2013年度

研究活動の要旨(2013年度)

情報行動学科

伊藤賢一(理論社会学研究室)

[学術論文]

著者名:伊藤賢一

題名:社会情報過程としての討議デモクラシー

発行年月日:2012年12月31日

掲載誌名:社会情報学

巻数:第1巻2号

頁:37-42

概要:近年注目を集めている討議デモクラシーの議論を社会情報過程として位置づけ,今後の社会情報学を切り開いていく一つの可能性を示したもの。ドイツの社会学者ハーバマスに由来する公共圏的な空間を現実的なものとして構想していく可能性を,フィシュキンによる討論型世論調査(DP)等を参照しつつ論じている。


[学会発表]

発表者名:伊藤賢一

題名:社会情報学の理念によせて

開催年月日:2013年9月15日

発表学会名:2013年社会情報学会(SSI)学会大会

開催場所:早稲田大学

概要:社会情報学会(SSI)将来委員会が企画したワークショップ「WS4 社会情報学・社会情報学会の将来を考える」の登壇者の一人として報告した。社会情報学の理念に関して2つの学会が統合する際に出された疑念に答える形で,今後の学会の方向性について議論したもの。他の登壇者は,櫻井成一郎氏(明治学院大学),岩井淳氏(群馬大学)。


[その他(講演)]

講師名:伊藤賢一

題名:「子どもたちのインターネット利用を考える」

主催:韓国女性青少年メディア協会・麻浦区福祉協議会

開催年月日:2012年10月27日

場所:麻浦福祉会館

概要:韓国女性青少メディア協会の依頼により,「麻浦区 インターネット中毒のない幸せな家族づくり(마포구 인터넷 중독 없는 행복한 가족 만들기)」で行った講演。日本で社会問題している青少年のインターネット利用問題について概説し,日本でとられている対策について解説した。


[その他(講演)]

講師名:伊藤賢一

題名:「インターネットを正しく使おう」

開催年月日:2013年2月14日

場所:前橋市立永明小学校

概要:永明小学校からの依頼でおこなった講演会。「総合的な学習の時間」を利用して,生徒(6年生)と保護者を対象に,子どもたちがインターネットを利用する時の注意点について解説した。


[その他(講演)]

講師名:伊藤賢一

題名:「ネット時代の子どもの心を育てる」

開催年月日:2013年9月12日

場所:群馬県生涯学習センター

概要:群馬県生涯学習センターが実施した平成25年度家庭教育カウンセリング専門講座「子どもの居場所を守る 親や支援者の役割を考える」の一部を担当。受講生は県内の一般市民121名。前半は近年の情報環境の変化と子どもの保護について,後半はオンラインゲーム依存などのインターネットへ嗜癖の問題やその対策について解説した。


[その他(研究会での報告)]

講師名:伊藤賢一

題名:「今日の青少年をめぐるインターネット環境について」

主催:ののいちっ子を育てる市民会議

開催年月日:2012年12月13日

場所:群馬大学社会情報学部

概要:石川県野々市市にある「ののいちっ子を育てる市民会議」が行った「プロジェクトK 先進地調査」の一貫として,群馬大学を訪問し意見交換を行った際の基調報告。近年の青少年をめぐるインターネット環境について概説し,あわせて,イギリス,韓国等の外国の青少年保護対策についても解説したもの。



[その他(書評)]

執筆者名:伊藤賢一

題名:“人間とは何か” 社会学にとっての「究極の問い」に挑む さらなる読書を誘発するシリーズ

掲載紙名:週刊読書人

掲載年月日:2012年10月19日

概要:編集部からの依頼による書評。弘文堂から刊行が始まった「現代社会学ライブラリー」の第1回配本4冊について,一般の読者向けに解説した。とりあげたものは,大澤真幸著『動物的/人間的 ― 1. 社会の起源』,舩橋晴俊著『社会学をいかに学ぶか』,塩原良和著『共に生きる ― 多民族・多文化社会における対話』,柴野京子著『書物の環境論』。とくに大澤の著作を中心に解説した。


[その他(審査員)]

審査員名:伊藤賢一

題名:第4回小中学生新聞感想文コンクール

主催:上毛新聞社

日時:2012年10月26日, 11月23日

場所:上毛新聞社本社

概要:県内の小中学生を対象とした新聞感想文コンクールの審査員を務めた。


[その他(新聞での解説)]

執筆者名:伊藤賢一

題名:消費増税強行の政権に国民失望

掲載紙名:上毛新聞

掲載年月日:2012年12月17日

概要:第46回衆議院議員選挙の結果を受けて,上毛新聞に掲載された識者談話。選挙結果の背景や今後の政治課題についてインタビューに答える形で述べた。

岩井 淳(意思決定支援研究室)

[学会機関誌等への投稿]

著者名:岩井 淳

題名:通信システムにおける「匿名性の損失」の水準測定

発行年月日:2013年2月27日

掲載誌名:信学技法(IEICE Technical Report)(電子情報通信学会)

巻号数:Vol.112, No.457

頁:133-138

概要:通信システムの匿名性水準を評価するためのEdman et al.の尺度設計に関して,筆者は標準化のための分母の計算がシャノン理論の加法性の性質を損なうことを指摘している。本研究では,この分析の延長として「匿名性の損失」の水準を測定する手法を提案した。


[学会等での発表(WS報告)]

報告者名:岩井 淳

報告名「社会情報学・社会情報学会の将来を考える」

開催WS:社会情報学会(SSI)学会大会 ワークショップ

開催年月日:2013年9月16日

開催場所:早稲田大学

概要:社会情報学と社会情報学会の将来的展開について,主として学会運営の観点から報告を行なった。


報告者名:岩井 淳

報告名:「社会的選択理論の情報学的展開の着想」

開催WS:社会情報学会(SSI)学会大会 ワークショップ

開催年月日:2013年9月16日

開催場所:早稲田大学

概要:シャノンの情報理論を組み合わせ,社会的選択理論の枠組みを情報学的に展開する構想について報告を行なった。


[講演]

講師名:岩井 淳

題名:社会的選択の可能性と不可能性~貧困とリスクをめぐる意思決定について

主催者:北陸先端科学技術大学院大学 安心電子社会教育研究センター

開催年月日:2013年1月30日

開催場所:北陸先端科学技術大学院大学

概要:巨大なリスクを伴う意思決定の場面等を例に,社会的選択理論の枠組みの価値と限界について議論した。

河島基弘(比較文化社会学研究室)

[学術論文]

