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社会情報学研究センター

研究活動の要旨(2006年度)

情報行動学科

経営情報システム研究室

[新聞投稿]

著者名:田村泰彦

タイトル:モノづくりの秘策

発行年月日:平成17年11月10日

発行所名:群馬経済新聞

概要:価値のあるモノを作る秘策を提案した。それは,消費者の心をつかむことであり,単にアンケート調査をして統計的な分析だけでは不十分であると主張。つまり,製品開発者が消費者の現場に自ら入り込み,溶け込み,消費者になりきり,その消費者の現場で本当に消費者が必要とするものを見極め,発見する以外にはないと主張した。


著者名:田村泰彦

タイトル:PCにできないこと

発行年月日:平成18年3月9日

発行所名:群馬経済新聞

概要:コンピュータは万能であるように言われることがあるが,それは大きな誤りであることを主張した。人間同士の会話において,相手の言ったことに対して瞬間的で自由な判断と連想を相互に行うという人間独自の知能のメカニズムを解明出来ない限り,コンピュータに人間の直観や感性を扱ってもらうのは難しいと考えられる。人間の「うれしい」,「やる気が湧いた」といった気持ちがコンピュータに分からない限り,コンピュータが人間に近づくのはまだ大分先のことであることを主張した。


著者名:田村泰彦

タイトル:ベテラン知識の継承を

発行年月日:平成18年7月13日

発行所名:群馬経済新聞

概要:どこの職場でもその分野のベテランがいる。これまでは,彼らが,現場で多くの後輩に見様見真似で知識を伝播してきた。このような状況はいつまでも続かないことを経営者に喚起した。明日から急にそのようなプロがいなくなった日本の企業はどうするのか。米国では,1990年初頭,大量リストラにより,大勢の技能工が退職し,生産管理上の問題をひきおこした。その結果,ナレッジマネージメントという学問の必要性が叫ばれた。経営者はこのような状況を良く理解して早目に手を打たなければならないと主張した。


[学会発表]

発表者名:田村泰彦

題名:企業における動的情報の役割

開催年月日:平成17年9月13日

発表学会名:日本社会情報学会

開催場所:京都大学

概要:企業における情報には,情報システムとして扱われるコンピュータ情報の他に,コンピュータなどでは扱われない意味情報の存在が大きい事を主張した。実際の企業における経営意思決定を行う場合には,この動的情報,意味情報,つまりアナログ情報の重要性を,幾つかの事例を踏まえて実証した。

歴史情報論研究室

[著書]

著者名:落合延孝

書名:幕末民衆の情報世界,単著

発行所名:有志舎

発行年月日:2006年9月

概要:森村新蔵が記録した「享和以来新聞記」を分析し,彼がどのような人間関係やルートで情報を入手したのか,また,幕末における歴史体験—天保飢饉,幕末期の地方支配の動揺,水戸浪士の上州への御用金強奪と通行,武州一揆,上州世直しなどの事件—を通して,記録・蓄積した情報の意味を考え,彼が幕末維新の同時代をどのように認識していたかを明らかにした。


[ラジオでの講演]

発表者名:落合延孝

題名:ふるさと歴史コーナー

放送局名:NHK前橋放送局

放送年月日:2006年1月〜12月の毎月第1火曜日

概要:森村新蔵「享和以来新聞記」を読む(1月・2月),富岡市立美術館主催「蚕の神さまになった猫」展示の紹介(3月),新聞の誕生—清水吉二『ぐんまの新聞』(みやま文庫)を読む(4月),明治20年代の方言改良論争(5月),佐藤孝之『駆込寺と村社会』(吉川弘文館)を読む(6月),茂左衛門伝説の成立(7月),忠治伝説の形成(8月),高山彦九郎の旅(9月・10月)などの話題提供を行った。

比較文化基礎論研究室

[著書]

著者名:リテラシーズ編集委員会(小川貴士,門倉正美,川上郁雄,佐々木倫子,砂川裕一,牲川波都季,細川英雄)

書名:リテラシーズ・2 — ことば・文化・社会の日本語教育へ —

発行年月日:2006年7月

発行所名:くろしお出版

概要:「リテラシーないしリテラシーズ」の概念構築,言語文化教育論や日本語日本事情教育論に関する幅広い論考の投稿を受けて編集・出版される学術的な論文集。出版カテゴリーとしては雑誌ではなく単行本の形式を取る。5年にわたる『21世紀の「日本事情」— 日本語教育から文化リテラシーへ — 』(くろしお出版,1999〜2003)の続刊として企画され,2003年創刊の『リテラシーズWeb版』(くろしお出版,継続出版中),2005年刊行の『リテラシーズ・1 — ことば・文化・社会の日本語教育へ — 』(くろしお出版)の第2号である。


[学会発表](研究会発表)

発表者名:砂川裕一

題名:「精読」という素朴な読解授業についてのノート

開催年月日:2006年8月12日

発表学会名:第19回日本語教育連絡会議(研究会)

開催場所:スロベニア共和国・リュブリャーナ大学

概要:日本事情教育,また社会情報学部や大学院などの専門の授業で試みている「精読」を手がかりにした汎用性の高いアカデミック・リテラシー教育の可能性について,実践報告と実践の理論化を念頭において考案を述べたもの。(来春出版予定)


[学会発表](研究会発表)

発表者名:砂川裕一

題名:「言語の獲得・習得」と「日常的生活世界の獲得・拡充」との一体性について

開催年月日:2006年3月18日

発表学会名:質的アプローチ研究会

開催場所:早稲田大学

概要:言語の獲得と世界の獲得の共同主観的な基礎について,心理学,哲学,社会学などの知見を援用しながら,シミュレーションを行い,言語習得の基礎について考えを述べたもの。


[講演]

講演者名:砂川裕一

題名:中国における日本現代哲学への好奇心

開催年月日:2006年3月28日

講演会名:群馬大学社会情報学部・リュブリャーナ大学文学部協同開催による国際研究集会「変わりゆく社会と文化 — 日本とスロベニアの視点から — 」

開催場所:スロベニア共和国・リュブリャーナ大学

概要:中国南京大学で日本現代哲学者廣松渉の著作が勢力的に翻訳・出版されている実情に触れ,現代中国の思想界がどのように日本の現代思想に向き合おうとしているかについて,考えの一端を述べたもの。(来春出版予定)


[学会及び社会における活動等]

1.2005年10月8日〜9日

 2005年度日本語教育学会秋季大会(於金沢大学)に出席

2.2005年12月4日

 第22回日本現象学・社会科学会大会(於名古屋大学)に出席

3.2006年3月18日

 質的アプローチ研究会(於早稲田大学)に出席

4.2006年3月24日〜3月31日

 学部間交流協定に基づいた研究集会(於スロベニア・リュブリャーナ大学)に出席

5.2006年5月19日

 第21回国立大学日本語教育研究協議会(於お茶の水女子大学)に出席

6.2006年5月20日〜21日

 2006年度日本語教育学会春季大会(於東京外国語大学)に出席

7.2006年6月10日

南山大学日本語教育シンポジウム「プロフィッシェンシーと日本語教育 — 日本語教育の総合的能力の研究と開発を目指して — 」(於南山大学)に出席

8.2006年7月

 日本社会学理論学会設立に設立準備委員会委員として参加

9.2006年8月8日〜17日

 第19回日本語教育連絡会議(於スロベニア・リュブリャーナ大学)に出席

10.2006年9月12日〜13日

 第1回日本社会学理論学会第1回大会(於名古屋大学)に出席

11.2006年9月14日〜18日

 第11回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム(於オーストリア・ウイーン大学)に出席

外国文化第二研究室

[講演]

講演者名:荒木詳二

題名:「教養主義」について

講演会名:リュブリャーナ大学文学部・群馬大学社会情報学部共催研究集会「変わりゆく社会と文化 — 日本とスロベニアの視点から」

講演年月日:2006年3月28日

講演場所:リュブリャーナ大学文学部

概要:本発表では,日本型「教養主義」を分析するため,現代社会における「教養」(Bildung)という言葉の意味,次に日本型「教養主義」の誕生・発展・衰退を考察し,さらに日本に大きな影響を与えたドイツ型教養主義新人文主義(Neuhumanismus)の歴史,最後にこの情報社会・大衆社会における教養人=知識人の役割について論じた。

意思決定科学研究室

[著書]

著者名:共著・富山慶典

書名:土場学・盛山和夫(編著)『正義の論理 — 公共的価値の規範的社会理論』(数理社会学シリーズ4) 発行年月日:2006年6月25日

発行所名:頸草書房

概要:民主的決定に対する認識的な正当化の論理構成の核心部分を明らかにし,その可能性と限界を考察する。


[学術論文]

著者名:細野文雄・富山慶典

題名:学会活動における集合的意思決定のための電子投票システムの設計

発行年月日:2006年1月27日

掲載誌名:第12回社会情報システム学シンポジウム講演論文集

頁:27〜32

概要:一般社会全般ではなく,学会に焦点をあて,そこでの集合的意思決定に適応できる電子投票システムを設計する。


著者名:岩井淳・小竹裕人・富山慶典

題名:「住民による意思決定」の支援と情報・討議・決定

発行年月日:2006年1月27日

掲載誌名:第12回社会情報システム学シンポジウム講演論文集

頁:69〜74

概要:電子民主主義論における「情報・討議・決定」のモデルに依拠しつつ,「地方分権」「集団活動の計算機支援」「社会的選択理論」の3文脈の議論を整理した。結論として,目標不一致の問題は淘汰過程で解決される水準であるが,ソフトウェア開発の観点における狭義の合理的進化の範疇は超える可能性が高いと評価した。


[研究報告書]

著者名:富山慶典(編著)

書名:電子民主主義のジャパン・モデル構築に関する研究

発行年月日:2006年3月31日

発行所名:群馬大学社会情報学部意思決定科学研究室

概要:本報告書は,日本学術振興会科学研究費平成15〜17年度基盤研究C (2)(課題番号15500154)の研究成果をまとめたものである。日本において実現可能性の高い電子民主主義の新たなモデルのプロトタイプを提示し,電子民主主義研究を発展させ,次世代電子政府のあり方を示し,21世紀の市民社会への基礎的知見を与える。


[学会発表]

発表者名:富山慶典

題名:集合的意思決定過程の設計基礎論を踏まえたeデモクラシーの展開

開催年月日:2006年3月2日

発表学会名:文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「情報学」柱A06及び日本社会情報学会共催シンポジウム「情報化による社会変動と新たな制度デザイン」

開催場所:東京大学(本郷キャンパス)山上会館

概要:「決定を最終的な目的」として捉え,「決定のための討議」,「討議のための情報」という形で3要素を関連づけながら,それぞれの制度設計とそこでのICT利用を,集合的意思決定論の研究成果を踏まえながら検討する。


発表者名:富山慶典

題名:情報化による社会変動と新たな制度デザイン

開催年月日:2006年3月2日

発表学会名:文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「情報学」柱A06及び日本社会情報学会共催シンポジウム・パネリスト

開催場所:東京大学(本郷キャンパス)山上会館

概要:eデモクラシー研究の立場と広義の市民社会の視点から,情報化と制度デザインの構想と,情報化がもたらした意義と問題などについて述べる。具体的には,官僚政治に対するユビキタス市民政治,近接・補完性の原理,コミュニケーション・チャンネルの増加,個人化傾向の促進などである。


