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社会情報学研究センター

研究活動の要旨(2005年度)

社会情報基礎講座

対話情報環境の社会学研究室

[講演]

講演者:下田博次

演題:日独セミナー「日本の子ども達のインターネット利用の現状と問題」

主催者:文部科学省

開催日時:2005年5月24日

要旨:日独文化交流の一環としてドイツから来日のメディアリテラシーの研究,活動に携わっている専門家らを対象に日本の子ども達のインターネット利用の現状と問題について解説を行った。
 青少年のモバイルインターネット利用に関して群馬大学下田研究室が群馬県青少年子ども課とともに取りまとめた調査報告,警察庁の調査データ,非営利組織ネチズン村の実態調査データなど各種データを駆使し,ドイツの青少年が利用していない最新のモバイルインターネット端末利用の普及と地域,学校などにおけるトラブル,事件の発生および原因等につき解説した。
 さらにこの機会にドイツのメディア研究者からの意見,資料を収集し今後の国際交流につながるチャンネル創りも行った。


講演者:下田博次

演題:子育て教育上問題になる携帯電話のメディア特性

主催者:NTTドコモ(モバイル社会研究所)

開催日時:2005年6月31日

要旨:携帯電話サービス会社であるドコモ(株)の研究所(モバイル社会研究所)主催のシンポジュウムにて「日本の青少年によるモバイルインターネット利用の問題と解決」について基調発表を行った。本講演ではインターネットというパーソナルメディアの特性をもとに携帯電話からのインターネット利用問題の発生原因を解説し,パソコンからのインターネット利用とは内容的に異なるモバイルインターネット時代の「メディアリテラシー」確立の必要性を主張したものである。


講演者:下田博次

演題:パーソナル・メディア時代の教育 ― 情報メディア環境の構造変化

主催者:社団法人全国高等学校PTA連合会

開催日時:2005年8月27日

要旨:全国高等学校PTA大会(参加者約1万人)において「現代の青少年をめぐる情報メディア環境の構造変化」について基調講演を行った。講演では中高生らのインターネット利用問題を中心に特に携帯での電話利用に焦点をあてた.インターネット利用を可能にするモバイルインターネット利用が主として学校内で起こしている諸問題の現状と対策について社会情報学部下田研究室が行った実態調査データ等をもとに解説を行った。
 現在多くの学校で携帯電話の校内持ち込み管理問題が持ち上がっているが,その問題解決には困難な要素が多いことやこの種のトラブル,事件の実態に関して学校側と保護者側との認識に大きな差が存在すること等を解説した。

外国語第二研究室

[著書]

著者名:共著,福島光義ほか

書名:群馬大学社会情報学ハンドブック

発行所名:平成17年4月群馬大学社会情報学部

発行年月日:2005年4月1日

担当部分:英語をよりよく学ぶためにpp. 47〜61

要旨:本稿は,何のために英語を学ぶのか,どのようにしたら英語ができるようになるのかなど,江戸末期や明治生まれの英語の達人達の勉強法を引き合いに出しながら,大学における効率的,効果的な英語学習法を中心に述べている。又,日本人が陥りやすい英語の誤り,コンピュータを利用した英語の学習法,オンライン辞書を含む辞書の話,などについても有益な情報を提供している。


[学会機関誌等への投稿]

著者名:福島光義

題名:ディケンズの『互いの友』におけるテムズ河について

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:12

発行年月日:2005年3月31日

頁:1〜12

要旨:本論文の狙いは,19世紀に生きた小説家チャールズ・ディケンズの目を通して描かれ提供される,人間と社会の諸問題について,現代的な視点に立って捉え直すことである。その際,特に人々とテムズ河との関わりを重視して論じている。従って,こういった問題を扱うのに最も適した作品は,『互いの友』(1865)である。しかし,本論文は,このテーマを論ずるのにふさわしい他のディケンズの作品や,彼と同じヴィクトリア朝時代のジャーナリストや詩人の作品も取り上げている。

比較文化基礎論研究室

[著書]

著者名:リテラシーズ研究会(小川貴士,門倉正美,川上郁雄,佐々木倫子,砂川裕一,牲川波都季,細川英雄(アイウエオ順))編

書名:リテラシーズ・1 ― ことば・文化・社会の日本語教育へ ―

発行所:くろしお出版(全132頁)

発行年月日:2005年5月20日

要旨:年2回発行のWeb版と併せて新規の投稿論文を掲載する言語文化教育関係の年刊の学術誌。単行本として刊行。


著者名:国際研究集会「ことば・文化・社会の言語教育」実行委員(小川貴士,門倉正美,川上郁雄,佐々木倫子,砂川裕一,牲川波都季,細川英雄(アイウエオ順))編著

書名:『国際研究集会「ことば・文化・社会の言語教育」プロシーディング』

発行者:国際研究集会「ことば・文化・社会の言語教育」実行委員(全320頁)

発行年月日:2005年9月17日

要旨:科研費及び早稲田大学の助成を得て開催した国際研究集会「ことば・文化・社会の言語教育」の予稿論文集である。アメリカ,イギリス,オーストラリア,フランスから4名の研究者を招いて,3つの国際セッションと12の個別研究発表と2つの共同研究発表によって構成される研究大会を企画・開催した。その際の研究発表論文を掲載したものである。


[学術論文]

著者名:砂川裕一

題名:日本事情論からみた言語教育と文化教育の相互関係について

掲載誌名:『筑波大学第二学群日本語・日本文化学類開設20周年記念シンポジウム「発信」 ― 日本語・日本文化学類の展望 ― 』(筑波大学第二学群日本語・日本文化学類編)

発行年月日:2005年3月

頁:111-124

要旨:2005年2月に開催されたシンポジウムでの発言に加筆修正をしたもの。文化教育の在り方について「日本事情論」の立場から理論的・実践的な可能性を論じたもの。


著者名:砂川裕一

題名:「言語の獲得・習得」と「日常的生活世界の獲得・拡充」の一体性について

掲載誌名:『国際研究集会「ことば・文化・社会の言語教育」プロシーディング』(国際研究集会「ことば・文化・社会の言語教育」実行委員会編)

発行年月日:2005年9月

頁:139-159の偶数ページ,実質10ページ

要旨:2005年9月に開催された国際研究集会「ことば・文化・社会の言語教育」の3つのパネルセッションのうちの1つで発言した内容についての予稿集掲載論文。母語の習得と第二言語の習得の具体的な過程について,共同主観性論の立場から論じたもの。


著者名:砂川裕一

題名:On the Unity of "Language Acquisition and Learninga" and "Acquisition and Expansion of the World of Daily life";(国際研究集会「ことば・文化・社会の言語教育」実行委員会編)

発行年月日:2005年9月

頁:139-159の奇数ページ,実質10ページ

要旨:上記の論文の英語版


[学会及び社会における活動等]

1.2004年10月2日

第一回リテラシーズ研究大会を科研費共同研究者と共同で企画・開催(於早稲田大学)

2.2005年2月12日〜13日

筑波大学の依頼に応じて,筑波大学第二学群日本語・日本文化学類開設20周年記念シンポジウム・第二セッションのコーディネーター及び発言者として参加(於筑波大学)

3.2005年4月21日〜4月25日

南京大学の招聘によって南京大学で開催された国際学術研究集会「第二回廣松渉とマルクス主義哲学・国際学術シンポジウム」に日本側代表団の一員として出席(於中華人民共和国・南京大学)

4.2005年6月12日〜現在に至る

特定非営利活動法人「東京社会学インスティチュート」設立に理事として参加

5.2005年9月17日〜18日

国際研究集会「ことば・文化・社会の言語教育」を企画・主催し,第3パネルで研究発表(於早稲田大学)

「情報決定」第1研究室

[翻訳]

翻訳者名:富山慶典,金井雅之

題名(書名):社会的選択理論 ― 集団の意思決定と個人の判断のための分析枠組み ―

発行所名:勁草書房

発行年月日:2005年4月5日

原著者名:John Craven

原著名:Social Choice : A Framework for Collective Decision and Individual Judgements.Cambridge, Cambridge University Press. 1992

要旨:原著は,社会的選択理論にかんする比較的最近の入門書であり,主要なトピックスを幅広くかつ簡潔にまとめた好著である。序論からはじまり,選好と選択,Arrowの定理,集合的合理性,選択ルールの戦略的操作,多数決投票を救出すること,権利,正義,功利主義的判断とつづき,9つの章から構成されている。


[学会機関誌等への投稿]

著者名:富山慶典

題名:ユビキタス・ネットワーク時代の社会情報学 ― 議論のための素材提供と問題提起 ―

掲載誌名:日本社会情報学会学会誌

巻数:17

号数:1

発行年月日:2005年3月31日

頁:6-11

要旨:これまでの「ユビキタス・ネットワーク社会」の概念と「社会情報学」の概念を整理したうえで,ユビキタス・ネットワーク社会をどのようにするのかについて,企業や官庁からの構想との照応関係のなかで,人間と社会の側から実践的に構想する必要があるのではないかと主張した。


著者名:富山慶典

題名:世界で進む「eデモクラシー」 ― IT通じ政策決定に市民参加 ―

掲載誌名:上毛新聞

発行年月日:2005年3月28日

要旨:行政側が市民に対して十分情報公開するとともに,市民が積極的に政策決定に参加し意見を交わし,その結果を議会に反映させ,真に市民が望む社会を構築していくための新しい仕組みが必要とされている。その有力な手段の1つとして,IT(情報通信技術)を利用して政策の立案・決定・執行の過程に市民を参加させようとする「eデモクラシー」という方法がある。eデモクラシーは世界19カ国以上で推進されてきている。その具体的な取り組みは多様であるが,その内容は市民の政治・行政への関わり方から「情報の共有」「討議」「決定」の3つの部分に分けられる。


著者名:富山慶典

題名:電子投票時代の社会的意思決定方式 ― 単記投票方式からコープランド方式へ ―

掲載誌名:群馬大学地域共同研究センターニュース

発行年月日:2005年6月

頁:57

要旨:世界でもっとも多く使われかつ一般にもっともよく知られている単記投票方式は,理論的に多くの欠陥を持っている。1951年に提案されたコープランド方式は単記投票方式よりも理論的に望ましいにも係わらず,どこの国でも採用されていない。その理由は手続きがやや複雑であり人手による集計が不可能に近いからである。しかし,集計上の複雑さは,コンピュータの計算能力をもってすれば何の障害にもならなくなる。