著者名:Motohiro Kawashima

題名:“Law-Enforcing Vigilantes in the Media Era?: An Investigation of Sea Shepherd’s Anti-Whaling Campaign” in Anthropological Studies of Whaling

発行年月日:2013年8月30日

掲載誌名:Senri Ethnological Studies

巻数:84

頁:305-324

概要:環境保護団体のシー・シェパードについて,その運動の軌跡,理念,財政状況,キャンペーン手法などを,主にグリーンピースとの比較の中で考察した。

小竹裕人(公共政策研究室)

[学術論文]

著者名:小竹裕人

題名:市民の政策イメージと合併問題への姿勢形成 ―桐生市みどり市広域住民アンケート調査を事例として―

発行年月日:2013年

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:20

頁:17-32

概要:合併が行われるとそれによって環境に変化が生じる。その変化が政策イメージを形成し次の合併へ向けた姿勢に影響を与える。政策イメージを形成する要因について2011年に行われた桐生広域市民アンケートを用いて検証した。


[社会的活動(委員会等)]

○協働と政策提案に関わるもの

・題名: NPO等活動支援事業運営委員会委員長

 開催年:2012年11月27日

 主催者:群馬県NPOボランティア男女共同参画推進課

・題名:協働推進会議

 開催年:2012年11月2日

 主催者:群馬県NPOボランティア男女共同参画推進課

・題名:協働プラットフォーム意見交換会

 開催年:2013年3月15日

 主催者:群馬県NPOボランティア男女共同参画推進課

・題名:伊勢崎市市民提案型事業選定委員会会長

 開催年:2013年6月22日

 主催者:伊勢崎市市民課

・群馬県地域づくり協働モデル事業成果報告会

 開催年:2013年8月22日

 主催者:群馬県NPOボランティア男女共同参画推進課

・題名:富岡市協働講演会

 開催年:2013年5月24日

 主催者:富岡市議会事務局

・題名:大泉町協働講演会およびシンポジウム

 開催年:2013年7月12日

 主催者:大泉町

・題名:多々良沼・城沼自然再生協議会

 開催年:2013年2月4日

 主催者:群馬県館林土木事務所


○政策評価に関わるもの

・題名:指定管理者選定委員会会長(県営群馬ヘリポート)

 開催年:2013年6月26日

 主催者:群馬県県土整備部交通政策課

・題名:指定管理者評価委員会会長(県営群馬ヘリポート)

 開催年:2013年7月29日

 主催者:群馬県県土整備部交通政策課

・題名:指定管理者評価委員(県営スキー場・キャンプ場)

 開催年:2013年3月28日

 主催者:群馬県産業経済部観光局観光物産課

・題名:行財政改革推進懇談会会長

 開催年:2013年9月20日

 主催者:前橋市行政管理課

・題名:外部評価委員会委員

 開催年:2013年

 主催者:安中市企画課

・題名:行政改革審議会委員

 開催年:2013年2月1日

 主催者:安中市企画課


○その他

・題名:公益認定等審議会委員

 開催年:2013年(月1回)

 主催者:群馬県総務部学事法制課

・題名:コンプライアンス推進委員会委員

 開催年:2013年

 主催者:前橋市行政管理課

・題名:放送番組審議会会長

 開催年:2012年(月1回)

 主催者:群馬テレビ

・題名:安中市総合計画審議会会長

 開催年:~2013年1月

 主催者:安中市企画課


[社会的活動(ワークショップ)]

題名:赤城山振興にかかわるワークショップ

開催年:2010年から現在

主催者:前橋市観光課・AKAGIやる気塾

概要:富士見村が前橋市と合併し,前橋市は新たな観光資源赤城山を市内に持つこととなった。赤城山山頂付近の振興を図るため前橋市と一緒になってワークショップを行い,コーディネーターとして市民ニーズの吸い上げおよび取りまとめを行った。

末松美知子(舞台表象論研究室)

[学会発表]

発表者名:末松美知子

題名:言語的表象にみる日本のシェイクスピア上演の特色
— A|S|I|A (Asian Shakespeare Intercultural Archive)を活用して

開催年月日:2013年10月13日

発表学会名:第51回シェイクスピア学会

開催場所:秋田大学

概要:本発表では,英語以外の言語による上演において視覚表象を偏重する従来の批評とは異なる立場から,背景化していると見なされがちな舞台上の言語的表象にこそ,日本のシェイクスピア上演の特質があると論じた。日本語翻訳の特色ではなく,あくまで,テクストを舞台化する際の劇的形象化に関わる言語表象に焦点をあて,言語的次元における日本のシェイクスピア上演の特質を考察した。

高山利弘(日本文化研究室)

[学術論文]

著者名:高山利弘

題名:平家序章における〈中央〉と〈地方〉の問題―源義親をめぐって―

発行年月日:2013年3月31日

掲載誌名:軍記文学における〈中央〉と〈地方〉に関する多角的研究(科学研究費補助金研究成果報告書:基盤研究(C)課題番号22520197))

頁:63-77

概要:平家物語序章において,本朝の「たけき者」の一人として紹介される源義親は,同時に紹介される平将門・藤原純友・藤原信頼の三人に比べて知名度が低い。にもかかわらず,ここに義親が登場することの意味を,中央と地方の問題として,諸記録の記述をもとに検討した。義親の存在およびその名は,長期にわたって社会を突き動かしていたことが明らかとなった。

森谷健(地域社会学研究室)

[その他・講演]

発表者:森谷 健

題名:郊外の買い物弱者をめぐる諸問題

年月日:2012年12月15日

主催:前橋市教育委員会芳賀公民館

講演会名:地域づくり講座

概要:前橋商工会議所のアンケート調査をもとに前橋市郊外における買い物弱者の状況を解説し,その解決策について問題提起した。


[その他・講演]

発表者:森谷 健

題名:これからの地域づくりに必要なもの―市民活動に注目して―

年月日:2013年2月23日

主催:館林市市民部市民協働課

講演会名:市民活動パワーアップセミナー〜市民活動の可能性

概要:生活様式論と北軽井沢コンソーシアム協議会の事例を用いて,市民活動の重要性を説明した。


[その他・講演]

発表者:森谷 健

題名:世界遺産登録と市民―富岡製糸場をめぐる人々の声―

年月日:2013年9月14日

主催:上毛新聞社

講演会名:TOMIOKA世界遺産会議

概要:富岡市民意識調査および研究室の聞き取り調査から,富岡製糸場に対する市民の意識について論じ,世界遺産登録後の市民活動への期待を述べた。

山内春光(社会倫理研究室)

[その他]

