自由集会「生態学者よ、街に出よ!Part3 企業がまもる生物多様性」

日時:2006年3月25日(土)18:00-20:00
講演会場:新潟コンベンションセンター(朱鷺メッセ)
     新潟市万代島6番1号
企画責任者:石川真一(群馬大・社会情報)・足立直樹(CSR経営研)・
可知直毅(首都大・都市教養)

<概要>

 近年、企業による「生物多様性」保全活動が急速に拡大している。本来企業活動は生物多様性に大きく依存し、また生物多様性に与える影響が大きい。先進的な欧州企業は環境保護NGOと提携して、世界各地で生物多様性の保全活動を展開している。日本でも、企業内での環境配慮だけでなく、企業の外側の自然環境、特に生物多様性の保全を、環境経営の一環として真剣に取り組む企業が現れている。
 本集会では、企業の担当者から企業による保全活動の現状、生物多様性に着目している理由と目的等をご紹介いただき、生態学会員の皆さんと、企業による生物多様性保全に関する学術的および実行上の課題について情報・意見交換を行う。これにより、企業と研究現場の相互理解、相互扶助関係を深めたい。

(各講演の概略)

趣旨説明:足立直樹(株式会社CSR経営研究所)

講演1:企業の思いを“自然再生”に結びつける”協働”
菊池玲奈(東大・保全生態学研究室、株式会社アレフ・環境保全チーム)

「生物多様性の保全」は、多くの企業が掲げる「持続可能な社会の実現」をお題目で終わらせないためのキーワードである。生活や企業活動を通じて主体的に人々が役割を担うシステム構築にむけた「協働」の重要性、および実践例を紹介する。

講演2:リコー森林生態系保全の取組み
岸 和幸(株式会社リコー・社会環境本部)

リコーの環境経営の考え方と取組み、生態系保全と生物多様性保全への取組み、森林生態系保全プロジェクトの紹介、リコー環境ボランテイアリーダー養成プログラムの紹介を行う。

講演3:サラヤのCSRとしての環境保全活動
中西宣夫(サラヤ株式会社)

サラヤはボルネオでの環境保全事業支援として、現地野生生物局、国際NGOと協力する形でボルネオ環境保全基金の設立に乗りだした。現地で進む熱帯雨林の消失、生物多様性の減少の原因の一つは、日本人の生活の中でも多用されているパーム油生産のための、アブラヤシプランテーションの拡大である。今後は広く他の企業や一般の消費者に呼びかけ、ボルネオ環境保全基金活動を大きな潮流にかえて熱帯雨林の保護、生物多様性の保全に貢献することをめざしている。