理論的実践的な可能性について論じた。


[著書]

著者名:共編(「21世紀の「日本事情」」編集委員会:長谷川恒雄、佐々木倫子、砂川裕一、細川英雄)

書名:21世紀の「日本事情」 — 日本語教育から文化リテラシーへ —

発行所名:くろしお出版(全152頁)

発行年月日:2003年12月1日

要旨:くろしお出版から出版されている年刊の学術雑誌の第5号。「日本事情とその教育」に関する理論的・実践的な論考や試論的・萌芽的な論考を広く募集し、日本事情研究・日本語研究・日本語教育研究、さらに関連諸領域を媒介する研究誌として位置付けるものである。砂川は4人の共同編集者の一人として査読・編集などに当たる。


[著書]

著者名:共編(「リテラシーズ」編集委員会:小川貴士、門倉正美、川上郁雄、佐々木倫子、砂川裕一、牲川波都季、細川英雄)

書名:リテラシーズ — ことば・文化・社会の日本語教育へ —

発行所名:くろしお出版

発行年月日:2003年12月(Web版第1号、くろしお出版のHPから読むことができる)

要旨:くろしお出版から出版されてきた年刊の学術雑誌『21世紀の「日本事情」』を発展的に改版した出版。年2回のWeb版の出版と年1回の研究誌の発行を行う。「日本事情とその教育」に関する理論的・実践的な論考や試論的・萌芽的な論考を広く募集し、日本事情研究・日本語研究・日本語教育研究、さらに関連諸領域を媒介する研究誌として位置付けを強化するものである。Web版と紙媒体の双方での出版と会わせて、年2回の研究会活動(国内、国外、国際など)も出版活動の一部として企画運営する。砂川は7人の共同編集者の一人として査読・編集、企画・運営などに当たる。

情報決定第1研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:富山慶典

題名:集合的意思決定論と電子民主主義 — 民主的決定の規範論と実践論はいかに係わりえるか? —

掲載誌名:文部省科学研究費補助金基礎研究(B)(1)研究成果報告書『社会理論の実践的可能性の探求』, 課題番号:13410054, 研究代表者:数土直紀(学習院大学教授)

発行年月日:2004年3月31日

頁:57〜71

要旨:民主的決定の規範論と実践論はいかにして係わり得るのであろうか? これが本論文の基本的な問いである。規範論としては集合的意思決定論を, 実践論としては電子民主主義をそれぞれ取り上げる。前者は, これまでの確実性のもとでの研究から不確実性のもとでの研究へと発展してきており, 民主的決定過程と情報をめぐる様々な示唆を生み出し得る可能性をもちつつある。一方, 後者は,多くの国で多様な形で実践されてきおり, 情報通信技術と民主的決定過程をめぐる様々な問題を提起してきている。本論文の目的は, これらを踏まえて, 規範的な社会理論としての集合的意思決定論が電子民主主義という実践においていかなる関連性をもつことができるのか, さらにこの実践のなかで生じ得る諸問題の解決にいかに資することができるかを検討することにある。その結果, 規範論からの理論的示唆に支えられたいくつかの実践的で実現可能な電子民主主義の構想を提案し, 今後の課題をより具体的に明らかにすることができた。


[学会機関誌等への投稿]

著者名:富山慶典

題名:「選好集約論」の探求から「判断形成論」の探求へ — 民主的社会のための新たな集合的意思決定論の構築をめざして —

掲載誌名:理論と方法(Sociological Theory and Methods)

巻数:Vol.19

号数:No.1

発行年月日:2004年3月31日

頁:1〜16

要旨:民主的な社会には, 2つの異なる集合的意思決定問題がある。ひとつは, 人々の選好をいかに集約して社会的選好を導き出すかという問題である。もうひとつは, 人々の判断にもとづいていかにして社会的判断を形成するかという問題である。これらの問題を解決するためには, それぞれに相応しい理論と方法が必要となる。これまでの集合的意思決定研究は選好集約論の探求に偏りすぎていた。置き去りにされてきた判断形成論の探求をすすめなければならない。そうだとすれば、選好集約論と判断形成論の基本的な特徴は何か, 判断形成論の探求は民主的決定の隣接領域における最近の研究動向といかなる関連性をみてとれるのか, それは現代社会にとってどのような意義があるのか。本稿の目的は, 古代ギリシャから現代までの集合的意思決定研究の歴史を概観することにより, これらの問いにたいする展望的な答えを得ようとすることにある。本稿の主張は, 選好集約論の探求がもはや不要であるという点にはない。判断形成論の探求をすすめる必要があり, これらの理論が民主的決定にとって相補的な関係にあるという点にある。


[学会等での発表]

発表者名:富山慶典

題名:情報化の進展と地域再興の可能性〜人はなぜ東京に集まるのか〜

学会名(講演会名):日本地域学会第41回年次大会, シンポジウム

発表年月日:2004年9月11日

開催場所:早稲田大学

要旨:これまでの日本の社会情報化は政府と産業界が一体となって産業の高度化としての情報化過程を通じて進展が促されてきた. これを“上からの情報化”とよぶとすれば, これからは“下からの情報化”を促進する必要がある. 後者を担うのが地域であり, これからの地域情報化への取り組みは, 地域自身が自ら知恵を絞った「住民本位」のものでなければならない.


[学会等での発表]

発表者名:富山慶典

題名:ユビキタス・ネットワーク時代の社会情報学

学会名(講演会名):日本社会情報学会第19回全国大会, 基調シンポジウム

発表年月日:2004年9月16日

開催場所:電気通信大学

要旨:これまでの「ユビキタス・ネットワーク社会」の概念と「社会情報学」の概念を整理したうえで, ユビキタス・ネットワーク社会をどのようにするのかについて, 企業や官庁からの構想との照応関係のなかで, 人間と社会の側から実践的に構想する必要があるのではないかと主張した.


[学会等での発表]

発表者名:富山慶典

題名:ネットワーク社会と住民・行政の協働の可能性〜「eデモクラシー」に関する全国調査から考える〜

学会名(講演会名):第1回行政文化塾(主催:NPO行政文化研究所あっとぐんま)

発表年月日:2004年9月25日

開催場所:群馬県庁2階ビジターセンター

要旨:eデモクラシーの定義と基本的立場およびeデモクラシーを追求する背景について簡潔に説明したあとで, 市民と自治体職員が参加・協働をどう捉えているかを全国調査の結果を踏まえて概観し, それぞれのプラス要因を活かしながらそれぞれのマイナス要因を補う方向での協働推進の道を論じた.

外国語第三研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:Michiko Suematsu

題名:Export of Japanese Shakespeare Productions: Yukio Ninagawa's Four Productions

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:11

号数:

発行年月日:2004年3月31日

頁:59〜69

要旨:海外からの受容に終始してきた日本でのシェイクスピア公演も、ここ20年、日本から海外への発信が目立ってきた。この状況を受けて、本論では、日本の代表的な演出家となった蜷川幸雄のシェイクスピア海外公演について、内外の評価の温度差も含めて、その成果と意義を検証した。
 さらに、蜷川の公演を手がかりに、日本のシェイクスピアとはあくまで「日本風な」シェイクスピアに過ぎないのか、あるいは、異なる文化の融合による新しい「読み」を積極的に提供し、今までに無いシェイクスピア上演の可能性を提示しえているのか等、日本のシェイクスピア上演の可能性や意義を検討した。


[学会等での発表]

発表者名:末松美知子

題名:セミナー1:『オセロ』を読む

学会名(講演会名):第43回シェイクスピア学会(日本シェイクスピア協会)

発表年月日:2004年10月10日

開催場所:同志社大学

要旨:人種差別、家庭内暴力、植民地主義等の今日的主題を含む『オセロ』は、まさに時代を描くシェイクスピア悲劇として 注目を集め、特に1980年代以降、英国での上演回数は増加している。発表では、これらの上演が、作品の持つ「現代性」をどのような舞台設定において表現しようとしてきたかを検証した。具体的には、過去20年余りの日英の上演をとりあげ、それぞれの舞台設定の特色と意義を検討し、さらに、日英で大きく異なる傾向を分析した。

環境科学第二研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:Ishikawa, S.-I., Nakajima, J. & Imaeda, M.

題名:Growth, seed production and germination traits of an introduced winter-annual plant, Orychophragmus violaceus, under various light conditions.

掲載誌名:Proceedings of the first EAFES International Congress. East AsianFederation of Ecological Societies (EAFES)

頁:86

発行年月日:2004年10月20日

要旨:Relationships between distribution, growth, germination and right environment of Orychophragmus violaceus, an introduced winter-annual plant, were investigated under natural and artificial conditions for two years. The filed investigations revealed that this species distributes under relative right intensity of 30-100%, and mainly under 80-100%. Plants growing under higher relative light intensity produced more seeds per plant than those under darker conditions. On the other hand, seed germination ratio in the plants under darker condition was higher than those under higher relative light intensity. The growth experiments under some artificial shading conditions revealed that mortality of this species was the lowest under 9-10% relative photon flux density. These findings suggest that this species can distribute under 10-100% right environments, and even under darker conditions, it can maintain population by producing seeds with higher germination ratio, though number of seeds produced may be limited by the smaller plant size.