発表者名:富山慶典

題名:今後15年の日本のSD教育の戦略

開催年月日:2006年4月1日

発表学会名:システム・ダイナミックス学会日本支部2006年総会記念討論会・パネリスト

開催場所:学習院大学

概要:SDの国際会議では学生を含む参加人数が毎年増加しているのに対して,日本からは参加する学生もなく,それどころかSDを取り扱う大学教員も減少している。一方,ビジネスの世界における地球上の情報バリアがますます希薄になったことを受けて,日本でもSDを実用化したいという機運が高まってきている。これらの現状を踏まえ,一つの方法論としてSDを使う立場から,授業に使いやすい教科書の必要性と,他の関連学会との連携強化について述べる。


[講演]

講演者名:富山慶典

題名:情報システムと意思決定研究の将来 — 高等教育における社会シミュレーション研究・教育の将来 —

開催年月日:2006年4月1日

講演会名:システム・ダイナミックス学会日本支部2006年総会記念討論会・基調講演

開催場所:学習院大学

概要:社会系のモデリング&シミュレーションの過去・現在・近未来を概観し,数理社会学会における最近の試みとして主な学会活動と方法としてのシミュレーションの動向を紹介し,学会内・学会間・学会外における研究活動をめぐる問題提起をした。


[記事]

著者名:富山慶典

題名:コンドルセを越えて:集合的意思決定論の新たな展開

発行年月日:2005年12月1日

掲載誌名:学術の動向(日本学術会議SCJフォーラム)

巻数:10

号数:12

頁:44〜46

概要:コンドルセにはじまる集合的意思決定論における選好モデルの興隆と判断モデルの忘却,判断モデルへの再注目,判断モデルをめぐる探求課題とその現代的意義について論じる。


[コメンテータ]

発表者名:富山慶典

題名:コミュニケーションツールを用いた意思決定支援システム研究の現状と展望

開催年月日:2006年2月14日

発表学会名:第9回社会情報学シンポジウム

開催場所:群馬大学大学会館ミューズホール

概要:意思決定科学の立場からeデモクラシーを研究している者として,多くの選択肢とは一体どのくらいなのか,選択肢をより多く生み出すことのできるコミュニケーションプロセスの特徴とはどのようなものか,多くの選択肢を生み出すコミュニケーションとはどのような基準で終了させるのか,そして支援とは何か,といった点について質問する。


[コーディネータ・司会]

パネリスト:小濱哲(名桜大学国際学部長・観光産業学科教授),田中修(群馬県利根沼田県民局長),吉永哲也(GG03翠中小企業診断協会群馬県支部理事・中小企業診断士),下田博次(群馬大学社会情報学部教授)

題名:魅力的な観光創造のツボと情報発信のための新たなメディア戦略

開催年月日:2005年11月30日

講演会名:観光UFO開設記念イベント・シンポジウム

開催場所:前橋商工会議所

概要:マス・ツーリズムの時代は終わった。観光は多様化してきている。これに適応していくためには,外来型観光開発に頼るのではなく,「内発型観光開発」を推進していかなければならない。具体的には,地域のさまざまな主体や資源の個性を活かしつつ連携させる形で,参加型・協働型の魅力的な観光プロジェクトを創出する必要がある。さらに,その情報を効果的かつ効率的に発信するためのメディア戦略を立案する必要がある。

地域社会学研究室

[著書]

著者名:青木康容(編者),中道実,森谷健,瀧本佳史,藤本昌代,平井順,大橋松行,杉本久未子,藤井和佐,西川静一,森裕亮,大束貢生,山本素世(執筆順)

書名:変動期社会の地方自治 — 現状と変化,そして展望 —

発行年月日:平成18年3月31日

発行所名:ナカニシヤ出版

概要:首長や行政職員,住民に対する大規模な意識調査に基づき,地方分権や町村合併など変動期における地方自治をめぐる諸課題を検討した。


[講演]

講演者名:森谷健

題名:生涯学習とボランティア活動

開催年月日:平成18年2月7日

講演会名:平成17年度中毛ブロック公民館・中毛地区公民館運営審議会連絡協議会合同研究会

開催場所:玉村町文化センター

概要:国の生涯学習審議会答申(平成4年7月29日)で示された「生涯学習ボランティア」の考え方が群馬県にどのように滲透したかを振り返り,それを越えた生涯学習とボランティア活動のあり方を展望した。

日本文化研究室

[著書]

著者名:高山利弘

書名:群馬大学社会情報学ハンドブック

発行年月日:平成17年4月1日

発行所名:群馬大学社会情報学部

概要:社会情報学部創設10周年を記念して刊行された所属教員による論文集。各教員の専門分野に即して,社会情報学をとらえている。筆者は「説話の情報学」と題して,説話を情報という視点からとらえた場合の問題点と,その魅力について論じた。


著者名:高山利弘

書名:校訂延慶本平家物語(七)

発行年月日:平成18年3月30日

発行所名:�汲古書院

概要:重要文化財「延慶本平家物語」は現存の平家物語諸本中で,書写年次が最古の伝本であるが,書写状態は良好とはいえず,その利用が制約されてきた。本書は「延慶本平家物語」全十二巻のうち巻七について,原文を厳密に翻刻したものである。翻刻に際しては,本文の清濁を確定し,句読点および難解語句の読みを記し,頭注部分に本文をめぐる注解と問題点を示した。


[学術論文]

著者名:高山利弘

題名:失われる「怖れ」 — 〈老い〉をめぐって —

発行年月日:平成17年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第12巻

頁:179〜191

概要:平成14年度本学部総合科学型プロジェクト「日本における情報化と「怖れ」」の成果報告である。筆者は具体的な「怖れ」の対象として,日本人にとっての「老い」の問題をとりあげた。文学作品に描かれた古代からの老いの諸相を概観し,現代社会におけるおびただしい情報が,老いをめぐる諸問題の把握と理解および老いについての「怖れ」を失わせる傾向にある点を指摘した。


[研究報告]

著者名:高山利弘

題名:『源平闘諍録』本文の略述性

発行年月日:平成17年3月31日

掲載誌名:軍記と語り物

巻数:第41巻

頁:52〜53

概要:軍記・語り物研究会第362回例会(2004年8月1日)の「企画例会:『源平闘諍録』論の可能性」において発表した基調報告の要旨である。14世紀に東国で成立したとされる『源平闘諍録』本文の特殊性について論じた。

情報科学研究室

[学術論文]

著者名:佐渡一広

題名:ブログを用いた討議システムの提案

発行年月日:2006年3月

掲載誌名:科学研究費報告書「電子民主主義のジャパン・モデル構築に関する研究」課題番号 15500154

頁:65-73

概要:電子民主主義の基本の一つである討議をインターネットを用いて支援するための機構として,ブログをもとにしたシステムの提案を行なった。また,実際に行なった簡単な試行結果をもとに,システムとして要求される事項等の検討および提案を行なった。


[学術論文]

著者名:佐渡一広,岩井淳

題名:参加者の合意に基づく文書隠蔽機構の実装上の論点

発行年月日:2006年3月

掲載誌名:科学研究費報告書「電子民主主義のジャパン・モデル構築に関する研究」課題番号 15500154

頁:53-63

概要:参加者の合意に基づく文書隠蔽が可能なコミュニケーションシステムをその実装上の問題を含めて検討した。


[著書]

著者名:佐渡一広,若井明彦,小林文夫

題名:教養の情報処理

発行年月日:2006年4月

発行所名:学術図書出版

概要:大学の教養過程としての情報処理入門書で,高等学校などで多少学んだ知識を基にして,情報社会,情報倫理,ワープロ・表計算等の活用,簡単なプログラミングなどを学習するための教科書。全体の編集,12章以外の執筆担当。

舞台表象研究室

[学術論文]

著者名:末松美知子

題名:新グローブ座におけるシェイクスピア上演の新たな可能性:『十二夜』公演(2002年)を中心に

発表年月日:2006年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:13

頁:1-14

概要:ロンドンのグローブ座カンパニーによる『十二夜』公演は,この劇場としては初めて英国国内で極めて高い演劇的評価を受けた公演で,2002年1月に現存する法曹学院の一つロンドンのミドル・テンプル・ホールで上演された後,同年5月にグローブ座で再演されている。
 本論では,シェイクスピアゆかりの歴史的建造物における上演の意義を検討し,さらに,ミドル・テンプル・ホールとグローブ座の『十二夜』公演の比較により,舞台空間が規定する上演技法とテキストの関係性やグローブ座でのシェイクスピア上演の新たな可能性を考察した。なお参考として,2004年にグローブ座カンパニーがハンプトン・コート宮殿とグローブ座で上演した『尺には尺を』公演にも言及した。


[学会発表]

発表者名:末松美知子

題名:Brave Old Worlds: Shakespeare Production and Reception in East Asia

開催年月日:2006年7月17日

発表学会名:World Shakespeare Congress VIII

開催場所:Brisbane

概要:シェイクスピア上演におけるアジアは,「他者」としてその表象が取り込まれるという意味において,西洋諸国に搾取されてきた歴史がある。しかし,アジア各国でシェイクスピア上演が開始されて一世紀以上を経た今,独自の演劇の伝統を組み合わせた斬新な上演が盛んに試みられるようになってきた。本セミナーでは,中国,韓国,マレーシア,香港,日本,英国の研究者により,各国のシェイクスピア上演状況が報告され,それぞれの特色の比較や今後のアジアにおける上演の可能性が検討された。担当部分 "The Tokyo Globe Years : 1998-2002" では,世紀の変わり目の日本におけるシェイクスピア上演状況を,来日した世界各国の劇団による上演と日本の劇団による上演の影響関係を洗い出す形で検証し報告した。


[書評]

著者名:末松美知子

書名:安西徹雄著『彼方からの声 — 演劇・祭祀・宇宙』

掲載誌名:英文学研究

巻数:82

発行年月日:2005年12月10日

発行所名:日本英文学会

頁:153〜157頁

概要:研究者でありながらシェイクスピア上演の演出を長年続けてこられた安西徹雄氏により,自らの演劇観や演出手法が明らかにされたのが本著である。劇場と書斎でシェイクスピアと向き合い,その劇的真実,もしくは,「彼方からの声」のありかを探り当てようとしてきた氏の試みが詳細に記述されている。欧米に比べ,日本の演劇の現場とアカデミズムの隔たりはいまだに大きいが,そのような状況で,両者の融合を先導してきた著者の記録,あるいは実践の書として本著は貴重である。欧米におもねることなく,学問的成果をふまえた上で,日本の伝統演劇に根ざした独自の舞台世界を構築されてきた氏の功績は追随を許さない。

社会倫理研究室

[学会等での発表]

発表者名:山内春光

題名:現代社会における規範と個人

開催年月日:2005年10月7日

発表学会名:日本倫理学会第56回大会ワークショップ・日本倫理思想史における行為規範と超越

開催場所:岡山大学津島キャンパス

概要:1997年の神戸連続児童殺傷事件を日本の伝統思想との関わりの中で捉え直すことを試みた。とりわけ近松門左衛門の『女殺油地獄』との構造的類似性,また相良亨『誠実と日本人』が問題にしていた「母子の道連れ心中」問題との関連性などについて指摘した。