[学会等での発表]

発表者名:富山慶典

題名:高度情報化社会における政策知とその方法

学会名(講演会名):「政策情報学会」発会式・記念シンポジウム

発表年月日:2004年11月20日

開催場所:千葉商科大学

要旨:数理社会学会前会長の立場から,次の点を主張した。1) 社会現象が「問題」として認識されている場合には,それが生じるメカニズムないしプロセスに関する考察にもとづいて,その解決策を模索し,解決策の評価を行うという点において,社会学は「政策」と強くかかわる。2) 現実の社会問題にたいする社会科学者の姿勢として,記述理論・規範理論・政策論の三者の相互関係のあり方の問題が問われているが,ひとりの研究者がこれらすべてにわたる仕事をしなければならないわけではなく,様々な志向と学問的背景を持った研究者の交流と協力が必要である。3) 数理社会学の知見は,記述理論や規範理論として政策情報学への発展に多くの貢献が可能である。ただし,これらは,伝統的な方法論にもとづき,それらを活かしたアプローチである。


発表者名:富山慶典

題名:価値選好と事実判断が共存する公共選択のための決定と討議の民主的モデル ― 不確実性のもとでの集合的意思決定論からの問題提起 ―

学会名(講演会名):政策情報学会・日本学術会議 経済政策研究連絡委員会・学術研究発表会。テーマ「多元集団の意思を統合する公共選択 ― マルチ・ステークホールダーが本音をたたかわせるリスクコミュニケーション ― 」。ワークショップ3のテーマ「選択統合リスクコミュニケーション」

発表年月日:2005年6月4日

開催場所:千葉商科大学

要旨:「市民社会」への指向は世界的な潮流となってきているという現代社会にたいする時代認識を背景に,「公」概念の再構築にたいする理論的な基礎を,近ごろ新たに展開されてきている不確実性のもとでの集合的意思決定論の立場から,これまでの民主主義論への再検討をふくむ eデモクラシーの展開を交えながら与えることを目的として,次の問題提起をおこなった。1) 公共選択にかかわる諸理論は選好集約論に偏りすぎていた。判断形成論を探求する必要があるのでないか。2) 民主的社会の成立・運営に欠くことのできない討議や情報が公共選択過程のなかに明確に位置づけられていない。決定を最終的な目的として捉え,決定のための討議・情報としてはどうか。

外国語第3研究室

[学術論文]

著者名:末松美知子

題名:『オセロ』上演における舞台設定:1980年代以降の日英の上演を中心に

発行年月日:2005年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:12

頁:13〜21

要旨:人種差別,家庭内暴力,植民地主義等の今日的主題を含む『オセロ』は,まさに時代を描くシェイクスピア悲劇として注目を集め,特に1980年代以降,英国での上演回数は増加している。本論は,これらの上演が,作品の持つ「現代性」をどのような舞台設定において表現しようとしてきたかを検証した。具体的には,過去20年余りの日英の上演をとりあげ,それぞれの舞台設定の特色と意義を検討し,さらに,日英で大きく異なる傾向を分析した。


著者名:末松美知子

題名:異文化交流の実践:上演史にみる日本のシェイクスピア受容

発行年月日:2005年4月1日

掲載誌名:社会情報学ハンドブック

頁:75〜84

要旨:本論は,東洋と西洋の融合の一実践例として,先人たちがどのようにシェイクスピアを理解し自国文化と融合してきたのか,その異文化交流の過程を見直した。具体的には,上演を中心に,日本における一世紀余りのシェイクスピア受容の歴史を辿った。日本人のシェイクスピアとの関わりは,改作,模倣,反発,同化,再創造という複雑な過程を経ており,当然ながら,日本と西洋との力関係の影響下にあることを指摘した。


[学会等での発表]

(セミナー)

発表者名:末松美知子

題名:『オセロ』を読む

発表年月日:2004年10月10日

学会名:第43回シェイクスピア学会

要旨:『オセロ』を複合的に読み直そうという今回のセミナーにおいて,担当部分「『オセロ』上演における舞台設定?1980年代以降の日英の上演比較」では,上演における舞台設定の移し替えに注目し,80年代以降の上演が,『オセロ』が内包する「現代性」をどのように表現しようとしてきたかを検証した。具体的には,過去20年余りの日英の主な上演を比較し,設定に関する両国の異なる傾向を分析した。さらには,それぞれの舞台設定の特色と有効性,またこのような違いが生じた原因についても考察した。


(パネル・セッション)

発表者名:末松美知子

題名:異文化交流の視座から見た日本のシェイクスピア受容史

発表年月日:2005年6月19日

学会名:2005年度日本演劇学会全国大会

要旨:日本のシェイクスピア上演は「東洋」と「西洋」の間を揺れ動いてきたが,その動きは複雑化の一途を辿っている。本パネル・セッションは,19世紀から21世紀にかけての日本のシェイクスピア上演状況の変化を,異文化交流という視点から捉え直すことを意図している。担当部分『東京(パナソニック)グローブ座と日本のシェイクスピア上演』では,上演の場としての劇場に注目し,シェイクスピアにおける異文化交流を検証した。具体的には,戦後日本のシェイクスピア上演の中心となったパナソニック・グローブ座(98年より東京グローブ座)を取り上げ,この演劇空間でのシェイクスピア上演を通した異文化交流の意義を検討した。

環境科学研究室

[その他著作]

(報告書)

著者名:石川真一・三上紘一(共著)

題名:新課程学生に対する大学初年次生物教育において想定される諸問題

報告書名:2004年度群馬大学教育研究改革・改善推進プロジェクト「新学習指導要領と「新しい時代における教養教育の在り方について」答申対応のための自然科学系大学初年次教育の新教材・授業方法の確立」報告書

頁:57-63

発行年月日:2005年3月

要旨:2004年度より開始された高校新課程においては,いままで生物ⅠB,Ⅱでそれぞれ4単位,2単位だったものが,生物Ⅰ,Ⅱでそれぞれ3単位,3単位となった。これは物理や化学も同様であり,より多くの生徒が履修するⅠの単位数=授業時間数が少なくなったことになる。この新課程の学生に対して新しい自然科学系大学初年次教育を行うために,新課程の問題点を分析した報告書。新課程の問題点を1) 高校での生物科目授業時間・履修方法に起因する問題点,2) 中学校から高校に移行する単元に起因する問題点,3) 高校課程内での単元の移動・削除に起因する問題点に類別整理した。その結果,新課程の学生に対する大学初年次生物教育において,以下の点について対応方法を確立しなくてはならないと結論づけた。1) 高校で学習した内容が,個々に相当異なること,2) 特定の単元,特に進化生物学,生態学,系統分類学に関する単元を,理系であっても全く履修していない者が多くいること,3) 文系理系に関わらず,生涯を通じて必要な遺伝に関する基礎知識を持たない者が相当数いること,4) 現象のそれぞれを有機的につなぐような教育を受けていないこと,5) 高校で生物実験を経験した者は非常に少ないこと。


[学会等での発表]

題名:密閉型チャンバーを用いた土壌CO2放出速度の時空間変動の解析

発表者名:石川真一,町田由利香

学会名:日本生態学会第52回大会

発表年月日:2005年3月28日

開催場所:大阪・グランキューブ大阪

要旨:玉原高原ブナ林(標高1300m)と群馬大学構内アカマツ・クヌギ・コナラ混交林(標高130m)において,土壌CO2 放出速度を測定した。測定は,Vaisala社の携帯型CO2 計(GM70)を装備した密閉型土壌呼吸チャンバーを用いて行った。GM70は分解能が10ppmとやや粗いが,このチャンバーを用いることによって,5分〜15分(データは15秒間隔で自動記録される)で1地点の測定を行うことができた。各調査森林においてそれぞれ20地点を固定して,月に一度,日中の約3時間以内に測定を完了した。各調査森林で月ごとに平均すると,群馬大学構内混交林においては,土壌CO2 放出速度は5・6月に最も高く(1.4gm-2 hr-1),12月に最も低く(0.2)なった。玉原高原ブナ林においては,7〜8月に最も高く(1.8),積雪の残る4月に最も低く(0.2)なり,ついで11月に低く(0.4)なった。地温と土壌CO2 放出速度の間には,両調査森林いずれにおいても,有意な正の相関がみられた。土壌含水率と土壌CO2 放出速度の間には,群馬大学構内混交林において有意な正の相関がみられ,玉原高原ブナ林では負の相関がみられた。玉原高原ブナ林では,土壌含水率が高い季節には地温が低かったため,この負の相関はみかけ上のものであると考えられる。一方,土壌CO2 放出速度に地温や土壌含水率では説明できない地点間差異が生ずることもあり,モグラの穴の有無やリターの厚さの差異など,生物学的要因の関与が示唆された。Vaisala社が今年発売した分解能5ppmのCO2 計(GMP343)を用いれば,さらに精緻な解析を行うことができるであろう。


題名:Growth and germination responses of a vigorous invasive plant, Ambrosia trifida, to some natural and man-made conditions in Japan

発表者名:Shin-Ichi Ishikawa, Jun Nakajima & Kazuma Kayashima(共同発表)

学会名:Ⅸ International Congress of Ecology

発表年月日:2005年8月10日

開催場所:カナダ・Palais des Congres de Montreal

要旨:Growth and germination responses of an invasive annual plant, Ambrosia trifida, which is commonly seen in Japanese riparian area, to temperature, disturbance, soil nitrogen association were investigate to clarify why this species have invaded so large area. Field research along the upper stream of Tone River revealed that there are 31 large populations established already within Gunma Prefecture, central Japan and, at the most, over 17 billions of seeds were produced annually in each of the populations. In situ growth analysis showed that relative growth rate (RGR) in the early growth period is independent of the temperature conditions in the field, and plant dry weight and seed production depend on the germination day. Growth experiments with different nitrogen conditions revealed that the seedlings emerged in the northern site (MINAKAMI), where soil nitrogen content and temperature were lower, showed high RGR in high ammonia/nitrate ratio (A/N) treatment comparable to that in low A/N one. On the other hand, the seedlings emerged in the southern site (ISESAKI) with higher soil nitrogen content had low RGR in high A/N treatment. Field semi-experiment revealed that the winter artificial burning of the invaded site made soil nitrogen content and soil temperature higher in spring, and caused faster germination and higher plant dry weight in the following growth period, comparing to those in unburned site. Seed germination at 10/7 C (day/night) was always higher than that at any higher temperature treatments, and this tendency was much clearer in seeds produced at sites under colder climate. These results suggest that A. trifida will invade wider areas with higher soil nitrogen content, high light conditions and better temperature conditions for germination, which are often caused by human disturbance.


