2012年度

研究活動の要旨(2012年度)

情報行動学科

伊藤賢一(理論社会学研究室)

[著書(分担執筆)]

著者名:伊藤賢一

書名:社会学を問う―規範・理論・実証の緊張関係

単・共の別:共著

発行年月日:2012年2月15日

発行所名:勁草書房

頁:235

概要:構成は、II部13章。担当は、第I部第3章「トランスナショナルな公共圏の成立条件」。グローバル化した現代社会において、国民国家単位で構想されているHabermasの公共圏概念の有効性が揺らいでいるというN.Fraserからの指摘を踏まえて、グローバル化という条件下での公共圏の成立可能性を考察したもの。

担当部分:35~50頁

編者:数土直紀・米村千代


[学術論文]

著者名:伊藤賢一

題名:青少年のモバイル・インターネット利用に対する保護者のリスク認知―群馬県高崎市調査より―

発行年月日:2012年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:19

頁:1-15

概要:2011年に群馬県高崎市で行った調査にもとづいて、青少年のモバイル・インターネット利用の実態を探り、携帯電話のフィルタリングの普及を妨げる原因はどこにあり、どのような対策が必要であるのかを、保護者の意識に注目しつつ探索したもの。


[学会シンポジウムでの報告]

発表者名:伊藤賢一

題名:社会情報過程としての討議デモクラシー

開催年月日:2012年9月15日

発表学会名:2012年社会情報学会(SSI)学会大会

開催場所:群馬大学

概要:社会情報学会(SSI)学会大会の基調シンポジウム「社会情報学と世界―新たな共有と創造に向けて(理論篇)」のパネリストとして報告したもの。「討議デモクラシー」の概念や実際の動きについて言及し、社会情報学の重要な探求課題であることを指摘したもの。他の登壇者は伊藤守氏(早稲田大学)、米山優氏(名古屋大学)、遠藤薫氏(学習院大学)、コメンテーターとして田中秀幸氏(東京大学)、司会は正村俊之氏(東北大学)。


[学会ワークショップ企画]

企画者名:伊藤賢一

題名:ゲーム依存症の対策を考える

開催年月日:2012年9月16日

発表学会名:2012年社会情報学会(SSI)学会大会

開催場所:群馬大学

概要:オンラインゲーム依存の問題について、医療機関・教育機関・研究者のそれぞれの立場から現状を分析してもらい、対策についてともに考える機会を設け、当日は司会も務めた。広くさまざまな市民に参加してもらうため、一般公開ワークショップとした。登壇者は、三原聡子氏(久里浜医療センター)、伊藤洋一氏(高崎市教育委員会)、堀川裕介氏(東京大学)、大嶋啓太郎氏(愛知工業大学)。


[シンポジウム企画]

企画者名:伊藤賢一

題名:終わりのないゲームの世界からいかに抜け出すか―日本と韓国におけるオンラインゲーム依存―

開催年月日:2012年6月22日

開催場所:群馬大学

概要:「2012年度社会情報学シンポジウム」として企画した。オンラインゲーム依存が社会問題化しておりそれゆえ社会的対策も進んでいる韓国の状況と、わが国の現状について研究している専門家を招いて報告してもらい、関連領域の研究者や本学の学生・一般市民で意見交換する機会を設けた。当日は司会を務めた。登壇者は、李栄美氏(韓国・女性青少年メディア協会会長)、堀川裕介氏(東京大学)、コメンテーターとして阿部圭一氏(愛知工業大学)、柿本敏克氏(群馬大学)、片山雄介氏(NPO法人青少年メディア研究協会)。


[その他(講演)]

講師名:伊藤賢一

題名:情報社会と青少年―ケイタイ・インターネットがもたらすもの

主催:みどり市・みどり市教育委員会

開催年月日:2011年10月29日

場所:笠懸野文化ホール

概要:主催者の依頼により、「平成23年度みどり市青少年健全育成大会」で行った講演。現代の情報社会において青少年がさらされているリスクの種類と、アンケート調査から見えてくるネット利用の様子と指導上の注意点等について解説した。


