VI. 明和町アドバンテストビオトープ

VI-1. 調査地概要

 調査地点3は群馬県邑楽郡明和町、アドバンテストR&Dセンタに造成されたアドバンテストビオトープである。アドバンテストビオトープは半導体テスターで知られるアドバンテストが同社の地球環境憲章(1993年1月制定)に基づく環境保全の取り組みの一環として、明和R&Dセンタ敷地内の更地だったところを造成し、2001年4月に完成したもので、国内企業では最大級(面積17000m2)のビオトープとなる。このビオトープは「関東平野の昔ながらの自然を再現」「ビオトープ・ネットワークの形成」「エコトーンの形成」「従業員のいやしの空間の創出」の4つをコンセプトに作られた。「関東平野の昔ながらの自然を再現」とは、以前、関東平野に広がっていた広大な氾濫原、また、失われてしまった水辺、湿性環境、雑木林と空き地の草原などの風景を復元しようというものである。「エコトーンの形成」とは、エコトーンと呼ばれる性質の異なった2つの環境が接する推移帯を創出する水辺のエコトーンを形成することで、多様な生き物の生息場が創出されるのである。「ビオトープ・ネットワークの形成」とは、このR&Dセンタの北側に流れる谷田川をはじめとする周辺の自然環境とのネットワークを形成しようというものである。「従業員のいやしの空間の創出」とは、工場内で働く人々に対して、水と緑の癒しの場となることを目指している。このようにアドバンテストビオトープは単に緑地を創出しようというものではなく、本来の定義にそった姿を目指している。
 完成した当初は、まだ緑も少なく、動物なども見られなかったが、11月の段階では、チュウサギなどが訪れる場としてその姿も順調に推移している。当ビオトープの管理へのアドバイスは、本群馬大学社会情報学部環境科学研究室、石川真一助教授があたっている。月に一回、定期的な調査を行い、ビオトープの対策を検討している。アドバンテストでは、この方針に従い、ビオトープの管理を業者に委託して行っている。2001年度は、帰化植物等の侵入調査を中心に行い、帰化植物の除去等を指示した。

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