「過半数代表」について知っておきたいこと

 

 ぐんだいタウン 法人化問題特集号 8  2004.1.9発行

  群馬大学教職員組合(ご意見をお寄せください)

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Q 「過半数代表」って何ですか。就業規則と関係があるのですか。

 

群馬大学当局は、法人化後の群馬大学教職員の労働条件を定める就業規則と諸規程(以下では、単に「就業規則」と書きます)の作成をすすめています。労働基準法では事業場ごとに就業規則を作成することとされているので、群馬大学の場合は、荒牧地区、昭和地区、桐生地区、若宮地区(附属小学校・養護学校・幼稚園)、下沖地区(附属中学校)の5か所でそれぞれ就業規則を定める必要があります。ただし、大学当局は、5か所で別々の就業規則を作るのではなく、同一内容の就業規則(どの事業場でも使える包括的なもの)を各事業場について作る方針だそうです。

 

ところで、就業規則は使用者=大学当局の作るものですが、その作成・変更に際しては「過半数代表」(その事業場の労働者=教職員の過半数を代表する組合か、そのような組合がない場合には過半数を代表する者)の意見を聴くことが法律上の義務です。私たち群馬大学教職員組合は、各事業場の過半数の教職員が組合員となることを目指して努力していますが、残念ながらまだ実現できていません。そこで、5事業場のそれぞれで「過半数を代表する者」が選ばれることが、大学当局にとって必要となっています。教職員の意見を反映させるために「過半数代表」がいる必要があるのですから、「過半数代表」は自主的・民主的に選出されなければならず、大学当局が選ぶことはできません。

 

Q 「過半数代表」の役割はほかにもあるのですか。

 

 使用者(大学当局)と教職員との間で結ばれる労使協定の労働者側の当事者となる、という役割があります。労働基準法は、12の場面で、労使協定締結を条件として労働基準法の原則についての例外などを認めています。育児休業・介護休業法も、休業の対象外となる労働者の範囲の決定を労使協定に委ねています。ほかには、安全衛生委員を推薦するという役割もあります。

 

労使協定の代表的なものに、残業(時間外労働と休日労働)についての労使協定があります(労働基準法36条が定めているので、「36(サブロク)協定」と呼ぶことがあります)。1週間に40時間以内、1日に8時間以内。これが、労働基準法の定める労働時間の原則です。この原則に反して残業させるには、使用者は「過半数代表」との間で「36協定」を結ばなければなりません。残業代を払わないことはもちろん違法ですが、払ったとしても「36協定」なしに残業させると違法となります。労働者側に「36協定」のような労使協定を結ぶ義務はありません。残業させたい使用者が、「過半数代表」の同意を得て「36協定」を結ばなければならないのです。ですから、「過半数代表」は、「36協定」の締結に応じないことや「36協定」の中に残業時間の上限を厳しく定めさせることで、長時間労働に歯止めをかけることができます。

 

また、計画年休といって、年休のうちの5日を超える部分は、各教職員の年休日を予め労使協定で決めることが認められています。職場によっては、年休消化に役立てることもできるでしょう。このほかには、貯蓄金の管理、賃金の一部控除、最長1か月を単位とする変形労働時間制、フレックスタイム制、最長1年を単位とする変形労働時間制、1週間を単位とする変形労働時間制、一斉でない休憩時間付与、事業場外労働についての労働時間みなし制、裁量労働制、年休中の賃金の標準報酬日額での支払いについて、労使協定があります。

 

Q 「過半数代表」の選び方について、組合はどう考えているのですか。

 

 組合では、1215日に、下に掲げるような「過半数代表者選出方法についての提案」を当局に提出し、これに即して選出を行なうよう申し入れました。

 

 組合の提案のポイントは、(1)同一事業場内においても各職場・各職層で働き方や待遇が大きく異なるので、各職場・各階層の教職員の意見を反映することが必要だ、(2)法律上「過半数代表者」は各事業場にひとりだけだから互選で選ぶ必要があるが、その人にすべてを委ねるではなく合議制の委員会を設けてそこで議論することが適切だ、といった点にあります。

 

過半数代表選出方法についての

提案(群馬大学教職員組合)

 

1 群馬大学における就業規則及び労使協定について検討するため、「群馬大学教職員代表委員会(仮称)を設置する。

2 1の委員会の委員は、教職員の選挙によって選出する。

3 1の委員会の委員の数と選挙の区分については、各職場・各職層の代表者が選出できるように設定する。

4 2の選挙に際しては、自薦・他薦による候補者を募るものとする。

5 2の選挙の選挙権者はすべての教職員とし、被選挙権者は選挙権者から管理職・人事担当者を除いた者とする。

6 2の選挙に際しては、公示から投票までに十分な期間をおくこととする。

7 1の委員会の委員の任期は1年とし、年度末に改選する。ただし、再任を妨げない。なお、03年度中に発足した委員会の委員の任期は04年度末までとする。

8 1の委員会は、事業場ごとに当該事業場で選出された委員の互選により、事業場代表委員各1名を選出し、その者が法律上の過半数代表となる。

9 事業場代表委員は、1の委員会の検討結果を尊重して過半数代表としての任務を果たす。

10 2の選挙の事務は1の委員会が設置する選挙管理委員会が行う。ただし、初回の選挙監理委員会は群馬大学教職員組合の推薦する者2名と群馬大学事務局職員2名とで構成する。

 Q 「過半数代表」の選び方について、大学当局はどう考えているのですか。

 

12月15日に組合と会見した際に、大学当局は12月11日の法人化対策本部で決定したという案を提示しました。そこでは、「参考例」として、各地区で部局・職層ごとに選出する代表者数、選出された代表者により事業場の代表者を選出し過半数代表者候補者とすること、過半数代表者候補者についての異議申立期間を1週間設けて過半数の異議がないときはその者を過半数代表者とすること等が述べられていました。

 

  その後の組合とのやりとりの中で、大学当局は、(1)「参考例」のポイントは委員会方式をとることにあり、代表者数は各事業場で決めてよい、(2) 立候補者が出ない場合でも管理職が提案して選出するようなことは好ましくない、といったことを認めました。この結果、大学当局の考え方は、組合の提案に近づいてきました。

 

Q 実際には、どうなるのでしょう。

 

各事業場で、組合と当局との話し合いが行なわれ、選挙等の民主的な方法で代表委員を選出し、委員の互選で「過半数代表者」を決定することになりました。

 

こうして代表委員に選ばれた方が、各職場・職層の声を届けることになります。委員の互選で選ばれる「過半数代表者」にまかせきりにすることなく、ひとりひとりの代表委員が各職場・職層の意見を汲み上げて委員会にもっていくことが必要です。そして、そのためには、みんなで意見を出し合うことが望まれます。そうしてこそ、教職員の声を労働条件に反映させることができるのです。

 

教職員のみなさん、代表委員の選出に参加するとともに、選ばれた代表委員に意見を届けて、労働条件を改善しましょう。