2002年度における教育研究活動の要旨 (2001年11月〜2002年10月) 石 川  真 一


[著書]
著者名:高宮建一郎、寺島一郎、彦坂幸毅、石川真一他(6項目担当)
題名:光合成事典
発行年月日:2003年11月(発行が遅れた)
発行元:学会出版センター

要旨:生物生産の基礎である植物の光合成に関する、日本で初めて発行される事典である。約2600項目のうち、6項目(塩湿地植生、塩生草原、乾性形態、子葉、生態学的ピラミッド、地質時代と地球環境)を担当した。
になった。次に、海岸砂丘においてC3,C4という異なる光合成系を持った植物の光合成・蒸散特性を計測した。その結果、砂丘におけるC3植物(コウボウムギ,ハマヒルガオ)の光合成速度は、温室で育てたものの値よりも低かった。これは、コウボウムギの葉温(35℃前後)が最適温度(30℃)を越えていたこと,ハマヒルガオの葉コンダクタンス(gl)が著しく低い、すなわち乾燥や高温等で気孔が閉じていることに起因すると考えられた。これに対してC4植物であるケカモノハシは、砂丘においても高い光合成速度を保持していた。このように、光合成型の違いは野外における光合成活性に大きく影響することが明らかになった。


[その他著作]
(報告書)
著書名:石川真一、三上紘一、中田吉郎
題名:大学初年次における体験型の自然科学系授業方法・カリキュラムの確立
掲載誌名:平成13年度年度文部科学省教養教育改善特別事業報告書
発行年月日:2002年3月
総頁数:67ページ
要旨:平成13年度年度文部科学省教養教育改善特別事業による。自然環境教育における教材の活用方法の検討、総合科目「エネルギーとエントロピー」における教材の活用、および初年次の少人数教育(半期)における動物実験について、授業で新しい教授方法を実践し、その後学生アンケート・レポートを作成してもらい、その結果を解析した。初年次における自然科学系の、体験型の授業・野外実習の確立に必要な教材、実習地を群馬県内を中心に探索し、現地調査によってそれらの特性分析や学問上の重要性、教材適性、安全性等が明らかになり、これらをもとに授業方法・カリキュラムの再検討を行うこととなった。

(評論)
著者名:石川真一
題名:クローン構想は、ミームの夢を見るか?
掲載誌名:群馬評論
巻数:89
頁:51-55
発行年月日:2002年1月
 クローン構想のかかえる生物学的諸問題、誤解、そして倫理学的問題について概説した。また、これらの観点から、「クローン人間」構想自体が、人間の精神・文化を豊かにするものではなく、むしろ破壊的な影響を及ぼすことを明らかにした。

著者名:石川真一
題名:「環境の世紀」にやってきた環境科学教育の危機
掲載誌名:群馬評論
巻数:92
頁:69-73
発行年月日:2002年10月
要旨:環境開発サミットの開催を受けて、この10年間の地球環境改善が必ずしもうまくいかなかった原因として、各国の環境科学教育・研究における問題点をあげ、論説した。大学における研究至上主義、教育の現場と研究分野との連携不足、そして、教育研究ネットワークを破壊する国立大学法人化の3点について、現状分析と改善策の提言を行った。


[学会等での発表]
発表者名:石川真一、吉井弘昭(現・群馬県警)、高橋和雄(現・新潟県警)
題名:巨大帰化植物オオブタクサの利根川中・上流域における分布とその拡大要因
学会名:日本生態学会第49回大会
発表年月日:2002年3月
開催場所:宮城・東北大学
要旨:オオブタクサは巨大な草丈と高個体数密度により、侵入地の植物の種多様性を低下させ、人間のアクセスに障害をきたし、花粉症の原因になる帰化植物である。群馬県内の利根川流域で現在の状況の確認、今後の分布拡大可能性の推定、侵入・分布拡大の要因のスクリーニングを行った。31群落が確認され、最北端は水上町北部で、最大の群落は板倉町千津井で4kmにわたって合計約690万本ものオオブタクサが生育し、約17億個の種子を生産していた。オオブタクサの最大サイズは、草丈で4mであった。大きな群落のほとんどは、採石場とその付近の砂利道・工事現場など、人間の手が入った場所で確認された。

発表者名:石川真一、吉井弘昭(現・群馬県警)、高橋和雄(現・新潟県警)
題名:Ecophysiological traits and distribution pattern of an invasive annual plant, Ambrosia trifida, along the upper stream of Tone Liver, Japan
学会名:第8回国際生態学会
発表年月日:2002年8月
開催場所:韓国・ソウル
要旨:The distribution pattern of a vigorous invasive plant, Ambrosia trifida along the upper stream of Tone Liver, Central Japan, were researched and its life history traits were investigated to clarify the reason why it is spreading and invading so large area. Field research revealed there already 31 large populations are established within Gunma Prefecture and, at the most, over 17 billions of seeds were produced annually in each of the populations. Growth analysis proposed that the relative growth rate (RGR) in the main growth period is independent of the air temperatures in the sites and the individual biomass and seed production depend on the germination day. Seed germination at 15/7 C (day/night) was always higher than that at 30/15 C.


[社会的活動]

開催者名:石川真一、西村淑子
題名:教養教育合宿実習「群馬県本白根山の自然環境の成り立ちと保全」
開催年月日:2002年7月6日〜7日
開催場所:群馬県草津町
要旨:群馬大学学生を対象とし、草津白根山の自然環境資源としての重要性や、周辺地域の産業がいかに自然環境資源をうまく利用して成り立っているか、またそのための法律の体系を体験する実習。

開催者名:石川真一、三上紘一、下田博次
題名:自然体験実習「ぐんまで学ぶ地球のしくみ・生き物のくらし」
開催年月日:2002年11月3日〜4日
開催場所:群馬大学荒牧キャンパス
要旨:文部科学省大学等地域解放特別事業『大学Jr.サイエンス』による助成を受けて行ったもので、地球と生き物のしくみと自然とのつきあい方を、実体験を通じて学ぶことを目的としたものである。両日とも群馬県内の小中学生45名および保護者・ボランティア10名余の、多数の参加があった。

開催者名:石川真一
題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習
開催年月日:2002年4月〜月一回開催
開催場所:群馬県明和町
要旨:(株)アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町)内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い、これに基づいて講習を行った。(株)アドバンテストビオトープ基金により助成を受けた。