[その他(講演)]

講師名:伊藤賢一

題名:未来を切り開く―人間は成長する生き物―

場所:伊勢崎市立第二中学校

開催年月日:2012年3月19日

概要:伊勢崎市教育委員会が行っている「『未来力』学習講座」の一環として、キャリア教育のための講演会の講師を依頼されたもの。対象は伊勢崎市立第二中学校に在学している1年生と2年生、教職員。大学教員とはどのような仕事で、その仕事に就くにはどういったコースを選択するのか解説した。


[その他(書評)]

執筆者名:伊藤賢一

題名:佐藤俊樹『社会学の方法』必読文献として「偉大な社会学者」を通じて社会学の成立・

発展を描く

掲載紙名:週刊読書人

掲載年月日:2011年11月4日

概要:編集部からの依頼による書評。一般の読者にとって興味深いと思われる論点を取り出して整理した。


[その他(審査員)]

審査員名:伊藤賢一

題名:第3回小中学生新聞感想文コンクール

主催:上毛新聞社

日時:2011年11月4日、11月26日

場所:上毛新聞社本社

概要:県内の小中学生を対象とした新聞感想文コンクールの審査員を務めた。


[その他(新聞での解説)]

執筆者名:伊藤賢一

題名:読者が望む多様な見方

掲載紙名:上毛新聞

掲載年月日:2011年11月6日

概要:上毛新聞に毎日連載している「視点オピニオン21」が20周年となるのを記念して行われた特集記事。多方面の専門家が一般の読者を対象にものを書くことの意義を、インタビューに答える形で述べた。


[その他(パネリスト)]

登壇者名:伊藤賢一

会議名:第3回子どものケータイ利用を考える全国市民ネットワーク全国会議

開催年月日:2012年2月11日

場所:東京都渋谷区こどもの城会議室

概要:子どもの携帯電話利用問題を考える関係者の全国会議に参加し、第3分科会「ネットパトロールの取り組み概要と今後の課題」(コーディネーター:弘前大学・大谷良光教授)のパネリストの1人を務めた。他のパネリストは、中村崇志氏(文部科学省児童生徒課)、奥田隆行氏(三重県教育委員会)、片山雄介氏(NPO法人青少年メディア研究協会)、高橋大洋氏(ピットクルー㈱)。群馬大学の学生による青少年のネット利用の見守り活動について報告し、問題点を協議した。

井門亮(言語コミュニケーション研究室)

[著書]

著者名:松島正一(編)、井門亮・他36名

書名:ヘルメスたちの饗宴―英語英米文学論文集

発行年月日:2012年3月25日

発行所名:音羽書房鶴見書店

頁:661-695

概要:アドホック概念構築という語解釈のプロセスに焦点を当て、そのプロセスが修辞的表現をはじめ人間の発話解釈において、いかに大きな役割を果たしているのか考察した。松島正一(編)・岡田聡宏・井門亮「アドホック概念:仕組みと可能性」。


[学術論文等]

著者名:井門亮

題名:イディオム解釈とアドホック概念

発行年月日:2012年3月31日

掲載誌名:言語・文化・社会

巻数:10

頁:1-15

概要:本論文では、本来は語レベルでの解釈を説明するために提案されたアドホック概念が、さらに大きな単位である句レベルでの解釈にも適用できるのか、イディオムを通して検討を行った。アドホック概念を援用したイディオム分析にはVega Moreno(2001、2003、2005、2007)があるが、その分析を概観し問題点を指摘するとともに、今後の検討課題についても言及した。

岩井淳(意思決定支援研究室)

[学会機関誌等への投稿]

著者名:河原未歩、岩井淳

題名:自治体Webサイトの広告とサイト制作のための相互参照

発行年月日:2011年12月13日

掲載誌名:情報文化学会誌(情報文化学会)