[その他著作]

(報告書)

著者名:石川真一、吉井弘昭、高橋和雄、中嶋淳

題名:確率モデルと環境シミュレータを用いた地球環境変動下の帰化植物の生活史解析. 文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(C)(課題番号 13680597)(平成13年度〜平成15年度)研究成果報告書
(6-87ページ担当)

発行年月日:2004年5月

要旨:外来植物オオブタクサに対する二酸化炭素濃度、温度および窒素態比の影響解析を行った。群馬県内の分布北限で、低温環境である水上町に自生する個体群と、南部の伊勢崎市の個体群を用いて、現地個体の生長解析、気温・土壌窒素態比比較を行った。また、群馬大学構内で窒素肥料投与実験下での生長解析、種子生産量比較を行った。その結果、水上に自生するオオブタクサは、伊勢崎のオオブタクサよりも相対生長速度が遅いことが確認された。また、伊勢崎の土壌が水上の土壌よりも20倍以上も硝酸態窒素濃度が高いことが明らかになり、両調査地点のオオブタクサにおける生長と個体サイズの差には、気温の違い(約10℃)と土壌窒素態比の違いが影響していることが示唆された。窒素肥料投与実験においては、硝酸態窒素・アンモニア態窒素比の異なる栽培区を設けて生長解析を行った。その結果から、オオブタクサは硝酸態窒素を好むこと、気温が同じなら相対生長速度に地域個体群間差がないことが示された。以上より、今後の温暖化や河川汚染の進行によって、オオブタクサの個体の巨大化がさらに直接的に促進されることが示唆された。


[学会等での発表]

発表者名:石川真一、中嶋淳、今枝美香

題名:外来植物ハナダイコン(ショカッサイ)の分布・生長・種子生産と光環境の関係

学会名:日本生態学会第51回大会

発表年月日:2004年8月

開催場所:釧路・釧路市観光国際交流センター

要旨:ハナダイコン(別名オオアラセイトウ・ショカッサイ、Orychophragmus violaceus)は中国原産の外来植物である。前橋市内50地点においてハナダイコンの分布と生育地の相対光強度調査を2年間行い、また人工被陰によって0.6〜100%の相対光量子密度条件を設定し、それらの下での生長解析・枯死率測定を行い、さらに室内で種子発芽実験を行った。その結果、ハナダイコンは明るい光環境により多く分布しているが、ある程度(10%前後)の暗い光環境下においても生存・生育可能であると考えられる。またこの程度の暗い環境下においては、発芽率の高い種子を個体サイズに応じた数だけ生産して、個体群を維持していることを明らかにした。


発表者名:石川真一

題名:企業と大学人の協働の一例:サラ地からの大型ビオトープ育成管理

学会名:日本生態学会第51回大会自由集会「生態学者よ、街に出よ!」

発表年月日:2004年8月

開催場所:釧路・釧路市観光国際交流センター

要旨:現代社会に対して最も大きな影響力を持つ存在である企業が、いま急速に「環境」への対応を変えつつある。90年代以降、先進的な企業は主に企業内部と製品の環境負荷削減に努力してきた。最近では世界的に企業の社会的責任(CSR)が問われていることもあり、例えば生物多様性の保全にまで関与する企業も出てきた。しかしながらこのような動きは、研究者には十分に伝わってはいないし、逆に企業も研究者の研究内容・目的ををほとんど知らない。
 生物多様性の保全などをめざした企業の環境活動には、生態学的知見や研究者との協働が今や必須と言える。しかし、現状のように相互理解の足りないままでは、企業の環境活動が誤った方向に進むことさえ、ありえないことではない。そこで、松下電器産業株式会社と、株式会社CSR経営研究所から演者を招聘し、それぞれの組織における環境に対する取り組みの現状を発表、討論を行った。本稿では、企業と大学人の協働の一例として、アドバンテスト・ビオトープ育成管理の経緯を概説した。企業の環境対応の場においても、企業側が基礎研究を重視し、また研究者側が、研究成果を逐次企業側に報告することにより、企業側も迅速に育成管理施策を立案・実行することができる、という、きわめて良好な関係が築けることを明らかにした。


発表者名:Ishikawa, S.-I., Nakajima, J. & Imaeda, M.

題名:Growth, seed production and germination traits of an introduced winter-annual plant, Orychophragmus violaceus, under various light conditions.

学会名:The first East Asian Federation of Ecological Societies International Congress.

発行年月日:2004年10月22日

開催場所:韓国・木浦国立大学

要旨:(上記Proceedingsに同じ)


[社会的活動]

開催者名:石川真一

題名:教養教育合宿実習「群馬県本白根山の自然環境の成り立ちと保全」

開催年月日:2004年7月3日〜4日

開催場所:群馬県草津町

要旨:群馬大学学生を対象とし、草津白根山の自然環境資源としての重要性や、周辺地域の産業がいかに自然環境資源をうまく利用して成り立っているかを体験する実習。


開催者名:石川真一

題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習

開催年月日:2004年4月〜月一回開催

開催場所:群馬県明和町

要旨:(株)アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町)内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い、これに基づいて講習を行った。(株)アドバンテストビオトープ基金により助成を受けた。


開催者名:石川真一(群馬県自然環境調査研究会)

題名:群馬県・良好な自然環境を有する地域学術調査

開催年月日:2004年6月、7月

開催場所:赤城山地蔵岳、湯の丸高原

要旨:群馬県の委託事業である。群馬県赤城山山麓、湯の丸高原における絶滅危惧植物(レッドデータ・プランツ)の分布調査を担当した。

情報決定第2研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:Atsushi IWAI

題名:Social Utilization of Customer Information and Guarantee of Individual Privacy

掲載誌名:Proceedings of the International Conference on Service Systems and Service Management 2004.

発行年月日:2004年7月

頁:357〜362

要旨:サービス提供者が保有する顧客情報を顧客のプライバシを守りつつ共同利用する手法を提案した. 定量的調査における利用の手法として, マクロデータの特性を維持しつつ個人特定が困難になるよう情報を故意に劣化させるシンプルな手法を提案した. また, 将来的な定性的調査のための手法としてプロセス形式化技法の利用を提案し, この点で先行研究とほぼ並行の議論を展開できることを説明した.


[学会機関誌等への投稿]

著者名:Atsushi IWAI

題名:Methods for Ensuring Credibility of Electronic Secret Voting

掲載誌名:Proceedings of the International Conference on Politics and Information Systems, Technologies and Applications 2004.

発行年月日:2004年7月

頁:278〜283

要旨:電子匿名投票において投票の正しい集計が外部から確認しにくい問題を検討し, 対処法を複数提示した. このうち中心的な提案技法(Process B)はシンプルであり, 少なくとも設計ミスによる集計上の誤りの可能性をほぼ完全に除くことができる. また, 現行の法制に準じた内容となっている. 本研究では, さらに先行研究の匿名保証型の意思決定支援システムを紹介し, このシステムにおいて提案技法を採用した場合の将来的課題についても検討を行った.


[学会等での発表]

発表者名:岩井淳

題名:実験用匿名保証型DSSの構築と環境変数

学会名(講演会名):第18回社会情報学会全国大会(JASI)

発表年月日:2003年10月11日

開催場所:東京工科大学

要旨:利用者間の相互行為に匿名性を保証する型の意思決定支援システムは, 理論的検討から利用実験の段階に入りつつある. 実証実験の中心課題は反対案・代替案の提出が増すことの確認であるが, 実験システムにおける討議は, 匿名性保証等に関わる多様な条件に影響されうる. 本稿では, 実験システムの設計と運用に関する選択肢を環境変数として整理し, 利用実験の準備とした.


[学会等での発表]

発表者名:岩井淳

題名:匿名性の厳密な維持を考慮した無記名投票の集計技法〜情報の正確な反映に対するプライバシーの優先〜

学会名(講演会名):日本情報文化学会第11回全国大会

発表年月日:2003年10月18日

開催場所:東京大学

要旨:本稿では, 無記名投票の下でも結果的に投票者の匿名性が守られない場合があるという問題を検討し, この問題を多くの状況で回避できる新たな投票結果の集計技法を提案した. 無記名投票を支援する本稿の提案技法は, 情報の正確さを敢えて損なうことで投票者の匿名性をより厳密に維持しようとするアプローチに特徴があり, シンプルで実現に要するコストが小さい.


[学会等での発表]

発表者名:岩井淳

題名:社会的選択と選択肢提出のコスト〜匿名性保証における自己限定不安への対処〜

学会名(講演会名):日本社会情報学会第7回大会(JSIS)

発表年月日:2003年10月19日

開催場所:熊本学園大学

要旨:本稿では, 意思決定支援システム構築の観点から, 社会的選択の場面において参加者が選択肢を提出する際の心理的コストを分析した. 特に, 従来の評価不安の概念のうちに, 他者との人間関係に着目した狭義の評価不安の他, 特定の立場に自己を限定することに対する不安もあること, また, 技術的には両者を分離して扱うことができることを整理して説明した.


[学会等での発表]

発表者名:岩井淳

題名:電子投票と投票者の匿名性

学会名(講演会名):経営情報学会2003年秋季全国研究発表大会

発表年月日:2003年11月2日

開催場所:函館大学

要旨:本研究では, 一定の匿名性を保証しつつ, 投票結果の集計の公正性を投票者が確認できる電子投票の方式を検討した. 一般に, 電子投票において投票者に匿名性を保証する場合には, 投票結果の集計の公正性が各投票者から確認しにくくなるという問題がある. 本研究では, 複数の投票方式を提出し, 投票が正しく集計されたことを直感的に理解できる仕組を含めることがある程度可能であることを明らかにした.


[学会等での発表]

発表者名:岩井淳

題名:匿名性の活用による集団思考の抑制と実験システム

学会名(講演会名):情報処理学会第66回全国大会

発表年月日:2004年3月11日

開催場所:慶応義塾大学

要旨:本研究では, 匿名性の活用により相互作用の形式性と公開性を高めて集団思考を抑制する意思決定支援システムの構築を念頭に, その実験技法を提案した. 特に, 匿名性に関しての小規模実験特有の操作的問題を列挙し, これらに対する比較的に安価な対処方法を提案した. また, 提案した技法相互の関連を含め実験システム構築の観点から評価を行った.


[学会等での発表]

発表者名:岩井淳

題名:LOCとSOCのパラダイムにおける集団思考理論の位置

学会名(講演会名):第30回日本保健医療社会学会大会

発表年月日:2004年5月15日

開催場所:東洋大学

要旨:本研究では, 社会心理学者I. L. Janisの提出した集団思考理論がRotterのLOC (Locus of Control) 概念と整合的であることを説明した. また, LOCに対してA. Antonovskyが提出したSOC (Sense of Coherence) の概念が集団思考理論に与え得るであろう影響を検討し, 論点を整理した. 集団思考理論を含め, 集合的意思決定の理論は集合的ストレッサーへの対処理論に数え得るため, 本研究の整理は, 個人的ストレスの理論と集合的ストレスの理論の連結に関わる.


[分担執筆]

執筆者名:岩井淳

題名:「なぜ自殺するのか」他

編著者名: 土場学他(編), 日本数理社会学会(監修)

書名:『社会を〈モデル〉でみる〜数理社会学への招待〜』

発行所名:勁草書房

発行年月日:2004年3月

分担執筆の頁:26〜29, 42〜45頁

要旨:19世紀にE. デュルケムが著した社会学の古典『自殺論』を, 20世紀の数理社会学者J. S. コールマンのマクロ・ミクロ図式を使って紹介した〔「なぜ自殺するのか」〕.

