教育活動
担当授業科目とシラバス
ゼミナール活動
社会情報論I(学部科目,シラバス)
キーワード
情報と意思決定,決定理論の枠組み,個人的意思決定,相互的意思決定,ゲーム理論,集合的意思決定,投票理論,社会的選択論.
目標
情報と意思決定の科学を学ぶ.具体的には,まず,選択をとらえるための基本的な枠組みとして,選択ということの数理的なとらえ方と個人的選択と社会的選択のとらえ方を学ぶ.次に,個人的選択では個人的選択場面と選択行動を整理したあと,確定的な選択行動,不確実な選択行動,あいまいな選択行動について詳細に学ぶ.さらに,社会的選択では社会的選択問題と選択方式を整理したあと,二肢選択方式,多肢選択方式,マッチング方式について詳細に学ぶ.最後に,最近のトピックとして,情報集積と最適集団意思決定,生まれ変わったゲーム理論について学ぶ.
これらを通して,人間と社会における情報と情報過程への理解を深め,よりよい意思決定ができるようになるための原理と方法を学ぶことを目標とする.
学習効果
現実世界における意思決定を個人的にも社会的にもよりよく行うための基本的な考え方と方法が身につくだけでなく,各履修コースにおける情報と意思決定にかかわる授業内容を理解するための基礎的な考え方と知識も身につく.
概要
レベル
情報と意思決定の科学をはじめて学ぶ学生を対象とする.すべてが入門の内容である.しかし,基本的な事柄を丁寧に解説するというレベルには止まらない.基本的な事柄から説き起こすが,そこには止まらず,意思決定研究の最先端の話題まで,相互の関連性をきちんとつけながら学べるという意味で本格的である.そうかといって,難しいわけではない.主体的に学ぶ学生なら誰にでも消化できるレベルである.
履修資格
なし.
この授業の基礎となる科目
なし.
次ぎに履修が望まれる科目
社会情報論II.
関連授業科目その他
経営科学I,経営科学II.
テキスト
中村和男・富山慶典;選択の数理−個人的選択と社会的選択−;朝倉書店;テキストは各自で必ず購入すること.
参考書
森田優三;意思決定の統計学;講談社現代新書268;1971年.
宮川公男;意思決定論;丸善;経営学全書21,1975年.
H.A.サイモン;意思決定の科学;産能大学出版;1979年.
近藤次郎;意思決定の方法ーPDPCのすすめ;NHKブックス394;1981年.
松原 望;新版 意思決定の基礎;朝倉書店;現代人の統計4,1985年.
大前義次;グラフィック意思決定法;日科技連;1986年.
利根 薫;ゲーム感覚意思決定法ーAHP;日科技連;1986年.
小橋康章;決定を支援する;東大出版;認知科学選書18,1988年.
刀根 薫・眞鍋龍太郎編;AHP事例集;日科技連出版社;1990年.
中島 一;意思決定入門;日本経済新聞社(日経文庫);1990年.
高橋伸夫;組織の中の決定理論;朝倉書店;1993年.
繁桝算男;意思決定の認知統計学;朝倉書店;行動計量学シリーズ11,1995年.
木下栄蔵;わかりやすい意思決定論入門:基礎からファジィ理論まで;近代科学社;1996年.
印南一路;すぐれた意思決定ー判断と選択の心理学;中央公論社;1997年.
佐伯 胖;「きめ方」の論理ー社会的決定理論への招待ー;東京大学出版会;1980年.
北岡俊明;意思決定ディベートの技術;中央経済社;1995年.
亀田達也;合議の知を求めて:グループの意思決定;共立出版;認知科学モノグラフ3).1997年.
Gibbons, R.;Game Theory for Applied Economists;Priceton University Press;1992年.福岡正夫・須田伸一(訳)『経済学のためのゲーム理論入門』,創文社,1995.
鈴木光男;新ゲーム理論;勁草書房;1994年.
岡田 章;ゲーム理論;有斐閣;1996年.
URL HTTP://www.kt.rim.or.jp/~kobashi/dm/d-conts.htm(認知的統計的意思決定論研究会ホームページ)
形式
講義が中心である.
評価
数回のレポート(40点)と期末試験の成績(60点)で評価する.
メッセージ
講義では簡略に,わかりやすくポイントだけを説明する.学生はテキストを中心に,参考書なども見ながら自主的に学習することを望む.