巻号数:第18巻第2号

頁:74-79

概要:自治体Webサイトの広告掲載の背景を自治体の財政状態と自治体人□の観点から調査データを用いて検討した。また、広告掲載が自治体のサイト制作に与える影響について、特に各自治体のサイト管理者が相互にデザインを参照しあう傾向を検討した。


著者名:岩井淳

題名:社会的選択理論の情報学的展開

発行年月日:2012年9月10日

掲載誌名:社会情報学(社会情報学会)

巻号数:第1巻1号

頁:73-79

概要:社会的選択を社会の情報処理過程の一つととらえ、その情報処理量を測定する手法を検討した。具体的には、社会的選択過程で失われる人々の匿名性水準として測定する手法を提案し、特にAmartya Senの理論の有効性検討を念頭に議論を行った。


著者名:Atsushi IWAI

題名:Evaluation of an Anonymity Measure as an Index of Voting Privacy

発行年月日:2012年9月30日

掲載誌名:Journal of Socio-Informatics (The Society of Socio-Informatics)

巻号数:Vol.5、No.1

頁:11-25

概要:This study illustrated an unknown anonymity measure presented by Iwai in the field of Japanese mathematical sociology and evaluated it by demonstrating the mathematical nature of the metric,comparing it with other typical metrics,and discussing its potential application.


[学会等での発表]

発表者名:岩井淳

題名:個人情報漏洩を質問票設計の自動変更により防ぐ社会調査システムの枠組み

開催年月日:2012年1月26日

発表学会名:第18回社会情報システム学シンポジウム

開催場所:電気通信大学

概要:入力値の特徴自体が結果的な個人情報漏洩を招きうる問題に関して、この種の個人情報漏洩を自動的に防ぐ調査システムの設計を提案した。入力値を分析して匿名性を損なう恐れのある項目を検出する枠組みと、データベース内の質問票設計の情報を修正して問題を回避する仕組みを基本とする。


[講演等]

講師名:岩井淳

題名:民主制の不可能性定理と法令

主催者:北陸先端科学技術大学院大学安心電子社会教育研究センター

開催年月日:2012年2月17日

開催場所:北陸先端科学技術大学院大学

概要:アローの「民主制の不可能性定理」の証明手順を詳しく説明し、その上で社会的選択理論と法令工学の接点について議論を行った。


[その他(シンポジウム報告者)]

報告者名:岩井淳

報告名:「決められる社会」のための匿名コミュニケーションの支援

シンポジウム名:社会情報学と世界~新たな共有と世界に向けて(実証篇)

主催者:社会情報学会

開催年月日:2012年9月14日

開催場所:群馬大学

概要:震災以降、改めて日本の意思決定のあり方が問われている。しかし、仮に日本で特に顕著に観察される問題であれば、日本はその問題への対処技法を開発する好環境であるともいえる。本報告では、以上の観点からこの問題を前向きに捉え直して議論した。特に、集団意思決定における匿名性保証の技法に関連した検討を行った。

落合延高(歴史情報研究室)

[公開講座]

発表者名:落合延高

題名:福沢諭吉『文明論之概略』を読む

講演会名:群馬大学公開講座

発表年月日:2011年10月14日㈮・21日㈮・28日㈮

開催場所:前橋テルサ第三研修室

要旨:福沢諭吉『文明論之概略』をテキストに、福沢の情報社会論、国体論・歴史論・文明論を講義した。


[学会等での講演]

発表者名:落合延孝

題名:近世における新田岩松氏

講演会名:第8回金山歴史講演会

発表年月日:2012年3月18日㈰

開催場所:太田市金山地域交流センター

要旨:江戸時代における新田岩松氏の殿様-富純・孝純・温純・徳純・道純・俊純-の性格と時代を振り返った。


[研究ノート]

著者名:落合延孝

題名:中澤茂七の長崎道中記

掲載誌名:『群馬大学社会情報学部研究論集』第19巻

発行年月日:2012年3月

頁:115-134

要旨:上野国佐位郡境町(群馬県伊勢崎市)の中澤茂七は、1830年1月16日から5月8日までの140日間、境町から長崎までの道中記を残している。茂七の道中記は、道中の距離、町村、神社仏閣、名所旧跡、宿屋の評判、海陸の交通などを詳細に記録している。彼の道中記を通して、江戸時代の旅の様子を紹介した。