外国語第4研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:井門 亮

題名:Non-identical Resemblanceを示す表現について

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第11巻

号数:

発行年月日:2004年3月31日

頁:71〜84

要旨:本稿は、non-identical resemblanceの関係を示す手続き的意味を持つ標識である英語のlikeと、「よう」「みたい」「ふう」といった様々な日本語表現を関連性理論の枠組みから分析をしたものである。


[学会機関誌等への投稿]

著者名:井門 亮

題名:関連性理論から見た<類似性>に基づく表現:Likeと「よう」を中心に

掲載誌名:日本認知言語学会論文集

巻数:第4巻

号数:

発行年月日:2004年9月10日

頁:467〜470

要旨:本稿では、Andersen (1998, 2000, 2001) に基づき、談話標識としてのlikeは、単に話しの間を埋めるためだけのものではなく、類似性を示す標識として機能し、発話解釈において重要な役割を果たすことを確認し、さらにこのlikeと同様に類似性の関係を示すと考えられる、「よう」を中心とした日本語表現を検討した。

社会・情報行動講座

情報行動研究室

[編著書] 著者名: 太田令子・馬場久志・都筑学・千種篤麿・浜谷直人・間宮正幸・加藤義信・西野美佐子・白井利明・黒須俊夫

題名:心理科学への招待 — 人間発達における時間とコミュニケーション —

発行所:有斐閣

発行年月:2004年6月

要旨:本書は, 著者が属する心理科学研究会の創立30周年を記念して出版されたものである。筆者は, 本書の編集委員会委員長として, 企画・構成その他全般にわたって携わった。本書のねらいは, 日本という社会的現実のなかで生きている人たちの心の状態を正しく理解し, 一人ひとりが希望をもって生きていくための方途についての提言を試みることにある。筆者の担当した章は, 第9章 こころとコミュニケーション, エピローグ, および, あとがきである。


[翻訳]

著者名:J・V・ワーチ

訳者名:佐藤公春・田島元信・黒須俊夫・石橋由美・上村佳世子

題名:行為としての心 (Mind as Action)

発行所:北大路書房

発行年:2002年

要旨:本書は,アメリカ心理学における新たな理論的主張の代表者であるJ・V・ワーチ(ワシントン大学教授, セントルイス)の著「Mind as Action」を, 彼の元で客員教授として研究したことのある訳者たちで翻訳したものである。ワーチは, ロシアの心理学者L. S. Vygotskyの理論に学びつつ「社会文化的アプローチ」という新たな心理学理論を提起して国際的に著名な心理学者の一人である。
 筆者は, 第2章 媒介された行為の特質 (Properties of Mediated Action) を「訳出した。


[論文]

題名:松本サリン事件報道におけるメディアの実態(1) — 新聞見出しから見た報道枠組みの変容について —

雑誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:7

頁:169-223

発行所:群馬大学社会情報学部

発行年:2000年

要旨:1994年6月27日松本市で起こった「松本サリン事件」についての報道記事を収集し, 分析した。収集対象とした新聞は, 朝日新聞, 毎日新聞, 読売新聞, 日本経済新聞, 産経新聞, 信濃毎日新聞, 市民タイムス(松本市), 福島民法, 下野新聞, 上毛新聞, 埼玉新聞, 神奈川新聞, 福井新聞, 西日本新聞である。各新聞社が犯人と名指しされた河野さん謝罪したのは, 朝日新聞社が1995年4月21日であり, 読売新聞(同年5月12日), 産経新聞(同5月27日), 信濃毎日新聞(同6月2日), 市民タイムス(同6月3日), 毎日新聞(同6月6日), 日本経済新聞(同6月13日)であり, これら以外の下野新聞や上毛新聞などの地方紙はみな6月27日であった。これら謝罪の対象をみると, 読売新聞と産経新聞の2社が「河野氏」「河野氏の家族」「河野氏の関係者」「読者」を対象としていたが, それ以外の新聞社は「読者」を謝罪対象としていないことが判明した。また, 市民タイムスだけが「河野氏」だけを謝罪対象に挙げていた。


著者名:黒須俊夫

題名:IT革命と私たち

雑誌名:群馬評論

号数:85号

頁:24-26

発行所:群馬評論社

発行年:2000年

要旨:本稿は「一匹の妖怪が日本中を徘徊している。妖怪の名は『IT革命』」という書き出しで始まっているが, こうしたIT革命によって私たちの生活に様々な変化をもたらしている現実について, それが「デジタル革命」であるところに, 最大の問題点がることを指摘した。それは, インターネットを介した世界は「ヴァーチャルな世界」であることやめず, その限りにおいて, そこに掲載されいる「情報」の真偽は, 確認不可能性を本質としている。したがって, こうしたゆらぎの「ヴァーチャルな世界」に対抗するためには「生きた人と人の生のぬくもりをもつ連帯のネットワークを築くことが不可欠であることを指摘した。


著者名:黒須俊夫

題名:社会情報学部学生の所属意識に関する調査研究

雑誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第8巻

頁:125-173

発行所:群馬大学社会情報学部

発行年:2001年

要旨:社会情報学部という名称の学部が1990年に札幌学院大学(1991年4月学生受入)に設置されたのを皮切りに, 大妻女子大学(1992年4月学生受入), 群馬大学(1994年4月学生受入), 呉大学(1995年4月学生受入), 十文字大学(1996年4月学生受入)の5つ大学に設置された。新たな学問領域を教育・研究の対象とすることから,「社会情報学部」の学生たちは自らの学部への帰属についてどのような意識を持っているかを明らかにするために行った意識調査の報告である。5大学からそれぞれ90名以上の学生から計612票の回答が寄せられ, 1)学部の選択動機など, 2)学部への満足度, 3)学生生活上野不安について, 4)社会情報学部の特徴と今後改善すべきこと, 5)所有している情報機器とその利用について, 6)授業科目を選択するときに考慮することなど, について分析し, 各大学の教育の現状と課題を明らかにした。


著者名:黒須俊夫

題名:メディア人間論の構図(1) — メディア人間論の台頭 —

雑誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第10巻

発行所:群馬大学社会情報学部

発行年:2003

要旨:情報・メディアの概念についての研究の深まりに応じて, 人間のついての捉え方についても大きく変化してきているが, ここでは「メディア人間」という用語において「人間論」を展開することが可能であることについての基本的な立場について論じた。
 ここで主張されている「メディア人間」とは, IT革命の進展によって私たちが様々なメディア(ウオークマン, ケータイなど)を身につけて生活するようになったというような皮相な捉え方ではなく, 人間が人間になる過程(人類史)において「メディア」を開発するとともに, 自らのうちに「メディア」を内化させてきたという新たな視点から論述した。


著者名:黒須俊夫

題名:メディア人間論の構図(2) — 道具とメディア人間〈1〉 —

雑誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数: 第11巻

発行所:群馬大学社会情報学部

発行年:2004年

要旨:メディア人間の続編である。本稿では, 私たちの「こころ」を構成する要素として, 1)「心理的道具」, 2)「技術的道具」の異同について概述した。また,「心理的道具」論を心理学界で最初に提起したヴィゴツキーのロシア語の原著を精読し, これまでに日本語と英語に訳された訳文を検討し, 筆者なりに新たに平易な訳出を試みた。また,「心理的道具」の特性について新たな視点から解説しつつ, 心のしくみとコミュニケーションの過程について展開した。


著者名:黒須俊夫

題名:大学教育の一つの試み — かわら版によるコミュニケーションの活性化をめざして —

雑誌名:群馬評論

号数:第98号

頁:74-79

発行所:群馬評論社

発行年:2004年

要旨:筆者の授業改善のための努力の一端をまとめたものである。ゼミ形式や少人数の講義という場合には, 学生との意見の交換が容易にできるが, 100人を超えるような多人数になるとそれはほとんど不可能となる。そこで考え出したのが「かわら版」方式である。毎授業の終了間際に学生たちに当該授業での「理解できなかったこと, よく分かったこと, その他授業についての感想や意見」を書いてもらう。本名ではなく「ペンネーム」書いてもらう。当番の学生グループにこの感想文の中で特に目立った/おもしろい/厳しい意見や感想を選別して「かわら版」として編集してもらい, ワープロで原稿を作成して翌授業日に印刷して全員に配布する。これによって, ふだん質問など滅多にしない学生も「分からない点」を挙げたり,「授業に望むこと」などの要望を適確かつ容易に表現するようになり, 授業の進め方に大いに参考になるのである。


[報告書]

著者名:黒須俊夫

題名:生きがいと健康づくりに関する調査報告書

発行所:群馬県及び群馬県長寿社会づくり財団からの委託研究報告書

発行年月:2003年3月

要旨:高齢者がいつまでも健康で幸せな生活を営むことができる長寿社会づくりのための基本的資料及び平成16年に群馬県で開催される全国健康福祉祭をよりよい大会にするための基礎資料を得ることが目的である。このために、全国健康福祉祭ふくしま大会に参加される選手の方を対象に生きがいや健康づくりのために日頃から考えられていることや実践されていることなどを通して、健康づくりに必要な基本的な考え方やこれらの方々もつ生きがいなどとの関連を明らかにした。


著者名:黒須俊夫

題名:平成15年度生きがいと健康づくり調査研究事業「高齢社会に関する意識調査報告書〜団塊の世代を中心とした高齢化社会に関する意識調査報告書〜」

発行所:群馬県・長寿社会づくり財団からの委託研究

発行年:2004年3月

要旨:平成7年(1995年)には群馬県の総人口が200万人で、65歳以上の人口の割合は15%ほどであったが、平成15年(2003年)には19%に上昇し、10年後の平成25年には4人に1人が高齢者となる超高齢社会に突入することが予想されている。
 本調査は、こうした高齢社会の到来に備えて高齢者がいつまでも健康で幸せな生活を営むことができる長寿社会をつくるための基本的資料を得ることを大きな目的としている。
 このためこの調査は、来るべき超高齢社会をリードしていく団塊の世代といわれる中高年齢層の方々の健康、福祉、生活などの分野での意識や、健康づくりのために日頃から考えられていることや実践されていることなどを明らかにすることを通して、今後の豊かな高齢社会への対策などの推進のための諸意見をまとめたものである。


[学会等報告]

著者名:黒須俊夫

題名:群馬大学の統合・再編と社会情報学部

学会名(講演会名):第8回国立大学新構想学部教育・研究フォーラム

発行所:岐阜大学地域科学部

発表年月日:2002年9月26日〜27日

要旨:全国の新構想学部(戦後に作られた新たな学部で, 東大の教養学部や, 最近の環境科学部とか人間科学部といった新たに構想された学部)の集まりで, 1)独立法人化問題, 2)埼玉大学と群馬大学の統合の動き, 3)社会情報学部における「大学評価・学位授与機構」による大学評価への対応, 社会情報学部の創立10周年, といった流れの中で「小さな学部」が大海の小舟のように揺れ得動く様とIT社会の進展で「社会情報学の教育・研究」への期待の高まりを後ろ盾にして「生き残る」ことを考えることが課題であると報告した。