レポートの提出は締切日を厳守すること.締切日を過ぎたレポートは受け付けないことがあるので注意されたい.
レポートはファイルで提出すること.提出要領については授業中に説明する.
オフィスアワー
毎週火曜日の11:50〜12:40.
質問箱
tomiyama@si.gunma-u.ac.jp
展開
第1回:選択ということの数理的なとらえ方
一人の個人として行う選択および複数の個人から成る社会として行う選択の両者に共通する「選択」という行為を数理的にとらえるための基本的な枠組みを示す.こうしたとらえ方について数理的な表現を与え,選好に基づく選択の理論における基本的定理を説明する.
第2回:個人的選択と社会的選択のとらえ方
基本的枠組みを,個人的選択と社会的選択の場合の違いに留意しながら展開しつつ選択過程の枠組みについて考察し,次回以降の準備とする.
第3回:個人的選択場面と選択行動
今回から第6回までは個人的選択問題に焦点を当てる.まず前回までに述べた個人的選択過程の数理的な枠組みを踏まえて,個人的選択行動にアプローチすることの意味と視点について整理する.そのためにまず効用という考え方を導入する.
第4回:確定的な選択行動
人間の個人的選択行動を理解するための基盤となる理想的な選択行動の数理的扱いについて述べておきたい.
第5回:不確実な選択行動
あいまいさの一つの形態である選択行動の不確実さに焦点を当て,その不確実さの生起のしくみを効用尺度との関連でモデル化するとともに,この枠組みでの非合理的な選択行動の性向としての非一貫性について積極的な理解を試みる.
第6回:あいまいな選択行動
不確実さ以外のあいまいさの一つの形態である選択行動における心的過程の不明確さに焦点を当て,ファジィ集合理論を用いその不明確さの生起のしくみをモデル化し,この枠組みでの選択行動の非一貫性向の積極的な理解を試みる.
第7回:社会的選択問題と選択方式
今回から第10回までは社会的選択問題に焦点を当てる.まず第1回と第2回で述べた社会的選択過程についての数理的な枠組みを踏まえて,社会的選択方式の設計にアプローチすることの意味と方法について整理しておこう.
第8回:二肢選択方式
2つの選択肢から1つを選び出す方式を「二肢選択方式」という.二肢選択問題は選択肢の数が2つと最も少ない状況における社会的選択問題である.にもかかわらず,この問題を解決するための多様な選択方式が存在するし,実際にも利用されている.現実によく使われ,満場一致性と単調性を満たす8種類の二肢選択方式を取り上げ,これらの修正的設計や選択的設計に役立つように従来研究の成果を整理し直すことを試みる.
第9回:多肢選択方式
3つ以上の候補者の中からk人(1≦k<t)を順位をつけずに選び出す方式を「多肢選択方式」という.k=1の場合やk>1の場合に,それぞれどのような選択方式が望ましいのであろうか.それらは同じものであろうか,違うものであろうか.ここでは,現在までの成果を踏まえて多肢選択方式の選択的設計の視点からこれらの問いに答えることを試みる.
第10回:マッチング方式
われわれの身の回りには,社会的マッチング現象が満ち溢れている.たとえば,大学入試,研究室配属,就職,結婚,人事異動などをあげることができる.最近,このようなマッチング問題の構造分析とその結果を踏まえたマッチング方式問題に関する研究が,ゲーム理論と社会的選択理論のそれぞれの枠組みの中で様々に展開されてきている.ここでは,これらの研究成果の一部をマッチング方式の設計という視点から編み込むことを試みる.
第11回:個人的選択と社会的選択の融合,そしてダイナミックな選択へ
実際の状況では,個人的選択と社会的選択とは必ずしも独立した扱いができるとは限らず,相互の関連性に焦点を当てた数理的研究も今後大いに進められる必要があると思われる.ここではそうした方向性についての論点を提示し,まとめとしたい.
第12回:最近のトピック(1)ム情報集積と最適集団意思決定ム
陪審定理そのものとそのいくつかの新しい展開を紹介する.共通の枠組みの中の個人的選択能力と集団構成員数とを与えられたものとして固定すると,政治学や経済学においてこれまで繰り返し問われてきた「人々の異なる選好を集約する決定規則はどのように設計すべきか?」という問題が現れてくる.そこで最後に,この決定規則設計問題への貢献という視点から,従来の主要なアプロ−チとの関連性を示しながら,陪審定理とその展開研究の意義を解説する.