発表者名:山内春光

題名:社会的事件の説話化

開催年月日:2005年10月29日

講演会名:平成17年度群馬大学公開講座・情報社会を読み解く

開催場所:群馬大学社会情報学部

概要:1997年の神戸連続児童殺傷事件での少年殺害を「無理心中」と見る説を紹介しながら,犯人の少年がなぜ遺体切断という残虐な行為に及んだのか等について,最近の新証言も交えながら発表者なりの事件の情報化(あるいは説話化)を試みた。


発表者名:山内春光

題名:日本の神話伝説における女性的なるもの

開催年月日:2006年3月27日

講演会名:国際研究集会・変わりゆく社会と文化 — 日本とスロベニアの視点から —

開催場所:スロベニア共和国リュブリャーナ大学文学部

概要:まず皇室典範改正報道とそのポイントそして歴代の女性天皇を確認した上で,『古事記』神話の皇祖神の系譜を神武天皇からイザナキ・イザナミへとさかのぼる形でたどり,その神話伝説には女性的なるものへの思慕と畏怖が一貫して描かれていることを指摘した。

外国文化研究室

[学術論文]

著者名:小林徹

題名:奪われるジェイムズ・ホッグ — 『著者の人生の回想録』における書記行為 —

発行年月日:平成18年3月

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第13巻

頁:51〜65

概要:ロマン主義時代の作とはいえ,James HoggのMemoir of the Author's Lifeは,自己紹介の色合いが強いために,いわば前近代的な自伝の範疇に属するかにみえる。本稿では,彼の過去の事実である書記能力の欠如に注目することで,そうした判断を問い直した。その欠如 は「自然の歌い手」という像を支えるものだが,ホッグは作品において正にそれを自己像として定立を図る。しかしそのための語りを構築する彼の書記行為は,逆に書記能力の欠如に対する反証として働き,よって彼の意図は必ずしも成就されない結果となる。
 その意味で『回想録』は,機能上,ロマン主義的自伝として捉えることができる。


著者名:小林徹

題名:娘の死 — メアリ・ウルストンクラフト,『女性の虐待,あるいはマライア』(1798)における自伝とゴシック —

発行年月日:平成18年3月

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第13巻

頁:67〜81

概要:The Wrongs of Womanは当初から,今日的な言い方をすると,フェミニズムの言説であることが著者Mary Wollstonecraftにより定められていた。本論文では,作品がそのようなものとして成立するにあたり,自伝とゴシックのふたつの文学的様式がどのようなはたらきをしているかについて,主人公マライアの娘をめぐるプロットの分析を通じて考察した。『女性の虐待』は,マライアの手になる二種類の自伝的記述を通してフェミニズムの主張を行うのであるが,それらのテクストはいずれも,娘の死というゴシックの様式に根差して実現される出来事にいわばその起源を有していたのである。

公共政策研究室

[学術論文]

著者名:小竹裕人

題名:自治体における住民代表による政策立案の可能性

発行年月日:2006年3月

掲載誌名:科研費基盤研究「電子民主主義のジャパンモデル構築に関する研究」

頁:27〜36

概要:政策立案を目的としたコンセンサス会議を整理するとともに,政策と住民ニーズとの事後的な乖離をコストとすれば,政策立案過程における交渉のコストは,既存の議論ほどには負担とならないことを理論的に説明した。


[研究報告書]

著者名:小竹裕人,新井祥純

題名:群馬県における公共交通機関の持続可能性に関する調査研究(中間報告)

発行年月日:2006年3月

掲載誌名:題名と同名

頁:1〜29

概要:上毛電気鉄道の経営状況と地域の利用状況を踏まえ,利用者アンケートと沿線アンケートから現況をまとめたもの。沿線自治体関係部署へ配布。


[講演]

講演者名:小竹裕人

題名:これからの住民市町村県の役割

開催年月日:2005年11月18日

講演会名:藤岡保健福祉事務所業務見直し検討会講演会

開催場所:みかぼみらい館

概要:藤岡保健福祉事務所の主催シンポジウムで地方自治体のおかれている財政的環境について基調講演を行った。

意思決定支援研究室

[学術論文]

著者名:岩井淳,小竹裕人,富山慶典

題名:「住民による意思決定」の支援技法と電子民主主義の情報・討議・決定のモデル

発行年月日:2006年3月

掲載誌名:電子民主主義のジャパン・モデル構築に関する研究(平成15-17年度科学研究費補助金基盤研究C (2)研究成果報告書,課題番号15500154)

頁:17-26

概要:「住民による意思決定」の支援は地方自治体の情報化の1論点であり,「地方分権」の他に「集団活動の計算機支援」と「社会的選択理論」の議論が深く関わる。しかしながら,これら3文脈の議論は基礎的目標が必ずしも一致しておらず,この不一致が具体的な支援システムの構築過程でどのような影響を導くのかはまだ十分に検討されていない。この観点から,本章では電子民主主義論における「情報・討議・決定」のモデルに依拠しつつ3文脈の議論を整理した。結論として,目標不一致の問題は淘汰過程で解決される水準であるが,ソフトウェア開発の観点における狭義の合理的進化の範疇は超える可能性が高いと評価した。


著者名:佐渡一広,岩井淳

題名:参加者の合意に基づく文書隠蔽機構の実装上の論点

発行年月日:2006年3月

掲載誌名:電子民主主義のジャパン・モデル構築に関する研究(平成15-17年度科学研究費補助金基盤研究C (2)研究成果報告書,課題番号15500154)

頁:53〜64

概要:参加者の合意に基づく文書隠蔽が可能なコミュニケーションシステムをその実装上の問題を含めて検討した。コンピュータネットワーク上のコミュニケーションシステムでは,しばしば誹謗中傷や文章盗用などの疑いのある文書の投稿がなされる。しかし,管理者による即時削除は,管理者による常時監視のコストだけでなく,文書に対する違法性の判断を明確にしがたいケースが多いことなどから実現が容易でない。この問題を回避する技法として,参加者の合意を基礎に問題文書を一時的に隠蔽する仕組みの理論的提案がある。本論では,この種のシステムの実装に関わる問題やその展開可能性を検討して整理した。


著者名:岩井淳

題名:多段階的な意見集約とエージェントベースの社会システム科学 — 実践的言及としての意思決定支援

発行年月日:2006年3月

掲載誌名:エージェントベースの社会システム論を目指して(21世紀COEプログラムエージェントベース社会システムの創出「社会システムグループ」中間報告書)

頁:91〜100

概要:本稿では,エージェント理論に基づく社会システム科学の観点とコンピュータベースの支援システム構築の観点から,現実社会の継続的構築に実践的に言及するアプローチを検討した。具体的には,多段階的な意見集約の支援システムを議論の対象とし,匿名保証型DSSとして提案されている既存の枠組みを修正する形で,エージェントの相互作用という観点から新システムの設計を進めるアプローチを検討した。本稿で実現を目指すシステムでは,人間の集団が意見を相互作用させるエージェントとなる。開発過程を通じ,特に反対案や代替案の提出を増加させる上でどのような設計が適切であるのかを実証的に検討していく計画を説明した。


[学会発表]

発表者名:岩井淳,小竹裕人,富山慶典

題名:「住民による意思決定」の支援と情報・討議・決定

開催年月日:2006年1月27日

発表学会名:第12回社会情報システム学シンポジウム

開催場所:電気通信大学

概要:「住民による意思決定」の支援は地方自治体の情報化の1論点であり,「地方分権」の他に「集団活動の計算機支援」と「社会的選択理論」の議論が深く関わるが,3文脈の議論は基礎的目標が必ずしも一致していない。社会全体のオントロジーが構想される中での具体的な技法構築の過程で,この不一致がどのような影響を導くのかはまだ十分検討されていない。この観点から,本研究では電子民主主義論における「情報・討議・決定」のモデルに依拠しつつ3文脈の議論を整理した。結論として,目標不一致の問題は淘汰過程で解決される水準であるが,ソフトウェア開発の観点における狭義の合理的進化の範疇は超える可能性が高いと評価した。


発表者名:佐渡一広,岩井淳

題名:参加者の合意に基づく文書隠蔽機能をもつコミュニケーションシステム

開催年月日:2006年1月27日

発表学会名:第12回社会情報システム学シンポジウム

開催場所:電気通信大学

概要:本研究では,参加者の合意に基づく文書隠蔽が可能なコミュニケーションシステムをその実装上の問題を含めて検討した。コンピュータネットワーク上のコミュニケーションシステムでは,しばしば誹謗中傷や文章盗用などの疑いのある文書の投稿がなされる。しかし,管理者による即時削除は,管理者による常時監視のコストだけでなく,文書に対する違法性の判断を明確にしがたいケースが多いことなどから実現が容易でない。この問題を回避する技法として,参加者の合意を基礎に問題文書を一時的に隠蔽する仕組みの理論的提案がある。本研究では,合意に基づく文書隠蔽の機構を含むコミュニケーションシステムを構築する際の実装上の論点を整理した。


発表者名:岩井淳,佐渡一広

題名:集計の公平性の直感的説明が可能な匿名電子投票システム

開催年月日:2006年3月7日〜3月10日

発表学会名:情報処理学会第68回全国大会

開催場所:工学院大学

概要:一般に匿名での電子投票には,記名制の電子投票や従来の物理的な匿名投票と比較し,誤りや故意による集計の歪みを外部から確認することが困難になるという問題がある。これに対し,完全な直感的説明は困難であるものの,誤りや故意による歪みの可能性が小さいことを直感的に理解できるようにする枠組については比較的にシンプルな理論的提案がある)。本研究では,ソフトウェアとしての構築だけでなく,人間組織によるその運用プロセスの問題を含めてシステムの実装上の問題を整理する。


発表者名:岩井淳,佐渡一広

題名:参加者の合意に基づく文書隠蔽システムの設計

開催年月日:2006年9月6日

発表学会名:第5回情報科学技術フォーラム(2006FIT)

開催場所:福岡大学

概要:ネットワーク上のコミュニケーションシステムでは,しばしば誹謗中傷や文章盗用などの疑いのある文書の投稿がなされるが,管理者による即時削除は,管理者による常時監視のコストだけでなく,文書に対する違法性の判断を明確にしがたいケースが多いことなどから容易でない。本研究では,この問題の回避を目的に,参加者の合意に基づく文書隠蔽が可能なコミュニケーションシステムを具体的に設計した。想定する利用者は,ハンドルネームとの対応が不明であるという意味で匿名ではあるが,全体としては固定されたメンバーである。本研究は,また,合意を導く技法としての投票方式を検討し,陪審定理等の議論も踏まえつつ論点を整理した。


[講演]

講演者名:岩井淳

題名:プロセス形式化技術の集団的意思決定問題への適用と社会進化の過程

開催年月日:2006年1月13日

講演会会名:21世紀COEプロジェクト「検証進化可能電子社会」セミナー

開催場所:北陸先端科学技術大学院大学

概要:講演者は,ソフトウェア開発プロセスの形式化技術の展開を目指して情報工学と社会学を基礎に研究活動を行ってきた。具体的には主として集団的意思決定プロセスの支援という文脈で,紆余曲折を経て進む人間集団プロセスの形式的記述とそのコンピュータ支援を目標としてきた。その基本的な着想が検証進化可能電子社会の構築にも結びつくと考えられることを説明した。また,社会進化過程の検討等,集団や社会の問題に向かう際に考慮される学際的研究の実際面についても検討し,問題となる側面にコメントを加えた。

理論社会学研究室

[学術論文]