著者名:黒須 俊夫

題名:「群馬大学社会情報学部にける教育研究活動」

学会名(講演会名):第9回国立大学新構想学部教育・研究フォーラム

発行所:佐賀大学文化教育学部

発表年月日:2003年9月27日〜28日

要旨:大学評価・学位授与機構から本学部が受けている「学部の教育・研究の評価」についての途中経過報告を行った。正式には,「分野別教育・研究評価自己評価『総合科学』(平成14年度着手分)」というのであるが,「学際性」と「総合性」という視点から本学部の学部・大学院の教育および研究体制とその成果についての自己評価(本学部の全教員の力を結集して行ったものである。その中で,「学際的・総合的」研究はかなりの進展を見ているが,「学際的・総合的」教育については不十分であることが明確になり, この点は大いに改善する必要があることを認識している。このフォーラムでは, 他の新構想大学での「学際的・総合的」教育の進展についてご教示頂くことが今回の参加のねらいであることを表明した。


[講演他]

著者名:黒須俊夫

題名:こころの特徴について — 理解と記憶 —

学会名(講演会名):福島県立白河旭高等学校

発表年月日:2001年9月26日

要旨:「出前授業」で, 高校生約80人にたいして, 人間の情報処理の仕組みについて概説し,「さんま」や「自動車」ということばを聞いたときに, それらをイメージした「サンマ」や「ジドウシャ」は, 一体「どこにあるか」ということについて考えた。ついで, 私たち自身の「アイデンティティ」の基盤としての記憶については, 簡単な実験を通して「記憶すること」の本質としての「まとめること」の意義について分かりやく講義した。


著者名:黒須俊夫

題名:「IT社会の現実と幻想」

学会名(講演会名):群馬大学公開講座「情報の新世紀を考える」

発表年月日:2001年11月10日(土)

要旨:公開講座の一環として, ある「メディア」が社会に定着する過程やそのメディアが私たちに人間の生活や意識を変えることについての諸問題を指摘し, これからますます進展するIT社会において確かな生活を営むためには, 1)メディア使用能力, 2)メディアの批判的受容と解釈, メディア表現の限界性などの理解(メディアリテラシー)を身につけるだけでは不十分であるこを指摘した。最後に, メディアは所詮メディアであることから, 私たち人間にとって基本的な関係 — 他者との連帯 — をどう築くかがもっとも重要な人間的リテラシーであることを指摘した。


著者名:黒須俊夫

題名:情報化社会と高齢者

学会名(講演会名):前橋市若宮地区老人会

発表年月日:2000年2月12日

要旨:高齢化社会において,「高齢者」はもはやかつての「老人」ではなく, 身体的にも心理的にも「若々しさ」を十分保ちつつ生きていくことが可能であることを発達心理学の諸知見をもとに概述した。特に, どの年齢段階にあって, 共通していることは, 「人は一人では生きていけない」ということと「人は, 希望をもたないと生きていけない」ということであることを強調した。そして, いつまでも「希望を失わない」ためには, あたりまでのことであるが,「目的, 課題」を自らが選定し, その達成のために努力することであることについて具体例をもとに説明し, こうしたことは「情報化社会」において, インターネットや各種の機器を用いて容易に実現可能であることを述べた。


[そ の 他]

編著者名:黒須俊夫(平沢先生を囲む会代表)

題名:未来を見つめ, 未来を語りつづけた平沢八郎先生

発行年月:2004年7月

概要:栃木県の元中学校校長であった「平沢八郎」氏の生き方に感銘した小生が, 氏の教え子や知人などと共同で「平沢先生を囲む会」を結成し年に1回ほどの「囲む会」を開催してきた。この中で出された話題や氏の著書・論文などを精選し, 参加者の氏に対する回想文などをまとめたものである。なお, 平沢八郎氏は, 第二次大戦中に栃木県真岡市に疎開していた武谷三男氏(物理学者),鰐淵賢舟氏(音楽家)や久保貞二郎氏(美術評論家)などと親交のあった方で, 浜田庄司氏(陶芸家,人間国宝)とも親しく, 著書の「益子焼きの散歩道」は格好の益子焼き入門書として好評だった。本書には, この論文も収録してある。

地域社会史研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:落合延孝

題名:幕末の情報人 — 森村新蔵「享和以来新聞記」を読む

掲載誌名:大学図書館問題研究会誌

号数:26号

発行年月日:2004年6月

頁:61-69

要旨:「享和以来新聞記」を記録した森村新蔵の情報ネットワークと人間関係を在地文化との関わりで検討した。森村家の所蔵目録から新蔵の読書傾向を検討し、軍記物・お家騒動などの実録物が多く地方文人の基礎的な書物を所蔵していたことを明らかにした。


[史料紹介]

著者名:落合延孝

題名:水戸浪士と上州 — 森村新蔵「享和以来新聞記」より —

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

号数:第11巻

発行年月日:2004年3月

頁:268-301

要旨:森村新蔵「享和以来新聞記」巻之六に記録された1864年(元治元)5月中旬から下旬にかけての天狗党の軍用金調達の動き、7月から10月までの水戸藩の内乱に関する史料紹介を行い解説を付した。


[史料紹介]

著者名:落合延孝

題名:忠治くどきの史料紹介

掲載誌名:群馬評論

号数:98号

発行年月日:2004年4月

頁:80-82

要旨:群馬大学附属図書館所蔵の「上州國定忠治くどき」を史料紹介した。忠治の死直後のくどきであるが、忠治を「侠客」と見る伝説がすでに同時代に形成されていることを裏付けた。


[書評]

著者名:落合延孝

題名:『明治維新期の民衆運動』

掲載誌名:歴史学研究

号数:787号

発行年月日:2004年4月

頁:44-47

要旨:著書の意義と問題点を、世直しと権力との関係、世直しの運動様式、世直しと市場構造、豪農層の地域社会編成の論理と民衆運動との対立の切り口で論じた。


[問題提起]

著者名:落合延孝

題名:情報のネットワークと在村文化

掲載誌名:地方史研究

号数:310号

発行年月日:2004年8月

頁:30-33

要旨:情報留の研究から浮かび上がってくる情報ネットワークと在村文化との関連を指摘した。


[学会等での講演]

発表者名:落合延孝

題名:「猫絵」再考

学会名(講演会名):歴史博物館友の会講座「絵画資料を解く」

発表年月日:2004年2月28日

開催場所:群馬県立歴史博物館

要旨:新田岩松家の粉本を紹介しながら、岩松孝純が江戸の狩野舟川と東長岡村坂本伊右衛門の門弟となり、狩野探幽・常信を描いた重政の粉本を練習しながら狩野派の技法を高めていった過程を明らかにした。


[学会等での講演]

発表者名:落合延孝

題名:幕末の情報人

学会名(講演会名):文化財講座「森村家をめぐる伊勢崎地域の歴史と文化」

発表年月日:2004年9月19日

開催場所:伊勢崎市旧森村家住宅

要旨:「享和以来新聞記」を記録した森村新蔵の情報ネットワークと人間関係を在地文化との関わりで検討した。


[学会等での講演]

発表者名:落合延孝

題名:長期古文書講座

学会名(講演会名):群馬県立文書館

発表年月日:2004年9月18日・9月25日・10月2日・10月16日

開催場所:群馬県立文書館

要旨:上野国吾妻郡中之条町の文書を読みながら、江戸時代における若者組の文化を考察した。

外国文化第2研究室

[分担執筆]

執筆者名:喜多尾道冬, 荒木詳二, 伊藤秀一, 田崎研三, 新井裕, 須磨一彦, 斉木眞一, 小山田義文, 下澤和義, 小林正文, 松本道介, 稲垣孝博

書名:芸術のイノヴェーション — モード アイロニー パロディー

発行所名:中央大学出版部

発行年月:2004年3月

分担執筆の頁:221 - 249頁(全495頁)

要旨:18世紀から19世紀に起こった市民革命の原動力になったのは産業革命であった。産業革命は消費者の消費意欲を刺激するために絶えず更新されるモードを必要とした。文化の分野でもはこうした産業構造に呼応して、文化のイノヴェーション=モード化が始まった。文化はまずロマン主義の時代消費・使い捨ての時代に入った。19世紀末には、女性解放運動の影響もあって、性のモード化が進んだ。
 筆者は「ヴェーデキント『ルル二部作』に見る愛と性ー異性愛主義・女性嫌悪・同性愛嫌悪」で、上述の性のモード化に素早く反応し、性のアナーキーを描いたヴェーデキントを取り上げ、劇作品の基底に異性愛主義・女性嫌悪・同性愛嫌悪が存在するとし、世紀末女性に対するが男性の不安があるとした。しかし性のアナーキーを時代に先駆けて描きながらも、献身的な愛を固定化した点で、ヴェーデキントはモラリストであること自ら表明し、また性のモードに乗り遅れることになったと分析した。


[学会等での発表]

発表者:荒木詳二他名

題名:芸術とプロパガンダ

講演会名:世界文学会シンポジウム

発表年月日:2003年12月25日

場所:青学会館

主催者:世界文学会

要旨:政治権力は常に芸術をプロパガンダの手段としたり、検閲をおこなって、弾圧の対象としてきた。発表では、プロパガンダの語源的説明、定義および歴史について説明したうえで、18世紀から今日にいたるドイツ演劇におけるプロパガンダについて論じた。


[書評]

著者名:荒木詳二

題名:バイヤーデルファー他『ドイツの笑い・日本の笑いー東西の舞台を比較する』

掲載誌名:『世界文学』

号数:98号

発行年月日:2003年12月10日

頁:104 - 106頁

要旨:「笑いの後進国」日本とドイツにおいて、演劇の分野で笑いはどのように描かれてきたかという本書のテーマである。機知・風刺・滑稽・グロテスク・ユーモアなどの〈笑いと〉の諸要素を、本書に即して分析し、さらに日本の笑いの特徴をさらに大衆演芸まで広げて分析することの必要性を主張した。


著者名:荒木詳二

題名:丸本隆編『オペラの18世紀 — バロックからもモーツァルトへ』

掲載誌名:『世界文学』

号数:99号

発行年月日:2004年7月10日

頁:118 - 120頁

要旨:最近我が国でも耳にする機会の増えたドイツ・バロック・オペラについてのいわば入門書である本書を紹介し、本書の意義を比較的無名の作曲家の紹介、当時の音楽事情とその歴史的背景の説明、都市論の展開にあるとした。


[学会機関誌等への投稿]

著者名:荒木詳二

題名:白髪のアン — 『赤毛のアン』と私

掲載誌名:『世界文学』

号数:99号

発行年月日:2004年7月10日

頁:32 - 33頁

要旨:本稿は、『世界文学』第99号特集「児童文学」へ寄稿した児童文学に関するエッセー風の文章である。世界で最も愛されている少女文学作品の一つである『赤毛のアン』を、最新の研究書などを参照しつつ、また自らの読書体験を交えながら、その魅力について論じた。