第13〜14回:最近のトピック(2)−ゲーム理論の新展開 非協力ゲームを中心に−
ゲーム理論(Game Theory)は1980年代から大きく変わってきた.特に,非協力ゲームの理論での発展が著しい.ここでは,6つの具体的な非協力ゲームを体験したあとで,ゲーム理論の基本構造を導入し,それに基づいて体験したゲームを解くことにより,それぞれのコースでのゲーム理論的展開を学び理解するための基礎的な知識を学ぶ.
第15回:試験
情報数学(学部科目,シラバス)
キーワード
離散数学,集合,関係,論理数学,論理回路
目標と学習効果
情報処理の基礎原理としての数理を学ぶ.プログラミングの基礎的知識としての数理として,集合,関係,群,関数,順列組合せ,グラフなどの離散数学と論理数学,および現在のコンピュータの動作の基本となる論理回路について学ぶ.
概要
離散数学の基礎としての集合,群,関数,プログラミングやアルゴリズム等の基礎となる順列組合せおよびグラフ理論,プログラミングの基礎原理となる論理数学,コンピュータの基礎となる論理回路について,基礎を学ぶ.
レベル
すべてが入門の内容である.しかし,実際の情報処理に役立たないような入門ではない.そうかといって,難しいわけではない.主体的に学ぶ大学生なら誰にでも消化できる.
履修資格
特になし
基礎となる科目
情報処理B,プログラミング言語,プログラミング演習
次に履修する科目
マルチメディア,マルチメディア実習,コンピュータネットワーク,ネットワーク実習
関連授業科目
社会情報論I
テキスト/参考書
中島秀之著.『知的エージェントのための集合と論理』.共立出版.
資料を配付する.
授業の形式
講義と演習,そしてレポートを繰り返して行う.
評価
出席と演習への参加,レポート提出,試験で評価する.
メッセージ
講義では簡略に,わかりやすくポイントだけを説明する.学生はテキストを中心に,参考書なども見ながら自主的に学習することを望む.
レポートの提出は締切日を厳守すること.締切日を過ぎたレポートは受け付けないことがあるので注意されたい.
提出要領については授業中に説明する.
オフィスアワー
毎週火曜日の12:00ム12:30.
展開
第1回:イントロダクション
授業の目的やねらい,学習効果およびスケジュール,他の授業科目との関連性について説明する.
第2回:集合(1)
集合とは何か,基本的な概念(要素,空集合,和集合,積集合,補集合,部分集合,巾集合),ベン図・オイラー図を学ぶ.
第3回:集合(2)
集合操作の組み合わせ方法とドモルガンの法則を学ぶ.
第4回:集合(3)
集合の演習と答え合わせをおこない,レポートとして提出する.
第5回:関係(1)
順序対と直積を学ぶ.その演習と答え合わせをおこなう.
第6回:関係(2)
関係は直積の部分集合として表されることを学び,特別な関係として,同値関係について学ぶ.その演習と答え合わせをおこない,レポートとして提出する.
第7回:関係(3)
もう1つの特別な関係として,選好関係について学ぶ.合わせて,選好関係はブール代数をもちいてコード化する方法も学ぶ.レポートを出す.
第8回:命題論理(1)
命題論理における命題,真偽値,論理和,論理積,否定,含意,必要十分条件,真偽表について学ぶ.
第9回:命題論理(2)
論理式は異なるが真偽表が同じになる代表的な論理式,論理式の前提や結論に他の論理式が入ってもよいこと,対偶,含意と因果関係との相違などについて学ぶ.
第10回:命題論理(3)
いくつかの論理式の真偽表を作成する演習をおこなう.レポートとして提出する.
第11回:命題論理(4)
命題の真偽をめぐって,解釈,トートロジー,排中律,裏・逆,等価交換,論理のドモルガンの法則,矛盾,公理,理論,定理について学ぶ.
第12回:述語論理(1)
述語論理における述語,述語論理,限量子,全称記号,存在記号,論理結合子について学ぶ.
第13回:述語論理(2)
述語論理の演習をおこない,レポートとして提出する.
第14回:論理
推論について,演繹,推論規則,自然演繹,帰納推論,アブダクションについて学ぶ.
