理論社会学 I ・A

前期・金曜・3-4

キーワード

社会学、近代社会、社会的行為、集団、官僚制組織、ゲマインシャフト/ゲゼルシャフト、集合意識、有機的連帯/機械的連帯、マルクス主義、階級、階層、行為の一般理論、社会システム論、機能主義

目標

19世紀にヨーロッパで生まれた社会学は「近代社会の自己認識」として捉えられる。社会学理論の展開にとって、近代性(modernity)をいかなるものとして理解するかという問題は中心的な焦点の一つであった。この講義では近代性の問題を軸に、社会学理論の基本となる概念や枠組みについて学び、私たちがさまざまな社会現象を捉える際の道具として役立つものを構築したい。

概要

近代社会の自己認識としての社会学/ゲマインシャフトとゲゼルシャフト/社会的行為論と理解社会学の方法/官僚制組織/集合意識と儀礼論/マルクス主義と階級社会論/機能主義的社会システム論の展開と問題点

レベル

特に社会学の予備知識は必要としない。高度の内容も含まれるが、分かりやすく解説するつもりである。

履修資格

2年生以上

テキスト

授業を通じて準拠するようなテキストはない。参考文献は授業中に適宜指示する。

参考書

形式

講義形式。

評価

学期末試験の成績によって評価する。

メッセージ

講義内容は展開によって若干変更する可能性がある。分かりやすい説明を心がけるが、学生諸君の方でも積極的に質問や要望を寄せて欲しい。積極的な参加を求める。

展開

第1回 イントロダクション:理論社会学とは何か

社会科学における社会学を位置づけ、この授業のアウトラインを示す。

第2回 社会学の誕生

19世紀に社会学が誕生した意味について考察し、コント、スペンサーらの理論を紹介しながら近代・近代社会の意味、という問いを設定する。

第3回 社会類型と近代性

テンニースの「ゲマインシャフト/ゲゼルシャフト」という概念を採り上げ、近代社会の類型的理解とそれに伴う問題点について解説する。

第4回 社会的事実を物のように扱う

デュルケムが確立しようとした社会学の方法・立場について解説し、彼が『自殺論』で行った社会学的説明について考察する。

第5回 集合意識と儀礼論

デュルケムによる近代社会の特徴、集合意識論・儀礼論について採り上げ、近代社会における分業体制や「人格」の概念について論ずる。

第6回 理解社会学とはどのような方法か

ヴェーバーによって提唱された社会的行為論、理念型という理論的概念について解説し、社会学的分析にとって行為論の持つ意味について述べる。

第7回 相互作用としての社会 ― ジンメルの形式社会学

「形式社会学」というジンメル社会学の方法論的主張についてとりあげ、彼が論じた貨幣経済の本質について議論する。

第8回 社会的行為論から現象学的社会学へ

シュッツによるヴェーバーの行為論批判を採り上げ、行為を論ずる際の方法論的な問題を考察する。また、現象学的社会学の展開について述べる。

第9回 マルクス階級論の射程

マルクスによる近代社会論を解説し、唯物論的な(生産・所有の面からみた)近代社会観と社会批判の成立根拠について解説する。

第10回 マルクス以後の階級/階層論

マルクス以降の階級/階層論について紹介し、階級/階層研究のリアリティについて考察する。

第11回 西欧マルクス主義の社会理論

グラムシやルカーチによって展開されたマルクス主義的なイデオロギー論について解説し、これらが今日の文化研究に対して与えている影響を論ずる。

第12回 パーソンズ社会学の展開(1)

パーソンズによる行為の一般理論、機能主義的な社会システム理論について解説し、それ以前の社会学理論をいかにして統合しようとしたのか検討する。

第13回 パーソンズ社会学の展開(2)

パーソンズによる近代化理論を解説し、パターン変数や社会進化の概念で彼が描いた近代社会の特徴について理解する。

第14回 パーソンズ社会理論の問題点

マートンやミルズ、ガーフィンケル等によるパーソンズ批判を採り上げ、パーソンズ理論における近代理解の限界について考える。

第15回 試験

講義内容に関する試験を実施する。

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