パーソナルコミュニケーション研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:堀正, 柿本敏克, 黒須俊夫

題名:研究手法としての仮想世界ゲーム — ゲーム展開事例の報告をもとに —

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:10巻

発行年月日:2003年3月

頁:103〜113

要旨:人間科学的研究の方法論的側面を再検討するプロジェクトの一環として名古屋大学の広瀬幸雄教授によって作成された仮想世界ゲームをもとに, 2002年に情報行動実験実習で行われた実験の結果を紹介する。


[学会等での発表]

発表者名:堀正

題名:自己形成と言語・教育 — サモア・トンガ・フィジーの状況から — (ワークショップ90「自己心理学における文化の問題」)

学会名(講演会名):第67回日本心理学会大会

発表年月日:2003年9月15日

開催場所:東京大学

要旨:南太平洋島嶼部の国々(トンガ, フィジー, サモア)の文化の状況と, そこに暮らす人々のパーソナリティ形成について, 資料をもとに話題提供を行った。


発表者名:堀正

題名:中国における大学生の心理健康(ワークショップ43「自己心理学における文化の問題(2)」)

学会名(講演会名):第68回日本心理学会大会

発表年月日:2004年9月13日

開催場所:関西大学

要旨:中国においても大学生の心理健康が問題となってきており, その現状について資料に基づき話題提供を行った。


[分担執筆]

執筆者名:堀正

題名:現代の子どもを取り巻く教育環境 — 教育の現状 —

編著者名:榎本博明

書名:発達教育学

発行所名:ブレーン出版

発行年月日:2003年11月25日

分担執筆の頁:1〜19頁

要旨:小学校への総合的学習の導入による教育現場の変化と, 現場における取組みについて, 具体例を挙げながら論じる。


執筆者名:堀正

題名:文化とパーソナリティ

編著者名:榎本博明・桑原知子

書名:新訂人格心理学

発行所名:放送大学教育振興会

発行年月日:2004年3月20日

分担執筆の頁:159〜170頁

要旨:2004年度より始まったテレビ放送大学「人格心理学‘04」用印刷教材として執筆されたものである。パーソナリティ形成の問題において文化がどのような役割を果たしてきたかを論じる。

地域社会学研究室

[その他 — 講演]

講演者:森谷健

題名:「地域づくりと『誰か?』という問いかけ」

講演会名:倉渕村第35回生涯学習振興大会

講演年月日:平成16年2月15日

講演場所:倉淵村中央公民館

要旨:内発的発展の考え方を、地域情報化施策を例として、地域づくりにあてはめて議論した。その際に、地域資源を意味づける主体に強調点を置いた。


講演者:森谷健

題名:ワークショップ:生涯学習相談担当者の役割と大切なこと — ダブル8の字モデルから —

講演会名:平成16年度生涯学習相談担当者養成講座

講演年月日:平成16年7月8日

講演場所:群馬県生涯学習センター

要旨:相談者を生涯学習過程と学習成果活用過程におく視点に加え、相談担当者をも両過程におく視点を加えることで、生涯学習相談担当者に求められることを論じ、ワークショップを運営した。


講演者:森谷健

題名:「地域社会の変容とボランティア活動」

講演会名:NPO法人行政文化研究所@ぐんま第1回行政文化塾

講演年月日:平成16年8月28日

講演場所:群馬県庁ビジターセンター

要旨:高度成長期以降の地域社会の変容を生活様式論の立場から概説した。また、近年のボランティア活動やNPOの隆盛をふまえ、これまでにない生活様式の可能性を指摘した。

社会倫理思想研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:山内春光

題名:Kはなぜ死んだのか — 漱石『こころ』再論 —

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第11巻

号数:

発行年月日:2004年3月31日

頁:107〜127

要旨:群馬大学社会情報学部研究論集第6巻所収の拙稿で取り上げた漱石『こころ』について、とくにそこでのKの自殺はなぜであったのかという問題に焦点を合わせて 再考した。Kの自死は、その生家の宗旨であった真宗の教義としての阿弥陀信仰と亡母への追慕の念から決行されたのではなかったか、という新見解を提示した。


[翻訳]

翻訳者名:山内春光

題名(書名):神道

発行所名:青土社

発行年月日:2004年9月10日

原著者名:ポーラ・R・ハーツ

原著名:SHINTO:World Religions

要旨:本書は、シリーズ世界の宗教の内のポーラ・R・ハーツ著『神道』(Factson File)の全訳である。その全体は、『古事記』『日本書紀』神話を中心とする神道の神話的起源の解説、神道を視点の中心にすえた古代から近現代までの日本の歴史の概観、神道の儀式や祭礼と現代日本人の生活についての説明、などによって構成されて いる。

日本文化研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:高山利弘

題名:延慶本平家物語における菊池氏の周辺

掲載誌名:続々『平家物語』の成立(千葉大学大学院社会文化科学研究科研究プロジェクト報告書)

発行年月日:2004年2月27日

頁:41〜48

要旨:肥後国の菊池氏は南北朝時代に、南朝の忠臣として仕えたことで知られる九州の豪族である。すでに源平合戦においては、おもに平家側に属していたが、平家物語諸本においては異なった事情が伝えられている。本稿は、源平合戦において活躍した菊池高直をめぐって、延慶本平家物語における問題点を指摘し、延慶本の成立期の背景について論じた。


[学会等での発表]

発表者名:高山利弘

題名:『源平闘諍録』本文の略述性

学会名(講演会名):軍記・語り物研究会 2004年7月企画例会

発表年月日:2004年8月1日

開催場所:法政大学

要旨:「『源平闘諍録』論の可能性」をテーマとしたシンポジウムにおける研究発表である。14世紀に関東で成立したとされる『源平闘諍録』は、近年その研究が停滞している状況にある。この作品が地方文化を考える上で重要であることを、物語本文の特殊性に注目して論じた。

社会心理学研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:柿本敏克・堀 正・黒須俊夫

題名:研究手法としての仮想世界ゲーム ─ ゲーム展開事例の報告とともに ─

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:10

発行年月日:2003年3月31日

頁:103-113

要旨:人間科学的研究の方法論的側面を再検討するプロジェクトの一環として、名古屋大学の広瀬幸雄教授によって作成された仮想世界ゲームが論じられた。2002年度に 群馬大学でおこなわれた実施例の概略が報告され、最後に人間科学的研究における実験的手法の意義が、社会的リアリティという観点から議論された。


著者名:柿本敏克

題名:電子コミュニケーションと集団間関係、および状況のリアリティについて ─ 状況の現実感尺度構成の試みとともに─

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:11

発行年月日:2004年3月31日

頁:215-225

要旨:電子コミュニケーションのもつ匿名性などの特徴が、集団間の関係を左右する独特の社会心理学的効果をもたらすことを指摘し、電子的集団間コミュニケーションが今後の大きな研究課題となると論じた。その具体的問題の一つとして状況の現実感概念をとりあげ、この概念に対応する心理尺度構成の試みを報告した。


[学会等での発表]

発表者名:柿本敏克

題名:仮想世界ゲームにおけるリアリティ ─ 集団間関係の研究手法としての仮想世界ゲーム ─

学会名(講演会名):日本社会心理学会第44回大会

発表年月日:2003年9月17日

開催場所:東洋大学

要旨:仮想世界ゲームを集団間関係研究の枠組みとして用いることの意義について、実際のゲーム実施例をもとに考察した。このゲーム状況についての参加者による自由記述、およびゲーム途中で実施された2回の「世論調査」への回答から、この研究状況がもつ迫真性が確認された。さらにゲーム状況の外部妥当性、結果の再現性など複数の観点から考察した。加えて事例研究としての位置づけ、コンピュータシミュレーション手法との異同について考察した。


発表者名:柿本敏克

題名:仮想世界ゲーム状況における集団同一視と集団間関係

学会名(講演会名):カテゴリ研究会

発表年月日:2004年4月17日

開催場所:学習院大学

要旨:集団間関係研究として何故、仮想世界ゲームを用いるのかを述べた。最小条件集団実験を用いた実験社会心理学的研究に対しては各種の批判がありうることを指摘し、そのいくつかに応えるものとしての仮想世界ゲーム状況がもつ特徴を、主に状況の現実感という点から述べた。さらに集団同一視をキーワードとして具体的研究例を紹介した。


発表者名:柿本敏克

題名:状況の現実感尺度構成の試み ─ 電子的集団間コミュニケーション研究に向けて ─

学会名(講演会名):日本社会心理学会第45回大会

発表年月日:2004年7月18日

開催場所:北星学園大学

要旨:電子コミュニケーションと集団間関係の関わりを検討する際に重要となる状況のリアリティ概念について、心理尺度構成に向けての試みを報告した。関連する4種類の概念類型を設定し、それぞれについて作成した12項目に対して、54名からの回答を得た。探索的因子分析の結果、ほぼ予測された因子構造が得られたが、一部項目で問題点が見られた。信頼性分析およびその他の分析でもいくつかの課題が残った。


発表者名:柿本敏克

題名:最小条件集団状況におけるカテゴリー分化の認知指標 ─ 色グラデーション帯による測定 ─

学会名(講演会名):日本社会心理学会第45回大会自主企画ワークショプ4

発表年月日:2004年7月19日

開催場所:北星学園大学

要旨:最小条件集団状況におけるカテゴリー分化の指標として、かつて科学研究費を得て開発した「色グラデーション帯尺度」を用い、新たに実施した実験研究の結果を報告した。40名の被験者が最小条件集団実験に参加した。色グラデーション帯尺度その他の従属測度が用いられた。その結果、2組に集団分けされた被験者集団の表象は、プロジェクターで投影した色グラデーション帯上で明確に異なっていた。


[講演等]

発表者名:柿本敏克

題名:リーダーシップと自己の心理学

学会名(講演会名):前橋青年会議所xx研修会

発表年月日:2003年6月17日

開催場所:前橋市商工会議所会館

要旨:リーダーシップが集団の機能であるという観点から、いくつかの集団現象をとりあげ、実習も交えてリーダーシップとの関係を解説した。次に自己研究の概念とリーダーシップPM理論とのかかわりを、青年会議所会員に対する電子メール調査の結果に基づいて解説した。最後に、自己に関連するいくつかの判断バイアスのいくつかをあげ、リーダーが陥りがちな問題点を指摘した。

理論社会学研究室

[科研費報告書]

著者名:伊藤賢一

題名:公共圏の成立における集合的アイデンティティの役割 — 審議的デモクラシーの実践的可能性

掲載誌名:社会理論の実践的可能性の探究(平成13年度〜平成15年度科学研究費補助金・基盤研究(B)(1)研究成果報告書、研究代表者:学習院大学法学部教授・数土直紀)

