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講義> 情報処理心理学I 群馬大学 2004年度シラバス <社会情報学部> 情報処理心理学 I 科目コード:2261081050 黒須 俊夫 (クロス トシオ) 単位:2単位 講義日時1:前期 火曜日 ■キーワード 心理学、情報・メディア、情報処理、認知心理学、知覚、記憶、理解 ■授業の目標および期待される学習効果 「情報処理」ということばは、コンピュータ技術の発展にともなって普及してきたものであるが、こうした情報理論も最終的には、人間の情報処理理論に学ばなければならないことが多数あることが指摘されてきている。本講義では、情報処理と言う視点から私たち人間のこころの情報処理過程の特徴について理解することを目的とする。 ■授業の概要 まず、情報理論の基本的考え方について理解し、ついで、こうした視点から大脳の情報処理過程のしくみや問題について考察する。さらに、五感といわれる感覚知覚過程などの感覚モダリティーの特徴について考え、それらを実験をとおして理解を深めていく。 ■授業内容のレベル 初・中級 ■履修資格 ない。 ■この授業の基礎となる科目 心理学、心理学a ■次に履修が望まれる科目 情報行動発達論など ■テキスト/参考書 テキストは使用しない。資料を配付する。 参考書:認知心理学関係、認知科学関係図書。 こころの情報学 西垣通 ちくま新書 ■授業の形式 前半は、人間の情報処理過程についていの講義形式が中心であるが、後半は、実際に実験的に人間の情報処理過程のすばらしさ(と同時に、だらしなさ)について理解する。 ■評価 出席とレポート及び実験報告書によって総合的に判定する。 ■メッセージ 一見してなんでもない事柄にも、実は、とてつもない背景、関連事項があることに気づいてください。 ■オフィスアワー 随時 ■授業の展開 第1回 序論 人間の情報処理過程のしくみと特徴 VTR「知覚」を観て、大脳の情報処理過程について考える。 第2回 情報理論と心の理論 人間の情報処理過程の理解についての一般的モデルを紹介し、認知過程についての理解を深める。 第3回 情報処理過程の本質について 情報処理の本質的過程としての「変換」について、「情報の時間変換」、「情報の空間変換」、「情報の単体変換」、「情報の記号変換」、「情報の意味返還」などの特徴から考える。 第4回 機械の情報処理過程の特徴 情報処理の基本的方法である、1)ディジタル処理、2)アナログ処理の特徴について概述し、情報理論的に見た人間の情報処理能力について、ビット、バイト等の単位を用いた計算を試みる。 第5回 人間の情報処理過程の特徴(皮膚など) 認知過程について考察し、理解する/分かるといった日常的な当たり前の私たちの行為についての理解を深める。 1)感覚・知覚過程 触る・感じる・匂う,etc.のメカニズムについて 第6回 視覚過程と理解過程 1)視覚のメカニズム 見えないのに見える? 2)見ることと分かること 見えるのに見えない? 第7回 大脳の情報処理過程の問題点 1)脳梁切断患者の情報処理過程 2)開眼手術患者のものの理解過程 第8回 認知過程と記憶過程 VTR「記憶」を見て、「記憶」こそ人間を創る根源であることを理解する。 第9回 記憶過程の実際 人間の情報処理過程の根幹をなす、記憶について、幾つかの実験を行い、体験を通して理解する。 1)感覚記憶 2)短期記憶 3)長期記憶 第10回 人間の情報処理過程の実験的理解(1) 第11回 人間の情報処理過程の実験的理解(2) 第12回 人間の情報処理過程の実験的理解(3) これまで概述してきた情報処理過程について、実際に実験的方法をとおして理解する。また、実際に得たデータをもとに各実験結果について報告書にまとめて報告する。 現在、予定してる実験課題は以下のとおり。 課題1 錯視実験:ミュラーリエル錯視における錯視量の検討 課題2 鏡映描写:学習の転移 課題3 知覚の諸問題:図形の反転運動など知覚の不思議にせまる 課題4 大きさの恒常性:遠くのものを小さく見ているか 課題5 早さの知覚:早さについての感覚は一定しいてるか 課題6 触知覚実験:2点弁別閾の変動 課題7 触知覚による図形の理解について 課題8 感覚記憶実験:1秒以内の記憶をさぐる 第13回 実験結果の報告 第14回 人間の情報処理と機械の情報処理(まとめと課題) 第15回 試験にかわるレポート 以上 |
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