『高校倫理からの哲学2 知るとは』岩波書店(全208頁),平成24年10月刊。

共著

担当部分:「夏目漱石の自己本位」(pp.163-166)。本書は高等学校「倫理」の教科書を出発点に「哲学する」ことへの道案内をめざしたシリーズの第2巻である。担当部分は,夏目漱石における「自己本位」という概念の誕生と展開を概観したコラムである。

編者:直江清隆,越智貢

共編者:山内春光,小林睦,篠澤和久, 関口和男,山田圭一 外6名

情報社会科学科

新井康平(会計情報分析研究室)

[学術論文]

3

著者名:福嶋誠宣・米満洋己・新井康平・梶原武久

題名:経営計画が企業業績に与える影響

発行年月日:2013年3月31日

掲載誌名:管理会計学

巻数:21巻2号

頁:3-21

概要:経営計画の策定方法や内容が,企業業績に影響を与えるのかを経験的に検証した。結果として,ROAに対して,策定目的が外部公開目的であるときには負の,更新方法がローリング方式の場合は正の影響を与えていたことが示された。


著者名:北林孝顕・藤原靖也・福嶋誠宣・新井康平

題名:管理会計研究のエビデンスを統合する:メタ分析の可能性

発行年月日:2013年3月31日

掲載誌名:原価計算研究

巻数:37巻2号

頁:107-116

概要:管理会計においてもメタ分析を適用することの有効性とその実例を示した。具体的には,資本予算に関する過去の実態調査をもとに,資金調達方法の変更が割引率を用いた資本予算の採用に影響することを示した。


著者名:後藤励・新井康平・謝花典子・濱島ちさと

題名:診療所における内視鏡胃がん検診数の決定要因

発行年月日:2013年7月

掲載誌名:日本医療・病院管理学会誌

巻数:50巻3号

頁:25-34

概要:胃がん内視鏡検診の普及要因を明らかにした研究。結果として,人的資源ではなく物的資源が普及を制約する条件となっていたことを示した。


著者名:新井康平・福嶋誠宣

題名:CVP分析に基づく利益予測モデルの経験的検証

発行年月日:2013年9月1日

掲載誌名:会計プログレス

巻数:14号

頁:1-13

概要:コスト情報と売上高情報を用いて利益を予測する際に,CVPモデル,差分モデル,非対称差分モデルなどの方法のいずれが効率的なのかを経験的に検証した。その結果,精度の高さでは差分モデルが,不偏性では非対称差分モデルが優れていることが示された。


著者名:福島一矩・妹尾剛好・新井康平

題名:業績報告形式が意思決定に与える影響

発行年月日:2013年9月1日

掲載誌名:会計プログレス

巻数:14号

頁:40-53

概要:業績報告形式が意思決定に与える影響を明らかにするために,学部学生を被験者としたボーナス配分についての実験室実験を行った。その結果,会計情報の理解において補完的な文字情報や会計的知識が,業績についての理解を促進させることが明らかとなった。


[学会発表]

発表者名:新井康平・服部泰宏

題名:経営学の普及:その現状と規定要因

発表年月日:2013年5月26日

発表学会名:日本情報経営学会第66回大会

開催場所:群馬大学荒牧キャンパス

概要:本調査では,我が国で出版された経営学の教科書についての書誌学的な調査を行い,経営学概念の抽出作業を行った。そして,これら経営学概念について,様々な背景を持つ実践家にウェブサーベイを行い,経営学概念の普及状況を明らかにした。


発表者名:新井康平・大浦啓輔・加登豊

題名:顧客収益性の統計的分析

発表年月日:2013年8月30日

発表学会名:日本原価計算研究学会第39回大会

開催場所:専修大学生田キャンパス

概要:顧客収益性の分析においてHLM(階層線形回帰)が持つ可能性を議論した。シミュレーションデータの解析に基づいて,HLMの実用性を明らかにした。また,ネスト下の種別数の問題という限界についても明らかにした。


発表者名:新井康平・福嶋誠宣・松尾貴巳

題名:CVP 分析の実践的利用へ向けて:集約された会計情報の利用の問題

発表年月日:2013年9月6日

発表学会名:日本会計研究学会第72回大会

開催場所:中部大学春日井キャンパス

概要:固定費の推計を統計的に行うための方法を明らかにするため,なぜ既存のCVP分析では固定費が系統的に過小に推計されるのかを実証的に検討した。分析結果から,利益を調整するための裁量的な支出の存在をコントロールする必要性が示唆された。


発表者名:新井康平・福島一矩・妹尾剛好

題名:報酬決定における順序効果:実験室実験

発表年月日:2013年9月15日

発表学会名:日本管理会計学会2013年度大会

開催場所:立命館大学びわこ・くさつキャンパス

概要:会計情報の提示順によって,主観的な評価が異なることを実験室実験によって検証した。特に,初期に業績が上昇傾向であり,かつ被験者の会計知識が高い場合に初頭効果がはたくことが示された。


発表者名:新井康平・福嶋誠宣・前平秀志・後藤励

題名:患者満足度と従業員満足度の影響要因

発表年月日:2013年9月28日

発表学会名:第51回日本医療・病院管理学会学術総会

開催場所:京都大学吉田キャンパス

概要:患者満足度と従業員満足度に影響をあたえる要因について,それらが支配的なエビデンスなのか,あるいはローカルなエビデンスなのかを質問紙調査によって明らかにした。

石川真一(環境科学第二研究室)

[学術論文]

著者名:石川真一,西村尚之

題名:谷川岳・天神平と一ノ倉の植物相の現状と課題―エコツーリズム展開のための起点として-

発行年月日:2013年3月31日

掲載誌名:谷川岳の自然科学研究

巻数:2

頁:42-46

概要:谷川岳でのエコツーリズムを展開するため,植物相のモニタリング調査の第1回目を行った。2回の植物相調査により,38科113種の植物の生育を確認した。


[著書]

著者名:石川真一,西村尚之,斉藤晋,峯村宏,宍田幸男(編著)他

書名:外来動物の脅威-群馬県における生息・生態・諸影響と防除方法-

発行年月日:2013年3月30日

発行所名:上毛新聞社

頁:84

概要:群馬大学(社会情報学部)および群馬県自然環境調査研究会(会長・斉藤晋・群馬県立女子大学名誉教授)が,群馬県自然環境課の委託により2005〜2007年度に行った調査報告をもとに,さらに群馬大学(社会情報学部)を中心とした県内の共同研究チームが,現地調査と文献調査を発展させた成果をまとめた。群馬県内で分布が急速に拡大している外来動物合計31種を掲載した。


[学会発表]