[学会等での講演]

発表者名:落合延孝

題名:幕末維新期を生きた一農民の歴史意識

講演会名:歴教協第41回関東ブロック研究集会群馬大会

発表年月日:2011年12月25日㈰

開催場所:安中市かんぽの宿磯部

要旨:江戸時代を生きた地方文人の記録のなかに、同時代の生活世界の変化を記述した史料が発掘された。上野国吾妻郡植栗村(群馬県東吾妻町)の関市三郎の「抜書記録」や日記もその一つである。彼の記録を通して、幕末維新期を生き抜いた彼が同時代の生活世界の変化をどのように捉えていたかを検討した。

河島基弘(比較文化社会学研究室)

[著書]

著者名:河島基弘

署名:「『法』の裁きを下すメディア時代の自警団―シー・シェパードの反捕鯨キャンペーンの一考察」(岸上伸啓編著『捕鯨の文化人類学』所収)(共著)

発行年月日:2012年3月31日

発行所名:成山堂書店

頁:302-316

概要:日本の南極海調査捕鯨に対する妨害活動で最近有名になった環境保護団体「シー・シェパード」とその代表者、ポール・ワトソンの理念と行動を、グリーンピースのそれと比較する中で考察した。


[その他]

「群馬大・比較文化社会学研究室社会問題の対処力培う」上毛新聞2012年1月16日付紙面に「きょういくBOX ぐんまの大学研究室訪問11」としてインタビュー記事が掲載。

小竹裕人(公共政策研究室)

[社会的活動(委員会等)]

氏名:小竹裕人

○協働と政策提案に関わるもの

・題名:協働提案パイロット事業報告会コーディネーター

開催年:2012年7月9日

主催者:群馬県NPOボランティア推進課

・題名:NPO協働提案パイロット事業審査委員

開催年:2012年

主催者:群馬県NPOボランティア推進課

・題名: NPO等活動支援事業運営委員会委員長

開催年:2012年

主催者:群馬県NPOボランティア推進課

・題名:多々良沼・城沼自然再生協議会

開催年:2012年

主催者:群馬県館林土木事務所

・題名:群馬県協働推進会議アドバイザー

開催年:2012年

主催者:群馬県NPOボランティア課

○政策評価に関わるもの

・題名:指定管理者選定委員

開催年:2012年

主催者:群馬県企業局財務管理課

・題名:指定管理者選定委員

開催年:2012年

主催者:群馬県産業経済部観光局観光物産課

・題名:外部評価委員会委員長

開催年:2012年

主催者:前橋市政策推進課

・題名:行財政改革推進懇談会会長

開催年:2012年

主催者:前橋市行政管理課

・題名:外部評価委員会委員

開催年:2012年

主催者:安中市

・題名:行政改革審議会委員

開催年:2012年

主催者:安中市

・題名:多々良沼・城沼自然再生協議会親水部会部会長

開催年:2012年

主催者:群馬県館林土木事務所

○その他

・題名:公益認定等審議会委員

開催年:2012年

主催者:群馬県総務部学事法制課

・題名:コンプライアンス推進委員会委員

開催年:2012年

主催者:前橋市行政管理課

・題名:放送番組審議会会長

開催年:2012年

主催者:群馬テレビ

・題名:安中市総合計画審議会会長

開催年:2012年

主催者:安中市


[社会的活動(ワークショップ)]

題名:赤城山振興にかかわるワークショップ

開催年:2010年から現在

主催者:前橋市観光課・AKAGI やる気塾

概要:富士見村が前橋市と合併し、前橋市は新たな観光資源赤城山を市内に持つこととなった。赤城山山頂付近の振興を図るため前橋市と一緒になってワークショップを行い、コーディネーターとして市民ニーズの吸い上げおよび取りまとめを行った。