第15回:試験
情報処理入門(学部科目,シラバス)
情報処理演習(学部科目,シラバス)
情報処理A(学部科目,シラバス)
キーワード
既製応用ソフトウエア,ワードプロセッサ,表計算ソフト,オブジェクト,ファイル
目標
近年のパーソナルコンピュータや既製応用ソフトウエアの発展はめざましいものがある.これらを使わずして多様な情報処理をおこなおうとすることは今後ますます難しくなるだろう,といわれている.
パソコンの基本的な事柄を理解し,それらを踏まえて,自分が情報処理したい内容に応じて複数の既製アプリソフトの中から適切なものを選択し,そのマニュアル(解説書)を自分で読みこなしながら,既製応用ソフトウエアを自在に使いこなすことができる「パソコン利用技術者」として通用するレベルを目指す.
学習効果
大学でのさまざまな学習や研究にはもちろんのこと,自宅での個人的および日常的な情報管理,さらには社会に出てからのさまざまな仕事において,パソコンとその上で動作する既製応用ソフトウエアを駆使し,必要な情報処理を効率的かつ効果的におこなうことができるようになる.
概要
情報処理入門と情報処理演習Aでは,さまざまな授業において頻繁に利用されるワードプロセッサや作図,表計算,データベースなどの複数の既製応用ソフトウエアの基本的な使用方法についてそれぞれ個別に学んだ.
本授業の前半では,情報処理演習Aの延長線上で,特に使用頻度の高いワードプロセッサと統合型表計算ソフトの高度な使用方法について実習しながらそれぞれ個別に学ぶ.後半では,1年生を対象とした情報処理授業のまとめとして,それぞれの仕事の内容に応じて複数の既製応用ソフトウエアの中から適切なものを選択しながら使いこなし,応用ソフトウエア間の相互関連を理解し,カット&ペースト(切り張り)やファイルを活用することにより,文書・図画・表・グラフなどが混在するレポートやレジュメ,論文,報告書などをパーソナルコンピュータの上で作成・修整・印刷する高度な実践的技術を実習しながら学ぶ.
レベル
すべてが入門の内容である.しかし,実際の情報処理に役立たないような入門ではない.そうかといって,難しいわけではない.主体的に学ぶ大学生なら誰にでも消化できる.
履修資格
情報処理入門と情報処理演習Aの単位を取得した学生のみが受講可能である.
この授業の基礎となる科目
情報処理入門,情報処理演習A
次ぎに履修が望まれる科目
プログラミング言語,プログラミング方法論
関連授業科目その他
デ−タベ−ス論,情報数学
テキスト
新居雅行;EXCEL 5.0 入門;BNN;テキストは各自で必ず購入すること.
新居雅行;Visual Basic for EXCEL 97 完全制覇;日経BP社;テキストは各自で必ず購入すること.
参考書
;;;授業中に適宜紹介する.
形式
実習を中心に授業をすすめる.それぞれの単元ごとに,まず教官が「講義」し,次にその内容を学生が「演習」し,最後に教官から出された「課題」をこなし提出する,というサイクルで進めていく.学生からの質問はいつでも受けつける.
実習の具体的な進め方や注意事項,次週までに準備しておくことなどは,電子メ−ルで連絡する.授業のない時でも,1週間に少なくとも2〜3回は必ず電子メ−ルを読むこと.
教官の「講義」のときは静かにしてもらいたい.しかし,「演習」や「課題」のときは,教官と学生あるいは学生同士のコミュニケーションを大切にしながら,明るく和やかに,マイペースで,しかし真剣に取り組める雰囲気の授業にしたい.
評価
実習中心の授業なので,出席率を重視する(20点).単元ごとの課題の遂行率(40点).学期末レポートの提出状況および試験の結果(40点).
メッセ−ジ
授業は時間通りに始める.授業がはじまる前にパソコンを起動し,準備をしておくこと.授業のはじめに行われる講義を聞き逃すとわからなくなるので,遅刻しないこと.出席は毎時間とる.欠席しないように.
パソコンと既製応用ソフトウエアを自分の目的におうじて自由自在に利用できる技術を真に身につけるためには,「習うより慣れる」の姿勢でとり組むことが必要不可欠である.具体的には,授業で学んだ技術を,他の授業でのレポート作成など,さまざまな状況において,とにかく積極的に活用しはじめることである.