発表者名:石川真一,高橋美絵,鈴木由希,青木良輔,松田紗依,浦野茜詩,都丸希美,塚越みのり

題名:群馬県内における絶滅危惧植物の緊急保全の例:ビオトープを用いたリスク分散試験開始の報告

発表年月日:2012年10月27日

発表学会名:群馬野外生物学会2012年度大会

開催場所:群馬大学

概要:アドバンテスト・ビオトープは明和町・群馬R&Dセンタ内に2001年竣工した,民間企業所有としては国内最大級のものである。2011年の調査では,在来植物68種,外来植物27種の計95種の生育が確認された。これまでの調査結果も含めると,在来植物種数が安定してきていることが明らかになった。チノー・ビオトープは藤岡市に2010年末竣工し,高崎観音山にあるコナラ民有林から在来植物(コナラほか)と表土を移植し,在来の低地性樹種30種程度を植栽した。池には,前橋・玉村の休耕田および現地に埋没した水田土壌を撒きだしした。2011年の調査では,在来植物89種,外来植物66種の計155種の生育が確認されたが,外来植物の個体数は少なかった。これらのビオトープに,男井戸川遊水池(伊勢崎市に群馬県が造成した。2012年竣工)に工事前に生育していたアサザ(群馬県絶滅危惧IA)を,緊急保全対策として移植した。アサザは2000年の評価では「群馬県内絶滅」とされたが,当地で復活していることが確認され,これを群馬大学社会情報学部・環境科学研究室で保護・増殖したものである。また谷田川産または矢場川産の種子または挿し木から栽培したフジバカマ(群馬県絶滅危惧II類)を,それぞれアドバンテスト・ビオトープまたはチノー・ビオトープに緊急保全対策として移植した。フジバカマは現在群馬県内で5カ所でしか自生が確認できないほど減少している。今後は,移植したアサザとフジバカマのモニタリングも行うことによって,大型のビオトープが地域生態系の再生を実現し,絶滅危惧種の緊急避難場所として絶滅リスク軽減の役割も担えるようにしたい。


発表者名:石川真一,高橋美絵,青木良輔,松田紗依,荒川唯,都丸希美,塚越みのり,浦野茜詩

題名:フジバカマの発芽・生長特性-保全のための生理生態学的解析

発表年月日:2013年3月7日

発表学会名:第60回日本生態学会大会

開催場所:グランシップ静岡

概要:フジバカマは古来より「秋の七草」の一つとして,日本人に親しまれてきた多年草であるが,生育地である河川土手の破壊とコンクリート化により,近年では国・準絶滅危惧種,群馬県・絶滅危惧II類に指定されるまでに減少している。本研究では,本種の保護増殖のため,発芽特性・生長特性の解明を行った。群馬県内で採取した種子を用いた発芽実験により,1ヶ月間以上4℃で冷湿処理すると発芽が促進される可能性があること,発芽の最適温度は10/6℃〜25/13℃(昼╱夜)と幅広く45%程度発芽すること,小さな個体群で生産された種子は発芽率が低いこと,が明らかになった。挿し穂実験では,60%以上が活着したが,根元に近い部分の方が活着率は高かった。実生および栽培2年目の株を相対光量子密度3%,9%,13%,100%の被陰区で栽培したところ,いずれも13%以下の区では相対生長速度が著しく低下した。フジバカマの自生地は土手の上部で日当たりが非常に良く,重量土壌含水率は24%〜34%程度とさほど高くなく,土壌水中の三態合計窒素濃度は47〜72 mg L-1と比較的高かった。フジバカマの保護増殖のためには,実生を育てて遺伝的多様性を高める必要があり,また常に日当たりが良く,土壌窒素濃度の高い環境を維持することが不可欠であるといえる。


[その他(報告書)]

著者名:石川真一,大森威宏,増田和明,安類智仁,小暮市郎,須藤志成幸,谷畑藤男,小林栄一,小池正之

題名:西榛名地域生物多様性モニタリング調査I

発行年月日:2013年3月30日

掲載誌名:群馬県自然環境課「良好な自然環境を有する地域学術調査報告書」

巻数:XXXVIII

頁:123-137

概要:2011年度に行われた群馬県自然環境調査研究会による学術調査の報告書。群馬県西榛名地域において2005-2007年度調査で生育が確認された30種の絶滅危惧・希少植物種の生育・分布状況をモニタリングした。このうち6種について新たな生育地が確認された。さらに,同地域の貴重在来種の受粉を行う昆虫相の一部と,飛来する鳥類相を明らかにした。今後,群馬県の自然環境保護政策の策定・実施の基礎資料となる。筆頭著者として調査・解析・執筆を担当した。


[その他(社会的活動)]

開催者名:石川真一

題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習

開催年月日:2013年4月〜10月各月各1回開催

開催場所:群馬県明和町,群馬県藤岡市

概要:(株)アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町)および(株)チノー藤岡事業所内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い,これに基づいて講習を行った。(株)アドバンテストビオトープ基金および(株)チノービオトープ基金により助成を受けた。


開催者名:石川真一(群馬県自然環境調査研究会)

題名:群馬県生物多様性モニタリング調査試行

開催年月日:2013年4月〜9月(月2回程度)

開催場所:群馬県東吾妻町ほか

概要:群馬県の委託事業である。群馬県野生生物保全条例(仮)の制定と生物多様性モニタリング調査の実施に必要な情報を得るため,ホットスポット内での絶滅危惧植物の分布・個体数・生育立地調査,種子採集を担当した。


開催者名:殖蓮地区自然環境を守る会

題名:男井戸川遊水池(ビオトープ)の育成管理

開催年月日:2013年8月25日

開催場所:殖蓮公民館(伊勢崎)

概要:地域住民対象の講演会。群馬県伊勢崎市殖蓮地区に県が造成した遊水池内のビオトープを育成管理していく方法について,講習を行った。参加者50名。

大野富彦(経営学研究室)

[学術論文等:研究ノート]

著者名:大野富彦

題名:経営における場とそのマネジメントに関する一考察-今後の研究に向けた新たな視角-(査読無)

発行年月日:2013年2月28日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:20

頁:165-174

概要:本稿は,場とそのマネジメントに関して,まず,伊丹の議論をレビューする。そして,伊丹の議論に筆者のこれまでの研究を加えて,場のマネジメントに関する議論を2つの点で拡張し,今後の研究に向けた新たな視角を提示する。すなわち,場には,企業の外やインフォーマルの側面にも存在する可能性があること,経営の場を通じて行動する個人は企業家的に振舞うことの2点が議論され,これらを踏まえたマネジメントのあり方が今後の研究として示される。