発行年月日:2004年3月31日

頁:31〜43

要旨:本稿では、グローバリゼーションに関するHabermasの議論を参照しながら、集合的アイデンティティ、とりわけネーション概念とデモクラシーとの関係について考察している。これを検討することを通じて、ハーバマスの構想が直面している問題構造(の一端)を解明し、その構想の実践的可能性を検討している。

政策・行政情報講座

民事法研究室

[分担執筆]

執筆者名:前田泰

題名:意思能力の判定と本人の保護

書名:小林一俊博士古希記念論集『財産法諸問題の考察』

発行所名:酒井書店

発行年月日:2004年3月

分担執筆の頁:47〜78頁

要旨:財産取引につき精神上の障害を原因として意思能力の有無が争われた最近の下級審判決41件を整理・分析し、意思能力の判定と本人保護の機能との関係を検討した。その結果、本人の不利益になる取引では、裁判所は、意思無能力の認定をする割合が高く、意思能力があると認定する場合であっても他の事由で取引の効力を否定することが多いこと等の分析結果を得て、判断力が低下した者の保護のために意思能力制度が重要な機能を果たしていることを確認した。


[科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書]

著者名:前田泰

書名:医療行為に対する同意代行の研究

発行年月日:2004年5月

要旨:従来検討されることがなかった法定代理の観点から医療行為に対する同意代行の問題を研究した。まず、わが国の代理理論に圧倒的影響力を有するドイツ法における法定代理論の状況を紹介・整理し、わが国の法定代理論を検討した(第1章)。次に、わが国の立法者の法定代理観を整理したうえで(第2章)、「法定代理の代理性」すなわち民法総則の法定代理への適用の有無の問題を検討した(第3章)。さらに、法定代理の原因関係の代表である親権を検討し、親権者の法定代理権の範囲および身上監護権の内容に関する私見を提示した(第4章)。以上の作業を前提として、医療行為における同意代行の意義を検討し、親権者の身上監護権の行使を基礎とする私見を提示した(第5章)。全149頁


[解説]

著者名:前田泰

題名:無効な「身分行為」の追認と113条

掲載誌名:法学セミナー

号数:596号

発行年月日:2004年8月

頁:26〜27頁

要旨:掲載誌の特集「類推適用からみる民法1」の中で、無権代諾縁組の追認の問題を検討し、従来の通説が「無効な身分行為の追認」論で処理していたことに対して、解釈論の観点から民法規定の類推適用の是非を検討すべきことを主張した。

行政学研究室

[講演等]

講演者名:北村純

講演題目:住基ネットと個人情報保護

講演会名:群馬県高等学校教育研究会公民部会講演会

発表年月日:2004年6月25日

開催場所:群馬県立前橋高等学校(蛟龍館)

要旨:現代社会におけるプライバシー概念の推移の観点から、住民基本台帳ネットワークシステム導入と個人情報保護行政をめぐる諸問題について考察した。

政策過程論研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:伊藤修一郎

題名:コモンズのルールとしての景観条例:行政指導はいつどこで機能するのか

掲載誌名:日本政治学会年報『性と政治』

発行年月日:2003年12月

頁:229〜244

要旨:行政指導を用いた景観条例を執行する場合にも、政治社会学の「コモンズの悲劇」の状況が当てはまること、コミュニティが存在している地域では、行政指導が機能することを理論的に明らかにした。更にこの命題を群馬県の市町村に適用し、成立することを検証した。


著者名:伊藤修一郎

題名:政策過程における自治体間情報伝達の実態:景観政策アンケート調査の結果から

掲載誌名:社会情報学研究

巻数:8巻

号数:2号

発行年月日:2004年3月

頁:1〜12

要旨:景観条例アンケート調査結果に基づき、市町村間の情報伝達の実態を解明した。この結果、日常の情報収集にはホームページが急速に利用され始めたこと、ほとんどの自治体が政策策定時には他の自治体の情報を収集すること、規模が大きくなるほど情報収集が活発であること、制度上同格の自治体の情報を収集することなどが明らかになった。


著者名:伊藤修一郎

題名:町村役場の組織:ニセコ町、東村、上野村の比較事例研究

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

号数:11号

発行年月日:2004年3月

頁:161〜179

要旨:3町村の比較事例研究を通じて、小規模自治体組織の特徴と長所短所を析出した。小規模組織の特徴のひとつは、業務単位が少ないために、複数の業務をひとつの課又は係が担当することにより、業務の効率化等が図られることである。調査対象となった自治体は、これを戦略的に利用し、新規事業の早期実現などに結び付けていた。


著者名:伊藤修一郎

題名:景観政策の現状と景観条例制定過程:「2003年度景観条例・景観政策に関するアンケート調査」結果報告

掲載誌名:自治総研

巻数:30巻

号数:5号

発行年月日:2004年5月

頁:37〜57

要旨:景観条例の制定過程及び執行状況に関するアンケート調査の集計結果をまとめるとともに、その分析を行い条例を制定している自治体とそうでない自治体との違いを明らかにした。


著者名:伊藤修一郎

題名:自治体政策過程を描く:景観条例アンケート調査から

掲載誌名:自治総研

巻数:30巻

号数:6号

発行年月日:2004年6月

頁:43〜62

要旨:図式的といわれるステージモデルに伊藤(2002)が提唱する動的相互依存モデルの知見を加味すると、政策形成過程がダイナミックに示せることを主張し、景観条例のアンケート結果を題材としてその主張を裏付けた。これによって景観条例制定の政策過程は、紛争対応型だけでなく、対応すべき課題がないのに政策過程が起動される無紛争型が主流であること、それを起動させる主要因として相互参照が重要であることを明らかにした。


著者名:伊藤修一郎

題名:第1章、第4章、第5章

掲載誌名:科学研究費報告書「地方政府の政策イノベーション研究」

発行年月日:2004年3月

要旨:第1章「地方政府のイノベーション研究の意義と構想」、第4章「景観条例の制定状況と内容分析」、第5章「景観条例・まちづくり政策における相互参照」


[学会等での発表]

発表者名:伊藤修一郎

題名:自治体総体レベルにおける政策革新

学会名(講演会名):日本行政学会総会

発表年月日:2004年5月

開催場所:早稲田大学

要旨:自治体における政策革新は個体レベルで起こるのではなく、多数の自治体間の相互作用を通じて政策内容が発展する総体レベルの過程を通じて起こることをアンケートデータに基づいて実証的に検証した。


発表者名:伊藤修一郎

題名:政策イノベーションと政府間関係

学会名(講演会名):日本公共政策学会総会

発表年月日:2004年6月

開催場所:同志社大学

要旨:中央政府及び都道府県の行動は、市町村の政策採用行動にいかなる影響を与えるのかをデータに基づき検証した。


発表者名:伊藤修一郎

題名:地方自治体の組織と情報

学会名(講演会名):第9回日本社会情報学会総会

発表年月日:2004年10月

開催場所:茨城大学

要旨:自治体組織研究の論点を整理し、社会情報学との関係で議論し、新たな視点を与えた。

公共政策研究室

[学会機関誌などへの投稿]

著者名:小竹裕人

題名:「住民討議に適切な地方公共サービスの再検討」

発行年月日:平成15年11月

掲載雑誌名:日本社会情報学会(JASI)第18回全国大会研究発表論文集

頁:pp.149-154

要旨:地域の住民の「ニーズ」を地方公共財と捉えるならば, これまでの公共財の定義を始めとした議論はあくまでも供給側あるいは財の性質だけに着目された物にすぎない. 既存の公共財の議論を整理し, これからの住民主体の公共財のあり方, 多様な公共財の中から住民討議の対象として適切なカテゴリーとは何かを検討したもの.


[学会機関誌などへの投稿]

著者名:小竹裕人・岩井淳・富山慶典

題名:「地方自治体の意思決定支援と情報・討議・決定」

発行年月日:平成15年11月

掲載雑誌名:日本社会情報学会(JASI)第18回全国大会研究発表論文集

頁:pp.227-232

要旨:地方分権論を情報に, 集団活動の計算機支援を情報と討議に, 社会的選択理論を決定に対応付け, 地方自治体の意思決定支援にかかわる地方分権・集団活動の計算機支援・社会的選択理論を再整理を行い, 具体的なシステム設計においては, それらは大きな障害にならないことを説明した.


[学会機関誌などへの投稿]

著者名:小竹裕人

題名:「農業農村整備事業の効果発現状況の計測」

発行年月日:平成16年3月

掲載雑誌名:農林水産省, 平成15年度 農村地域の活性化に資する農業農村整備のあり方検討調査報告書, 第三章

頁:p.11-24

要旨:農業農村整備事業の効果発現状況を重回帰分析・正準相関分析を用いて行い,農業政策の効果は多様に発現していることから, 正準相関分析の方が分析として望ましいことを指摘した.


[その他]

プロジェクト名:群馬県庁土地区画整理課共同プロジェクト

執筆者名:共著者:青木繁伸, 小竹裕人

発行年月日:平成16年3月

題名:群馬県庁土地区画整理課共同プロジェクト報告書

要旨:群馬県内で行われている土地区画整理事業に関する住民へのアンケート調査を行い, 回答者の属性や居住年数などから事業評価ポイントの傾向について分析を行ったもの.


[社会的活動]

執筆者:小竹裕人

題名:地域経済回復の動向

掲載年月日:平成16年4月12日

掲載雑誌名:桐生タイムス

要旨:全国的に景気が回復しているという分析がされる中で, 群馬県内の景況をD.I.を用いながら検討を加えたもの.


[社会的活動]

講演者:小竹裕人

題名:「財政から地域を考える」

講演年月日:平成16年8月

主催者:群馬経済同友会

要旨:講演内容は地域問題委員会共同研究プロジェクト活動報告書, pp.63-70に掲載されている. 群馬県内の状況を財政指標あるいはデモグラフィックなデータから「余裕のある状況」であると認識し, 行政や企業の具体的な活動方針を提言した.


[社会的活動]

委員会名:群馬県藤岡保健福祉事務所事業見直し検討会

期間:2004年4月から現在

要旨:藤岡保健福祉事務所の公共サービスの見直しと事業改廃の検討を行っているもの.