著者名:伊藤賢一

題名:希薄化する公共空間について — 情報化の進展と個人化傾向

発行年月日:2006年3月31日

掲載誌名:電子民主主義のジャパン・モデル構築に関する研究(平成15〜17年度科学研究費補助金研究成果報告書)

頁:85〜96

概要:近年の社会変動に関する研究の多くは,デモクラシーの健全な運用に欠かせない公共空間が希薄化し,社会が「個人化(privatization)」しつつあることを示している。本研究は,こうした傾向を説明するメカニズムを探求するものであり,かつてG. Ritzerが唱えた「マクドナルド化」の概念を拡大することで,現在の傾向を説明するモデルを形成する可能性を示すものである。


[学会発表]

発表者名:伊藤賢一

題名:マクドナルド化理論の有効性

開催年月日:2006年6月24日

発表学会名:日本社会学史学会

開催場所:千葉大学

概要:本報告では,近年の議論に現れている公共空間の希薄化を示すと思われる現象について素描し,それらがRitzerのいうマクドナルド化の図式で捉えられることを示した上で,この図式とは異なる動きについて言及している。この理論は(少なくとも部分的な)修正を行わなければ,現実を捉える有効な道具とはなり得ないことを論じたものである。


[研究報告書(分担執筆)]

執筆者名:伊藤賢一

題名:県民世論調査による県民意識の把握と分析

編著者名:伊藤賢一,小渕紀久男,黒須俊男,清水直樹,高橋徹,伏木充,森谷健

発行所名:上毛新聞社・群馬大学社会情報学部

発行年月日:2006年3月31日

分担執筆の頁:8〜20

概要:前年に引き続き,上毛新聞社と共同で行った県民世論調査の報告書。「生活時間」「暮らし向き」「満足度」「生活の豊さ」を担当した。


[社会的活動]

執筆者名:伊藤賢一

題名:労働者間で格差拡大も

掲載年月日:2006年1月3日

掲載紙名:上毛新聞

概要:平成17年度に,上毛新聞社と群馬大学社会情報学部の共同で実施した県民世論調査のデータをもとに評論を加えたもの。

外国語第4研究室

[学術論文]

著者名:井門亮

題名:英語接尾辞-ishに関する一考察:関連性理論の観点から

発行年月日:2006年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第13巻

頁:15〜28

概要:本稿では,英語接尾辞-ishの機能について,この接尾辞が付くことによって,基体が記号化する語彙概念の解釈にどのような認知的影響を与えるのか,関連性理論の観点から考察を行った。そして-ishは,「文脈に応じて,記号化された基体の概念を緩めて,または狭めてアドホック概念として解釈せよ」という指示を明示的に聞き手に与え,解釈に要する処理労力を軽減することによって,発話全体の関連性に貢献しているということを明らかにした。


[学会発表]

発表者名:井門亮

題名:アドホック概念形成を促す接尾辞に関する日英対照研究:関連性理論の観点から

開催年月日:2006年8月11日

発表学会名:第19回日本語教育連絡会議

開催場所:リュブリャーナ大学(スロベニア)

概要:本発表では,日英語の接尾辞-ishと「っぽい」を中心に,アドホック概念形成の観点から,これらの接尾辞の発話解釈における機能の比較・分析を試みた。-ishについては,アドホック概念形成に関する手続き的意味を記号化すると考えられるが,「っぽい」にはアドホック概念に基づいた説明だけでは捉えきれない用法もあり,両者の機能は完全には一致しないということを明らかにした。

情報科学研究室

[学術論文]

著者名:細野文雄・富山慶典

題名:学会活動における集合的意思決定のための電子投票システムの設計

発行年月日:2006年1月27日

掲載誌名:第12回社会情報システム学シンポジウム講演論文集

頁:27〜32

概要:電子投票は富山(2002)であげられている電子民主主義の基本3要素「決定と討議と情報」の一つである決定に対する一手段であり,実際に市長選などで導入され始めている。このような国政選挙以外に,市民団体の政策決定や,学会の会長・理事選挙など,一般社会においても集合的意思決定は必要不可欠なものである。実際に,利用者が投票方式などを設定して配布し投票を行うことのできるGNU. FREE(FREE e-デモクラシー・プロジェクト)や,登録された株主総会における議決を行使する株主総会議決権行使サイトなどが存在する。一般社会における集合的意思決定では,有権者の規模やリテラシー能力などの違いにより必要とされる電子投票の仕組みやセキュリティポリシーが多様になり,個別に検討していかなければならなくなる。本稿では,一般社会全般ではなく学会に焦点をあて,そこでの集合的意思決定に適応できる電子投票システムについて報告する。ここで,前述の「決定と討議と情報」のうち,決定のための討議や,討議のための情報については十分に行われており,最終的な意思決定をする段階にあるものとする。


情報社会科学科

環境科学研究室

[学術論文]

著者名:T. Oka, N. Mitsui, M. Hinago, M. Miyahara, T. Fujii, O. Tooi, N. Santou, H. Urushitani, T. Iguchi, Y. Hanaoka and H. Mikami

題名:All ZZ male Xenopus laevis provides a clear sex-reversal test for feminizing endocrine disruptors

発行年月日:2006

掲載誌名:Ecotoxicology and Environmental Safety

巻数:63

頁:236-243

概要:We investigated the possibility of using all ZZ male Xenopus laevis tadpoles produced by mating normal ZZ males with feminized ZZ males to detect estrogenic chemical activity. We examined the effects of 17β-estradiol (E2) on sex differentiation by treating NF stage 49/50 to stage 57 tadpoles with 0.1,1,10,and 20 nM E2 for 4 weeks. Following this, the tadpoles were allowed to develop in clean water until the animals reached stage 66. Increased developmental abnormalities and mortality were allowed to develop in exposed groups during metamorphosis. Feminization of gonads was detected at all E2 concentrations,whereas nonexposed controls developed testes. Morphological and histological analyses showed that feminized gonads were ovaries. Five and one hermaphroditic frogs were found in the 0.1 and 1 nM E2 groups, respectively, showing testicular as well as ovarian regions within one gonad. These results indicate that phenotypically normal females can be produced from genetic males and demonstrate the utility of a sex-reversal test based on all ZZ males for examining in vivo effects of chemicals with estrogenic activity. The testing of all ZZ male tadpoles might be a useful tool for assessment of feminizing compounds not only estrogenic substance.


[その他の論文]

著者名:石川真一,三上紘一,中島照雄,西村淑子,杉山学,樋田勉,他

題名:環境政策策定支援システムの構築に係る学内共同研究

発行年月日:2003年3月

掲載誌名:平成14年度群馬大学教育研究重点経費報告書

頁:1

概要:人類の存続・繁栄のカギは様々なレベルにおける環境政策に係っている。特に地球環境問題の解決やそのための整備については,大学は政策立案による直接的支援と立案者の養成の両面で貢献していかなければならない。本プロジェクトでは,このような貢献を行うためには学部内は勿論学部間を越えた横断的体制を確立することを目的として,以下のサブプロジェクトを行った。(1)環境情報収集システムの構築,(2)環境法,環境税制の国際比較データベースの構築,(3)環境政策策定支援シミュレーションの構築。


著者名:石川真一,三上紘一,今村元義,落合延高,下田博次

題名:下仁田町新教育産業用地域・環境教育資材の開発のための社会情報学的共同

発行年月日:2003年3月

掲載誌名:平成14年度群馬大学教育研究重点経費(社会貢献重点経費)報告書

頁:1

概要:群馬県下仁田町に最近発足した新教育産業(町立自然学校,自然史館)に用いられる地域・環境教育資材の開発・整備をした。具体的には(1)下仁田町と周辺地域の地質・地下資源分布とそのデータベース,(2)同地域の植生分布・植物生理活性とそのデータベース,(3)同地域の気象・大気環境・土壌環境特性とそのデータベースの構築等を行った。


著者名:石川真一,三上紘一,中田吉郎,他

題名:新学習指導要領と「新しい時代における教養教育の在り方について」答申に対応した自然科学系大学初年次教育の新教材・授業方法の確立

発行年月日:2003年3月

掲載誌名:平成14年度群馬大学教育研究重点経費報告書

頁:1

概要:平成14年度より「新学習指導要領」がはじまり,平成17年度にはこのもとで中等教育を受けた学生を本学でも受け入れることになる。新学習指導要領では,必修内容が現行に比べて1/3ほど少なくなる。このような中等教育を受けた学生の知的水準をより高度化して専門教育に"橋渡し"をするためには,初年次教育を全面的に見直し,いっそうの充実に努めなければならない。また,「新しい時代における教養教育の在り方について」答申では,授業科目を複数の教員で担当したり実験や実習を取り入れたりなど,カリキュラム改革や指導方法の改善により「感銘と感動を与え知的好奇心を喚起する授業」を生み出すことが要求されている。このためのカリキュラム改革の基盤となる学生実験諸環境の改善および教材の整備を行い,その実効性を検証しつつある。


著者名:石川真一,三上紘一

題名:新課程学生に対する大学初年次生物教育において想定される諸問題

発行年月日:2005年3月

掲載誌名:2004年度群馬大学教育研究改革・改善推進プロジェクト「新学習指導要領と「新しい時代における教養教育の在り方について」答申対応のための自然科学系大学初年次教育の新教材・授業方法の確立」(代表:相沢省一)報告書

頁:57-63

概要:2004年度より開始された新指導要領を分析した所,高校の自然科学系の授業は,単位の取り方によって,基礎的な部分での時間数減,単元の偏りなどが出ること,従って,大学に入学してきた学生間で,文系理系間でも,また,同じ自然系の学生の中でも,全く履修していない単元があること,履修していても濃淡があること,生物実験に至っては経験してきた者は非常に少ないことなどが分かり,その対応を考えなければいけないことを明らかにした。


[学会発表]

発表者名:岡知宏,日名子恵,渡邊肇,三井直子,宮原真紀,藤井貴章,戸笈修,山藤憲明,井口泰泉,田中滋康,花岡陽一,三上紘一

題名:アフリカツメガエル全雄集団を用いた性分化時期における生殖腺の観察

開催年月日:2004年12月14日〜17日

発表学会名:第7回日本環境ホルモン学会研究発表会および第7回内分泌攪乱化学物質に関する国際シンポジウム

開催場所:名古屋国際会議場

概要:世界で唯一群馬大学社会情報学部環境科学研究室でしか保有していない雄のオタマジャクシしか生まれないアフリカツメガエルのオタマジャクシの性分化が起こる頃に,E2(女性ホルモン)で処理すると遺伝的に雄になるべきオタマジャクシがメス化することを生殖腺の観察から明らかにし,女性ホルモン作用が問題になっている環境ホルモンの検出方法に有効であることを発表した。


発表者名:M. Isoda, H. Mochida, Y. Hanaoka, H. Mikami, H. Takeuchi, M. Suzuki and S. Tanaka

題名:Functional relationship between frog vitellogenin and the appearance of testis-ova.