末松美知子(舞台表象論研究室)

[学会発表]

発表者名:SUEMATSU Michiko, KOBAYASHI Kaori

題名:Digital Archive Workshop : A|S|I|A (Asian Shakespeare and Intercultural Performance)

開催年月日:2012年6月8日

発表学会名:第6回台湾シェイクスピア学会

開催場所:国立台湾大学(台北)

概要:現在MIT がアメリカで構築しているウェブ・アーカイブGlobal Shakespeareと、末松が名古屋市立大学小林かおり教授、シンガポール国立大学ヨン・リーラン准教授と共同で構築中の、ウェブ・アーカイブA|S|I|Aを比較し、シェイクスピア研究における次世代ウェブテクノロジーの可能性を検証した。


[その他・国際共同プロジェクト]

担当者名:末松美知子・小林かおり

プロジェクト名:ウェブ・アーカイブA|S|I|A(Asian Shakespeare Intercultural Archive)第二版

公開年月日:2011年12月31日

公開URL:http://www.a-s-i-a-web.org/

群馬大学社会情報学部末松研究室http://www.si.gunma-u.ac.jp/􌢚sue/index.htm

概要:シンガポール国立大学と共同で構築中の「アジアにおけるシェイクスピア上演ウェブ・アーカイブA|S|I|A (Asian Shakespeare Intercultural Archive)第二版」公開を行った。第一版(2010年4月)では14作品を公開したが、第二版では、アーカイブのコンテンツとしてさらに21作品の上演作品映像と関連資料を取得し、詳細な上演作品分析データの作成を行った上でデジタル化し、ウェブ上で公開した。

細野文雄(情報科学研究室)

[学会発表]

発表者名:柿本敏克、細野文雄

題名:集団研究における仮説生成の道具としての仮想世界ゲーム電子版

発表年月日:2011年10月22日

発表学会名:日本シミュレーション&ゲーミング学会2011年秋季全国大会

開催場所:北海道大学

概要:仮想世界ゲームでは南北間の格差を背景とした集団間関係の展開をシミュレートできる。その電子版ではゲーム中の会話内容や取引などのすべて行為がサーバ上に記録されるため、データマイニング技術を利用した分析が可能となる。この特徴から、不特定多数の変数間にある隠れた関係を見出すこと、つまり仮説生成に利用することができる。本発表ではそうした仮説生成の具体例を取り上げ、仮想世界ゲーム電子版の仮説生成の道具としての有効性を論じた。


発表者名:細野文雄、柿本敏克

題名:仮想世界ゲームにおける会話特性

発表年月日:2011年10月22日

発表学会名:日本シミュレーション&ゲーミング学会2011年秋季全国大会

開催場所:北海道大学

概要:我々は南北問題間の葛藤と協調のプロセスをシミュレートするシミュレーションゲームである仮想世界ゲームを電子化し、改良を重ねてきた。仮想世界ゲーム電子版ではゲーム中の会話内容や取引などの行為がすべてサーバ上に記録され、いつ誰が誰にどんなメッセージを送ったかや、いつ誰がどんなアクションを起こしたかを知ることができる。今回は、これらゲーム中に記録された会話記録データに対し数量的分析を行い、分析して得られた知見について報告した。


発表者名:細野文雄、柿本敏克

題名:仮想世界ゲームにおける社会ネットワークの特徴 ―発話状況からみた社会ネットワーク―

発表年月日:2012年3月16日

発表学会名:第8回ネットワーク生態学シンポジウム

開催場所:慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス

概要:仮想世界ゲーム(広瀬、1997)とは南北地域間の葛藤と協調のプロセスをシミュレートするシミュレーションゲームで、40名程度のプレーヤーが資源格差のある4地域に分かれ、生存や富・権力などを巡って地域内・地域間で競争/協力していく。今回これをコンピュータ上で実施できるようにした電子版を用いて行ったゲーム中の発話状況から、社会ネットワークを抽出し、分析して得られた特徴について報告した。

