中年期における性差別にみる自己開示について
−青年期の子供に対しての開示量−

                             高橋 亜矢

 人は対人場面において、自分の心の中を言語的に、他者に語ろうとすることがある。このような、他者に自分の内的側面を表出する行動は、自己開示と呼ばれる。誰に、どの程度深く、どの程度広い開示を行うかには個人差があり、本研究は、男女差に注目した。
 仮説として、母親は父親と比較した場合子供に対しての開示が高く、対息子より対娘への開示が高くなる。また、個人的な話題の項目では、一般的に自己開示の度合いが低いとされる男性の開示が増す傾向にあり、開示傾向の強い女性は、表面的な開示しか行わなくなる。また、男性同士ということで、男性は息子への開示が高くなると、予想される。以上を仮説として、調査を進めた。
 被験者は青年期の子供を持つ男女、各10名とし、質問の対象者には被験者自身の息子および娘を擧げ、6領域各5項目、計30項目の自己開示質問紙を、本研究用に、作成した。
 結果は、やはり母親の自己開示が息子および娘のすべての領域で父親を上回っていた。また、個人的な話題について、父親に関しては仮説どおりの結果が得られたが、母親に関しては逆の結果であった。子供に対しての個人的話題の開示には、親として必要な教育的意味がこめられているものと解釈する。
 親子間には、相互的な自己開示が重要であり、男女差というよりは、父親としての自己開示、また、母親としての自己開示の役目が存在するのである。