開催年月日:2005年11月12日〜13日

発表学会名:日本比較内分泌学会

開催場所:熊本大学

概要:トノサマガエルでは精巣卵が高頻度に見られる。この精巣卵の出現と環境ホルモンとの関連性を明らかにするために,ビテロジェニン(VTG)の酵素免疫測定法(ELISA)を確立し,カエルの血中VTG濃度と精巣卵出現の相関を調べた。また,人工的に作出したアフリカツメガエルZZ型のメスとZZ型オスの交配により得たオス個体カエルを用いて,エストラジオール17★投与により精巣卵を誘導出来た。


[社会的活動]

担当者:石川真一,三上紘一

活動名:自然観察教室「群馬の身近な動植物とのつきあいかた」

対象者および参加人数:群馬県内の小中学生20名および保護者5名

開催年月日:2005年8月20日〜21日

開催場所:群馬大学構内および教養教育GA棟生物学実験室

概要:本教室は国立オリンピック記念青少年総合センター「子どもゆめ基金」(申請代表者石川真一)の助成を受けて開催された。一日目は大学構内で植物採集と標本作製,二日目は顕微鏡の使い方を学んだ後,カエルの臓器の永久標本や植物のでんぷん,気孔,原形質流動などの観察と顕微鏡写真撮影を行った。受講した学生からは「学校では見られないきれいな顕微鏡観察ができて感激」「植物の名前を覚えられて楽しかった」「また来年もやって欲しい」などの感想が多数寄せられた。


担当者:石川真一,三上紘一

活動名:自然観察教室「群馬の身近な動植物とのつきあいかた2006」

対象者および参加人数:群馬県内の小中学生30名および保護者7名

開催年月日:2006年8月19日〜20日

開催場所:群馬大学構内および社会情報学部201演習室

概要:本教室は国立オリンピック記念青少年総合センター「子どもゆめ基金」(申請代表者石川真一)の助成を受けて開催された。一日目は大学構内で植物採集と標本作製,二日目は顕微鏡の使い方を学んだ後,カエルの臓器の永久標本や植物の花粉,組織,でんぷん,気孔,原形質流動などの観察と顕微鏡写真撮影を行った。受講した学生からは「学校では見られないきれいな顕微鏡観察ができて感激」「植物の名前を覚えられて楽しかった」「また来年もやって欲しい」などの感想が多数寄せられた。

会計学研究室

[著書]

著者名:中島照雄

書名:病院管理会計 — 高齢社会の病院経営/医療サービス

発行年月日:2006年4月25日

発行所名:五絃社

概要:担当は,第2章医療財政の国際比較。組織の自己革新医療財政の国際比較および各国の医療政策などの展開を通して,今後のわが国の医療技術の発展に伴い,単なる延命策の医療機関および医療サービスのあり方を求めるのではなく,医療費削減に寄与する健康増進によって医療費総額そのものを削減することや,予防医学や病気早期発見に役立つ医療政策の見直しなどを展開している。


[学術論文]

著者名:中島照雄

題名:持続可能な社会に向けての環境政策デザインの一考察 — ごみ処理と廃棄物環境会計 —

発行年月日:2006年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第13巻

頁:153〜170頁

概要:環境という公共財をいかに有効なものにするのか,環境政策のデザインを考えてみる。家庭ゴミの現況,諸外国の容器包装の回収状況,市町村と家庭ごみ処理の関係,循環型社会における家庭ごみ処理,家庭ごみ処理の標準化,廃棄物環境会計などを展開している。


著者名:中島照雄

題名:持続可能な社会を築くには — 都市財政の課題・家庭ごみ処理問題 —

発行年月日:2006年5月3日

掲載誌名:文化会計研究(文化会計学会誌)

巻数:第1巻

頁:17〜22頁

概要:容器包装リサイクル法の問題点を中心に,家庭ごみ減量化を推進するための基本的方針,地方環境課徴金,地方自治体のグリーン購入とアカウンタビリティなどを展開して,今後の地方財政との関連を危惧している。


[学会発表]

発表者名:中島照雄

題名:持続可能な社会を築くには — 都市財政の課題 —

開催年月日:2006年5月3日

発表学会名:文化会計学会設立大会記念講演

開催場所:アルカディア市ヶ谷(私学会館)(東京都千代田区)

概要:今から約130年前の足尾鉱毒事件からはじまり,50年前の水俣病の公害問題,地球環境問題などを指摘して,いわゆる社会コスト(見えざるコスト)問題を展開した。人々の価値観や行動が多様化している現在,地球環境に対する自らの責任と役割を果たすために自発的・積極的に取り組みを進めていくことにより,持続可能な社会を構築していくことが重要である。文化会計学会設立に際し,環境問題には価値観,文化が大事になることを強調した。


[講演]

講演者名:中島照雄

題名:持続可能な社会を築くには見えざるコストの認識 — 廃棄物の社会システム —

開催年月日:2005年11月17日

講演会名:社団法人全国都市清掃会議・関東地区協議会・清掃行政研究会(会長・高木政夫前橋市長)

開催場所:ウエルシティ前橋群馬厚生年金会館(群馬県前橋市)

概要:今日の環境問題は,日常生活や事業活動から生じる環境負荷があまりにも大きいことに原因があり,「社会システムのあり方を持続可能なものに変革」していく必要がある。そこで,循環型社会の形成と廃棄物・リサイクル,ライフサイクル・コスティングを社会システムに組み込む,容器包装リサイクル法と自治体,廃棄物の減量その他推進を図るための基本的方針の改正,地方環境課徴金(家庭ごみ有料化),地方自治体のグリーン購入とアカウンタビリティなどを展開した。


講演者名:中島照雄

題名:介護福祉サービス・特定非営利組織会計

開催年月日:2006年2月13日

講演会名:市民立NPOカレッジ(ハローワークから受講指示又は推薦をされた方を対象)

開催場所:群馬県社会福祉総合センター

概要:公共職業安定所長から受講指示を受けた方(雇用保険受給中でハローワークから受講指示又は推薦をされた方)を対象に,NPO法人の運営・起業に関する全般的な知識を展開した。また,現在,政府の検討している非営利組織体関連の改正の動向を展開した。


講演者名:中島照雄

題名:非営利組織のアカウンタビリティ — 説明責任と評価 —

開催年月日:2006年8月9日(水)

講演会名:市民立NPOカレッジ(ハローワークから受講指示又は推薦をされた方を対象)

開催場所:群馬県立前橋産業技術専門校(群馬県前橋市)

概要:公共職業安定所長から受講指示を受けた方(雇用保険受給中でハローワークから受講指示又は推薦をされた方)を対象に,NPO法人の運営・起業に関する説明責任と評価にかんすることを展開した。さらに,非営利組織体の運営事項の改正も展開した。

民法研究室

[著書]

著者名:椿寿夫,三林宏,前田泰ほか

書名:権利消滅期間の研究

発行年月日:2006年3月31日

発行所名:信山社

概要:消滅時効・除斥期間の上位概念として「権利消滅期間」概念を措定し,この視点から,消滅時効・除斥期間の問題を分析・検討した膨大な作業において以下を担当した。「第一部 徐斥期間」の「17相続回復請求権の長期消滅規定と徐斥期間」。「第二部 権利消滅期間の長さ」の「19不適齢婚の取消権」,「20再婚禁止期間内の取消権」,「21詐欺・脅迫による婚姻の取消権」,「22財産分与請求権」,「23嫡出否認の訴え」,「24認知の訴え」および「25養子縁組の取消と期間制限」。「第三部 権利消滅期間の起算点」の「19不適齢婚の取消権」,「20詐欺・強迫による婚姻の取消権」,「21財産分与請求権」,「22嫡出否認の訴え」,「23認知の訴え」,「25相続回復請求権」,「26相続分の取戻権」,「30相続債権者・受遺者からの財産分離請求」および「31特別縁故者の財産分与請求権」。以上を担当した。


著者名:松下正明,西山詮,前田泰ほか

書名:司法精神医学4民事法と精神医学

発行年月日:2005年9月

発行所名:中山書店

概要:司法精神医学に関するわが国最初の全集本(全6巻)において第4巻の「� 意思能力について—法的立場から」を担当した。狭義の意思能力,広義の意思能力および行為能力につき,法学説および判例における内容を明らかにし,意思能力の機能的側面から,成年後見における鑑定実務・審判実務を分析した。

理論経済学研究室

[著書・編集書]

執筆者名:八木尚志・大岩雄次郎(東京国際大学教授)

書名:公務員合格受験講座テキストブック/経済原論(経済学)・国際経済学5-184頁

発行年月日:2006年4月1日

発行所名:実務教育出版

概要:2000年版の増補改定版。経済原論(経済学)の部分を担当。特に序章「経済学入門:経済学をはじめて学ぶ人のために」(22頁分)を追加し,合計45頁の加筆を行った。


編者名:西川潤・八木尚志・清水和巳

書名:社会科学を再構築する—地域平和と内発的発展

発行年月日:2007年1月

発行所名:明石書店

概要:西川潤先生の記念論文集の編集を行った。全体で22編の論文と西川潤教授の略歴・業績一覧が収録されている。


[学術論文]

執筆者名:八木尚志

論題:不変の価値尺度と現代経済学

発行年月日:2007年1月

掲載誌名:西川潤・八木尚志・清水和巳編『社会科学を再構築する — 地域平和と内発的発展』明石書店

概要:リカードウが探求した不変の価値尺度の問題に対して,スラッファ,パシネッティ,ヒックスを手がかりに,標準生産性指数,標準所得指数,通時的標準商品,通時的標準労働などの新たな概念を構築し,不変の価値尺度の探求に対するひとつの解答を提案している。


執筆者名:八木尚志

論題:産業連関表を用いた物価水準の要因分析の方法

A New Theory for the Analysis of General Price Level based on I-O Table

発行年月日:2006年10月28日

掲載誌名:環太平洋産業連関分析学会2006年大会・大会抄録集,154-158頁(全5頁)

概要:実質所得を,1)生産性要因,2)分配要因,3)需要構成要因(産出構成)の3つの要因から説明することによって,現実の物価水準Pの重要な決定要因を説明した。その方法は,スラッファ(Sraffa[1960])の標準商品(標準純生産物),パシネッティ(Pasinetti[1981][1993])の動学的標準商品,ヒックス(Hicks[1981])の生産性指数の考え方を基礎とするものである。


[国際学会・海外の大学でのセミナー報告]

発表者名:Takashi YAGI

論題:A Surplus Interpretation of the Sraffian Price Theory

発表日:2006年3月22日

発表場所:ローマ大学第3,スラッファ研究センターのセミナー

(座長:P. Garegnani教授,司会:Ciccone博士)

概要:2005年6月のヨーロッパ経済学史学会での発表論文をもとに発表を行った。特に,ガレニャーニ教授の論文とスラッファ体系の異同,及び報告者(八木)の用いている労働の価値vLという概念について議論した。


発表者名:Takashi YAGI

論題:The Reswitching Debate Revisited: A New Model for the Reswitching Debate

発表日:2006年4月24日

発表場所:フランクフルト大学経済学部でのセミナー,司会:シェフォールト教授

概要:2003年のHES大会,2004年のルッカでの国際会議での報告論文では,賃金曲線が直線となるモデルを報告したが,上記の報告では利潤率が正の場合の標準生産性指数を用い賃金曲線が曲線となる場合を直線の場合と整合的に説明できることを報告した。


発表者名:Takashi YAGI

論題:Pasinetti's Dynamic Standard Commodity and the General Price Level

発表日:2006年4月28日

発表場所:ヨーロッパ経済学史学会大会(特別セッション(招待)),ポルト大学経済学部

概要:パシネッティ教授の『構造変化と経済成長』の出版25周年を記念する特別セッション(招待)で報告した。内容は,スラッファの体系,ヒックスの機会費用アプローチによる生産性指数の考え方を用いて作成した指数により,パシネッティの動学的標準商品を具体的に示すことができその特性を明らかにできること,そして実質集計量や物価水準の関係を明確に把握できることを論じた。

