結  論

 本研究により、寒冷な水上に生育するオオブタクサは、温暖な伊勢崎に生息するオオブタクサと比べて、潜在的には同等かそれ以上の生長速度を有することが確認された。

 また、水上と伊勢崎の現地でのオオブタクサ個体サイズの差は、気温条件の違いだけでなく、硝酸態窒素の濃度差にも起因する可能性が示唆された。さらに、オオブタクサは硝酸態窒素を好み、アンモニア態窒素を嫌う傾向があるが、アンモニア耐性を獲得する適応的進化が水上において生じている可能性もみいだされた。

 よって、今後オオブタクサが、硝酸態窒素濃度の比較的多い内陸部へ侵入・拡大することと、さらに分布域をアンモニア態窒素の多い立地に拡大してゆくことが危惧される。
 ハナダイコンについては、生存・生長における限界光強度度が、相対光量子密度で9%程度と判定された。このことから、ハナダイコンは比較的広い光強度下で生息が可能で、今後も分布を拡大する可能性が高いといえる。しかし、林床など暗い立地に侵入する可能性は低いと考えられる。

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