展開
第1回:はじめに(これまで学んだことの復習も含む)
先行科目で学んだことを簡単に復習する.次に,この授業での最終的な目標,すなわち文章や図画,表,グラフなどが混在するレポートの作成について説明する.最後に,予習の必要性と方法,すなわち予め教科書を読んでおく必要があること,教室に来て教科書をはじめて読みながら操作するのでは極めて効率が悪いことなどについて説明する.そして,実際にパソコンを起動し,いくつかの既製アプリソフトを操作することにより,これまで学んだことがらを復習し,これからの授業の準備をする.
第2,3回:ワードプロセッサの高度利用
レポートやレジュメ,論文などの文書を読みやすくプレゼンテーションするために,ワードプロセッサがもつ多様な機能の種類とそれらの使い方について学ぶ.主な具体的内容は次の通りである.異なる大きさの文字/各種マークなどの特殊文字の入力/アンダーライン・網掛け・反転・斜体・回転などの文字飾り/罫線の引き方と表の作成/特定の文字列の検索や置換/カタログ作成/差し込み印刷.
第4〜8回:統合型表計算ソフトの高度利用
現代は視覚化の時代であり,レポートや報告書などを他者にわかりやすくするために,工夫された表やグラフを使用してレポートなどを作成することが求められている.そのような要請に対応できるようにするために,統合型表計算ソフトがもつ多様な機能の種類とそれらの使い方,関連性について学ぶ.主な具体的内容は次の通りである.セルの「相対番地」や「絶対番地」の意味と機能,使い方/数式や統計・論理・算術などの「関数」を使用した表計算/表のデータを使用した線・棒・積重ね・円などの「グラフ」作成/表のデータを五十音順やアルファベット順に並び替える「ソート」/自分が必要とする何からのひとまとまりのデータだけを表から抜き出す「検索」と「抽出」/繰り返し行う表作成・表計算・グラフ作成を自動化し,作業効率を上げるための「マクロ」の作成方法.
第9〜11回:オブジェクトおよびファイルの操作
これまで学んだことを活用すれば,文書・図画・表・グラフ(オブジェクトという)をそれぞれ独立に作成することができる.しかし,これらの異なるオブジェクトが混在するレポートを作成するためには,図画・表・グラフといったオブジェクトやディスクに保存されているファイルを,ワードプロセッサで作成した文書の中に取り込まなければならない.ここでは,オブジェクトの複写や移動,ファイルの出力と読み込み,複数の既製応用ソフトウエア間の連結について学ぶ.
第12回:プログラムによる処理結果の活用
コンピュータを使用して様々な仕事を効率的にこなすためには,それぞれの仕事に適した応用ソフトウエアが必要である.応用ソフトウエアには,既製のものと独自開発のものとがある.既製のものは,文書処理,図形処理,表計算グラフ処理などの比較的に汎用性の高い仕事をこなすには適しているが,新たな方法や固有の情報システムなどに基づく独自性の高い仕事をこなすことはできないことが少なくない.このような場合には,アプリソフトを独自に設計・作成しなければならない.それは何らかの人工言語(たとえば,C言語)を使ってプログラムを作成することによって可能となる.ここでは,教官が用意したプログラムから出力された処理結果がテキスト・ファイルとして保存されていることを前提にして,そのテキスト・ファイルをワードプロセッサや統合型表計算ソフトなどに読み込んで,プログラムから出力された処理結果をさらに情報処理する方法について学ぶ.なお,プログラムの基礎と応用についての詳細に興味がある学生は,後続する「プログラミング言語」および「プログラミング方法論」の科目を履修されたい.
第13〜15回:各種レポートの作成
これまで学んできた情報処理技術を活用して,文書・図画・表・グラフなどが混在する複数のレポートを実際に作成する.1年間のまとめである.なお,最後のレポートは,学生が自分で題材を探してきて自分で作成するという「自由課題」とする.第13回目ぐらいまでに各自で題材を探しておくこと.
意思決定科学(大学院修士課程科目,講義概要)
選好にもとづく意思決定過程を基盤とした個人的意思決定と集合的意思決定の理論と方法を対象とし,数理的・実験的・情報処理的なアプローチによる最新の研究成果を包括的に学ぶ.主な内容は,不確実性の下での意思決定,最適集団意思決定と情報集積(コンドルセ陪審定理とその展開),個人的選好情報の集約(社会的選択理論と投票理論),意思決定支援システムなどである.なお,相互的意思決定についての詳細は別科目「ゲーム理論」で学ぶ.
