北村 純

北村 純 (きたむら・じゅん)准教授

北村 純 准教授
  • 出身地: 北海道
  • 最終学歴/学位: 国際基督教大学大学院行政学研究科博士後期課程単位取得退学(満期退学)/行政学修士
  • 研究室: 10号館607
  • 所属学会: 日本政治学会, 日本行政学会
  • 専門分野: 行政学, 地方自治論
  • 担当科目: 行政学1・2, 地方自治政策, 政府情報システム論/コモンズの政治学
  • 個人ページ: https://scrapbox.io/parmodule/

現在の研究テーマ

  • デモクラシーと政策形成過程の理論的検討
  • 中央・地方関係(国と地方の関係)の政治・行政研究
  • 政府情報の公開・配布・管理(政府情報システム論)に関する研究

代表的な研究業績

  • 「公文書管理改革の議論過程」『〔年報行政研究44〕変貌する行政 ~ 公共サービス・公務員・行政文書 ~ 』,ぎょうせい,日本行政学会編,2009,pp. 87-108.
  • 「映像作品に描かれた政策過程 ― 『映画の力』をめぐる試論 ― 」『群馬大学社会情報学部研究論集』第16巻,2009,pp. 39-59.
  • 「公共的討議方式の模索」『電子民主主義のジャパン・モデル構築に関する研究』〔平成15~17年度科学研究費補助金 基盤研究(C)(2)研究成果報告書/課題番号:15500154〕,富山慶典(研究代表者),2006,pp. 37-52.

専攻分野・研究内容紹介

制度や政策の「変化を説明する」ことは、政治学や行政学の重要な研究課題です。

行政学には理論と実証の両面から変化を説明するための様々な工夫があります。詳しくは大学の講義やゼミで学ぶこととして、1例として「政策過程の経路を見ていく」というアイデアを紹介します。

地方都市の再生のために、都市機能の集約を図るコンパクトシティのような政策が合理的だと考えられています。しかし「合理的な政策だから、郊外の生活者に中心街に移ってもらおう」と政策決定者が決めれば、その通りになるかというと、なかなかそうなりません。まちの中心にも郊外にも人々の生活があり、合意形成があれば、あるいは政治的な決定をすれば、思い通りに変化がすぐに作り出せるわけではないのです。「今日決めて明日変わる」というのは、よほど条件が揃った場合だけで、まちづくりは10年~30年くらいの長い眼で政策過程を見ないとわからないものなのです。

政策過程がどのように展開してきたか経路を調べる際、政策過程を動かしている様々なプレーヤーを識別し、政策過程を動かしてきた(1)アイデア、(2)利害(利益)、政策の枠組みとなっている(3)制度の3つの次元に着目し、過去の選択がどのように現状に影響を与えているか、見ていきます。成功例を観察すると、人々の協力を通して信頼関係が形成され、信頼関係が新たな協力を生むというような、ある種の創発が生まれてくるとき、面白いまちづくりになってくることがあります。

「人々の合意形成があれば、よいまちづくりができるはずだ」という考えは間違いではないです。しかし、意見が違い利害がせめぎあう人々同士は「公共的な問題だから」という理由だけで、自発的に話し合うことは滅多にありません。政策過程は複雑なコミュニケーション過程でもあるので、過去の選択が現状にどう影響しているか、将来どのような選択が可能か、という視点で政策展開の推移を丹念に見ていくような研究が必要になります。

情報を集めて合理的な意思決定を速やかに行えば、効率的に仕事を進められる。集中的にお金をかければ、すぐにできることがある。強いリーダーが気の合うスタッフを集めて決定をすればうまくいく。・・民間ビジネスの手法で地域の活性化ができる。なるほど、そういう面もありましょうが、政策発展の経路依存性に照らして考察を進めると、政策過程は別の姿を現します。民主主義を土台にしなければ、制度や政策の実質的な改革は難しいことが、よくわかるようになります。「政策発展の経路依存性」は小さなアイデアですが、政策過程を読み解く方法を知って調査を進めると、皆さん自身の研究を通して独自の分析につながるのです。