なお,この報告は科学研究費補助金基盤研究Cによる補助金を利用した。


[国内学会・研究会報告]

発表者名:八木尚志

論題:構造変化,所得分配,及びインフレーション

発表日:2006年1月27日

発表場所:二松学舎大学・九段校舎

鹿島学術研究・研修基金による共同研究「金融が分配に与える影響とそのメカニズムに関する理論的研究」(共同研究,研究代表:渡辺和則教授)の研究会,司会:渡辺和則教授

概要:八木の作成した生産性指数を用いて価格や集計量の異時点間比較を可能とするモデルと,S. ワイントロープのマークアップ・アプローチやパシネッティの動学的標準商品を用いたアプローチの関係を説明した。


報告者:八木尚志

論題:産業連関表を用いた物価水準の要因分析の方法

A New Theory for the Analysis of General Price Level based on I-O Table

学会名:環太平洋産業連関分析学会2006年度大会

発表日:2006年10月29日

発表場所:沖縄国際大学

概要:論文等の項を参照


[講演会企画実施]

実施責任者:八木尚志

講演者:ハインツ・クルツ教授(グラーツ大学教授,現ヨーロッパ経済学史学会会長)

演題:シュンペーターの経済学:技術革新と利潤について

"Schumpeter on Innovations and Profits-the Classical Heritage"

場所:群馬大学荒牧キャンパス・ミューズホール

日時:2006年11月13日

概要:現在ヨーロッパ経済学史学会の会長をされているグラーツ大学の教授であるハインツ・クルツ教授に講演会を企画実施した。参加者は約40名,北海道大学名誉教授の白井孝昌教授も参加してくださり,英語による質疑討論が行われた。講演会終了後,白井教授らを交え八木研究室において研究交流・意見交換を行った。
 なお,本講演会の実施には,群馬大学の教育研究改革・改善プロジェクト経費での資金を利用した。


[学会・研究会活動]

指定討論者:八木尚志

発表者:吉井哲(北海道大学大学院)

発表者の論題:Sraffa体系における需要

発表日:2006年5月27日

発表場所:経済学史学会第70回大会(神奈川大学)

概要:吉井氏の報告に対して,スラッファ体系における需要の意味,スラッファ体系と他のモデルの関係,などについてコメントを行った。


組織者:八木尚志・渡辺和則(二松学舎大学副学長)

日時:2006年3月4日13:00-18:15

場所:ポスト・ケインズ派経済学研究会,二松学舎大学6階608室

概要:黒木龍三・立教大学教授,佐々木啓明氏(東北大学・研究生),野崎道哉氏(中央大学客員研究員)の報告を組織し司会を担当。


組織者:八木尚志・渡辺和則

日時:2006年7月15日13:30-18:00

場所:ポスト・ケインズ派経済学研究会,二松学舎大学6階608室

場所:二松学舎大学

概要:宅和公志・日本大学教授,安田高彦氏(早稲田大学・大学院生)の報告を組織,司会を担当。


組織者:八木尚志・渡辺和則

日時:2006年9月16日14:00-17:50

場所:ポスト・ケインズ派経済学研究会,二松学舎大学6階608室

概要:黒岩直氏(早大・大学院生),池田毅・阪南大学助教授の報告を組織,司会を担当。


組織者:八木尚志・渡辺和則

日時:2006年12月9日10:00-18:10

場所:ポスト・ケインズ派経済学研究会,二松学舎大学6階608室

概要:大野隆・立命館大学助教授,金子勝・慶応大学教授,倉田知秋氏(立教大学・大学院生),大内雅浩氏(中央大学・大学院生)の報告を組織,倉田氏の報告の司会を担当。


コーディネーター:八木尚志

日時:2006年12月16日13:30−16:30

研究会名:ケインズ一般理論研究会(会長:宇沢弘文,小山庄三氏主催)

場所:日本倶楽部

概要:ハーコート他編著『一般理論−第2版』多賀出版の第9章「消費性向と乗数」の部分のコーディネーターを担当。報告者は飯田幸裕氏(二松学舎大学)。

経営学研究室

[講演]

講演者名:寺石雅英

題名:ファイナンス論

講演会名:経済産業省「技術経営(MOT)研修」

開催年月日:平成17年11月15日

開催場所:経済産業省別館

概要:財務諸表の基本的な見方や分析手法,財務情報に基づいた意思決定について論ずるとともに,その活用を通じて技術経営実践に向けた基礎的スキルを養成した。


講演者名:寺石雅英

題名:価格戦略がすべてを決める

講演会名:かんらしんきん経営者懇談会

開催年月日:平成18年2月24日

開催場所:高崎サンパレス

概要:地元企業の経営者を対象に,モデルとなる企業の財務シミュレーションを行いながら,価格の引き上げを中核とした経営戦略の立案こそが今の経営環境に求められていることを明らかにした。


講演者名:寺石雅英

題名:第1回株式投資の仕組みを初歩から学ぼう

第2回株価が割高/割安なのかを把握しよう

第5回投資家が陥りやすい投資判断の罠に関する理解を深めよう

第6回ギャンブルの世界の必勝法を相場に応用してみよう

第7回時間とストレスのかからない自動売買システムを構築しよう

第10回企業も地域振興プロジェクトも最後は株式公開を目指そう

講演会名:経営者のための実践経営塾(10回シリーズ)

開催年月日:平成18年3月8日(第1回)〜7月26日(第10回)

開催場所:前橋商工会議所

概要:群馬経済の未来を担っていく経営者たちが,株式会社制度の本質と無限の可能性を理解し,それを自らの資産形成,企業の価値向上,地域社会の発展に結び付けることを最終目的とした講座である。


講演者名:寺石雅英

題名:旅館・ホテル経営論/客単価アップの必要性

講演会名:2006年度JTB協定旅館ホテル連盟関東支部連合会通常総会特別講演

開催年月日:平成18年5月18日

開催場所:鴨川館(千葉県鴨川市)

概要:疲弊した旅館・ホテルが経営改善を進めるためには,まず何から手を付ければ良いのかを,ある宿泊業者の財務構造を用いたシミュレーションによって明らかにするとともに,具体的なプライシング手法を紹介した。


講演者名:寺石雅英

題名:客単価アップの必要性 — 旅館・ホテルと旅行会社の利益構造の違い —

講演会名:JTB国内商品事業部長会議

開催年月日:平成18年7月10日

開催場所:JTB天王洲ビル

概要:JTBの全国の国内商品事業部長や地域担当部長を対象として,宿泊業者と旅行業者の利益構造の違いが,それぞれにとって合理的な価格戦略の食い違いを生み出すことを論理づけるとともに,今後JTBが全国の旅館・ホテルをどのような方向に導いていくべきなのかについて考察した。


講演者名:寺石雅英

題名:客単価アップの必要性

講演会名:JTB協定旅館ホテル連盟栃木支部宿泊増売会議

開催年月日:平成18年7月20日

開催場所:大晃ドライブイン大会議室

概要:「客単価を10%上昇させることができれば,客数が20%減少しても利益は増加する」との共通認識を持った上で,価格アップの具体的手法にはどのようなものがありうるのかを考察した。


講演者名:寺石雅英

題名:「勝ちパターン」 は時代とともに変化する — デザイン機能を核とした経営再構築のすすめ —

講演会名:デザインビズ・セミナー

開催年月日:平成18年7月21日

開催場所:栃木県南地域地場産業振興センター

概要:北関東の企業が市場の拡大・競争力の向上を狙うためには,日常のビジネスに高品質なデザイン要素を積極的に取り入れるしかないことを明らかにするとともに,各社がデザイナーを役員あるいは顧問として招聘することを推奨した。


講演者名:寺石雅英

題名:観光・医療連携が群馬に磁場を創造する

講演会名:群馬大学大学院社会情報学研究科国際観光セミナー

開催年月日:平成18年7月31日

開催場所:群馬大学荒牧キャンパスミューズホール

概要:重粒子線医療プロジェクトを核として外国人や外国企業を群馬に呼び込むためには,各観光地・温泉地と群馬大学との間にどのようなネットワークを構築する必要があるのかに関する提言を行った。

行政学研究室

[著書]

著者名:北村純

書名:電子民主主義のジャパン・モデル構築に関する研究

発行年月日:2006年3月31日

発行所名:平成15〜17年度科学研究費補助金基盤研究C (2)研究成果報告書(課題番号:15500154)研究代表者富山慶典(群馬大学社会情報学部)

概要:近年,欧米における討議デモクラシーの理論紹介と実践が行われている。わが国では,1990年代以降,各地の公共事業の意思決定をめぐる円卓会議方式による合意形成の試みがある。これらは市民参加論・市民社会論の文脈で論じられることが多いが,本稿では円卓会議と呼ばれる公共的討議の2つの事例をとりあげ,それぞれの事例のなかで(1)討議デモクラシーと係わる問いがどのようなかたちで提起されているか,(2)行政の役割はどのようにとらえられているか,について検討する。

環境科学研究室

[学会機関誌等への投稿]

著者名:小松裕幸,小田信治,佐藤浩,石川真一他5名

題名:研究開発センター敷地内のビオトープの創出とモニタリング

発行年月日:2005年1月31日(別刷の遅滞による)

掲載誌名:造園技術報告集�3 2005(ランドスケープ研究第68巻増刷・日本造園学会)

頁:34-37

概要:アドバンテスト群馬R&Dセンター敷地内に2001年4月に竣工したビオトープの,育成管理による推移過程を継続モニタリングした結果のうち,2003年度までの結果をまとめた。モニタリング項目は植物相,動物相,水質,景観であり,竣工後3年間で在来の野生植物59種,野生鳥類最大31種,昆虫最大154種の移入または定着があったことが明らかになった。すなわち,育成管理という新しい管理手法によって,本ビオトープが生物の生息場所としてしだいに生長しつつあることが推察され,また今後も継続してモニタリングを行うことの重要性が示された。


著者名:小松裕幸,小田信治,宮畑貴之,石川真一他2名

題名:建物敷地内のビオトープと修景緑地におけるチョウ類の比較—アドバンテスト群馬R&Dセンターでの比較結果—

発行年月日:2006年1月28日

掲載誌名:生産技術者連絡会2006年度大会セミナー「生産技術者の最前線2006」研究発表講演会講演概要集(生産技術者連絡会)

頁:21-24

概要:ビオトープが生物多様性に寄与する効果を検証するために,アドバンテスト群馬R&Dセンター敷地内において,修景緑地(いわゆる人工緑地帯)とビオトープにおけるチョウ類相の比較調査を行った。調査は2002年〜2005年に5回行い,合計でチョウ類は修景緑地で5科10種29個体,ビオトープでは6科18種256個体の生育が確認された。すなわち,単純に人工緑地化した修景緑地(シバ地が主)よりも,植物種数の多い多様な植生を有するビオトープにおいて,昆虫相の多様性も高くなることが示唆された。


[報告書]

著者名:石川真一・三上紘一(共著)

題名:新課程学生に対する大学初年次生物教育上の諸問題とその解決に向けた試行

発行年月日:2006年3月

報告書名:2005年度群馬大学教育研究改革・改善推進プロジェクト「新学習指導要領を学んだ学生を総合的判断力により自然との共生を考える人間に育てる自然科学系大学初年次教育の確立」報告書

頁:17-21

概要:2004年度より開始された高校新課程の生物における問題点を整理し,これを受けて入学する学生に対していかに効果的な生物実験指導を行うか,を検討した結果をまとめたもの。高校で生物実験を経験した者がすでに非常に少なくなっている,医学科一年生対象の生物学実験において,顕微鏡観察・スケッチの指導を,デジタルスコープ(G/USB-MC 学研販売,製造元はスカラー社)を用いて行ってみた。その結果,指導を受けた者ほぼ全員が一度の指導によって正確なスケッチを描くことができるようになった。したがってこの指導方法が,実験経験の乏しい学生に対して絶大な教育効果をあげる可能性が示されたといえる。


[学会等での口頭発表]

発表者名:Ishikawa, S. -I., Nakajima, J. & Kayashima, K. (共同発表)

題名 : Growth responses of an invasive plant, Ambrosia trifida, to some natural and controlled nitrogen conditions in Japan.