社会情報学ゼミ(学部科目,シラバス)
キーワード
意思決定,個人的意思決定,相互的意思決定,集合的意思決定,情報の不確実性,情報の価値,記述・規範・支援,実践的示唆
目標
わたしたちの人生は意思決定の連続である.ただ決めるだけでいいというなら,何の問題もない.サイコロを投げて決めてもいいし,他人に決めてもらってもいいからである.しかし,ただ決めればいいという状況は極めて希であろう.決定の結果が将来の自分や家庭,組織,地球に大きな影響を及ぼしかねないからである.ただ単に決めるというのではなく,“よりよい決定をしなければならない”理由がここにある.では,「よりよい意思決定とは,どのようなものなのであろうか?」 この問に答えて,現実の意思決定を少しでも改善するための示唆を生み出そうというところに,意思決定研究の目的と存在理由がある.
われわれ人間なら誰しもが避けて通ることのできない「意思決定」に関して,これまでに得られた知見を踏まえ,世のため人のためになる新たな知見を生み出すことを目標とする.
学習効果
人間や集団・社会の意思決定に関する理解を深めることにより,よりよい意思決定をできるようになる.また,意思決定をよりよくするための支援をできるようになる.
上述の目標を達成する過程で,結論を導き出すための前提や条件,そして論理の筋道を,検証可能な形で示す,という「科学」の方法論を実感としてわかり納得でき自分で活用できるような学習効果をあげる.
概要
『現代社会における意思決定と情報に関する研究』を最も広義のテーマとする.意思決定(decision making)とは,何らかの目的を達成するために複数の実行可能な選択肢の中から最も望ましいものを選択することである.具体的には,職業選択や購買行動などにみられる「個人的意思決定」,集団思考や説得・交渉などを特徴とする「集団的意思決定」,自治体や企業における「組織的意思決定」,ゲ−ム理論に代表されるようにお互いの選択に依存して意思決定の結果が左右される「相互的意思決定」,選挙制度・入試制度や政策決定などにみられる「社会的意思決定」である.これらの意思決定を行う方法は,数理的・情報処理的・実験的・社会調査的のいずれもが可能である.
これらのどの方法を使うにせよ,よりよい意思決定のためには情報が不可欠である.しかし,現実に入手できる情報は不確実・不完備・不完全である.情報の収集・処理・蓄積などには様々なコストがかかるため,情報に無制限にアクセスすることはできず,情報の価値を評価して取捨選択しなければならない.人間の情報処理能力にも限界がある.これらからは何人も逃れることはできない.ここに,意思決定と情報に関する根本的な問いがある.すなわち,「このような情報環境のもとで,われわれは意思決定を如何にしているのか(記述的問い),すべきなのか(規範的問い),アドバイスによって他者の意思決定を改善できるのか(支援的問い)」というものである.
この科目では,各自の問題関心を大切にしながら,それに関連する従来研究の成果を批判的に学び,それを踏まえてこれらの根本的な問いとそれに対する答えの必要十分性を吟味し,現実の世界での実践に結び付く示唆を生み出していきたい.
レベル
学生の関心から出発するという意味では入門的であるが,その関心を吟味して取り上げるテ−マそのものは学問の最先端で問われているという意味で専門的である.
履修資格
いかなるコ−スに所属する学生でも履修可能である.ただし,次の(1)(2)のような学生の参加をこころから期待している.
(1)まず「自分で考え」,それを「他人の考え」と突き合わせ,再び「自分で考え」,投げかえすという知的キャッチボールに,観客としてではなくプレイヤーとして積極的に参加して知的に楽しみたいと思う学生.「上手に参加できる自信はあまりないが,面白そうだから参加してみたいな」という学生は,特に歓迎!
(2)人間や集団・組織・社会の意思決定そのものか,これらの意思決定と情報との関係かに,関心や興味を持てる,あるいは魅力を感じる学生.
この授業の基礎となる科目
社会情報論I,基礎統計学,応用統計学,情報処理演習AまたはB,情報処理AまたはB,基礎数学AまたはB,情報数学,プログラミング言語および演習,データベース論および演習
次ぎに履修が望まれる科目
社会情報論II,プログラミング方法論
関連授業科目その他
経営科学IおよびII
テキスト
,,;学生諸君の関心に基づいて,相談しながら,テキスト等を選定する.テキストは各自で必ず購入すること.
参考書
,,;授業中に適宜紹介する.