森谷健(地域社会学研究室)

[その他・共同研究報告書]

発表者名:森谷健

題名:買い物弱者支援事業共同研究報告書

発表年月日:2012年3月31日

概要:中心商店街協議会、前橋市商工観光部にぎわい商業課、前橋商工会議所商業振興課との共同研究を実施し、買い物弱者支援事業を積極的に展開するため地域住民のニーズを把握し、実証実験や検証を経て、支援策の検討を行った。


[その他・外部委員]

氏名:森谷健

題名:渋川市小中学校再編計画等検討委員会会長

年月日:2012年6月5日~9月3日

概要:渋川市の小中学校再編計画に関する検討委員会で会長として渋川市教育長からの諮問への答申をまとめた。


氏名:森谷健

題名:前橋市次期情報化計画策定に係る有識者懇談会委員

年月日:2012年8月10日

概要:前橋市の次期情報化計画案について、意見を述べた。


氏名:森谷健

題名:群馬県統合型地理情報システム(統合型GIS)サービス提供事業審査委員

年月日:2012年8月7日

概要:群馬県の標記システム選定にあたって審査を行った。

情報社会科学科

石川真一(環境科学第二研究室)

[著書]

著者名:石川統・黒岩常祥・塩見正衛ほか編、石川真一ほか著

書名:生物学辞典

発行年月日:2010年12月(2011年報告漏れ)

発行:東京化学同人

概要:生物学に関する全般的な辞典。暗発芽(種子)、春化処理、多肉植物、光発芽種子、ベンケイソウ型有機酸代謝の5項目執筆を担当した。


著者名:大森威宏・石川真一ほか編、石川真一ほか著

書名:群馬県の絶滅のおそれのある野生生物・植物編・2012年度改訂版

発行年月日:2012年4月

発行:群馬県

概要:群馬県レッドデータブック植物編2012年度改訂版の一般向け解説書。調査、評価、編集および6種の解説文執筆を担当した。


[報告書]

著者名:石川真一、大森威宏、増田和明、小林栄一、小池正之、片山雅資

題名:西榛名地域貴重植物種モニタリング調査IV

発行年月日:2011年11月

報告書名:群馬県自然環境課「良好な自然環境を有する地域学術調査報告書(XXXVII)」

頁:149-163

概要:2010年度に行われた群馬県自然環境調査研究会による学術調査の報告書。群馬県西榛名地域において2005―2007年度調査で生育が確認された30種の絶滅危惧・希少植物種の生育・分布状況をモニタリングした。このうち6種について新たな生育地が確認された。またシドキヤマアザミの生長特性の解析を行い、本種が人為的攪乱地に多く生育する原因が、生長に良好な光条件を必要とすることである旨を明らかにした。さらに、同地域の貴重在来種の受粉を行う昆虫相の一部を明らかにした。今後、群馬県の自然環境保護政策の策定・実施の基礎資料となる。筆頭著者として調査・解析・執筆を担当した。


[学会等での口頭発表]

発表者名:石川真一

題名:東毛地区と近県における希少水草の生育確認について

発表年月日:2011年10月29日

学会名:群馬野外生物学会2011年度大会

開催場所:群馬大学社会情報学部(前橋)