著者名:大野富彦

題名:日常の理論とコミュニケーション問題-多様性を前提にした場のマネジメント-(査読有)

発行年月日:2013年3月31日

掲載誌名:『HOSPITALITY』,日本ホスピタリティ・マネジメント学会

巻数:第20号

頁:79-85

概要:本研究は,さまざまな者たちで仕事をしていくことで起こりうる,人の認識に起因する問題を「コミュニケーション問題」として検討していく。この問題は,経営のグローバル化や働き方の変化によって,今日,その複雑性が高まっているといえる。文化,制度,さらに個人個人がたどってきた環境などの違いが,複雑性を高めるもとにあるのである。本研究では,コミュニケーション問題が複雑化していることを,「日常の理論」をもとに,それに先行研究と働き方や企業のスタンスから指摘する。そして,多様性を前提にした場のマネジメントが求められるのではないか,というささやかな主張をする。


[学会発表]

発表者名:大野富彦

題名:市場情報の活用に関する一考察-伊香保温泉旅館のアンケート調査-

発表年月日:2013年5月26日

発表学会名:日本情報経営学会第66回全国大会

開催場所:群馬大学

概要:本稿は,伊香保温泉16旅館に対して行った市場情報活用のアンケート調査報告である。Kohli, Jaworski & Kumar(1993)や嶋口ほか(2008)の研究を参考に,情報把握・情報普及・情報反応に関わる項目からなる市場情報活用のアンケート調査を実施した。調査旅館について,客室稼働率平均値を上回る旅館と下回る旅館の2グループにわけて,稼働率と市場情報活用との関係を分析した。その結果,情報把握と情報普及は両グループに差はないが,情報反応は両グループの間で違いがあり,顧客のニーズや不満などは大方わかっているが,それらにうまく反応できていない旅館がみられることがわかった。


[その他:企業等調査報告資料]

発表者名:大野富彦

題名:伊香保温泉旅館 市場情報の活用に関するアンケート結果

発表年月日:2013年1月

発表先:伊香保温泉旅館協同組合・加盟旅館

概要:平成24年7月から8月にかけて伊香保温泉16旅館に対して市場情報活用のアンケート調査を行った。アンケートは,Kohli, Jaworski & Kumar(1993)や嶋口ほか(2008)の研究を参考に,情報把握・情報普及・情報反応に関わる項目からなる。調査旅館について,客室稼働率平均値を上回る旅館と下回る旅館の2グループにわけて稼働率と市場情報活用との関係を分析した。その結果,情報把握と情報普及は両グループに差はないが,情報反応は両グループの間で違いがあり,顧客のニーズや不満などは大方わかっているが,それらにうまく反応できていない旅館がみられることがわかった。

柿本敏克(社会心理学研究室)

[学術論文]

著者名:Toshikatsu KAKIMOTO

題名:Sense of field reality that makes a group situation real

発行年月日:2012年11月30日

掲載誌名:Japanese Journal of Applied Psychology

巻数:37(Special Edition)

頁:45-51

概要:In two studies, two conditions scoring high and low in the subjective sense of the reality of the situation were compared in terms of theoretically important criteria for a “real” (group) situation: participants’ group identification and “seriousness” about the situation. The sense of the reality of the situation was measured, using a newly developed scale called the Sense of Field Reality (SFR) scale. Study 1 used a SIMINSOC game in which participants scoring high on the scale exhibited significantly more identification with the group than those with low scores, in two self-reported measures. The same pattern was also observed for another measure, though this was statistically marginal. In Study 2, respondents from a university lecture scoring low on the scale exhibited marginally less seriousness about the situation than those with high scores. Both studies imply the theoretical importance of a subjective sense of the reality of a situation for studying intergroup relations.


[学会発表]

発表者名:柿本 敏克

題名:集団成員間のコミュニケーションが集団状況のリアリティ形成に与える影響

発表年月日:2012年11月18日

発表学会名:日本社会心理学会第53回大会

開催場所:つくば国際会議場

概要:仮想世界ゲーム電子版では参加者は個別にパソコン上でゲームに参加するだけで,ゲーム中に他の参加者と顔を合わせることがない。それにも関わらず参加者はリアルな集団状況を経験することが確認されている(柿本・細野・安藤, 2010;柿本・細野, 2010)。本発表では,その集団状況のリアリティがゲーム参加者の間のコミュニケーションによって形成される可能性について, 特に参加者の発話量に注目して検討した。電子版ではゲーム内の相互作用のほぼすべてが記録できるため,その特長を生かし,ゲーム参加者の実際の発話を分析対象とした。


発表者名:松原健太・柿本敏克

題名:食におけるリアリティがリスク情報に基づく信頼性判断に及ぼす影響

発表年月日:2012年11月18日

発表学会名:日本社会心理学会第53回大会

開催場所:つくば国際会議場

概要:リアリティが信頼性判断に及ぼす影響を,食品を対象としてWeb上の実験により検討した。合わせて,食品のリスク情報と食品の種類の影響についても検討した。対象物のリアリティの操作が信頼性判断に及ぼす影響は見られなかったが,回答者の答えたリアリティの度合いが大きいと,信頼性判断も大きくなった。


発表者名:山岡重行・柿本敏克・清水裕

題名:自己制御規範の観点からのセルフ・モニタリング概念の再検討

発表年月日:2012年11月18日

発表学会名:日本社会心理学会第53回大会

開催場所:つくば国際会議場

概要:セルフ・モニタリング傾向が低い低モニターは周囲の期待や状況への関心が薄く,相手や状況,自分の行動の適合性に対する監視が弱く,自分の内面に忠実に行動する傾向が強いとされている。山岡(2008)は,セルフ・モニタリング尺度(岩淵・田中・中里,1982)と3次元自己制御尺度(山岡,2008)との間に有意な正の相関を見出し,低モニターは自己制御が弱いと主張している。本研究は日本語改訂版セルフ・モニタリング尺度(岩淵・水上,2003)を使用し,この問題について検討した。


[その他(報告書)]

編者名:柿本敏克

題名:平成24年度群馬大学社会心理学セミナー報告

発行年月日:2013年 3月

発行所名:群馬大学社会情報学部

総頁数:51

概要:平成24年度に社会情報学部主催で実施された第9回「群馬大学社会心理学セミナー」(浦光博先生)および群馬大学社会心理学研究会主催・社会情報学研究センター共催で実施された第9回群馬大学社会心理学研究小集会(上出寛子先生)の講演録として作成された。

北村 純(行政学研究室)

[学術論文]