[社会的活動]

開催者名:石川真一

題名:教養教育合宿実習「群馬県本白根山の自然環境の成り立ちと保全」

開催年月日:2005年7月9日〜10日

開催場所:群馬県草津町

要旨:群馬大学学生を対象とし,草津白根山の自然環境資源としての重要性や,周辺地域の産業がいかに自然環境資源をうまく利用して成り立っているかを体験する実習。下仁田自然学校校長・野村哲氏を特別講師として招待し,実地講習を行った。


開催者名:石川真一

題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習

開催年月日:2005年4月〜月一回開催

開催場所:群馬県明和町

要旨:(株)アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町)内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い,これに基づいて講習を行った。(株)アドバンテストビオトープ基金により助成を受けた。


開催者名:石川真一(群馬県自然環境調査研究会)

題名:群馬県・良好な自然環境を有する地域学術調査

開催年月日:2005年5月〜9月(月2回程度)

開催場所:群馬県倉渕村,吾妻町

要旨:群馬県の委託事業である。群馬県倉渕村,吾妻町における植物相・植生調査を担当した。


開催者名:石川真一

題名:群馬の身近な動植物とのつきあいかた

開催年月日:平成17年8月20日・21日

要旨:国立オリンピック記念青少年総合センター『子どもゆめ基金』による助成を受けて行ったもので,身近な動植物の生態と体のしくみを,実体験を通じて学ぶことを目的とした2日間連続の教室である。群馬県内の小中学生20名および保護者5名の参加があった。
 第1日目(8月20日)は荒牧キャンパス内で植物採集を行い,植物図鑑のひき方を覚えて名前を調べた後に,ラミネート標本を作成した。第2日目(8月21日)はカエルの臓器の永久標本と,植物のデンプン,気孔,原形質流動の顕微鏡観察を行い,デジタル写真を作成した。参加者からは,「学校では見られないきれいな顕微鏡観察ができて感激」「植物の名前を覚えられて楽しかった」「また来年もやって欲しい」など好評の声が多数聞かれた。

情報決定第2研究室

[研究報告書]

著者名:岩井淳

研究題名:「大規模な意思決定のための匿名保証型DSSの開発」

報告書名:平成16年度科学研究費補助金研究実績報告書(課題番号15700208)

発行年月日:2005年3月31日

要旨:実験用の匿名保証型DSS(意思決定支援システム)の開発を行い,同システムを用いて,参加者に対する匿名性保証の支援が「反対案・代替案の提出の増加」と「無責任な発現の抑制」に結びつくか否かを実験的に検討した。協力者約130名による複数回の実験結果より,両面に関して肯定的結論を得た。また,同システムで討議結論の質をさらに高めるような支援を実現するには,議論の収斂を支援する機構の付加が重要と判断されることを説明した。

外国語第4研究室

[学会機関紙などへの投稿]

著者名:井門亮

題名:「おそれ」に関する表現の日・英語対照研究

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第12巻

発行年月日:2005年3月31日

頁:71-84

要旨:我々は「おそれ」という感情をいかに把握し,そしてどのように表現しているのだろうか。本研究では,この疑問に対し「おそれ」を表わす日・英語の様々な表現について,コーパスを活用して頻度調査を行い,認知言語学の観点から比較・検討を行った。


[その他]

著者名:井門亮

題名:語用論の観点から見た発話解釈の仕組みについて

掲載誌名:群馬大学社会情報学ハンドブック

発行年月日:2005年4月1日

頁:62-74

要旨:本稿は,グライスの分析と,関連性理論といった語用論の観点から,発話解釈の仕組みについてまとめたものである。

社会・情報行動講座

情報行動研究室

[論文]

著者名:黒須俊夫

題名:メディア人間論の構図(3) ― メディア人間論の台頭ー道具とメディア人間〈2〉 ―

雑誌名:群馬大学社会情報学部研究論集第12巻

発行所:国立大学法人群馬大学社会情報学部

発行年:2005年

要旨:本研究では,「メディア人間」と形容される意味は,単に「メディアを纏う人間」という意味ではなくて,人間のこころの本質的把握ということ関連していることについての諸家の見解を見てきた。つまるところ,こころとは,身体と社会(自然)とメディアという三項関係の中で発生していることから,「関係としてのこころ」あるいは,「メディア的行為としてのこころ」として理解されべきことについて検討した。その中で「技術的道具」については,ごく簡単に触れただけなので,本稿では,そうしたこころの発生に不可欠な手段としての「技術的道具」に再度焦点を当てて,人類史における技術的道具の発達がもたらした心理的現象の変化について考察した。


著者名:黒須俊夫

題名:社会情報学のパラダイム ― ヒューマンメディア論的アプローチ ―

雑誌名:群馬大学社会情報学ハンドブック

発行所:国立大学法人群馬大学社会情報学部

発行年:2005年

要旨:本論文は,内外の諸研究の成果を取り入れながら社会情報学の基本的視点を明らかにし,社会情報学的研究の必然性及び研究方法の在り方について考究したものである。
 まず,社会情報学研究の対象としての「社会情報」は,人間と社会(組織)及びそれらの間を媒介するメディアによって織りなされている重層過程であることから,学際性(異なる領域の諸科学の協力・融合)と総合性(対象の全体を捉える統一的視点)の不可欠性を明らかにした。そして,社会情報学の基本的研究単位は『情報』という視点から人と人,人と組織,人と社会,組織と組織,社会と社会というような一定の関係において営まれている社会情報過程」であることを明確にした。


[報告書]

著者名:黒須俊夫,森谷健,伊藤賢一及び上毛新聞社

題名:「県民世論調査による県民意識の把握と分析」報告書

発行所:上毛新聞・群馬大学社会情報学部地域研究会

発行年:2005年3月

要旨:本報告書は,上毛新聞社と群馬大学地域研究会との共同研究「県民世論調査による県民意の把握と分析」の一環として行われたものの調査研究の報告である。調査内容は,概ね次のようなものである。

1) 生活に関する意識(通勤と買い物,定住意思,生活時間,暮らし向き,生活の満足度,生活の豊かさ,生活の目標,今後の生活など)

2) 群馬県の特性について(群馬県の評価・印象,群馬県の魅力,県民性,群馬県のイメージなど)

3) 群馬県の懸案問題ついて(公共交通,大学統合問題,道路,福祉などでの施策推進のあり方,副知事問題)

4) 教育や災害,治安について(子どもの習い事・お稽古事,治安について,自然災害への不安,災害への備え,市町村の災害対策の評価,自治体に求める災害対策)

5) その他(政党支持,首長の支持等)


[そ の 他]

著者名:黒須俊夫,森谷健,伊藤賢一及び上毛新聞社

題名:「県民世論調査」中間報告

雑誌名:上毛新聞

発行所:上毛新聞社

発行年:2005年1月1日〜7日

要旨:上毛新聞社との共同研究として行った2004年度群馬県民意識調査(対象:群馬県に在住する20歳以上の男女,3,000人)の結果を速報として新聞紙上に掲載した。


著者名:黒須俊夫

題名:情報の処理 ― 受け手が意味づける ―

雑誌名:上毛新聞

発行所:上毛新聞社

発行年:2005年1月7日

要旨:情報は基本的に曖昧であることを簡単な例を挙げながら説明し,情報が情報になるためには,「受け手」がその固有のやり方で「意味づけ」することが大前提であることを指定した。


著者名:黒須俊夫

題名:詐欺への対応 ― まず家族や友人と相談 ―

雑誌名:上毛新聞

発行所:上毛新聞社

発行年:2005年2月17日

要旨:情報の曖昧さを最も巧妙に利用しているのが「オレオレ詐欺」を代表とする一連の「振り込め詐欺」である。多くの場合,生命や人権に関わる問題を設定し「受けて」の平常心を乱し,思考が混乱することを狙っていることから,そうした「変な情報」に接した場合には,まず,家族,友人等に相談することが必要であることを指摘した。


著者名:黒須俊夫

題名:個人情報保護法 ― 自らの取り扱い慎重に ―

雑誌名:上毛新聞

発行所:上毛新聞社

発行年:2005年4月22日

要旨:個人情報保護法が実施されて以来,個人情報の取り扱いが慎重になされるようになってきたが,その分,「個人情報の価値」が高くなってきたと言えよう。その意味で,商品など購入した時などの購入目的などについてのアンケートなどに回答する事を止めるなど,一人ひとりが安易に「情報」を送り出さないようにすることが重要であることを指摘した。


著者名:黒須俊夫

題名:改憲論議とメディア ― 将来見据え読み直そう ―

雑誌名:上毛新聞

発行所:上毛新聞社

発行年:2005年5月31日

要旨:各種のメディアの世論調査では,「憲法9条事項の改正」に反対が50%を越えているにもかかわらず,大手メディアは「改憲論」を誘導しているような状況の問題点を指摘し,そうした状況を正しく認識するためにも,私たち一人ひとりが将来を見据えて「憲法」読み直すことが必要であることを指摘した。


著者名:黒須俊夫

題名:2つの住基ネット判決 ― 再考したい住民の利益 ―

雑誌名:上毛新聞

発行所:上毛新聞社

発行年:2005年7月23日

要旨:2005年5月末に住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステムからの離脱をめぐって住民から出された訴えに対して,まったく正反対の判決が金沢地方裁判所と名古屋地方裁判所から出された。本人の意思に反した住基ネットへ個人情報の掲載は,憲法13条に違反するというのが金沢判決で,行政の効率化や電子政府実現のために不可欠だというのが名古屋判決である。この2つの判決は,国民の立場に立つか国家の立場に立つかの違いであり,住民の立場から私たちも再考する必要があることを指摘した。


