2001年度における教育研究活動の要旨 (2000年11月〜2001年10月) 石 川  真 一


[学会機関誌等への投稿]

著者名:石川真一
題名:本白根山空釜における植物の垂直分布の逆転現象
掲載誌名:シンポジウム「草津白根山系の植生・菌類・地質」プロシーディング集
発行年月日:2001年3月
頁:9〜15
要旨:草津本白根山の空釜では、本来植物分布の限界高度に分布する地衣・コケ類が標高の低い底部に分布し、本来は標高の低いところに分布するダケカンバやシラビソが、標高の高い壁面上部に分布するという、植生垂直分布の逆転現象が起こっている。本研究では、この原因を環境測定により解析した。その結果、1)温度勾配の存在。冬期に中腹の温度が高く、夏期に底部の気温が高い 2)底部土壌は未熟すぎ、また含水率が高いので高木種の生育に不向き 3)周辺崩壊地からの土砂の流入により、底部には亜高山性草原しか成立できない の3点が明らかになった。

著者名:石川真一、野村哲
題名:本白根山登山道付近の植物と登山道の崩壊・拡大
掲載誌名:シンポジウム「草津白根山系の植生・菌類・地質」プロシーディング集
発行年月日:2001年3月
頁:23〜26
要旨:草津本白根山には近年、コマクサなど高山植物見物の観光客が多数来訪するようになった。これに伴い、登山道が拡大・崩壊している箇所が随所に見られるようになった。本研究ではその現状と周辺に生育する植物相を調査し、8カ所の緊急対策を必要とする登山道崩壊・植生破壊地点を特定した。


[その他著作]
(報告書)
著者名:野村哲、石川真一、徳増征二、阿部淳一、田村憲司
題名:火山地域の地形景観と植生景観の協調的保全方法の確立のための基礎的研究
掲載誌名:文部省(現・文部科学省)科学研究費補助金 基盤研究(C)(課題番号 11680525)(平成11年度〜平成12年度)研究成果報告書
発行年月日:2001年3月
総頁:71
要旨:日本を代表する自然景観のひとつである火山地域の地形、およびそこに特異的に成立する植物群集を、共に保全し未来に残すために必要な基礎的な知見を確立することを目的として、地質、土壌、植物、菌類の各分野の研究者が同一地域で共同研究を行った。こうした異分野の組織的共同研究により、火山地形(構造土、爆裂火口)と植物の分布、土壌菌類(リター分解菌、菌根菌)相、土壌生成過程の相互関係を解析した。また、近年火山地域においては、人間活動(観光や自然保護運動)が活発化しており、これらの自然景観に対する直接影響も一部であるが解明した。なお、本報告書は2001年3月5日に群馬大学社会情報学部環境科学研究室において開催したシンポジウム「草津白根山系の植生・菌類・地質」のプロシーディング集も兼ねることとした。

(評論)
著者名:石川真一
題名:「地球環境時代」を生きのびる
掲載誌名:群馬評論
発行年月日:2001年1月
巻数: 85
頁:16〜17
要旨:21世紀における科学技術上の最重要課題として、「環境」「バイオ」「情報」がクローズアップされている。3つの最重要課題は、いずれもグローバルで根元的な性質を持つため、21世紀を「地球環境時代」と称して、地球環境保全の重要性を解説・論評した。二酸化炭素吸収源としての森林の機能とその保全の重要性の根拠を概説し、また3つの最重要課題に対応した群馬大学の役割について言及した。


[学会等での発表]

発表者名:石川真一
題名:空釜内の植生”逆”垂直分布と気温の関係
学会名(講演会名):シンポジウム「草津白根山系の植生・菌類・地質」
発表年月日:2001年3月5日
開催場所:群馬・群馬大学
要旨:草津本白根山の空釜では、本来植物分布の限界高度に分布する地衣・コケ類が標高の低い底部に分布し、本来は標高の低いところに分布するダケカンバやシラビソが、標高の高い壁面上部に分布するという、植生垂直分布の逆転現象が起こっている。本研究では、この原因を環境測定により解析した。その結果、温度勾配の存在。冬期に中腹の温度が高く、夏期に底部の気温が高いことが原因の一つとして示唆された。

発表者名:石川真一、野村哲、徳増征二、田村憲司、阿部淳一
題名:草津本白根山山頂付近の植生パターンとその生成要因
学会名(講演会名):日本生態学会第48回大会
発表年月日:2001年3月28日
開催場所:熊本・熊本県立大学
要旨:上信越高原国立公園内に位置する空釜は草津本白根山(標高2165m)山頂直下の爆裂火口で、この火口壁では、標高の高いところには主としてダケカンバ・シラベ帯であり、低いところにはハイマツ・コケモモ・クロマメノキ帯である。また火口底はミヤマハナゴケ、コメススキ、イタドリ、ミネヤナギなどが分布する低木・草原帯をなしている。また、火口内外の構造土帯では、主として礫の細かい部分にコマクサが分布している。標高別に気温を測定し、土壌調査を行った結果、空釜内と周辺の植生分布パターンが、気温の垂直分布パターンと土壌環境によって生成されたことが示唆された。


[社会的活動]

開催者名:地学団体研究会前橋支部、石川真一
題名:野外観察会「二ッ岳ハイキングと火山の地形植生観察」
開催年月日:2001年7月1日
開催場所:群馬県榛名町
要旨:榛名山二ッ岳で自然環境(地形植生)を観察する一般向け観察会。

開催者名:石川真一、西村淑子、野村哲
題名:教養教育合宿実習「群馬県本白根山の自然環境の成り立ちと保全」
開催年月日:2001年8月6日〜7日
開催場所:群馬県草津町
要旨:群馬大学学生を対象とし、草津白根山の自然環境資源としての重要性や、周辺地域の産業がいかに自然環境資源をうまく利用して成り立っているか、またそのための法律の体系を体験する実習。平成13年度文部科学省教養教育改善充実特別事業費による助成を受けた。

開催者名:石川真一
題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習
開催年月日:2001年4月〜月一回開催
開催場所:群馬県明和町
要旨:(株)アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町)内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い、これに基づいて講習を行った。(株)アドバンテストビオトープ基金により助成を受けた。