著者名:北村 純

題名:稟議制論と文書管理 : 1つの試論として

発表年月日:2013年2月28日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:20

頁:1-16

概要:公文書管理史を理解する上で行政官僚制における稟議制の動態に注目する必要がある。本稿は行政学の分野で稟議制論の代表的研究として知られてきた辻清明(1969)および井上誠一(1981)の論考について検討した。辻・井上の言説の隔たりを考える上で,戦後日本経営学における稟議制研究を参照し,行政学・経営学の稟議制言説の推移を,(a)問題意識,(b)関心の対象,(c)叙述の様態等を比較対照することで,公文書管理改革のなかで提起されてきた稟議制と文書管理(公文書管理)をめぐる諸課題に対して行政史的な論点整理を行うための予備的考察とした。

坂本和靖(計量経済学研究室)

[学術論文]

著者名:坂本和靖

題名:日本における夫妻間の消費・余暇時間の配分の変化とその要因

発行年月日:2012年10月15日

掲載誌名:季刊家計経済研究

巻数:96

頁:47-57

概要:1990年代以降,夫妻間において資源配分(消費・余暇時間)にどのような変化が見られたかを確認する。女性が社会進出し,共働き世帯が増えたものの,世帯内における資源配分の不平等が取りざたされているが,これらが経年的(1990年代~ 2000年代)にどのように変化しているのかを記述統計量を以って確認した。加えて,Collective Model(Chiappori 1998,1992)を基づき,配分を規定する要因について検証を行った。


著者名:坂本和靖

題名:「寿退職」「出産退職」を規定するものはなにか――性別役割分業意識と就業行動

発行年月日:2012年10月29日

掲載誌名:『新たなリスクと社会保障――生涯を通じた支援策の構築』東京大学出版会

頁:169-186.

概要:Occupational Exclusionを起点に,社会規範やIdentityが女性の就労行動に与える影響を計量経済学的に分析した。その結果,性別役割分業意識が高い女性ほど,結婚,出産などのライフイベントを契機に,仕事を辞めてしまい(寿退職,出産退職),継続就業しないことが統計的に確認された。また,性別役割分業意識からみて,結婚・出産前後に整合的な就業選択を行ったかどうかで,幸福感にどのような変化が見られるか確認すると,いずれも,整合的な行動をとったグループの方が,幸福度の減少割合は低く,現状維持者の割合が高かった。


[学会発表]

発表者名:坂本和靖

題名: ダブルシフトは加速したのか?-夫妻間の資源配分の変化―

発表年月日:2013年6月1日

発表学会名:日本人口学会第65回大会

開催場所:札幌市立大学芸術の森キャンパス

概要:1990年代以降,女性の社会進出が一般化し,共働き世帯が増えたものの,世帯内における資源配分(消費・余暇時間)の不平等が取り沙汰されてきた。ここでは,2財の配分がどのように推移しているか,また夫妻間配分の決定に対して,どのような要因が影響しているのかを考察した。
2財の夫妻間における資源配分に対して,互いのBargaining Powerに着目し,夫妻の年齢差や所得比などをDistribution Factorsとして捉え,実際の配分への影響を精査した。その結果,相対的な賃金比(妻/夫)が,相対的消費のみならず,相対的余暇時間に対しても,影響を持ちうるという推計結果が得られた。現状,配分の平均値では,消費・余暇時間ともに,就業している妻への配分が少ない状況にあるが,妻の相対的な賃金が高まることで,資源配分への意思決定に影響し,より多くの自由裁量消費,余暇時間を享受しうる可能性が示唆された。

杉山 学(経営管理研究室)

[学術論文]

著者名:杉山学

題名:データ包絡分析法によるJRと大手私鉄の事業活動効率比較 ― ウィンドー分析の結果に対するローソク足を用いたグラフ化の提案と鉄道各社の比較結果 ―

発行年月日:2013年2月28日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:20

頁:33~48頁

概要:本研究は,国鉄の分割・民営化から約25年が経過し,本当にJRは国鉄時代の事業活動から,大手私鉄並みの事業活動に改善されたかを,データ包絡分析法(DEA : Data Envelopment Analysis)の諸手法を用いて実証的に検証,評価することが目的である。これにより,国鉄の分割・民営化に対する本来の目的が達成されたかを議論でき,一連の政策決定が妥当なものであったかを議論する上で,重要な資料を提示できると考える。第6報である本論文では,JR旅客各社と大手私鉄に関する第2報の論文「データ包絡分析法によるJRと大手私鉄の事業活動効率比較 ― DEA/ウィンドー分析によるJR旅客各社の推移 ―」から第5報の論文「データ包絡分析法によるJRと大手私鉄の事業活動効率比較 ― DEAとInverted DEAのウィンドー分析による大手私鉄各社(在西日本)の推移 ―」の分析結果に対し,総合的な分析・評価の第1段階として,これら鉄道事業者の分析結果を全体的に整理し,考察を行った。そのためにはDEAとInverted DEAに関するウィンドー分析の結果の数値表を,時系列で相対的な要素を取り入れた上で,直感的にわかり易く表現する方法が求められるが,このような既存の方法は皆無である。そこで,本論文では「ローソク足(Candlestick)」という,株価などの相場の値動きを時系列に沿ってグラフとして表す手法を利用して表現することを新たに提案した。すなわち,副題の「ウィンドー分析の結果に対するローソク足を用いたグラフ化の提案と鉄道各社の比較結果」を中心に報告した。


[講演]

講演者名:杉山学

題名:ビジネスプラン策定スキル② ~ 事業構造と競争関係のデザイン ~

開催年月日:2012年12月1日

講演会名:平成24年度 群馬大学公開講座「社会起業家特論(ビジネスプラン策定スキル)」

開催場所:群馬大学社会情報学部

概要:平成24年度 群馬大学公開講座として,「ビジネスプラン策定スキル② ~ 事業構造と競争関係のデザイン ~」という題目の講演を行った。具体的な内容として,ビジネスプラン策定において「決定理論」と「ゲーム理論」の考えを活用した合理的な意思決定を企業活動の例題にて解説を行った。


講演者名:杉山学

題名:金融ビジネスの基礎知識④ ~ 総合評価手法 ~

開催年月日:2013年8月1日

講演会名:平成25年度 群馬大学公開講座「企業・産業分析スキル(金融ビジネスの基礎と実際を知る-産業金融から個人金融まで-)」

開催場所:群馬大学サテライト高崎

概要:平成25年度 群馬大学公開講座として,「金融ビジネスの基礎知識④ ~ 総合評価手法 ~」という題目の講演を行った。具体的な内容として,総合評価をして合理的な意思決定支援を行う階層分析法(Analytic Hierarchy Process : AHP)を,身近な例題の意思決定に用い,合理的に結論を導き出す解説を行った。