座長:小竹裕人, 青木繁伸

情報法研究室

[編集・翻訳・執筆分担等]

研究協力者名:松宮広和

報告書:NIRA特定研究2003年度報告「DNA研究の発展に対応した問題解決モデルの構築」報告書

発行所名:(財)比較法研究センター

発行年月日:2004年3月15日

研究代表者名:北川善太郎 ((財)国際高等研究所副所長、京都大学名誉教授、名城大学法学部教授、(財)比較法研究センター理事長)

要旨:昨年度まで特別研究員として在籍した(財)国際高等研究所(IIAS)が、総合研究開発機構(NIRA)の支援を受けて、(財)比較法研究センター(KCLC)と実施した共同研究「研究課題DNA研究の発展に対応した問題解決モデルの構築」について、IIAS側の担当者(研究協力者)として、報告書の作成にあたった。


[学会等での発表]

発表者名:松宮広和

題目:「IP電話に係るFCC決定」

発表年月日:2004年7月17日

研究会名:科研研究題目「IT経済社会の形成と競争政策上の課題に関する総合的研究」(平成14年度〜)

研究代表者名:根岸哲 (神戸大学大学院法学研究科教授)

開催場所 大阪市・北区 大阪凌霜倶楽部セミナールーム

要旨:当該科研研究の研究分担者として、近時の米国におけるFCCによるIP電話規制について報告を行ったものである。当該内容は、近い将来に論説として公表される予定である。


[共同研究]

研究分担者名:松宮広和

研究題目:科研研究題目「IT経済社会の形成と競争政策上の課題に関する総合的研究」(基盤研究(B)(1))(平成14年度〜16年度)

研究代表者名:根岸哲(神戸大学大学院法学研究科教授)

要旨:上記の研究題目に、研究分担者の1人として参加している。当該研究の成果にもとづいて、今年度末に報告書が作成され、その後、来年度を目処に、書籍が刊行されることを予定している。担当箇所は、科学技術の発展が情報通信産業に対する規制に与える影響について。


共同研究者名:松宮広和

研究題目:総務省研究委託 研究題目「競争排除にかかる競争法的規制」(平成15年9月〜)

要旨:上記の研究題目に、4名の共同研究者の1人として参加している。担当箇所は、情報通信産業に対する規制のあり方に関する部分である。当該研究成果は、報告書として総務省に提出された後に、学術紀要にも公表される予定である。


研究協力者名:松宮広和

研究題目:NIRA特定研究「DNA研究の発展に対応した問題解決モデルの構築」(平成15年度(2003)年度)

研究代表者名:北川善太郎((財)国際高等研究所副所長、京都大学名誉教授、名城大学法学部教授、(財)比較法研究センター理事長)

要旨:昨年度まで特別研究員として在籍した(財)国際高等研究所(IIAS)が、総合研究開発機構(NIRA)の支援を受けて、(財)比較法研究センター(KCLC)と実施した共同研究「研究課題DNA研究の発展に対応した問題解決モデルの構築」に、IIAS側の担当者(研究協力者)として参加した。当該研究の成果は、前記報告書として公表されている。


共同研究者名:松宮広和

研究題目:(財)国際高等研究所課題研究「共同研究の法モデル」(平成15年度〜)

研究代表者名:北川善太郎 ((財)国際高等研究所副所長、京都大学名誉教授、名城大学法学部教授、(財)比較法研究センター理事長)

要旨:昨年度まで特別研究員として在籍した(財)国際高等研究所(IIAS)は、平成15年度より課題研究の1つとして「共同研究の法モデル」の研究を行っている。当該研究の一部であって、今年度から開始された「科学技術と法の対話プログラム」に、共同研究者の1人として参加している。

行政法研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:西村淑子

題名:都営地下鉄10号線建設工事事件

掲載誌名:別冊ジュリスト 環境法判例百選

巻数:40巻

号数:2号

発行年月日:2004年4月30日

頁:226〜227

要旨:地下鉄建設工事に起因する騒音、振動及び地盤沈下により、営業上及び精神上の損害を被ったとして、本件工事の施工者及び注文者をに損害賠償を求め、公害等調整委員会に責任裁定の申請をした事案である。 本稿は、本裁定について解説するとともに、公害紛争処理法に定める責任裁定手続の概要と近年の裁定手続の利用状況について述べたもの。


[学会等での発表]

発表者名:西村淑子

題名:行政法講義(全7回)

学会名(講演会名):

発表年月日:2003年9月〜3月(毎第3月曜日)

開催場所:法務省内会議室

要旨:平成15年9月から平成16年3月までの毎月第3月曜日に、法務省の訟務担当事務官を対象として、行政訴訟に関する講義を行った。


[分担執筆]

執筆者名:西村淑子

題名:小学校の廃止を内容とする条例が抗告訴訟の対象となる処分に当たらないとされた事例

編著者名:行政判例研究会

書名:平成14年行政関係判例解説

発行所名:ぎょうせい

発行年月日:2003年12月○○日

分担執筆の頁:104〜111頁

要旨:東京都千代田区では、就学人口の減少から既存14の区立小学校のすべてを廃止し、8の区立小学校を新設することを内容とする条例が制定され、施行された。本件は、同区内の小学校に就学する児童の保護者が、同校の廃止を不服として、本件条例の取消等を求めて抗告訴訟を提起した事案である。本稿は、公立学校廃止の法的手続、学校廃止をめぐる裁判例を概観するとともに、主に学校廃止条例の処分性を中心に検討したもの。

経済・経営情報講座

労使関係研究室

[分担執筆]

執筆者名:齊藤隆夫

題名:イタリア

編著者名:全国労働組合総連合

書名:世界の労働者のたたかい 2004

発行年月日:2004年4月

分担執筆の頁:108〜112頁

要旨:イタリアで2003年の一年に展開された労働協約改定闘争、解雇反対のたたかい、福祉国家擁護のたたかいなどの現状と意味について述べた。尚、2002年より毎年イタリアの組合運動の現状報告を行っている。

会計学研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:中島照雄

題名:環境会計の一考察-地方環境課徴金-

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究録集

号数:第11巻

発行年月日:2004年3月31日

頁:181〜195

要旨:現代文明は、地質時代から何百万年も経た化石燃料の石炭や石油などを濫用し、地球環境全体の汚染までをも発生させている。そのため、豊かな自然環境から引き継いで、将来世代へ引き継ぐというべき、自然という資本を結局食いつぶしている。今日の環境問題は、日常生活や事業活動から生じる環境負荷があまりにも大きいことに原因がある。
 そこで、私たち自身の生活を根本から問い直すとともに、社会システムのあり方を持続可能なものに変革していく必要がある。日常生活や地域社会における足元からの自発的な取り組みが持続可能な社会実現の変革の第一歩といえるので、日常生活でのゴミ発生の問題やEPR(拡大生産者責任)と地方環境課徴金および製品ライフサイクルコストなどの展開によって、地球環境問題と環境会計および地方環境課徴金などの究明をしている。


[分担執筆]

執筆者名:中島照雄

題名:序章 基本的学習-簿記会計の仕組み(会計とソーシャル・ガバナンス)

編著者名:木下照嶽・小林麻里・中島照雄

書名:新版現代会計 — 創造性/学際性/国際性 —

発行所名:創成社

発行年月日:2004年10月25日

分担執筆の頁:1〜20頁。

要旨:組織体には、営利組織体(利潤を追求)の株式会社と非営利組織体の医療法人・学校法人・社会福祉法人・NPO法人・独立行政法人などがある。全ての組織体にとって、永く維持・発展させるために、組織体トップが組織の運営状況や資金調達状況について、詳しく知ることが大変重要である。これらの組織体の運営状況や資金調達状況を明らかにするのが、会計の使命である。会計は、情報の利用者が事情に精通して判断や意思決定を行なうことができるように、経済的情報を認識し、測定し伝達するプロセスである。
 そこで、創造性・学際性・国際性を軸に現代会計の展開を追求する。構成は、第Ⅰ部国際化時代の組織の存在、第Ⅱ部市民生活会計、第Ⅲ部高齢者の財政/経営/会計、第Ⅳ部非営利組織の効率性、第Ⅴ部地球にやさしい生き方などの5部門(全21章)である。
 序章では、本書全体が取り上げるテーマに関する基礎的項目の展開をしている。
 なお、本書の編者は、木下照嶽(前日本社会関連会計学会長)・小林麻里・中島照雄の三人で行い、執筆者は学会会員(日本社会関連会計学会)に執筆を依頼した。


[分担執筆]

執筆者名:中島照雄

題名:第�部高齢者の財政/経営/会計 第9章 医療制度

編著者名:木下照嶽・小林麻里・中島照雄

書名:新版現代会計 — 創造性/学際性/国際性 —

発行所名:創成社

発行年月日:2004年10月25日

分担執筆の頁:177〜194頁。

要旨:人口構造の変動で、将来、社会保障制度の維持が難しくなるにもかかわらず、政府はパッチワーク的改正で多くの課題を先送りしている。現行の医療制度の3大特質には、公平、フリーアクセス、低自己負担などがあるが、今後の医療制度の改革動向に対して、不安と不信、そして不満が危惧されてもいる。
 そこで、高齢化と国民負担・財政事情、医療保険制度、先進主要国の医療制度の概要、国民医療費の推移と医療保険財政の実態、医療・介護の世代間負担と医療制度の意義、医療改革の動向、医療の財源問題 — 保険なのか税なのか — などを展開して、今後の制度改革で、医療の品質とコスト、医療へのアクセスが有効に保たれ、安心と信頼と満足が得られる医療制度が切望されている。


[分担執筆]

執筆者名:中島照雄

題名:第Ⅲ部高齢者の財政/経営/会計 第10章 年金制度

編著者名:木下照嶽・小林麻里・中島照雄

書名:新版現代会計 — 創造性/学際性/国際性 —

発行所名:創成社

発行年月日:2004年10月25日

分担執筆の頁:195〜214頁。

要旨:日本人の平均寿命は既に80歳を超え、現在100歳まで生きるのも決してめずらしくはない。もしも年金がなければ、100歳まで生きることを想定した蓄えを準備しなければならない。これは大変なことであり、かつ非効率なことである。高齢世代は生産活動が一般的にはし難く、現役世代の生産活動に頼り、より多くのリターンを期待するしかない。毎年生み出されるパイを、現役世代と高齢世代でどのように配分するかが問題になる。どのような年金または貯金でも、その仕組みの根本は「負担と配分のルール」になっている。
 そこで、年金制度の概要、財政の仕組みの経緯とその仕組みに潜む問題、先進主要国の年金制度概要、ライフサイクルによる世代間(世代会計) — 生涯通じての受益と負担 — 、公的年金制度の実態と信頼の崩れ、2004年改革の概要、年金会計と年金積立金運用の問題などを展開して、今後の制度改革で安心と信頼と満足が得られる年金制度が切望されている。


[社会的活動(講演等)]

発表者名:中島照雄

題名:非営利組織会計

開催年月日:平成15年12月26日

開催場所:社会福祉総合センター(群馬県前橋市)

要旨:雇用保険受給中に公共職業安定所長から受講指示を受けた方(ハローワークから受講指示又は推薦をされた方)を対象にして、NPO法人の運営・起業に関する全般的な知識を習得する研修の一つである(市民立NPOカレッジ)。
 ここでは、諸処の非営利組織体の概要や、公益法人とNPO法人の経営、NPO法人会計システム、NPO法人の今後の経営の課題などを展開した。


[社会的活動(講演等)]

発表者名:中島照雄

題名:非営利組織会計

開催年月日:平成16年6月29日

開催場所:群馬県立前橋産業技術専門校(群馬県前橋市)

要旨:現在、政府内で検討されている非営利組織体関連の改正の動向を展開し、今後の課題を展開した。なお、非営利組織体の概要、公益法人とNPO法人の経営会計システム、NPO法人の現況の課題なども展開した。雇用保険受給中に公共職業安定所長から受講指示を受けた方(ハローワークから受講指示又は推薦をされた方)を対象に、NPO法人の運営や起業に関する全般的な知識を習得する研修の一つになっている(市民立NPOカレッジ)。

理論経済学研究室

[論文等]

著者名:Takashi YAGI,

論文名:"Distribution and Surplus in the Sraffa System", (全25頁)

収録先:the European Society for the History of Economic Thought(ヨーロッパ経済学史学会)の2004年大会報告論文集(CD-ROM)、表題:Money and Markets.

