〔ゲーム依存ワークショップはおかげさまで無事に終了しました。参加されたみなさん、ありがとうございました〕

ワークショップ当日の模様
(当日の様子 2012年9月16日・群馬大荒牧キャンパス)



【お知らせ】

社会情報学会(SSI)2012年学会大会ワークショップWS5

ゲーム依存症の対策を考える

本ワークショップの趣旨

情報環境が整備され,いつでもどこでもインターネットにつながっている現代社会の状況は,大きな利便性をもたらすと同時に,新たな問題を発生させています。その一つがネット依存,とりわけオンラインゲームへの依存の問題です。コンピューターゲームは,登場した当時から長時間利用が問題視されていましたが,オンラインゲームの登場以降は問題性の構造そのものが変わってきている可能性があります。

青少年がひと月に数十万円もの料金を課金されている実態が問題視され,消費者庁が動くことになったソーシャルゲーム(コンプリートガチャ)の問題は記憶に新しいところですが,わが国におけるゲーム依存の実態はまだまだわかっていない部分が多くあります。韓国や中国ではオンラインゲームを長時間続けた結果本人が死亡したり,子どもを死なせたりする事件が報道され,社会問題にもなっています。本ワークショップは,各方面でこの問題に取り組んでおられる研究者・専門家をお呼びして,わが国におけるゲーム利用/ゲーム依存の現状を確認し,どのような対策が必要なのかを探究する試みです。

登壇していただくのは,国内で初めてネット依存治療部門(TIAR: Treatment of Internet Addiction and Research)を設けて治療と研究を進めておられる久里浜医療センターの三原聡子臨床心理士,青少年のネット利用の問題に積極的に向き合ってこられた高崎市教育委員会の伊藤洋一社会教育主事,ネット依存/ゲーム依存を研究しておられる東京大学の堀川裕介先生,同じく愛知工業大学の大嶋啓太郎先生です。



プログラム

1. 基調講演 1 「わが国のインターネット嗜癖の実態と特徴」〔14:05−14:40〕

三原聡子, 中山秀紀, 前園真樹, 橋本琢磨, 越野仁美, 北村大史, 樋口進 (独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター)

我々は,2008年,層化2段無作為抽出方法により,わが国の成人人口から抽出した7,500名を対象とし,IAT(Young, 1998)を用いて実態調査を行なった。その結果,成人のネット嗜癖傾向者は270万人におよぶと推計した。さらに,2011年,18歳以上の男女5,000人を対象とし,ネット上で行った調査から,ネット嗜癖は抑うつ傾向や自殺傾向とも関連が深いことが示唆され,ネット嗜癖の疾患概念と有効な治療法の確立が急務であると思われた。このような現状を踏まえ,当センターは2011年7月より,ネット依存専門治療を開始した。当日は,実際の事例の報告も踏まえ,わが国のネット嗜癖の実態と特徴について報告したい。

キーワード: インターネット, 嗜癖, 健康問題

2. 基調講演 2 「ゲーム/ネット依存のリスク要因の分析〜東京大学・橋元研調査より〜」〔14:40−15:10〕

堀川裕介(東京大学)

東京大学大学院情報学環・橋元研究室(代表:橋元良明)では,2010年から2011年にかけて,各種対象に5件のアンケート調査と1件のインタビュー調査を行い,IADQ(Young, 1998)に基づく「ネット依存者」の実態把握を行った。このうち3件(対象はオンラインゲームユーザー,一般のネット利用者,一般の中学生)ではパネル調査を実施しており,ゲーム/ネット依存の原因や依存による影響について因果的な検証も行っている。本発表ではこれらのパネル調査データに基づいた依存の原因となるリスク要因についての分析を主に紹介し,ゲームやネットに依存する背景は何か,どのように対処していけばよい か参加者とともに考察を深めたい。

キーワード: ゲーム依存,ネット依存,リスク要因,パネル調査

3. 報告 「オンラインゲーム依存の実態について」〔15:10−15:25〕

大嶋啓太郎(愛知工業大学)

近年,我が国のオンラインゲーム産業は一大産業となり,隆盛を極めている。

その一方で,オンラインゲームの普及に伴い,オンラインゲーム依存が問題視され始めてきている。著者自身MMORPG,ソーシャルゲーム,ブラウザゲームのプレイ経験を有している。本発表では,4年間近く極めて熱中度の高いプレイをしていたMMORPGでの体験談を中心に,ゲーマーの実像,また,ゲームに集約されたビジネスモデルの実態を述べる。これに加えて,オンラインゲーム依存,ならびにオンラインゲームそのものに関する著者自身の考えを整理して示す。また,これらに関する指導教授の考えも併せて呈示したい。

4. コメント 「教育関係者の立場から」〔15:25−15:35〕

伊藤洋一(高崎市教育委員会)

5. パネルディスカッション 〔15:35−16:00〕


司会: 伊藤賢一(群馬大学社会情報学部)

TOPへ戻る社会情報学部のページ群馬大学のページ