著者名:黒須俊夫

題名:衆院選とリテラシー ― 言動の本質を見抜こう ―

雑誌名:上毛新聞

発行所:上毛新聞社

発行年:2005年9月7日

要旨:情報リテラシー,メディアリテラシーという用語で,IT社会でのリテラシーが叫ばれているが,実は,私たちは,ごく普通の毎日の生活の中でも多様な「リテラシー」が要求されている。このことは,たとえば,昔から「巧言令色鮮(すくな)し仁」という言葉に端的に表現されているが,この例を衆議院選挙の候補者の言動を例に説明した。


著者名:黒須俊夫

題名:ユビキタス社会 ― 信頼と安全のネットを ―

雑誌名:上毛新聞

発行所:上毛新聞社

発行年:2005年10月31日

要旨:各種のメディアや政府はユビキタス社会の未来を「バラ色」に宣伝している傾向が強いが,IT社会のインフラとしてインターネットやケータイは,しょせん,生活の為の道具でしかないことから,道具は,いつの時代にも悪用する者がいることを指摘し,国や政府や私たちが力を注ぐべき課題は,生きた現実の生活,社会関係のありかたを豊かなものにすることであることを提言した。

地域社会史研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:落合延孝

題名:歴史情報論への招待

掲載誌名:群馬大学社会情報学ハンドブック

発行年月日:2005年4月

頁:194-205

要旨:学生が歴史情報論を学ぶ上での参考文献を紹介しながら,いくつかのテーマに即して歴史を情報という視点から見直すことの意味を考えた。


著者名:落合延孝

題名:猫絵と殿様の画技

掲載誌名:古文書通信

号数:67号

発行年月日:2005年11月

頁:2-6

要旨:群馬・埼玉・長野の養蚕生糸の盛んな地域では,養蚕飼育の上で鼠は大敵とされ,新田岩松氏の殿様が描く猫絵が鼠除けの効果があるものと信仰されていた。最初に絵画を描きはじめた岩松孝純がどのように狩野派の技法を修得したのかを「新田岩松家旧蔵粉本図録」を通して明らかにした。


[史料紹介]

著者名:落合延孝

題名:北国周遊の史料紹介(1) ― 森村新蔵「北国見聞記」巻之一より ―

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

号数:第12巻

発行年月日:2005年3月

頁:289-314

要旨:1841年(天保12)6月11日から9月23日までの約百日間の北国周遊のうち,伊勢崎から常陸国羽黒駅までの旅を記録した「北国見聞記」巻之一の史料紹介を行い解説を付した。


[書評]

著者名:落合延孝

題名:井上攻『由緒書と近世の村社会』

掲載誌名:歴史評論

号数:662号

発行年月日:2005年6月

頁:87-91

要旨:近世社会における「創られた伝統」の実態を,由緒書や旧臣たちの近代における顕彰運動までの分析を通じて明らかにした本書の意義と問題点を指摘した。


[学会等での講演]

発表者名:落合延孝

題名:猫絵の殿様と社会的権威の浮上

学会名(講演会名):NHK学園古文書講座

発表年月日:2005年8月6日

開催場所:NHK学園

要旨:新田岩松家の史料を解読しながら,岩松氏の社会的権威の浮上過程を考察した。


[学会等でのコメント]

発表者名:落合延孝

題名:渡辺報告へのコメント

掲載誌名:人民の歴史学

号数:164号

発行年月日:2005年6月

頁:12-16

要旨:渡辺報告に対するコメントを述べながら,佐々木潤之介氏の幕末維新論の意義と問題点を述べた。


[ラジオでの講演]

発表者名:落合延孝

題名:ふるさと歴史コーナー

放送局名:NHK前橋放送局

放送年月日:2005年1月〜12月の毎月第1火曜日

要旨:森村新蔵の北国周遊(1月・2月),大田南畝「壬戌紀行」(3月),渡辺崋山「毛武遊記」(4月),桐生商人娘の教養形成(5月),寺子屋の話し(6月),カカア天下再考(7月),駆入り女性史(8月),女大学像の再検討(9月),石原征明『ぐんまの昭和史(下)』の紹介(10月),女大学とカカア天下の間(11月),群馬の観光史(12月)などの話題提供を行った。

外国文化第2研究室

[学術論文]

分担執筆

著者名:荒木詳二

題名:情報・プロパガンダ・芸術

掲載誌名:社会情報学ハンドブック

頁:159-172

発行年月日:平成17年4月

要旨:本稿では,従来の情報社会論は,社会制御を目的した,技術決定論であり,近代社会の見果てぬ夢の反映だと確認した後,二十一世紀は,しかし情報技術とプロパガンダと全体主義が結びついた反ユートピアになる可能性を抱えていると指摘した。そこにプロパガンダの歴史を研究する必要性がある。プロパガンダは常に戦争や革命と結びついていた。本稿では二十世紀のプロパガンダ,つまり世界大戦期のプロパガンダ映画,ロシア・アジプロ演劇,ナチスのプロパガンダ,中国革命期および文化革命期のプロパガンダについて考察した。


[学会機関誌などへの投稿]

著者名:荒木詳二

題名:プロパガンダと芸術 ― プロパガンダとドイツ演劇

掲載誌名:世界文学

号数:第100号

頁:1-7

発行年月日:平成16年12月

要旨:本稿は世界文学第100号記念号の特集「プロパガンダと文学」の一環として執筆された。まずプロパガンダという語の成立史について言及し,さらにプロパガンダ劇として有名なロシア・アジプロ演劇の成立と衰退を考察した。またプロパガンダという視点より,レッシングからデュレンマットへと至るドイツ政治演劇を展望し,権力と結びついたプロパガンダ劇の危険性を指摘し,反権力としての政治劇の在り方を追求した。


[その他]

[発表]

発表者名:荒木詳二

題名:教養の諸相〜日本とドイツ

講演会名:第8回社会情報学シンポジウム

発表年月日:平成17年1月26日

要旨:教養に関するドイツ人へのアンケートを分析し,ドイツでも古典離れが進んでいるが,古典を学び教養を身につけることは現代においても必要であるというのがドイツ人知識階級の大方の傾向であるという結論を提出した。また日本における教養を分析するため,特徴・成立時期・衰退時期・成立事情および古典の範囲に関して,教養の日独の比較を試みた。


[教科書執筆]

著者名:荒木詳二,斉藤佑史

書名:すず風のドイツ語

発行所:三修社

頁:2・3・4・11・12課,kleine Pause,旅行表現(全12課69頁)

発行年月日:平成17年2月

要旨:本書は初級用ドイツ語教材である。

なおマールブルクを舞台とした本書はドイツ連邦共和国ヘッセン州の地方紙Ober Hessische Presse(上部ヘッセン新聞,2004年12月31日発行,同紙Anna Ntemiris記者署名原稿)およびマールブルク大学新聞Marburg Uni Journar(第21巻2005年4月号51頁)に紹介された。
 内容はともに本書を通じて,極東の地日本の東京で大学都市マールブルクがその名を知られるようになったというものである。


[分担執筆]

著者名:喜多尾道冬,荒木詳二他4名

書名:フランク・ヴェーデキントの描く性愛の世界

発行所:財団法人新国立劇場運営部

頁:12-15

発行年月日:平成17年2月

要旨:本パンフレットは新国立劇場において2005年2月8・11・14・17日に上演されたA・ベルクのオペラ作品『ルル』鑑賞のためのパンフレットである。

地域社会学研究室

[講 演 等]

講演者:森谷健

講演会名:平成16年度高崎市生涯学習推進研究大会

講演月日:2005年2月23日

講演場所:高崎中央公民館

講演題目:生涯学習と地域づくり

要旨:高崎市に所在する公園を事例に,5つの観点,「生涯学習のための地域づくり」「地域づくりのための生涯学習」「学習成果を活かす地域づくり」「学習施設を活かす地域づくり」「学習活動という地域づくり」を解説した。


講演者:森谷健

講演会名:群馬自治総合研究センター・県民局開設記念リレーシンポジウム(中部県民局)基調講演

講演月日:2005年6月29日

講演場所:群馬県地域防災センター

講演題目:自治をめぐる市民活動の2側面

要旨:行政職員に対する意識調査データを元に,「サービス提供主体としてのNPOと協働の阻害要因」と「自治の教室としてのNPO」について検討した。なお,「群馬自治研究」(群馬自治総合研究センター,創刊号,2005年10月,7〜17ページ)に講演内容が掲載されている。


講演者:森谷健

講演会名:群馬県生涯学習センター平成17年度生涯学習相談担当者養成講座(ワークショップ)

講演月日:2005年7月13日

講演場所:群馬県生涯学習センター

講演題目:生涯学習相談担当者の役割と大切なこと ― ダブル8の字モデルから ―

要旨:生涯学習の展開とその社会的活用について講演した後,ワークショップと主催した。


講演者:森谷健

講演会名:群馬県西部教育事務所平成17年度西部地区社会教育研究集会

講演月日:2005年9月29日

講演場所:高崎市中央公民館

講演題目:これからの地域づくりのあり方

要旨:これからの地域づくりの主体について,社会規範の変化や住民運動・市民運動・ネットワーキングの変遷から解説した。

外国文化研究室

[著書]

著者名:小林徹

題名:「自己をめぐる思考 ― 過去と現在 ― 」

掲載誌名:『群馬大学社会情報学ハンドブック』(群馬大学社会情報学部,平成17年4月)pp.138-48.