発表年月日:2006年3月26日

学会名:The Second East Asian Federation of Ecological Societies International Congress.

開催場所:新潟・新潟コンベンションセンター

概要:Ambrosia trifida is an annual invasive plant which is widely seen in Japanese riparian area. Growth responses of this plant to man-made disturbance and soil nitrogen association were investigated to clarify why this species invaded so large area. In situ growth analysis showed that relative growth rate (RGR) in the early growth period is independent of the temperature conditions in the field, and plant dry weight and seed production depend on the germination date in spring. Growth experiments with different nitrogen conditions revealed that the seedlings emerged in the northern site (MINAKAMI), where soil nitrogen content was lower, showed high RGR in high ammonia/nitrate ratio (A/N) treatment comparable to that in low A/N one. The seedlings emerged in the southern site (ISESAKI) with higher soil nitrogen content had low RGR in high A/N treatment. Winter artificial burning of the invaded site made soil nitrogen content and soil temperature higher in spring, causing faster germination and higher plant dry weight in the following growth period, comparing to those in unburned site. These results suggest that A. trifida will invade wider areas with higher soil nitrogen content, high light conditions, and better temperature condition, which are often caused by human disturbance.


[社会的活動]

開催者名:石川真一

題名:教養教育合宿実習「群馬県本白根山の自然環境の成り立ちと保全」

開催年月日:2006年7月1日・2日

開催場所:群馬県草津町

概要:群馬大学学生を対象とし,草津白根山の自然環境資源としての重要性や,周辺地域の産業がいかに自然環境資源をうまく利用して成り立っているかを体験する実習。


開催者名:石川真一

題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習

開催年月日:2006年4月〜月一回開催

開催場所:群馬県明和町

概要:�アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町)内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い,これに基づいて講習を行った。�アドバンテストビオトープ基金により助成を受けた。


開催者名:石川真一(群馬県自然環境調査研究会)

題名:群馬県・良好な自然環境を有する地域学術調査

開催年月日:2006年3月〜9月(月2回程度)

開催場所:群馬県倉渕村,東吾妻町

概要:群馬県の委託事業である。群馬県倉渕村,東吾妻町における植物相・植生調査,種子採集,環境測定を担当した。


開催者名:群馬県立自然史博物館

題名:ファミリー自然観察会「高山植物の名前をおぼえよう」

開催年月日:2006年6月25日

開催場所:草津本白根山(群馬県草津町)

概要:群馬県立自然史博物館主催の観察会で,高山植物の名前とその由来,生態について説明を行った。参加者23名。


開催者名:石川真一・三上紘一

題名:群馬の身近な動植物とのつきあいかた2006

開催年月日:2006年8月19日・20日

概要:群馬県内の小中学生対象の自然観察教室「群馬の身近な動植物とのつきあいかた2006」を開催した。国立青少年教育振興機構『子どもゆめ基金』による助成を受けて行ったもので,身近な動植物の生態と体のしくみを,実体験を通じて学ぶことを目的とした2日間連続の教室である。群馬県内の小中学生28名および保護者7名の参加があった。第1日目(8月19日)は荒牧キャンパス内で植物採集を行い,植物図鑑のひき方を覚えて名前を調べた後に,ラミネート標本を作成した。第2日目(8月20日)は各種動植物の永久標本と,植物のデンプン,気孔,原形質流動の顕微鏡観察を行い,デジタル写真を作成した。参加者は皆夢中で観察・標本作製を行い,「またやりたい」との好評の声が多数聞かれた。

社会心理学研究室

[学術論文]

著者名:柿本敏克

題名:状況の現実感が集団同一視と内集団バイアスの関係に及ぼす影響についての一考察

発行年月日:平成18年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:13

頁:83〜91

概要:集団間関係を説明する上で中心的な役割を担う概念である社会的アイデンティティの内容は,集団同一視の効果を媒介として実際の集団間行動に反映されると考えられている。しかし,これまでの実証研究の結果は,集団同一視のこの媒介効果がそれほど大きくないことを示してきた。この予期せぬ結果に関して,これまでの解釈と状況のリアリティに関する一連の研究アプローチにもとづき,本稿では新たな仮説が提唱された。すなわち,(特に集団そのものに対して)状況の現実感が伴わないと,集団同一視の媒介効果は発揮されない,という仮説である。関連する理論的問題が議論され,思考実験が行われた。


[研究報告書]

著者名:柿本敏克

題名:参加型授業における学生主体の授業進行・評価方法の改善について

発行年月日:平成18年3月17日

掲載誌名:平成17年度授業方法改善研究報告書(群馬大学大学教育研究センター)

頁:113〜120

概要:参加型授業のなかで,受講者主体の授業進行と評価という点での問題を補うための改善研究を試みた。「情報処理心理学�」では,これまでも受講者が司会者・報告者・指定討論者の役割を分担する参加型授業形式を採用してきたが,授業進行にあたって,これら役割分担者以外の受講者の参加を促すシステムが欠けていた。そこで今回新たにコメントカード方式を取り入れた。その結果,この方式はある程度の幅の受講生の授業参加意欲を高めることが示唆された。また,受講生自身が参加型授業のもつメリット・デメリットをある程度正確に理解していること等が確認された。


[学会発表]

発表者名:柿本敏克

題名:状況の現実感と集団同一視,内集団バイアス

開催年月日:平成18年9月18日

発表学会名:日本社会心理学会第47回大会

開催場所:東北大学

概要:群馬大学社会情報学部研究論集第13巻の発表論文「状況の現実感が集団同一視と内集団バイアスの関係に及ぼす影響についての一考察」に基づき,状況の現実感と集団同一視の関連について論じた。あわせて集団状況における現実感が集団同一視を促すのかに関して,新たな調査資料の分析結果を報告した。


[講演]

講演者名:柿本敏克

題名:「間人」と社会的アイデンティティ

開催年月日:平成18年3月29日

講演会名:群馬大学社会情報学部・リュブリャーナ大学文学部共同開催による国際研究集会「変わりゆく社会と文化—日本とスロベニアの視点から—」

開催場所:リュブリャーナ大学

概要:濱口(2003等)の〈にんげん〉モデルについての考え方を紹介し,集団間関係研究で見いだされてきた内集団ひいき現象の説明にこのアイデアを適用した。間柄を重視する「間人」モデルのもとでこの現象が説明可能であること,しかし,間柄の「近さ」や「強さ」といった別の概念を加えて考慮する必要があることが指摘された。

経営管理研究室

[著書]

著者名:実践経営学会編杉山学ほか140名

書名:実践経営辞典

発行年月日:2006年7月1日

発行所名:櫻門書房

概要:第5章「経営の意思決定とその理論」において,AHP(Analytic Hierarchy Process),DEA(Data Envelopment Analysis),シミュレーション,創造性技法,マネジメント・サイエンス,を担当。


[学術論文]

著者名:杉山学

題名:事業体の総合評価手法—電力事業体の効率性評価の事例—

発行年月日:2005年12月15日

掲載誌名:経営システム

巻数:15

号数:4

頁:239〜244頁

概要:本論文では,企業など事業体に対する総合評価に関して必要な点をまとめ,その手法として有効であるDEA(Data Envelopment Analysis)やInverted DEA(Inverted Data Envelopment Analysis)を説明した。この事例として,これらの総合評価手法を用いて,わが国の電気事業体の効率性評価を時系列的に分析し,評価を行なった。


著者名:杉山学

題名:戦略形ゲームによるDEAの適用例に対する解釈

発行年月日:2006年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:13

頁:171〜186頁

概要:以前,著者の論文において,DEA(Data Envelopment Analysis)における各評価対象の間での効率評価算定をn人ゲームと捉え,非協力ゲーム理論における戦略形ゲームに基づいて,DEAモデルを新たに定式化し直し,その解釈を示した。これに対し本論文では,プレイヤー,すなわち,評価対象となるDMU(Decision Making Unit)をさらに多く設定し,かつ,DMUが全てDEA効率的ではなく,DEA非効率的と判定されるDMUを含むような場合に適用例を拡張し,DEAモデルの解釈をさらに深めた。


[講演]

講演者名:杉山学

題名:DEAとその関連研究

開催年月日:2005年10月28日

講演会名:東京大学超ロバスト幾何計算セミナー

開催場所:東京大学工学部

概要:DEA(Data Envelopment Analysis)は,1978年にCharnes,Cooper,Rhodesらによって提案された,多入力多出力のシステムの相対的な効率を測定する数理的な総合評価手法である。DEAは,従来の評価手法と比較して基本的なモデル化において異なり,刷新的な評価方法であると言える。本発表では,このDEAの基本的なモデルの特徴を解り易く説明し,本人が提案したモデルを含め,数多く開発されている他のモデルを時間の許す限り紹介した。


講演者名:杉山学

題名:法人化後の地方国立大学の現状—研究と教育,理論と実践—

開催年月日:2005年11月19日

講演会名:東京理科大学第6回 経営工学フォーラム (経営工学科(野田)同窓生の集い)

開催場所:東京理科大学理工学部

概要:法人化後の地方国立大学の現状を,経営工学科卒業生としての立場から講演した。特に大学の置かれている現状を,研究と教育,理論と実践,という切り口からまとめ,業績評価の観点からも講演を行なった。

情報法研究室

[学術論文]

著者名:松宮広和

題名:近時のアメリカ合衆国におけるIP電話規制について

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第13巻

発行年月日:2006年3月31日

頁:93〜123

概要:近年,インターネット通信を実現するインターネット・プロトコル(IP)の応用であって,既存の電話と類似のサービスを実現するIP電話,更により多様な通信サービスを実現するヴォイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)が普及しつつある。しかし,それらは技術的な多様性を有するため,一概に規制することは出来ない。本稿は,IP電話及びVoIPの技術的側面にも考慮しつつ,[1]法的性質の決定,[2]管轄権,[3]相互接続,[4]ユニバーサル・サービス,[5]緊急電話サービス,[6]犯罪捜査への協力,[7]電話番号の配分,及び[8]通信ネットワークの複合化及びサービスの複合化,という事項を中心に,近時の米国におけるIP電話及びVoIPに対する規制の現状と今後の課題に対する考察を行ったものである。そして,近時のFCCの政策に対して一定の評価を行いつつも,ピア・ツー・ピア(P2P)型の通信サービスの普及に代表される技術革新が,現在FCCによって採用されつつある規制のあり方にも疑問を提起しつつあること,及び,「IPへの収束」が実現されつつある時代における更なる考察が必要であろうこと,を指摘した。


