結論
本研究では寒冷な水上に生育するオオブタクサが、潜在的には温暖な伊勢崎に生育するオオブタクサと同等の種子生産能力を有しているということが示唆された。また、水上の調査地のオオブタクサと大学構内で栽培したオオブタクサは伊勢崎の調査地のオオブタクサに比べて、同じバイオマスでもつくる種子の数が多い傾向が見られた。オオブタクサの種子は河川増水期に水の力を利用し、下流に拡散していく可能性が考えられるため、水上で生産されたオオブタクサの種子が、水上より温暖な下流へ流されて、より多くの種子を生産することができる個体を出現させる可能性があるということを示唆している。
オオブタクサ種子の発芽実験において、昼15℃夜7℃の低温条件では前橋で採取した種子も水上で採取した種子もほぼ同じ発芽率であったのに対し、昼30℃夜15℃の高温条件では前橋で採取した種子に比べ水上で採取した種子が低い発芽率を記録したことはオオブタクサが寒冷な水上の気候に適応した可能性を示唆し、水上町でのさらなる分布拡大と北上の可能性が危惧される。