要旨:本論文では,だれしも一度は問うたことのあるだろう「自己とはなにか」という問いについて,西欧におけるその登場までの経緯とその後の展開,および情報社会の現代においてのその意義に関して論じた。

西欧では自己をめぐる思考は,ルネサンスをいわばひとつの準備期間として,18世紀末に本格的に始まる。その後精神分析学の誕生をもち新たな展開をみせ,現代ではそれは,とりわけ個人の情報化という社会全般での動向を考慮するとき,改めて重要視されるべき課題となっている。

社会倫理思想研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:山内春光

題名:神戸事件 ― 少年Aと母の「怖れ」 ―

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第12巻

発行年月日:2005年3月31日

頁:165〜178

要旨:1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件について,少年Aとその母の「異常」さへの「怖れ」という視点から考察した。Aによる淳君殺害を「無理心中」と見た場合これを日本の伝統思想との関わりで理解できる可能性のあること,またその後の遺体切断等の残虐行為はAとその母との関係の問題から理解する必要のあることを論じた。


[分担執筆]

執筆者名:山内春光

題名:社会的事件の情報化の一つの形 ― 神戸事件・当事者の肉声から ―

書名:群馬大学社会情報学ハンドブック(全488頁)

発行所名:群馬大学社会情報学部

発行年月日:2005年4月1日

分担執筆の頁:173〜183

要旨:社会情報学の入門書として編まれた本書において,担当部分は,社会的事件の情報化の一つの形について,1997年の神戸連続児童殺傷事件を題材に解説した。加害者・被害者の親の手記,ノンフィクション作家のルポルタージュ等の読み解きを通じ,当事者に近い立場から事件の真相に迫る一つの道筋を提示した。


[学会等での発表]

発表者名:山内春光

題名:現代社会における規範と個人

学会名(講演会名):日本倫理学会第56回大会・ワークショップ

発表年月日:2005年10月7日

開催場所:岡山大学

要旨:「日本倫理思想史における行為規範と超越」をテーマとするシンポジウムにおける発表である。1997年の神戸連続児童殺傷事件を取り上げ,近松の「心中物」や「親子の道連れ心中」といった日本の伝統思想と事件との関連について論じた。


発表者名:山内春光

題名:社会的事件の説話化

学会名(講演会名):平成17年度群馬大学公開講座・情報社会を読み解く

発表年月日:2005年10月29日

開催場所:群馬大学

要旨:1997年の神戸連続児童殺傷事件について,日本の伝統思想との関わりや事件についての新証言なども交え,筆者なりの事件の情報化(あるいは説話化)を試みる発表を行なった。

社会心理学研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:柿本敏克・細野文雄

題名:コンピュータディスプレイ上での回答に特異性はあるか ― 電子調査と質問紙調査の比較 ―

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:12

発行年月日:2005年3月31日

頁:23〜34

要旨:電子調査回答者が従来型質問紙調査回答者よりも大きな回答の分散を示したという先行研究の知見(柿本,1997)について,新たな2つのサンプルを用いた追試を行なった。第1研究では使用言語,国籍,所属学校が元の研究と異なるサンプルが用いられた。第2研究では,想定される回答者の心理状態と交互作用して当該の効果を生むと期待される,回答者の自己注意量の統制をともなう実験デザインが用いられた。また従来型質問紙との対応がより良いものとなるように電子調査票の呈示法の改良が図られた。両研究ともに,元の知見の明確な再現を得ることはできなかった。


著者名:柿本敏克

題名:集団間関係研究と状況の現実感

掲載誌名:TASC MONTHLY

巻数:356

発行年月日:2005年8月1日

頁:4〜7

要旨:集団間関係研究における最小条件集団状況を用いた研究の問題点について簡単に整理し,その一つとして,実験状況に対して抱かれる現実感が方法論上の問題としてあることを指摘した。これへの対処として用いられる,近年注目されている仮想世界ゲームのもつ特徴について,現実感に関連する部分を記述した。さらに,状況の現実感自体のもつ関連領域における意義と,今後の展開方向としての現実感の客観的指標作成の試みについて紹介した。


[学会等での発表]

発表者名:柿本敏克

題名:状況の現実感の場面間比較

学会名(講演会名):日本社会心理学会第46回大会

発表年月日:2005年9月24日

開催場所:関西学院大学

要旨:科学研究費報告書『ネットワークRPGを利用した社会的認知研究』の分担部分原稿(44〜52頁)に基づいて状況の現実感に関する報告を行なった。


発表者名:Toshikatsu KAKIMOTO

題名:Measurement of the cognitive representation of a minimal group

学会名(講演会名):The 6th Biennial Conference of the Asian Association of Social Psychology

発表年月日:2005年4月3日

開催場所:The Victoria University of Wellington, New Zealand

要旨:To capture the cognitive representation of experimentally constructed groups, a new method was developed that involves screen-projection of the "color gradation band".This was an improved version of the earlier "color band" scales.The current study was to test the procedure of the scale administration and to examine the characteristics of the scale in a minimal group situation.Forty college students participated in a minimal group experiment in which they engaged in series of group-related evaluations and judgments, either as a "red" or a "white" group member. The color gradation bands were projected on a screen every time when participants had to evaluate the "position" of the groups.The indices calculated from the new scales showed that the participants formed a distinctive and different cognitive representation for each group.


[分担執筆]

執筆者名:柿本敏克

題名:情報処理機械としての人間

編著者名:群馬大学社会情報学部

書名:群馬大学社会情報学ハンドブック

発行所名:群馬大学社会情報学部

発行年月日:2005年4月1日

分担執筆の頁:110〜121

要旨:機械と人間を対比することで機械の特徴をまず抽出し,次に人間が情報処理機械に喩えられる諸側面をもつことを,対人認知,対人記憶,対人相互作用などの社会心理学の領域を中心とする実証研究のデータにより紹介した。最後に人間のもつこれらの機械的特徴について,自動性という概念による説明を示唆した。


執筆者名:柿本敏克

題名:電子コミュニケーションの進展と状況のリアリティ

編著者名:有馬淑子

書名:『ネットワークRPGを利用した社会的認知研究』(平成15-16年度科学研究費補助金(基盤研究C (2))研究成果報告書)

発行年月日:2005年3月

分担執筆の頁:33〜43

要旨:近年顕著にみられるようになった多様な内容・形式をもつ電子コミュニケーションについて,その利用の拡大の諸様相を特に数量的側面を中心にしながら簡単に跡づけた。制度的・技術的背景,および電子ネットワークシステムの利用状況の推移,その使用実態の特徴の3つの観点を取り上げた。次にこれらを背景として現れてきた,電子コミュニケーション行動を対象とする実証的研究を,海外のものも含めていくつか紹介した。最後に電子コミュニケーション現象とそれを対象とする研究に向けての一つの切り口として,状況のリアリティ概念とその意義について考察した。


執筆者名:柿本敏克

題名:状況の現実感の諸様相 ― 4つの場面の比較 ―

編著者名:有馬淑子

書名:『ネットワークRPGを利用した社会的認知研究』(平成15-16年度科学研究費補助金(基盤研究C(2))研究成果報告書)

発行所名:群馬大学社会情報学部

発行年月日:2005年3月

分担執筆の頁:44〜52

要旨:柿本(2004)で用いた仮想世界ゲーム場面,および新たに収集した3場面(模擬社会ゲーム,ネットワーク型RPG,大学講義の各場面)からのデータを分析することで,各場面を状況の現実感という観点から比較した。まず個別の因子分析の結果,各場面の状況の現実感の構造がある程度類似しており,場面間の比較が可能であることを確認した。次に,状況の現実感の3要素(主体的関心,一回性,参加者の現実感)に対応する下位尺度得点を算出し比較した。各下位尺度得点のパターンは各場面ごとの特徴をよくとらえており,状況の現実感をこの3要素でとらえることの利点が示唆された。

理論社会学研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:伊藤賢一

題名:怖れを共有する社会 ― リスク社会論の可能性

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

号数:12号

発行年月日:2005年3月31日

頁:193〜210頁

要旨:本論文はウルリッヒ・ベックのリスク社会論(1986)の可能性を探るものである。最初に,2001年に日本で起こった「BSEパニック」について描写し,Beckが提案したリスク社会のあらゆる特徴をこの「パニック」が示していることを指摘している。次に,リスク社会論の土台となっている近代化論のロジックと射程を検討している。本論文はこのことを通じて彼の理論がもつ可能性を提示するものである。


[報告書(分担執筆)]

執筆者名:伊藤賢一

題名:「県民世論調査による県民意識の把握と分析」報告

編著者名:伊藤賢一,黒須俊夫,清水直樹,関口雅弘,宮崎岳志,森谷健

発行所名:上毛新聞社・群馬大学社会情報学部地域研究会

発行年月日:2005年3月31日

分担執筆の頁:7〜19頁

要旨:平成16年度に,上毛新聞社と群馬大学社会情報学部地域研究会の共同研究として実施した県民世論調査の報告書。「生活時間」「暮らし向き」「満足度」「生活の豊かさ」を担当した。


[社会的活動]

執筆者名:伊藤賢一

題名:削られている「自由」生活時間の構造

掲載年月日:2005年1月1日

掲載紙名:上毛新聞

要旨:平成16年度に,上毛新聞社と群馬大学社会情報学部地域研究会の共同研究として実施した県民世論調査のデータをもとに論評を加えた。


[その他(分担執筆)]

執筆者名:伊藤賢一

題名:情報社会における公共圏 ― その可能性をさぐる

書名:群馬大学社会情報学ハンドブック

発行所名:群馬大学社会情報学部

発行年月日:2005年4月1日

分担執筆の頁:149〜158

要旨:人々の間に共通の意味的世界を作り出すことは,われわれのコミュニケーションが果たす重要なはたらきのひとつである。本稿では,情報社会を公共圏として考えた場合にどのような展望が開けるのか,特にインターネット上に公共圏を作り出すことは可能か,という問題を考えている。


[その他(公開講座)]

発表者名:伊藤賢一

題名:情報社会における公共圏

学会名(講演会名):平成17年度群馬大学公開講座「情報社会を読み解く」

発表年月日:2005年11月5日

開催場所:群馬大学

要旨:ドイツの社会学者ハーバマスの提唱している「公共圏」という考え方を参照にしながら,情報社会のあるべき姿を考えた。

政策・行政情報講座

民事法研究室

[解説]

著者名:前田泰

題名:内縁配偶者間の子と772条

掲載誌名:法学セミナー

号数:600号

発行年月日:2004年12月

頁:32〜35頁

要旨:掲載誌の特集「類推適用からみる民法」の中で,内縁配偶者間の子に対する772条の類推適用を取り上げ,内縁配偶者の保護とは異なり,内縁子の問題は認知請求訴訟における立証責任および子の嫡出性の問題であることを指摘し,いわゆる準婚理論が対象とする問題との異質性を明らかにした。