西村淑子(行政法研究室)

著者名:西村淑子

題名: 建築制限付土地の収用と補償の価額

発行年月日:2012年10月

掲載誌名:別冊ジュリスト(行政判例百選Ⅱ)

巻号数:

頁:524-525

概要:最高裁昭和48年10月18日判決(民集27巻9号1210頁)は,建築制限等の課せられた土地が収用の対象となった場合,損失補償額の算定にあたって基準とすべき価格について,建築制限等 が課せられたことにより低く評価された価格か,それともそのような制限が課せられていなければ成立したであろう価格かが争われた事案であり,本判決は,土地収用法72条によって補償すべき「相当な価格」とは,被収用地が,建築制限等を受けていないとすれば,裁決時において有するであろうと認められる価格をいうと判示したものである。本稿では,土地収用法72条にいう「相当な価格」の意義について解説し,本判決,最高裁昭和28年12月23日判決(民集7巻13号1523頁)及び最高裁平成14年6月11日判決(民集56巻5号958頁)との関係について検討した。


[学会・研究会等における報告]

報告者:西村淑子

題名:東日本大震災による群馬県内避難者アンケート調査結果報告

開催年月日:2012年12月7日(金)13:00~15:00

報告会名:東日本大震災避難者調査等報告会

開催場所:群馬大学ミューズホール

概要:平成24年度群馬大学地域貢献事業として実施した「東日本大震災による群馬県内避難者調査」の結果を報告し,避難者の状況や必要な支援等について検証した。本調査結果は,避難者聞き取り調査の結果等と併せて「東日本大震災による群馬県内避難者調査等報告書」としてまとめた。

藤井正希(憲法研究室)

[学術論文]

著者名:藤井正希

題名:福島第一原発事故を招いた司法の責任~脱原発をめぐる憲法論

発行年月日:2013年2月28日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:20

頁:49-68

概要:福島原発事故は,被害をもたらし続けており,原発の再稼働の是非が問われている。かかる国民的テーマに対して,国家の最高法規たる憲法の視点を導入し,その対処を論ずることは,非常に有意義なことであり,憲法によって国家権力を正しい方向へ導く途を考えていく。また,司法が憲法的な観点から原発の危険性に警鐘を鳴らしていたならば,この事故は防げたか,被害を軽減することができたはずであり,司法の責任につき判例を検証することによって明らかにする。そして,二度と悲惨な原発事故を繰り返さないための憲法理論として,①人格権,②生存権,③環境権の積極的活用を提唱する。


著者名:藤井正希

題名:憲法改正の必要性を考える~自由民主党の改正草案をもとに

発行年月日:2013年7月15日

掲載誌名:法学館憲法研究所報

巻数:9

頁:43-56

概要:国会においても憲法改正に賛成する勢力が多数となり,憲法の施行以来,かつてないほどに憲法改正論議がマスメディアのみならず一般国民の間においても盛んとなっている。世論調査においても,憲法改正賛成が反対を上回っている。このように,国会における構成の点でも,国民における意識の点でも,憲法改正の実現への下地は整いつつあるように見える。それでは,本当に憲法改正は必要なのか。もし必要ならば,どのように改正するべきか。本稿では,憲法改正が必要とされる典型的な理由を検討し,この点を明らかにしていきたい。その際には,自民党「日本国憲法改正草案」を議論の叩き台としていく。


[論考]

著者名:藤井正希

題名:福島第一原発事故を招いた司法の責任を考える

発行年月日:2013年1月25日

掲載誌名:法学館憲法研究所報

巻数:8

頁:77-80

概要:福島原発事故について裁判官や裁判所の責任を指摘する声は,国民やマスメディアの間からはほとんど聞かれないが,判例を検証する限りその責任は重大であると言わざるをえない。すなわち,原発は安全であるとの行政側の主張を安易に追認し,その危険性を指摘する市民の主張を無視し続けてきたのである。この点は決して忘れられてはならない。電力会社や行政の責任のみならず司法の責任についても徹底的に追及することが,かかる原発事故の再発を防止するために是非とも必要であることを指摘する。


[学会発表]

発表者名:藤井正希

題名:言葉どおりの具体的権利説の成立可能性について

発表年月日:2012年10月6日

発表学会名:日本公法学会第77回総会

開催場所:法政大学

概要:社会的,経済的弱者を救済する最後のセーフティネットたる生活保護制度を強化して実効あらしめる最も端的かつ効果的な手段は,憲法25条1項を直接の根拠に国家に対する金銭や食料等の具体的な給付請求を肯定することである(言葉どおりの具体的権利説)。それでは,日本国憲法上,かかる解釈は果たして可能であろうか。この点,現に「健康で文化的な最低限度の生活」すらも営めていない者が,自助努力を尽くしてもそこから脱出できない場合,憲法25条1項を直接の根拠にして,「健康で文化的な最低限度の生活」に必要不可欠である範囲内の給付を金銭で請求することを認めることに何の不都合もないと考える。本発表では,生存権の法的性質をめぐる従来の学説上の議論を踏まえつつ,かかる法解釈の成立可能性を積極的に論証していく。

前田泰(民法研究室)

[学術論文]

著者名:前田泰

題名:学説・判例にみる親族編・相続編規定の強行法規性

発行年月日:2012年10月1日

掲載誌名:法律時報

巻数:84巻11号

頁:114-118

概要:民法典の親族編の規定につき,強行法規性が学説・判例上論じられる幾つかの場面に加えて,規定と異なる当事者の合意または効力が問題となる場面をさらに選定して,問題となる原因と親族編規定の強行法規性との関係を,まず検討した。次に,相続編の規定につき,強行法規性に直接関係する判例・学説を確認し,さらに,相続法の強行法規性のイメージの基礎となっている法定相続規定と遺留分制度について,その強行法規性の内容と程度を検討した。


著者名:前田泰

題名:意思無能力者に対する貸付けは無効であり,貸付けの返済として受領した金員は不当利得として返還すべきである

発行年月日:2013年3月15日

掲載誌名:現代消費者法

巻数:18号

頁:94-102

概要:パーキンソン病と認知症に罹患した71歳の女性に対して独立行政法人福祉医療機構が行った年金担保貸付を無効と解した判決(平成24年1月23日神戸地裁伊丹支部)を契機として,精神障害を原因とする意思無能力の判定基準を検討した。


[著書]

