研究室の性質
1. 研究室の性質

社会心理学
 この研究室があつかう社会心理学とは、一般に人の社会行動の法則性を科学的方法を用いて追究する学問です。その研究対象には、その名前をもつどの教科書を開いてもすぐ分かるように、自己や他者・社会に対する認識、他者との各種の相互作用、集団内外でのダイナミックス、社会や文化の人に及ぼす影響など、幅広いテーマが含まれます。またこれらの対象領域のそれぞれ、あるいは複数の領域にまたがって、そこでの社会行動の法則性を説明するいくつもの理論が提出されています。学問全体としての体系性は必ずしも高いとは言えませんが、別の見方をすれば、新しい研究が次々と生まれつつある若い学問領域であると言えるでしょう。

社会情報学部 
 ところで、この研究室が所属する群馬大学社会情報学部は、私見によりますと、伝統的な人文・社会・自然の諸領域の学問を基礎として、情報科学の成果を駆使しつつ情報化社会の諸問題に学際的に取り組むべき研究機関と言えるでしょう。また教育機関としては、同じ問題関心をもつ学生が、自ら設定した学問的・実践的課題を追究するのに役立つ指導をおこなうべく組織されたものであると言えます。補足意見へ

社会情報学部における社会心理学
 このような研究・教育機関において、社会心理学研究室に求められる役割とは何でしょうか。
 一方で、社会心理学研究室には、社会心理学的な研究を大いに推進することが期待されるでしょう。言葉の定義上そうであるだけでなく、研究を通して当該の学問の発展に寄与することは、学問共同体の構成員としての義務でもあります。また、その研究活動を通して、所属学部の組織上の目標といえる「情報化社会の諸問題への学際的取り組み」に貢献することも期待されるでしょう。他の研究室と協力しつつ、他の研究室にないものを提供することが求められます。
 他方、社会心理学研究室には学生に対する教育上の指導をおこなう責任も課されています。これは第一義的には、関連する講義科目を開設することを通しておこなわれます。「社会心理学」「情報処理心理学II」「コミュニケーション論II」などがそれにあたります。またその他に、(情報)行動研究の方法論的な側面をあつかう実習科目2つが他の研究室と共同で開設されています。さらに必要に応じて、より個別的な研究指導が「社会情報学ゼミ」「卒業研究」として開講されます。

 以上を要約すると、本研究室は群馬大学社会情報学部のなかで、かたや社会心理学の専門領域での研究推進と組織上の学際的研究への貢献、かたや社会心理学に関連する領域での学生への教育指導という、2つの側面を担っていると言えます。なお当然のことですが、この2つの側面は互いに関連しています。研究内容は、たとえそれがわずかな部分となるにせよ、関連する講義科目の内容に反映されますし、逆に先進的な内容を講義するためには先進的な研究を進める必要があるでしょう。

 次の項目では、本研究室のからみあったこの2つの側面のうち研究活動について、もう少し具体的に紹介します。


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