[分担執筆]

著者名:前田泰

題名:民法779条〜786条

書名:新版注釈民法(23)親族(3)親子(1)実子(中川善之助・米倉明編)

発行所名:有斐閣

発行年月日:2004年12月

頁:293〜382頁

要旨:わが国最大のコンメンタールの新版において,任意認知に関する8カ条の注釈を担当した。


[分担執筆]

著者名:前田泰

題名:「無効な身分行為の追認と113条」,「内縁配偶者間の子と772条」

書名:解説 類推適用からみる民法(椿寿夫・中舎寛樹編)

発行所名:日本評論社

発行年月日:2005年6月

頁:77〜81頁,258〜265頁

要旨:法学セミナー誌の3回にわたる特集「類推適用からみる民法」掲載の記事を加筆・修正して収録したものである。

公共政策研究室

[論文]

著書名:小竹裕人

題名:「自治体における住民代表による政策立案の可能性」,ファイナンス,8月号,p. 30-37,財務省。

要旨:予算編成過程に住民が関与する事例が増加しており,このことは間接民主政における議会の機能を住民が代替していることにつながる。住民代表の予算編成過程の可能性について合意のコストの観点から検討を加えた。


[発表]

発表者名:小竹裕人

題名:財務省「財政租税政策の分析・評価手法に資する最新経済理論に関する研究会」報告(2月3日)

要旨:中央政府による予算編成過程が形骸化しつつある中,住民代表が予算編成過程に効果的に参加する方策に関する先行論文サーベイし発表した。


[地域連携活動]

発表者名:小竹裕人

題名:群馬県藤岡保健福祉事務所事業見直し検討会中間報告での基調講演(3月4日)

要旨:現在の財政状況と医療・福祉分野が置かれている立場を概観し,公共分野における「指導」が政策コスト増大・ポジション確保につながる危険性について指摘した。

座長名:小竹裕人

題名:群馬県藤岡保健福祉事務所意見交換会(3月18日)

要旨:保健福祉事務所の公共サービスの説明とその存在意義について住民の意見を聴取する意見交換会を開き,その座長を行った。


委員名:小竹裕人

題名:群馬県中部県民局「中期ビジョン策定委員会」副座長(10月から)

要旨:県内5県民局の一つである中部県民局において,今後5年間の中期ビジョンを策定する住民参加型会議において副座長を務めた。


講演者名:小竹裕人

題名:「これからの住民・市町村・県の役割〜保健・福祉・医療分野を中心に〜」,みかぼ未来館,基調講演,11月18日,藤岡保健福祉事務所主催。

要旨:現在,群馬県の財政状況と医療・福祉分野が置かれている立場を概観し,住民主導の政策立案過程の重要性について講演を行った。


講演者名:小竹裕人

題名:ぐんま県民カレッジ「オープンキャンパス講師」群馬県教育委員会(9月-10月)

要旨:子持村において金曜日19時から6回,市民を対象とし身近な経済事例をとりあげ,市民への出前授業を行った。


[共同研究]

共同研究者名:小竹裕人,新井祥純(群馬県)

題名:群馬県県土整備局交通政策課,上毛電気鉄道乗客アンケート実施,12月。

要旨:上毛電気鉄道について,乗客および周辺住民に対して鉄道存続への支払意思額などのアンケートを行ったもの。


共同研究者名:青木繁伸,小竹裕人

題名:群馬県太田保健福祉事務所,「平成17年度地域保健総合推進事業」(12月)

要旨:(1) 保健福祉事務所の公共サービスの一つである予防接種について,その接種率を上昇させるためのアンケートを調査行った。
(2) 妊婦の風疹の罹患が胎児へ影響を与える問題について,実態調査を行うためのアンケート調査を行った(12月)。


[その他]

研究者名:小竹裕人

題名:新政策手法にかかわる900市町村Webアンケート(3月)

要旨:自治体独自の政策形成手法の有無についてアンケートをWEB上で行ったもの。


著者名:小竹裕人

題名:「行政変える予算策定への参加」上毛新聞(8月15日)

要旨:予算策定に住民ニーズを取り込む事例が増えてきている。その意義と影響について検討を加えたもの。

行政法研究室

[著書]

著者名:西村淑子

書名:平成15年度行政関係判例解説

題名:漁業補償契約とこれに基づく補償金の支出が違法であるとして,住民からの損害賠償代位請求が認容された事例

発行所名:ぎょうせい

発行年月日:平成16年12月

頁:90-95頁

要旨:本稿は,漁業損失が生じていないにもかかわらず,市長が漁協に補償金を支出したことを違法であるとして,損害賠償を請求した住民訴訟について評釈したもの。


[学会機関誌等への投稿]

著者名:西村淑子

題名:水俣病による健康被害の拡大につき国及び熊本県が損害賠償責任を負うとした最高裁判決

掲載雑誌名:法律のひろば

発行年月:平成17年7月

巻号数:58巻7号

頁:62-67頁

要旨:本稿は,本判決と筑豊じん肺最高裁判決とを比較検討し,本判決の意義として人の健康や生命に深刻な被害が発生しているときには,行政は被害防止について重い責任を負うことを明らかにしたことを指摘するとともに,いかなる場合に規制権限を行使すべき作為義務が発生するのかについて問題点を指摘した。

情報法研究室

[博士号学位論文]

著者名:松宮広和

題名:インターネット接続のブロードバンド化が電気通信事業に与える影響について ― アメリカ合衆国における政策の推移と今後の課題 ―

博士号授与年月日:2005年3月25日

頁:1〜286

要旨:博士課程後期課程に在籍して以来従事してきた,インターネット接続のブロードバンド化,すなわち,ブロードバンド・サービスの発展が既存の電気通信事業に与える影響についての研究をまとめたもの。概して,2004年末までの米国における事例をその主たる研究対象とする。当該論文に対して審査が行われ,博士(法学)の学位が授与された。


[公表論文等]

著者名:松宮広和

題名:近時のアメリカ合衆国におけるケーブル・モデムを経由するブロードバンド・インターネット・サービスに対する規制をめぐる議論について ― Brand X Internet Services v, FCCが再提起する問題を中心に ―

掲載紙名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第12巻

発行年月日:2005年3月31日

頁:89〜111

要旨:著者は,従来からブロードバンド・サービスの発展が電気通信事業に与える影響について与える影響に対する研究を行ってきた。本稿は,米国でのケーブル・モデム・サービス規制についての研究の延長線上に位置するものであり,既公表の拙稿「アメリカ合衆国地方政府によるAT&T社のケーブル回線の非AT&T社系インターネット・サービス・プロバイダーに対する接続義務付けの合法性ーブロードバンド通信回線網へのオープン・アクセス問題を中心にー」『公正取引』620号(2002年6月号)87〜93頁(2002年)のアップデートとしての性質も有するものである。


著者名:松宮広和

題名:技術革新が既存の情報通信制度に与える影響について ― ネットワークのIP化,特にIP電話を1つの例として ―

掲載紙名:群馬大学社会情報学ハンドブック

発行年月日:2005年4月1日

頁:233〜240

要旨:群馬大学社会情報学部創立10周年を記念して公表された群馬大学社会情報学ハンドブックに収録された論説である。特にIP電話が普及しつつある近時のアメリカ合衆国における事例を1つの例として取り上げ,技術革新が既存の情報通信制度に与える影響と今後の課題について解説を行った。


著者名:松宮広和

題名:破産した通信事業者が保有していた電磁波の周波数のライセンスを取消したFCCの行為は連邦破産法典に違反すると判断した合衆国最高裁判所の判決について ― 無線通信事業への競争導入と周波数政策のあり方をめぐって ―

掲載紙名:公正取引

巻数:659号(2005年9月号)

発行年月日:2005年9月15日

頁:73〜79

要旨:1990年代以降のアメリカ合衆国で実施されてきた周波数オークションが発生させた具体的事例,特にその合衆国最高裁判決を取り上げて,無線通信政策のあり方について論じたもの。本稿は,既公表の拙稿「破産した通信事業者が保有していたマイクロ波の周波数のライセンスを取消したFCCの行為は連邦破産法典に違反すると判断したアメリカ合衆国連邦控訴裁判所の判決について ― 無線通信事業への競争導入と周波数オークションのあり方をめぐって ― 」『公正取引』630号(2003年4月号)69〜75頁(2003年)のアップデートとしての性質も有するものである。


[編集・翻訳・執筆分担等]

研究分担者名:松宮広和

報告書:科研研究題目「IT経済社会の形成と競争政策上の課題に関する総合的研究」(基盤研究B(1))(平成14年度〜16年度)報告書

研究代表者名:根岸哲(神戸大学大学院法学研究科教授)

提出年月:2005年6月(独立行政法人日本学術振興会にのみ提出)

要旨:上記の科研研究に,研究分担者の1人として参加した。当該研究の成果にもとづいて報告書が作成され,その一部を担当した。担当箇所は,「第3章IT経済社会における規制改革と競争政策のあり方第1節近時のアメリカ合衆国におけるケーブル・モデムを経由するブロードバンド・インターネット・サービスに対する規制をめぐる議論について ― Brand X Internet Services v, FCC が再提起する問題を中心に ― 」。分担者も参加した当該研究の成果は,2006年を目処に,書籍として刊行されることが予定されている。


共同研究者名:松宮広和

研究題目:総務省研究委託研究題目「競争排除にかかる競争法的規制」(平成15年9月〜)報告書 発行年月日:未公表(総務省にのみ提出)

要旨:上記の研究題目に,4名の共同研究者の1人として参加し,研究成果を,報告書として総務省に提出した。担当部分は,「近時のアメリカ合衆国におけるブロードバンド・インターネット・サービスに対する規制をめぐる議論について ― FCCによる2003年の「3年毎の再考」(=‘Triennial Review')とBrand X Internet Services v. FCCが再提起する問題を中心にー」。また,当該研究成果は,近い時期に学術紀要にも公表される予定である。


[学会等での発表]

発表者名:松宮広和

題目:地方当局は,cLEC(s) から電話サービスを購入しているエンド・ユーザーに対してxDSLサービスを提供することをiLEC(s) に命じてはならない,と判断したFCCの判断について