著者名:前田泰

書名:(共著,椿寿夫編)強行法・任意法でみる民法

発行年月日:2013年3月4日

発行所名:日本評論社

頁:全348

概要:当事者が民法の規定と異なる契約または合意を成立させた場合に,その契約等は民法の規定の適用を排斥するのか,あるいは逆に,民法の規定により契約等の内容が変更されるのかについて,各規定ごとに検討した本書において,「第Ⅳ編 親族・相続」の「[1]概説」,「[3]婚姻の届出要件を満たさない婚姻の効力」,「[10]親権の放棄」,「[15]法定相続規定に反する合意・行為」,「[18]相続放棄規定等に反する合意・行為」および「[20]遺留分を無視した遺言」を担当した。256-258,262-264,284-286,299-301,308-310,314-316頁

松宮 広和(情報法研究室)

[学術論文]

著者名 : 松宮広和

題名 : インターネットの開放性と情報サービス規制

単著

書籍名 : 『競争法の理論と課題-独占禁止法・知的財産法の最前線』根岸哲先生古稀祝賀

出版社名: 有斐閣

編著者名: 川濱昇・泉水文雄・土佐和生・泉克幸・池田千鶴

発行年月日: 2013年9月30日

頁: 539-555

要旨 : 本稿は,我が国の経済法の権威である根岸哲教授の古稀を祝して,経済法・知的財産法等を専門とする41名の研究者が執筆した論文を収録して発行された論文集に所収された。アメリカ合衆国のブロードバンド政策においては,近時の合衆国最高裁判所判決及びFCCによる規制緩和によって,ケーブル・モデム・サービスを含むブロードバンド・インターネット・アクセス・サービスが,連邦通信法第I編のもとで,より緩やかな規制にもとづく情報サービスとして規制されることが確定した。しかし,「ネットワークの中立性」をめぐる議論の活発化とともに,FCCが,情報サービスのプロバイダーに対して,如何なる法的根拠のもとで,如何なる範囲で規制権限を行使し得るかという問題が,顕在化してきた。2010年12月23日,FCCは,当該問題に関連する初めての規則制定である,「インターネットの自由及び開放性の維持を目的とする2010年のFCCの判断」(一般に「オープン・インターネット命令」)を公表した。本稿では,当該命令に関連して,(1) (当該命令が有する)広く認識されている問題(すなわち,特に移動体(の)ブロードバンド・プロバイダーと固定(の)ブロードバンド・プロバイダーとの間に存在する顕著な規制の非対称性,「特殊化されるサービス」(='Specialized Service(s)')に対する規制のあり方,並びにFCCの規制権限の制定法上の根拠),(2) その後の動向(すなわち,複数の通信事業者による連邦控訴裁判所への提訴及び連邦議会における当該命令に対する決議案の採決(下院での可決及び上院での否決)),並びに(3) 将来における課題(すなわち,情報通信産業で,コンテンツ,アプリケーション,サービス及び機器等の多岐に渡る第三者が提供する補完的な商品及び/又は役務を巻き込んで成長していく「エコシステム/生態系」(='ecosystem')が形成され,それらの提供の「鍵となる」「プラットフォーム」(='platform')によって,競争が引き起こされるという今日の状況における,ブロードバンド・サービスの「伝送」(='transmission')の構成要素に対する規制に限定されない,レイヤー型規制の導入(及び/又はアプリケーション層(及び/又はより上位)における規制を可能とする権能の確保)による,より広い情報サービス規制の必要性),を中心に検討等を行った。


[翻訳・編集等]

研究代表者名 : 松宮広和

報告書 : 科研研究題目 「持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究 」(基盤研究(C))(平成24年度)報告書

単独

報告年月日 : 2013年4月

研究支援者: 独立行政法人日本学術振興会

研究期間 : 平成24(2012)年4月-

概要 : 上記の科研研究に,研究代表者として従事している。本研究は,持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究を行うことをその目的とする。具体的には,過去約15年間 ICTの利活用で比類無い成功を収めてきた米国を参考に,(1)通信インフラストラクチャーの更なる整備・更新,(2)アプリケーション層における競争環境の整備,(3)クラウド化及びスマート・グリッド,並びに(4) 公共サービスに関連するICTの利活用,の4つを中心的課題として,前記の目的に貢献し得る成果の獲得を目指す。本研究は,現在の我が国の最大の政策的課題(の1つ)である持続可能な経済成長の実現に,ICTが果たし得る役割についての有用な示唆を提供し得る点に,その意義を有する。平成24(2012)年度は,当該研究題目に関連する研究に従事し,その研究成果の一部を公表した。本報告書は,これらの研究の実施状況について記載したものである。


[研究活動 その他]

研究代表者名 : 松宮広和

科研研究題目 : 「持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究 」(基盤研究(C))(平成24年度-27年度)

単独

研究支援者: 独立行政法人日本学術振興会

研究期間 : 平成24(2012)年4月-

概要 : 上記の科研研究に,研究代表者として従事している。本研究は,持続的な経済成長の促進を可能とするICT利活用のあり方に関する総合的研究を行うことをその目的とする。具体的には,過去約15年間 ICTの利活用で比類無い成功を収めてきた米国を参考に,(1)通信インフラストラクチャーの更なる整備・更新,(2)アプリケーション層における競争環境の整備,(3)クラウド化及びスマート・グリッド,並びに(4) 公共サービスに関連するICTの利活用,の4つを中心的課題として,前記の目的に貢献し得る成果の獲得を目指す。本研究は,現在の我が国の最大の政策的課題(の1つ)である持続可能な経済成長の実現に,ICTが果たし得る役割についての有用な示唆を提供し得る点に,その意義を有する。平成25(2013)年度は,当該研究題目に関連する研究に従事してきた。


研究代表者名 : 松宮広和

研究題目 : 平成24年度公益財団法人電気通信普及財団助成研究題目「モバイル・ブロードバンドの利活用を促進する情報通信政策のあり方に関する研究-周波数利用の更なる拡大及びエコシステム間の事業者間競争を促進する規制的枠組みの構築を中心に-」(平成25年度)

単独

研究支援者: 公益財団法人電気通信普及財団

研究期間 : 平成25(2013)年4月-

概要 : 公益財団法人電気通信普及財団の支援を得て,平成24年度以降前記の研究に,研究代表者として従事してきた。主たる研究対象は,(1) 既存の周波数オークションに限定されない,周波数利用の更なる拡大を促進する規制的枠組みの構築のあり方,及び(2) モバイル・ブロードバンド利用の発展にともなって顕在化してきたエコシステム間の事業者間競争を促進する規制的枠組みの構築のあり方である。平成25(2013)年度は,当該研究題目に関連する研究に従事してきた。