研究活動
 

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テーマ


  1. 1.電子的な合意形成

  2. 2.インターネット上の匿名性

  3. 3.意思決定と精神的ストレス

  4. 4.社会的選択理論の応用

  5. 5.自治体指標の分析


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 情報工学と社会学を背景に、主に意思決定支援システムの研究を行っています。匿名コミュニケーション、社会的選択理論、ストレス理論に関連した支援法などが中心で,ここでは活動例を列挙します。

(社会情報学部の教員紹介はこちらです。社会情報学教育・研究センターの研究紹介はこちらです。)

1. 匿名性の保証と議論の収斂性の両立

 集団意思決定支援システム(GDSS)の研究では,しばしば意思決定集団内のコミュニケーションに匿名性を保証する技法について考えます。その基本には,「意思決定集団内におけるメンバー間の社会的影響力は意思決定のプロセスにおいてしばしば有害であり,メンバーがその社会的影響力を行使する能力を除けば最終的な決定の質が改善される」という認識があります。

 多くの匿名コミュニケーション支援の枠組みは,しかしながら,意思決定プロセスを議論の「発散」と「収斂」の2プロセスに分けると,前者のための設計と位置づけられます。つまり,選択肢や新たなアイディアを求めるプロセスです。電子ブレーンストーミングは好例です。電子ブレーンストーミングでは,アイディアを匿名で自由に書き込むことができる機能を提供したのでした。一方,「発散」に続く「収斂」のプロセス,すなわち,参加者が議論を通して結論や解を導くプロセスについては,匿名コミュニケーション支援の枠組みを利用する研究はあまり例がありません。この背景には,「匿名性には説得力を失わせる効果や,協調的な議論をより困難にする特徴がある」という暗黙の仮定があるように思われます。


 本研究室では,匿名コミュニケーション支援の成果は少なくともある程度まではシステムの設計によるものと考え,収斂的思考のプロセスで匿名性保証を用いる集団的な意思決定支援のアプローチを検討し続けています。

2. 匿名性の尺度の設計

 匿名性の概念は,通常考えられているほどシンプルでありません.次の投票問題の例を考えてみて下さい.

 投票例1:上の図のように,A,B,Cの3人が無記名投票を行い,全員が賛成であったとします。結果が公表された段階で,任意の外部者,また3名の投票者には,誰がどの案に投票したか明らかです。


 投票例2:上の図のように,A,B,Cの3人が無記名投票を行い,AとBが賛成,Cが反対であったとします.この場合,外部者には3名全員,AとBには自分以外の2名がどちらに投票したのか不明ですが,Cには自分以外の2名がいずれも賛成投票をしたことが判ります。


 こうした例から,匿名投票でも結果的に匿名性が失われる事態があること,匿名性は匿名か否かの二者択一ではなく,確率論と同じ広がりをもつ連続体的概念としてとらえるべきであることなどが判ります。


 本研究室では,匿名性水準を各投票者のもつ自己情報量の総和として計算する観点から,以下の尺度を提案しています:一般に,N人が投票を行い賛成がM票,反対がN-M票であった場合,外部者からみたこの投票の匿名性はlog(N!/M!(N-M)!)となります.また,賛成投票者に対する匿名性はlog((N-1)!/(M-1)!(N-M)!),反対投票者に対する匿名性はlog((N-1)!/M!(N-M-1)!)と計算できます。


 以上は,Combinatorial Approachという手法で,ネットワークセキュリティの研究分野で同様の匿名性水準の計算手法が提案されていますが,本研究室の提案はそれに先立つものです。



主な研究助成
2018 評価情報流出の根源的自動防止と相関分析 (2017年度(公財)電気通信普及財団研究調査助成,研究調査期間: 2018.4-2019.3,代表 岩井 淳)
2013 社会的選択理論の情報学的展開 (科学研究費 基盤研究(B)25282088,2013-2015年度,代表 岩井 淳)
2011 個人情報漏洩を入力値分析を用いて防ぐ堅牢な授業評価システムの開発 (科学研究費 挑戦的萌芽研究 23650526,2011-2012年度,代表 岩井 淳)
2006 議論の収斂プロセスの動的変更が可能な匿名型予算決定支援システムの開発(科学研究費 若手研究(B)18700246,2006-2008年度,代表 岩井 淳)
2003 大規模な意思決定のための匿名保証型DSSの開発 (科学研究費 若手研究(B)15700208,2003-2004年度,代表 岩井 淳)

主な学会活動
2018年度 社会情報学会(SSI):評議員,副表彰委員長,Journal of Mechanical and Electrical Intelligent System (JMEIS, J. Mech. Elect. Intel. Syst.): 編集委員, Journal of Technology and Social Science (JTSS, J. Tech. Soc. Sci.) : 編集委員
2017年度 社会情報学会(SSI):評議員,副表彰委員長,学会大会企画委員,経営情報学会:代議員,International Workshop for Social and Information Studies: a program committee member, 第24回社会情報システム学シンポジウム:プログラム委員
2016年度 社会情報学会(SSI):理事,評議員,関東支部長,研究活動委員,学会誌編集委員,学会大会企画委員,ICA2016: a program committee member,第23回社会情報システム学シンポジウム:プログラム委員
2015年度 社会情報学会(SSI):理事,評議員,関東支部長,研究活動委員,学会誌編集委員,学会大会企画委員,第22回社会情報システム学シンポジウム:プログラム委員
2014年度 社会情報学会(SSI):理事,評議員,事務局長,総務委員,研究活動委員,学会誌編集委員,将来委員,ネットワーク委員,学会大会企画委員,第21回社会情報システム学シンポジウム:プログラム委員
2013年度 社会情報学会(SSI):理事,評議員,事務局長,総務委員,研究活動委員,学会誌編集委員,将来委員,ネットワーク委員,学会大会企画委員,情報経営学会:第66回全国大会実行委員,第20回社会情報システム学シンポジウム:プログラム委員
2012年度 社会情報学会(SSI):研究活動委員,学会誌編集委員,将来委員,学会大会企画委員,学会大会副実行委員長,第19回社会情報システム学シンポジウム:プログラム委員

活動例として