発表年月日:2005年6月11日

研究会名:()財比較法研究センター主催「独禁法研究会」平成16年度第8回例会

研究代表者名:根岸哲(神戸大学大学院法学研究科教授)

開催場所:大阪市・北区大阪倶楽部

要旨:2000年以降の共和党政権下において,「連邦通信委員会」(=‘the Federal Communications Commission'/FCC)は,単に費用ベースの競争のみならず,むしろ,施設ベースの競争を促進する目的で,競争市場の下でブロードバンド・サービスについてのより多くの投資と革新を助長する政策を推進し,当該サービスに対する規制を緩和してきた。FCCによる当該判断は,前記の政策にもとづいて,既存のローカル通信事業者が保有する施設に対する競争者のアクセスについて定めた,2003年の「3年毎の再考」(=‘Triennial Review')においても採用された考えを再確認するものである。当該判断についての解説及びその意義について報告を行った。


[科研研究]

研究代表者名:松宮広和

研究題目:科研研究題目「高度なユビキタス社会を実現する情報通信政策の研究」(若手研究B)(平成17年度〜18年度)

研究代表者名:松宮広和

要旨:上記の科研研究に,研究代表者として従事している。主たる研究対象は,(1)ユビキタス社会の実現に不可欠なインターネット通信の無線ブロードバンド化を促進する競争政策のあり方,及び(2)既存の放送とブロードバンド・サービスの関係に対する予備的考察である。平成17年度は,特に前者の研究を行ってきた。


[共同研究]

研究分担者名:松宮広和

研究題目:科研研究題目「IT経済社会の形成と競争政策上の課題に関する総合的研究」(基盤研究B(1))(平成14年度〜16年度)

研究代表者名:根岸哲(神戸大学大学院法学研究科教授)

要旨:上記の科研研究に,研究分担者の1人として参加した。当該研究の成果にもとづいて報告書が作成された。当該報告書については,上記の記述を参考のこと。なお,当該科研研究の成果は,2006年を目処に,書籍として刊行されることが予定されている。


研究分担者名:松宮広和

研究題目:科研研究題目「産学連携の知的財産法モデル」(基盤研究B(一般))(平成17年度〜18年度)

研究代表者名:北川善太郎((財)国際高等研究所副所長,京都大学名誉教授,名城大学法学部教授,(財)比較法研究センター特別顧問)

要旨:今年度より開始された上記の科研研究に,研究分担者の1人として参加している。今年度は,特に理系の研究者を対象とする知的財産教育モデルの作成を研究テーマとして実施してきた。より具体的には,前記の目的に相応しいあるべき知材教材の開発及びその効用についての実験等を行った。


共同研究者名:松宮広和

研究題目:(財)国際高等研究所課題研究「共同研究の法モデル」(平成15年度〜)

研究代表者名:北川善太郎((財)国際高等研究所副所長,京都大学名誉教授,名城大学法学部教授,(財)比較法研究センター特別顧問)

要旨:平成15年度に特別研究員として在籍した(財)国際高等研究所(IIAS)は,同年度より課題研究の1つとして「共同研究の法モデル」の研究を行っている。当該研究の一部であって,平成16年度から開始された「科学技術と法の対話プログラム」に,共同研究者の1人として参加している。

経済・経営情報講座

会計学研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:中島照雄

題名:CSR(企業の社会的責任)と無形資産の一考察ー社会情報と社会関連会計についてー 掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究録集

号数:第12巻

発行年月日:2005年3月31日

頁:113〜130

要旨:企業の非財務的ディスクロージャーとして社会関連情報に関する基礎的考え方を展開し,CSR(Corporate Social Responsibility,企業の社会的責任)に関する考察,さらには,CSR導入の背景に潜むところの人(経営者・従業員など)そのものが企業価値(無形資産)に対する決定要因になる,という論及を展開している。
 日本でCSRやSRIが推進されるためには,企業はもとより,社会の成熟化が進展しなければならない。特に,NGOやNPOなど関連団体の一層の発展が必要不可欠である。その結果,企業評価に当たって,市民社会的監視や市民社会的制約システムが機能して,ソーシャル・ガバナンス(Social Governance)が機能するのである。今後は,個人レベルの社会的責任意識の高揚や社会的責任の重要性に対する共通認識,また,企業だけでなく社会を構成する部門の全てにおける社会的責任の取り組みも重要な要素になるなどを論及している。


[学会分担執筆]

執筆者名:中島照雄

題名:第9章医療保険財政

編著者名:日本財政法学会編

書名:財政の適正管理と政策実現(財政法講座第2巻)

発行所名:勁草書房

発行年月日:2005年3月31日

分担執筆の頁:167〜186頁

要旨:医療財政が同じ公的制度の日本と欧州を比べると,欧州主要国は戦後(1945年以降)比較的早い時期に経済の成熟化(低成長)と,これと併行して緩やかな高齢化に入っていった。他方,日本は,戦後,人口構成の比較的若い世代が多いなか(団塊の世代が若いとき),急速な経済成長を遂げてきたが,バブル経済の崩壊後,経済の成熟化(低成長)と高齢化の加速(団塊の世代の高齢化)が同時に直面することになった。バブル経済の崩壊から低成長へと日本経済の動向や,高齢化の加速(団塊世代の高齢化)もあって,日本の世代間の動向(アンバランス)も,その格差が欧州の国と比較して大きい。これは,欧州主要国のこれまでの体験と,日本とは異なる。
 そこで,日本の現行の医療制度は,公平,フリーアクセス,低自己負担の三点であるが,今後の医療制度改革の展開によって,不安と不信,そして不満のある医療制度に陥ってはならないことを強く展開している。


[分担執筆]

執筆者名:中島照雄

題名:情報の非対称性とアカウンタビリティ

編著者名:群馬大学社会情報学部

書名:群馬大学社会情報学ハンドブック2005

発行年月日:2005年3月31日

分担執筆の頁:340〜350頁

要旨:現実に経済的取引が行なわれるとき,取引の当事者全員に必要な情報が行き渡らず,ごく一部の当時者だけに情報が偏在する現象があり,こうした現象を情報の非対称性と呼んでいる。生産物市場や労働市場,資本市場などで,情報の非対称性が原因で市場が処理できないとするならば,その解決のためにどのような制度を設けるべきか,という問題が生まれる。
 そこで,ここでは市場を証券市場,制度を会計制度と捉えると,会計学の領域をどのように位置づけるかが重要になる。アカウンタビリティとコーポレートガバナンス,会計の意義と会計の体系,会計諸則,会計の歴史的展開,会計領域の拡大,会計倫理とCSRなどの展開を含めて,「情報の非対称性とアカウンタビリティ」についてを展開している。


[社会的活動(講演等)]

発表者名:中島照雄

題名:特定非営利組織会計

講演会名:市民立NPOカレッジ(ハローワークから受講指示又は推薦をされた方を対象)

開催年月日:2005年6月27日

開催場所:群馬県立前橋産業技術専門校(群馬県前橋市)

要旨:公共職業安定所長から受講指示を受けた方(雇用保険受給中でハローワークから受講指示又は推薦をされた方)を対象に,NPO法人の運営・起業に関する全般的な知識を習得する研修。
 現在,政府内で検討されている非営利組織体関連の改正動向を展開し,非営利組織体の概要や公益法人とNPO法人の経営会計システム,NPO法人の運営について展開した。


発表者名:中島照雄

題名:持続的可能な社会を築くには見えざるコストの認識 ― 廃棄物の社会システム ―
講演会名:社団法人全国都市清掃会議・関東地区協議会・清掃行政研究会(会長・高木政夫前橋市長)

開催年月日:2005年11月17日

開催場所:ウエルシティ前橋群馬厚生年金会館(群馬県前橋市)

要旨:今日の環境問題は,日常生活や事業活動から生じる環境負荷があまりにも大きいことに原因があり,社会システムのあり方を持続可能なものに変革していく必要がある。
 そこで,循環型社会の形成と廃棄物・リサイクル,ライフサイクル・コスティングを社会システムに組み込む,容器包装リサイクル法と自治体,廃棄物の減量その他を推進を図るための基本的方針の改正,地方環境課徴金(家庭ごみ有料化),地方自治体のグリーン購入とアカウンタビリティなどを展開した。市町村は,一般廃棄物処理事業の実施にあたり,第1には適正な循環的利用や処分を進める上での必要性を踏まえ,広域的取組を図ること,第2にはコスト分析及び情報提供を行い,分析結果をさまざまな角度から検討すること,また,社会経済的に効率的な事業となるよう努めること,第3には経済的インセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制・再生利用等を進めるなどを強く提起した。


[社会的活動]

発表者名:中島照雄

題名:持続的可能な社会や会社を築くには

単著:上毛新聞

開催年月日:2005年5月7日

要旨:私たちが安心して暮らしていくため,必要な『持続的社会や企業』を構築するには,「環境コスト」や「社会コスト」などを,けして先送りせずに,その都度正確な現状分析ができるようにしなければなりません。
 そこでは,世代会計のような視点を取り入れ,隠れた負債や見えざるコストなどを認識することの重要性を,特に展開している。


発表者名:中島照雄

題名:日本が抱えている問題 ― 見えざるコスト究明が鍵 ―

単著:上毛新聞

開催年月日:2005年5月23日

要旨:戦後60年が経ち,日本社会は世界に類を見ない速度で経済的繁栄を手にした反面,多くの社会問題を抱えています。中でも,私たち国民の目に見え難い形で進行している幾つかの問題については,未だ十分な対策がとられていません。ここでは,近い将来確実に日本社会を襲うであろう問題について警鐘を鳴らし,これらに対する緊急課題を提起している。

経営学研究室

[著書]

著者名:寺石雅英,植田栄二

書名:現代経営学 ― 改訂版 ―

発行所名:同文舘出版

発行年月日:平成17年7月

要旨:初版が出版されてから9年が経過し,企業やそれを取り巻く環境も大きく変化したため,それに対応した内容の変更を行い,さらに説明が不十分だった点を書き改めた。


[研究報告書等]