著者名:松宮広和

題名:近時のアメリカ合衆国におけるケーブル・モデムを経由するブロードバンド・インターネット・サービスに対する規制をめぐる議論について・再論 — National Cable & Telecommunications Assn v. Brand X Internet Servicesにおける合衆国最高裁判所判決を中心に —

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第13巻

発行年月日:2006年3月31日

頁:125〜151

概要:著者は,従来からブロードバンド・サービスの発展が電気通信事業に与える影響に対する研究を行ってきた。本稿は,米国でのケーブル・モデム・サービスの法的性質の決定について,合衆国最高裁判所による最終的な判断が示された判例を中心に,当該問題に対する再考を行ったものである。本稿は,従来からの研究の延長線上に位置するものであり,既公表の拙稿「近時のアメリカ合衆国におけるケーブル・モデムを経由するブロードバンド・インターネット・サービスに対する規制をめぐる議論について — Brand X Internet Services v. FCCが再提起する問題を中心に — 」群馬大学社会情報学部研究論集 第12巻 89-111頁(2005年)のアップデートとしての性質も有するものである。


著者名:松宮広和

題名:アメリカ合衆国の第107連邦議会に提出されたインターネット接続のブロードバンド化についての政策に関する主要な法案について

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第13巻

発行年月日:2006年3月31日

頁:273〜293

概要:近時のアメリカ合衆国では,共和党政権下のFCCによって非規制の政策が採用されている。このことは,ブロードバンド・インターネット・アクセス・サービスに対する規制にも反映されている。今日では,当該サービスは,統合された情報サービスとして法的性質が決定され,それに対して基本的には非規制の政策が採用されている。第107連邦議会においては,1996年電気通信法によって導入された規制の更なる強化を目的とする法案と,今日の規制緩和の潮流の原点の1つともなった法案が提出されて,議論の対象とされた。そしてそれらの法案に含まれる条項の幾つかは,連邦政府のその後の政策の策定にも影響を与えた。本稿は,米国におけるブロードバンド政策の変遷に対する考察を行うに際して,重要な意義を有する法案である第107連邦議会のH.R. 1542及びS. 1364を邦訳し,それらについての解説を行ったものである。


[科学研究費補助金研究]

研究代表者名:松宮広和

研究題目:高度なユビキタス社会を実現する情報通信政策の研究(若手研究B)(平成18年度)

研究代表者名:松宮広和

概要:昨年度より継続して,上記の科研研究に,研究代表者として従事している。主たる研究対象は,(1)ユビキタス社会の実現に不可欠なインターネット通信の無線ブロードバンド化を促進する競争政策のあり方,及び(2)既存の放送とブロードバンド・サービスの関係に対する予備的考察である。平成18年度は,特に後者の研究を行ってきた。


[共同研究]

研究分担者名:松宮広和

研究題目:産学連携の知的財産法モデル(基盤研究B(一般))(18年度)

研究代表者名:北川善太郎((財)国際高等研究所副所長,京都大学名誉教授,名城大学大学院法務研究科教授(H17年度まで),(財)比較法研究センター特別顧問)

概要:昨年度より継続して,上記の科研研究に,研究分担者の1人として参加している。今年度は,特に理系の研究者を対象とする知的財産教育モデルの作成を研究テーマとして実施してきた。より具体的には,前記の目的に相応しいあるべき知材教材の開発及びその効用についての実験等を行った。

共同研究者名:松宮広和


研究題目:(財)国際高等研究所課題研究「共同研究の法モデル」(平成18年度)

研究代表者名:北川善太郎((財)国際高等研究所副所長,京都大学名誉教授,名城大学大学院法務研究科教授(H17年度まで),(財)比較法研究センター特別顧問)

概要:平成15年度に特別研究員として在籍した(財)国際高等研究所(IIAS)は,同年度より課題研究の1つとして「共同研究の法モデル」の研究を行っている。当該研究の一部であって,平成16年度から開始された「科学技術と法の対話プログラム」に,今年度も共同研究者の1人として参加している。

行政法研究室

[学術論文]

著者名:西村淑子

題名:酒類販売業免許の認定基準の適用

発行年月日:2006年5月20日

掲載誌名:別冊ジュリスト行政判例百選�

頁:154〜155頁

概要:本判決(最判平成10年7月16日判時1652号52頁)について,平成元年取扱要項で定める酒税法10条11号所定需給調整上の要件該当性の認定基準を適用して行った処分に対する司法審査のあり方,及び本件処分の適法性に関して検討した。


著者名:西村淑子

題名:在外邦人選挙権最高裁大法廷判決

発行年月日:2006年5月1日

掲載誌名:法律のひろば

巻数:59巻

号数:5号

頁:30〜38

概要:本判決(最大判平成17年9月14日民集59巻7号2087頁)について,平成16年の行政事件訴訟法の改正を踏まえ,確認訴訟の意義等に関して検討した。


著者名:西村淑子

題名:志賀原子力発電所2号機建設差止請求事件

発行年月日:2006年9月1日

掲載誌名:法律のひろば

巻数:59巻

号数:9号

頁:74〜80頁

概要:本判決(金沢地判平成18年3月24日判時1930号25頁)について,差止請求の根拠,立証責任,地震・耐震設計の不備等の論点に関して検討した。

計量経済学研究室

[学術論文]

著者名:樋田勉

題名:ノンパラメトリック・スムージング理論とその応用

発行年月日:2005年10月

博士学位論文:早稲田大学

概要:本博士論文ではノンパラメトリック平滑化理論の経済分析への応用を中心に,多峰性検定,視覚的データ解析,有限母集団における分布関数の推定について論じた。


著者名:樋田勉

題名:平成9年全国物価統計調査の価格分布についての検討

発行年月日:2006年3月

掲載誌名:日本統計学会誌

巻数:35

号数:2

頁:143〜164

概要:総務庁「平成9年全国物価統計調査」の個票データを利用して,厳密な銘柄管理が行われている指定商標銘柄について,価格分布の多峰性の検出と,多峰性を生み出す要因の分析を行った。


[学会発表]

発表者名:石井太,村山令二,仲津留隆,関雅夫,西郷浩,樋田勉

題名:国民生活基礎調査における二相抽出法を用いた分布推定

開催年月日:2006年9月7日

発表学会名:2006年度統計関連学会連合大会

開催場所:東北大学

概要:厚生労働省「国民生活基礎調査」のサンプリング構造を考慮した分布関数の推定方法を考案し,実際の個票データを利用してシミュレーション実験を行い,いくつかの推定量の性質について検討を行った。

政治学研究室

[著書]

著者名:犬塚元・田中秀夫(編者)・山脇直司(編者)ほか

書名:共和主義の思想空間

発行年月日:2006年7月20日

発行所名:名古屋大学出版会

概要:初期近代ヨーロッパ思想史における共和主義をめぐる近年の解釈の混乱をふまえて,その解釈方法論を提案するとともに,James HarringtonとDavid Humeを主たる素材にして,共和主義思想の複数の系譜を剔抉した。


[学術論文]

著者名:犬塚元

題名:デイヴィッド・ヒュームの制度設計:政治対立の制度化

発行年月日:2005年12月

掲載誌名:東京大学社会科学研究所 Discussion Paper Series, J-144(Internet Release 〈http://jww.iss.u-tokyo.ac.jp/publishments/dp/dpj/pdf/j-144.pdf〉)

頁:1-10頁

概要:日本政治学会における同名の報告をもとにしたディスカッション・ペーパー。


著者名:犬塚元

題名:Arihiro Fukuda(1964-2003): His Works and Achievements

発行年月日:2006年3月

掲載誌名:東京大学社会科学研究所 Discussion Paper Series, F-122(Internet Release 〈http://jww.iss.u-tokyo.ac.jp/publishments/dp/dpf/pdf/f-122.pdf〉)

頁:pp.1-4

概要:Sovereignty and the Sword(OUP, 1997)の著者である故・福田有広東京大学法学部助教授(政治学史)をめぐる,英文でのacademic obituary。3点から,彼の政治思想史解釈の独創性を整理した。


[学会発表]

発表者名:犬塚元

題名:デイヴィッド・ヒュームの制度設計

開催年月日:2005年10月1日

発表学会名:日本政治学会

開催場所:明治大学

概要:公募採択による報告。分科会1「制度設計の政治思想」。ヨーロッパ政治思想史における制度設計論につき,空想的なユートピア論の系譜とは異なる思想系譜 — 比較政治制度論に基づく制度設計論 — を提示。


発表者名:犬塚元

題名:拙著『デイヴィッド・ヒュームの政治学』をめぐって

開催年月日:2005年11月12日

発表学会名:社会思想学会

開催場所:岡山大学

概要:拙著(東京大学出版会,2004)をめぐる書評会(セッション「ヒュームとスミス」)における応答報告。問題提起は,竹本洋関西学院大学経済学部教授による。


発表者名:INUZUKA Hajime

題名:From Absolutism to Mixed Monarchy: Political Thought of Early Stuart Monarchs Revisited

開催年月日:2006年7月10日

発表学会名:International Political Science Asocciation World Congress(世界政治学会)

開催場所:福岡国際会議場

概要:公募採択による英文報告。日本で初開催となった世界政治学会第20回研究大会における英文での報告。James VI/Iをめぐるリヴィジョニスト解釈を踏まえたうえで,彼の絶対主義思想の特質を,典拠史料の利用方法に着目する手法により解明した。


[翻訳]

著者名:犬塚元(訳者),Andrew E. Barshay(原著者)

題名:近代日本:南原繁と長谷川如是閑(平石直昭編『公共哲学17知識人から考える公共性』所収)

発行年月日:2006年3月30日

発行所名:東京大学出版会

頁:141-163頁

概要:カリフォルニア大学バークレイ校A. バーシェイ教授(歴史学)による,南原繁と長谷川如是閑についての思想史研究の日本語訳。翻訳にあたり同教授と討議を重ねた。


[研究報告書]

著者名:犬塚元

題名:十八世紀英国政治思想史におけるアテナイとローマ:急進主義と啓蒙の対比を中心に

発行年月日:2006年3月

概要:2003年度より3年度にわたり,同名の研究課題に関して獲得していた科学研究費補助金(特別研究員奨励費,課題番号15・10086)の研究報告書。18世紀英国政治学史の転換につき,古代ギリシア・ローマ世界をめぐる歴史解釈の変転(つまり社会科学における人文主義的手法の変容)に着目する手法により解明した。


[講演]

講演者名:犬塚元

題名:政治思想史学において共和主義をどう理解するか:18世紀英国の場合

開催年月日:2006年5月11日

講演会名:慶應義塾大学21世紀COEプログラム「多文化多世代交差世界の政治社会秩序形成:多文化世界における市民意識の動態」

開催場所:慶應義塾大学(三田)

概要:現代政治理論における共和主義概念の濫用のなか,思想史学・歴史学の見地より,同概念ならびにこれを取り扱う方法論を整理・提唱した。


[研究会発表]

発表者名:犬塚元

題名:都築勉「隠れたる市民社会—引き延ばされた社会契約の結び直し—」,宇野重規「90年代日本の社会科学」をめぐって

開催年月日:2006年3月8日

発表研究会名:東京大学社会科学研究所「90年代日本の思想変容」研究会

開催場所:東京大学

概要:2003年度より参加している研究会における報告。同研究会における都築勉氏(信州大学)・宇野重規氏(東京大学)の研究成果につき,コメントをおこなった。


Last Update 2016/03/02