概要

 

 外来植物が定着に成功する条件の一つとして、種子発芽の温度依存性、特に低温耐性を挙げることができる。そこで、本研究では帰化植物の中でも種子が販売されている3種の帰化植物(ハナダイコン・ルドベキア・オオキンケイギク)と最近学校でよく栽培されているケナフについて室内で発芽実験を行った。実験に使用した種子は園芸店で販売されているものを使い、昼間の14時間は25℃/夜間の10時間を13℃(25/13℃)・昼間14時間は15℃/夜間の10時間を7℃(15/7℃)・昼間の14時間は10℃/夜間の10時間を6℃(10/6℃)の温度設定をした温度勾配恒温器、冷蔵庫内(4℃)、冷凍1日後の乾燥した種子・冷凍1日後の吸水種子・冷凍12日後の乾燥した種子・冷凍12日後の吸水種子を25/13℃の温度下に置き発芽実験を行った。
 発芽実験の結果では、25/13℃の温度下ではハナダイコン(66%)・ルドベキア(81%)・オオキンケイギク(62%)・ケナフ(61%)すべて発芽率が高かった。15/7℃の温度下ではハナダイコン(25%)とケナフ(33%)は発芽率が低かったが、ルドベキア(83%)とオオキンケイギク(72%)は高い発芽率を示した。10/6℃の温度下ではオオキンケイギク(81.3%)は高い発芽率を示したが、ハナダイコン(10.6%)の発芽率は低く、ケナフ(0%)は発芽が見られなかった。4℃の環境下ではオオキンケイギク(40%)とハナダイコン(4%)の発芽率は低く、ケナフ(0%)は発芽が見られなかった。冷凍1日後でも12日後でも乾燥した種子ならオオキンケイギク(88%)もケナフ(88%)も高い発芽率を示した。しかし、吸水種子はオオキンケイギク(冷凍1日後:5.3%,冷凍12日後:9.3%)もケナフ(冷凍1日後:1.3%,冷凍12日後:1.3%)も低い発芽率を示した。
 群馬県前橋市内で生育が確認された野生のハナダイコンについて生長解析を行った。バイオマスは10月〜11月は増加した。相対成長率 (RGR)は10月〜11月はプラスであった。これは、葉面積比 (LAR)が高く、純同化率 (NAR)がずっとプラスが続いたであった。
 群馬大学構内、及び、前橋市内・宮城村・大胡町・富士見村における分布状況調査を実施した。群馬大学構内ではハナダイコンのみ分布が確認された。前橋市内・宮城村・大胡町・富士見村では計29地点で生育が確認された。このうち、オオキンケイギクは1地点、ルドベキアは5地点、ハナダイコンは23地点で生育が確認された。
 インターネットのホームページ検索により、日本全国の帰化植物の分布を調査した。ハナダイコンは26県、ルドベキアは18県、オオキンケイギクは24県で生育が確認された。
 これらの結果をもとに、帰化危険性を評価し、今後の分布拡大の可能性を検討した。

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