著者名:寺石雅英

題名:リアルオプション・アプローチによる新規事業タイプ別価値評価モデルの開発

発行所名:平成15年度科学研究費補助金研究成果報告書

発行年月日:平成16年10月31日

要旨:新規事業の価値評価は,その大部分が,不確実性の高い事業環境の下で経営の持つ選択権や意思決定の柔軟性に依存するため,既存事業の価値評価に比較するとはるかに難しい。本報告書では,代表的な価値評価手法であるDCF法によっては評価が難しい上記の選択権や柔軟性の価値を,金融オプションの評価手法であるオプション価格モデルを用いて算定する手法を明らかにした。


[講演]

講演者名:寺石雅英

題名:群馬に東アジアの磁場を形成する ― 多文化共生マインドの成熟度が地域の存亡を決める ―

講演会名:第2回多文化共生支援者養成講座

開催年月日:平成17年2月6日

開催場所:群馬大学社会情報学部教育学部

要旨:「ものづくり王国・群馬」が中国の経済的脅威を克服し,かつての輝きを取り戻すためには,外国の企業や人々に場を提供しその力を借りて発展を目指すという「貸席経済」の採用による以外に道はないこと,さらにそのためには「多文化共生マネジャー」の要請が急務となることを明らかにした。


講演者名:寺石雅英

題名:FD活動における現状と課題

講演会名:育英短期大学第3回FD講演会

開催年月日:平成17年2月28日

開催場所:育英短期大学

要旨:FDの最大の目的は,大学間競争における「競争上の武器の獲得」にあることを明らかにするとともに,そのためにはFDによる内部競争は最小限にとどめ,斬新なFDへの挑戦には最大の賞賛を与えるのが望ましいことを強調した。


講演者名:寺石雅英

題名:学校経営に生かす経営管理の基礎

講演会名:教育改革・群馬プロジェクト「教員の資質・管理能力の開発」部会

開催年月日:平成17年3月2日

開催場所:群馬大学教育学部

要旨:公立学校における管理職が,教員組織を望ましい方向に導いていくためにはいかなる方法を用いたら良いのかについて,企業組織における「マネジメント・コントロール」や「リーダーシップ」の基礎理論を取り上げながら解説した。


講演者名:寺石雅英

題名:今すぐ地域貢献活動を始めよう

講演会名:総合学習「地域貢献」講演会

開催年月日:平成17年7月13日

開催場所:前橋市立桂萱中学校

要旨:「地域貢献活動とは何か」を,自らの地域のみの繁栄を目指すきわめて利己的な活動であること,何らかの見返りがあるからこそ行う活動であること,そこから逃れようとする者には社会的制裁が加えられる活動であること,という3つの観点から整理し,その本質を明らかにした。


講演者名:寺石雅英

題名:新規事業展開に潜む経営判断の罠

講演会名:平成17年度「起業塾in県庁」

開催年月日:平成17年9月9日

開催場所:群馬県庁

要旨:新規事業の失敗の大部分が,経営者の意思決定バイアスに起因することを論理づけるとともに,起業がその影響を回避するためにはいかなる方法がありうるのかについて考察した。


講演者名:寺石雅英

題名:シルクカントリー群馬の地域振興 ― 観光経済の視点 ―

講演会名:シルクカントリー群馬シンポジウム

開催年月日:平成17年11月6日

開催場所:富岡製糸場東繭倉庫

要旨:群馬に世界に通用するヒト,モノ,カネ,情報等の強力な磁場を形成するためには,産業遺産・文化遺産,観光資源,人的資源,自然環境,都市インフラ等をいかなるコンセプトのものに集約し,各要素間にどのような相互関連性を構築すれば良いのかを,観光経済学的視点から解説した。


講演者名:寺石雅英

題名:街づくりが直面する"The Valley of Death" ― 絵を描くだけなら誰でもできる ―
講演会名:前橋街づくり協議会11月定例会

開催年月日:平成17年11月24日

開催場所:前橋商工会議所

要旨:全国至る所に魅力的な「街づくり構想」が溢れているにもかかわらず,それが実現には結びつきにくい原因を明らかにするとともに,いかにしたらその壁を乗り越えることができるのかを,「健康医療都市まえばし」構想と関連させながら論じた。

理論経済学研究室

[国際学会報告]

発表者名:Takashi YAGI

論題:A Surplus Interpretation of the Sraffian Price Theory

発表学会:ヨーロッパ経済学史学会(European Society for the History of Economic Thought)年次大会

発表場所:スターリング大学(UK)

発表日:2005年6月11日

概要:スラッファ体系における2種類の労働量を標準尺度とする評価体系をもちいて,総労働量を標準とする価格ベクトルpvと支配労働を標準とする価格ベクトルpwの2つの価格,およびpvとpwの関係を剰余アプローチの観点から論じた。


[国内研究会報告]

報告者:八木尚志

題目:「経済学における資本概念」

報告日時:2005年10月20日

場所:日本大学商学部

概要:ケンブリッジ資本論争において問題とされた資本概念およびヒックスの論文「資本論争 ― 古代と現代」に焦点を当て,前者については報告者の解釈と解決法について,後者についてはケンブリッジ資本論争からみた場合のヒックスの資本概念の整理の問題点について報告した。
 なお,この研究報告は,日本大学商学部の研究プロジェクト「社会科学における「資本」概念とその現代的意義」の経費による招待による報告である。


[その他]

訪問者:B. シェフォールト(Professor Bertram Schefold)フランクフルト大学( Johann Wolfgang Goethe Universität)教授

場所:群馬大学社会情報学部理論経済学研究室

テーマ:「スラッファの経済理論と資本理論について」

日時:11月29日15:00-17:00,30日9:00-12:00

概要:スラッファ体系とスミスの価値論,資本理論とりわけ技術の再転換論争,結合生産理論,等について議論を行い,助言を受けた。
 なお,この会の実施のための資金は,科学研究費補助金・基盤研究C「新しい生産性指数と資本理論に関する研究」に負っている。


講演者:B. シェフォールト(Professor Bertram Schefold)フランクフルト大学(Johann Wolfgang Goethe Universität)教授

テーマ:「三浦梅園の経済思想」

講演場所:群馬大学荒牧キャンパス大学会館ミューズホール

日時:11月29日13:10 - 14:40

概要:学生・一般を対象とする表題の講演会を実施した。使用言語は英語(通訳なし)で,講演内容の英文資料 "Asian Classics in a Western Collection of the History of Economic Thought",特にPartII: The Japanese Auther Miura Baien のコピーを配布した。講演の様子は,11月30日付け上毛新聞の記事で紹介されている。
 なお,この講演会の実施のための資金は,群馬大学の教育研究改革改善経費(競争的資金)の研究課題「持続可能社会の構築」の資金に負っている。

経営管理研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:杉山学

題名:ゲーム理論に基づいたDEAモデルに関する一考察

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:12

発行年月日:2005年3月31日

頁:131〜143

要旨:本論文では,DEA(Data Envelopment Analysis)における各評価対象の間での効率評価算定をゲームと捉え,非協力ゲーム理論における戦略形ゲームに基づいて,新たにDEAモデルを定式化し,その解釈を記述した。そして,具体的な数値例をもとに,本論文で提案した戦略形ゲームに基づくDEAモデルからナッシュ均衡(Nash equilibrium)やパレート最適(Pareto optimum)などの分析結果を示した。


[著書(分担執筆)]

執筆者名:杉山学ほか28名

題名:経営科学概説

編著者名:群馬大学社会情報学部編

書名:群馬大学社会情報学ハンドブック

発行所名:群馬大学社会情報学部

発行年月日:2005年4月1日

分担執筆の頁:351〜362頁

要旨:「経営科学概説」の章(12頁)を分担執筆。経営科学の概要を,入門レベルとしてわかり易い内容で記述した。

計量経済学研究室

[論文等]

著者名:樋田勉

題名:カーネル密度推定の基礎理論

掲載誌名:『2004年度データエディティング研究会報告』独立行政法人統計センター

発行年月日:2005年5月

頁:177-189

要旨:ノンパラメトリック平滑化理論の代表的手法であるカーネル密度推定の基礎理論と,平滑化パラメータの選択法,多変量への拡張について概説した。


[学会等での発表]

発表者名:樋田勉

題名:平成9年全国物価統計調査の価格分布の検討

学会名(講演会名):一橋大科研プロジェクト「官庁統計の収集・公開・利用に関する理論的問題の検討」第1回研究集会

発表年月日:2004年12月18日

開催場所:一橋大学

要旨:総務庁「平成9年全国物価統計調査」の個票データを利用して,指定商標銘柄の価格分布の分析を行った。価格分布の多峰性や価格差の要因について検討した。


発表者名:樋田勉

題名:補助情報をもちいた分布関数の推定

学会名(講演会名):経済統計研究会,早稲田大学COE(GROPE),一橋科研費共同開催研究会

発表年月日:2004年11月26日

開催場所:早稲田大学

要旨:厚生労働省「国民生活基礎調査」など官庁統計における応用可能性を念頭に,補助情報を利用できる場合の累積分布関数推定量の性質と分散の推定方法について報告した。


発表者名:西郷浩,樋田勉,石井太,關雅夫

題名:二相抽出法におけるブートストラップ法

学会名(講演会名):2005年度統計関連学会連合大会

発表年月日:2005年9月13日

開催場所:広島プリンスホテル

要旨:二相抽出法(二重抽出法)を利用して標本抽出を行う場合に,分位点推定量や分布関数推定量の精度評価のためのリサンプリング法として新しいブートストラップ法「平均調整ブートストラップ法」を提案した。シミュレーション実験により,この方法によって,ほぼ不偏に分散を推定することができることおよび,条件付き性質が優れていることを示した。


発表者:石井太,村山令二,關雅夫,西郷浩,樋田勉

題名:国民生活基礎調査所得分布推定における各種推定量の検討

学会名(講演会名):2005年度統計関連学会連合大会

発表年月日:2005年9月13日

開催場所:広島プリンスホテル

要旨:厚生労働省「国民生活基礎調査」では,調査世帯の抽出を二相抽出法(二重抽出法)によって行っている。本報告では,補助情報を利用する各種分布関数推定量の性質について,シミュレーション実験により比較検討した。また,所得十分位値についてブートストラップ法により精度評価を行った。


Last Update 2016/03/02