形式
授業はゼミナール形式で進める.すなわち,まず,自分が意思決定のどのような問題に興味をもっているのかを各学生に宣言してもらう.次回から,担当者がそれについて学んだ内容を発表し,疑問や課題を提起する.それを受けて全員で建設的に議論する.担当者はここでの意見やコメントを整理し,それと自分でさらに学んだ事とを融合して次回に発表する.この過程を繰り返していく.
教官は学生の発表に対して,文献紹介・整理の仕方・論理構成・今後の方向性などをコメントする.
コンピュ−タは人間の知的活動を助ける超道具なので積極的に活用する.
評価
授業への出席率および貢献度(30点)と,各自が興味をもったテーマを選び,それに関する文献を収集・咀嚼・整理し,解決すべき問いを見つけ,それに答えることを試みるという年度末「ゼミ・レポート」(70点)とで成績をつける.
メッセージ
学生諸君の関心を大切にしたい.「なぜ,それは必要か」,「それで十分か」,「それでどうなるの」を同じ土俵の上で一緒に考えたい.批判的学習に基づく研究的姿勢を身に付け,卒業研究につなげたい.世の中で必要とされている知見を生み出したい.
ゼミ生の受け入れ人数は“6人”を予定している.とにかく,少しでも関心のある学生は,できるだけ早い時期に電子メ−ルでアポイントをとってから,担当者の研究室を訪問されたい.
ゼミについての詳細を知りたい学生は,個別に開催されるゼミ説明会や電子メ−ルを活用して欲しい.
卒業論文一覧
平成11年度1999年度卒業(3期生) |
96601039 |
小林 未央子 |
性別役割分担意識が共依存傾向に及ぼす影響−女性の共依存化傾向と共依存の再生産制− |
96601060 |
竹内 秀樹 |
暗号政策競争をめぐるゲーム理論的分析 |
96601063 |
田中 良枝 |
広告における情報提示順序効果に関する実験的研究−「価格」はいつ見せるべきか?−. |
96601117 |
高草木 路子 |
テレビ番組評価「視聴質」における新しい評価基準の提案 |
96601119 |
二ツ橋 英里 |
情報化を軸にした条件不利地域の活性化 |
96601121 |
松原 孝志 |
待ち行列理論に基づく「ゆとり」を考慮したスケジューリング方式の開発−卒業論文完成までのプロジェクトスケジューリングを例として− |
96601123 |
森 美有紀 |
インターネットを利用した就職支援サービスの現状と課題−大学卒業予定者を対象として行政のサービスと民間のサービスを中心として− 【学会発表】 |
平成10年度1998年度卒業(2期生) |
95601056 |
高橋 香織 |
社会的マッチング理論に基づく新しいゼミ選抜制度の提案−選抜における「過程の公平性」と「結果の安定性」の視点から− |
95601061 |
田中 善朗 |
物質と精神をつなぐもの |
95601086 |
堀田 将史 |
ゼミナール選択における新しい情報環境の構築−学生と教官の両者にとって望ましいゼミナール選択のために− |
95601088 |
本多 哲郎 |
p-q型ゲール・シャプレイ方式のコンピュータ・プログラムの開発と2次選抜を必要としないゼミナール選抜制度のためのシミュレーション |
94601049 |
品川 健 |
エージェント間相互作用による社会的コミュニケーション過程モデルの可能性と有効性 |
94601097 |
松井 智恵 |
高齢化社会における熟年世代の新しい社会参加を支援するためのコンピュータ・ネットワークの性質と内容 |
平成9年度1997年度卒業(1期生) |
94601031 |
北村 美紀 |
青少年問題における「有害情報」規制の目的とその効果 |
94601039 |
黒沢 聡 |
電子投票システムの導入による新しい間接民主制の提案 |
94601054 |
諏訪 博彦 |
効果的な集団討議のための支援方法の構築と評価 -前橋YMCAのリーダー会議を例にして- 【学会発表】 |
94601126 |
高野 奈々衣 |
日本における同居構造のマクロ分析−妻方同居と夫婦家族の混在− |
修士論文一覧
平成11年度1999年度修了(1期生) |
98901011 |
諏訪 博彦 |
電子民主主義の分析枠組みにもとづく電子民主政治における電子討議の検討 【学会発表】 |
98901012 |
西 和一 |
地方公共団体における住民投票制度の設計 |
以上