発行年月日:2004年2月

概要:本論文では、第1に、スラッファ体系における標準国民所得と現実の国民所得という2つの国民所得概念の相違が、標準資本と現実の資本という2つの資本概念の相違に対応した利潤部分に対応することを明らかにし、直線の賃金曲線を利用することの基礎を明らかにした。第2に、スラッファの分配理論では、リカードウ的な解釈とマルクス的な解釈が共に成り立つことの基礎を与えた。第3に、スミスのAdding-Up Theoryに関係するPasinettiの定式化、Garegnaniの説明と定式化に対して、著者独自の考えを示した。


著者名:Takashi YAGI

論文名:"Structural Changes and Distribution", (全26頁)

収録先:国際会議の報告論文集(CD-ROM)、表題:Economic Growth and Distribution:on the Nature and Causes of Wealth of Nations

発行年月日:2004年6月

概要:本論文では、第1に、著者が構築した2期間の標準生産性指数を多期間に拡張し、通時的標準商品と通時的標準労働という概念をもちいることによって、社会的生産性および国民所得の多期間比較を行うことができることを明らかにした。第2に、その多期間比較の指数をもとにして、価格理論、分配理論、社会的生産性および国民所得の多期間比較が整合的に行える体系を示し、その体系では賃金曲線が線形になることを示した。


[国際学会]

[報告]

発表者名:Takashi YAGI

論題:Distribution and Surplus in the Sraffa System (全26頁)

発表学会:the European Society for the History of Economic Thought,(ESHET Conference 2004)

発表場所:Ca' Foscari University, Treviso, Italy,

発表年月日:2004年2月27日

概要:[論文等]の項を参照


発表者名:Takashi YAGI

論題:Structural Changes and Distribution(全25頁)

発表学会:Economic Growth and Distribution: on the Nature and Causes of the Wealth of Nations (International Conference),

発表場所:Lucca, Italy,

発表年月日:2004年6月 日

概要:[論文等]の項を参照


[指定討論]

討論者:Takashi YAGI

発表者:Kepa Ormazabal

論題:"The pseudo-problem of "reswitching" and other misfortunes of post-Marxian capital theory,"

発表学会: the European Society for the History of Economic Thoughtの2004年大会

発表場所:Ca' Foscari University, Treviso, Italy,

発表年月日:2004年3月1日

概要:報告者のオーストリー学派の資本理論の考え方の問題点を中心に、主要なコメント3点を指摘した。


討論者:Takashi YAGI

発表者:Luiz Carlos Bresser-Pereira

論題:"A Revised Classical Model of Growth"

発表学会:Economic Growth and Distribution: on the Nature and Causes of the Wealth of Nations に関する国際会議, Scientific Commitee: Neri Salvadori教授(ピサ大学)

発表場所:Lucca, Italy,

発表年月日:2004年6月17日

概要:ハロッド中立的技術進歩のケースにおける利潤率、賃金率、所得分配比率、技術進歩の関係についての報告者の説明を中心に3点のコメントを行った。


[その他・研究交流]

訪問者:八木尚志

訪問先:Stirati教授、Ciccone博士、Fratini Saberio博士、ローマ大学第3、経済学部スラッファセンター

訪問年月日:2004年2月24日、25日

概要:2003年1月から3月まで滞在したスラッファセンターにおいて、その後の研究の進展について意見交換を行った。また最近の論文数本を渡した。


訪問者:八木尚志

訪問先:L. L. Pasinetti教授、Bellino博士、G-P. Mariutti博士、ミラノカトリック大学

訪問年月日:2004年3月4日

概要:スラッファ体系、特に標準商品や還元方程式に関するSteedman教授と八木の解釈の相違、パシネッティ教授の構造動学と八木の方法についての意見交換を行った。また論文を数本配布した。


訪問者:八木尚志

訪問先:Harcourt博士、ケンブリッジ大学

訪問年月日:2004年3月8日

概要:ケンブリッジ資本論争、特に技術の再転換論争について、論文を2本提出し、研究の経過の報告を行い、助言を受けた。

経営学研究室

[学会等での発表]

発表者名:寺石雅英

題名:縦のケイレツから横のコミュニティへ

学会名(講演会名):群馬経済同友会地域問題委員会第4回共同研究会

発表年月日:2003年11月4日

開催場所:群馬ロイヤルホテル

要旨:群馬が日本有数の「ものづくり大国」であり続けるためには、今後産業界においてどのような取り組みが必要になるのかを明らかにした。


[分担執筆]

執筆者名:寺石雅英

題名:

編著者名:群馬経済同友会地域問題委員会

書名:群馬の産業構造転換に関する報告書

発行所名:群馬経済同友会

発行年月日:2004年8月20日

分担執筆の頁:第2章〜第7章、第9章〜第10章

要旨:弱体化しつつある群馬の産業界の再生のためには、「バリューチェーンの転換」「企業間関係の転換」「地域発展概念の転換」という、3つの発想転換が必要になることを明らかにするとともに、それらを踏まえた具体的なアクションプランを提示した。

経営管理研究室

[その他 — 講演]1

発表者名:杉山学

題名:学位論文完成への道

学会名(講演会名):経営情報学会2003年春ドクトラルコンソシアム

発表年月日:2003年6月13日

開催場所:青山学院大学

要旨:「若い学生(社会人博士課程の方を含む)の皆さんが学位論文を執筆するために必要な考え方, 準備, 態度に対する助言, コメント等を学会の専門の先生方が与え, 学位論文を執筆するための援助をする」ことを目的とし, 経営情報学会ではドクトラルコンソシアムを開催している. 当回では, これから学位論文などを執筆する予定の各大学の博士課程に在籍中の学生9名を対象に,「学位論文完成への道」と題して, 学位論文完成についてのレクチャーと, 体験談を語った.


[その他 — 講演]2

発表者名:杉山学

題名:意思決定を行うための総合評価法

学会名(講演会名):平成15年度群馬大学説明会(模擬授業)

発表年月日:2003年7月30日

開催場所:群馬大学

要旨:平成15年度の群馬大学説明会において, 経営科学およびオペレーションズ・リサーチの模擬授業を, 高校生とその保護者に対して行った.


[その他 — 講演]3

発表者名:杉山学

題名:総合評価を行って、意思決定しよう

学会名(講演会名):群馬大学2002年度公開講座

発表年月日:2002年11月2日

開催場所:群馬大学

要旨:群馬大学2002年度の公開講座として,「総合評価を行って、意思決定しよう」という題目の講演を行った. 具体的な内容として, 合理的な意思決定支援手法である階層分析法(Analytic Hierarchy Process: AHP)を, 身近な例の自動車を購入する際の意思決定に用い, 合理的に結論を導き出すことを行った.

計量経済学研究室

[分担執筆]

執筆者名:佐竹元一郎、西郷浩、野口和也、河田正樹、樋田勉、勝浦正樹、稲葉敏夫

題名:時系列モデル

編著者名:佐竹元一郎

書名:経済の統計的分析

発行所名:中央経済社

発行年月日:2004年5月1日

分担執筆の頁:95〜124頁

要旨:経済の動きを客観的に把握するためには経済統計の利用が不可欠である。本書の構成は、1章:「経済と統計」、2章:「統計調査」、3章:「物価指数」、4章: 「時系列データ」、5章:「時系列モデル」、6章:「景気変動」、7章:「国民経済計算」、8章:「経済現象の計量分析」となっており、経済統計を利用するために重要 な事柄について分担執筆した。


[学会等での発表]

発表者名:西郷浩、舟岡史雄、樋田勉

題名:平成9年全国物価統計調査へのリサンプリング法の応用

学会名(講演会名):2004年度統計関連学会連合大会(第72回日本統計学会)

発表年月日:2004年9月4日

開催場所:富士大学

要旨:平成9年全国物価統計調査の標本設計にそくしたリサンプリング法によって、分位点推定値の精度を評価する。層別3段抽出のためのリサンプリング法の紹介と、ミクロデータによる実証分析の結果の紹介とが報告の主な内容である。


[学会等での発表]

発表者名:樋田勉、舟岡史雄、西郷浩

題名:平成9年全国物価統計調査の価格分布について

学会名(講演会名):2004年度統計関連学会連合大会(第72回日本統計学会)

発表年月日:2004年9月4日

開催場所:富士大学

要旨:平成9年全国物価統計調査の個票データを利用し、多峰性検定の価格分布への適用可能性と、価格分布の多峰性とその要因について検討した結果について報告した。


[学会等での発表]

発表者名:石井太、關雅夫、西郷浩、樋田勉

題名:二相抽出法を利用した国民生活基礎調査所得分布推定の検討

学会名(講演会名):2004年度統計関連学会連合大会(第72回日本統計学会)

発表年月日:2004年9月4日

開催場所:富士大学

要旨:二相抽出法を利用して国民生活基礎調査個表データから所得分布関数の推定を行った。また、シミュレーションを行い、二相抽出において補助変数を利用する分布関数推定量と、通常の推定量の性質について比較検討した。


[学会等での発表]

発表者名:樋田勉、西郷浩

題名:平成9年全国物価統計調査個票データによる分析

学会名(講演会名):経済統計研究会

発表年月日:2004年5月15日

開催場所:学習院大学

要旨:平成9年全国物価統計調査の個表データを利用し、価格分布の分位点の精度の評価、および、価格分布の多峰性検定と多峰性の要因分析について報告した。


Last Update 2016/03/02