概要:2000年、群馬県における絶滅危惧評価対象植物種(3,203種)のうち約12%にあたる382種が、レッドリスト掲載種となった。この中では、水辺の植物や湿地の植物が多くを占めている。2008年には群馬県「板倉地域ウエットランド調査」により、多くの水辺・湿地生絶滅危惧植物種の生育が確認された。そこで、東毛地区と近県でさらに調査を展開する必要を感じ、伊勢崎・太田・館林・板倉、佐野で調査を行った。なお、保護上の理由により詳細な地点名を秘匿する。
アサザは2000年の評価では「群馬県内絶滅」とされたが、伊勢崎市で復活していることが確認され、現在、群馬大学社会情報学部・環境科学研究室で保護・増殖中である。
太田市では、かつてサンショウモ、イヌタヌキモ、ミズマツバなどの絶滅危惧種の生育が確認されていたが、今回は確認できなかった。しかし周辺の水田・湿地において、ミズワラビ、キクモ、ホシクサなど多数の希少植物の生育が確認された。
板倉町では、サンショウモ、トチカガミ(2000年「群馬県内絶滅」)、マツモの生育が確認された(板倉町は2011年、国の重要文化的景観「利根川・渡良瀬川合流域の水場景観」に選定された)。
以上の結果は、2012年改訂・発行の「群馬県レッドデータブック植物編」の中に盛り込まれた。
また館林市-佐野市では、ナガレコウホネ(シモツケコウホネの雑種)の生育が確認された(母種のシモツケコウホネは2012年に「種の保存法」による希少種に登録されたので、雑種とはいえ本種の保全は極めて重要である)。
以上のような学術調査に基づき、今後は適切な人為的・積極的管理などの保全施策が展開されることが期待される。


発表者名:石川真一、赤上裕章、荒川唯

題名:群馬県内の里山に生育する数種の在来植物の発芽・生長様式(Germination and growth patterns of some native plants in a satoyama region in Gunma Prefecture, Japan)

発表年月日:2012年3月20日

学会名:第59回日本生態学会大会 & 5th East Asian Federation of Ecological Societies(EAFES) International Congress合同大会

開催場所:龍谷大学(大津)

概要:Growth responses to light conditions and germination traits of some representative plant species native of a satoyama region in Gunma Pref.,Japan,were investigated to clarify the mechanisms promote high species diversity. Responses of germination to temperature conditions varied much among the investigated species. That is, germination ratio of a NT species, Primula sieboldii, was increased with longer (1 to 4 months) cold stratification and optimum temperature was 25/13C. In contrast, a quite rare species, Diarrhena fauriei, did not show such trends and germination ratio was always lower than 20%. Relative growth rates of all the species investigated were reduced under reduced light conditions lower than 13%, but reduction ratios varied depending on their microhabitat conditions. These species-specific response patterns may be one of the promoters for high species diversity.


[社会的活動]

開催者名:石川真一

題名:教養教育合宿実習「群馬県本白根山の自然環境の成り立ちと保全」

開催年月日:2012年6月30日・7月1日

開催場所:群馬県草津町

概要:群馬大学学生を対象とし、草津白根山の自然環境資源としての重要性や、周辺地域の産業がいかに自然環境資源をうまく利用して成り立っているかを体験する実習。


開催者名:石川真一

題名:ビオトープ育成のための環境科学的調査研究と講習

開催年月日:2012年4月~10月二回開催

開催場所:群馬県明和町、群馬県藤岡市

概要:㈱アドバンテスト群馬R&Dセンター(群馬県明和町)および㈱チノー藤岡事業所内に竣工したビオトープを育成する環境科学的調査研究を行い、これに基づいて講習を行った。㈱アドバンテストビオトープ基金および㈱チノービオトープ基金により助成を受けた。


開催者名:石川真一(群馬県自然環境調査研究会)

題名:西榛名地域生物多様性モニタリング調査

開催年月日:2012年3月~9月(月2回程度)

開催場所:群馬県東吾妻町

概要:群馬県の委託事業である。群馬県野生生物保全条例(仮)の制定に必要な情報を得るため、ホットスポット内での絶滅危惧植物の分布・個体数・生育立地調査、種子採集を担当した。


開催者名:殖蓮地区自然環境を守る会

題名:「大型」ビオトープの育成管理

開催年月日:2012年8月5日

開催場所:殖蓮公民館(伊勢崎)

概要:地域住民対象の講演会。群馬県伊勢崎市殖蓮地区に県が造成した遊水池内のビオトープを育成管理していく方法について、講習を行った。参加者40名。

大野富彦(経営学研究室)

[学術論文等]

著者名:大野富彦

題名:価値創造における市場情報活用のフレームワーク―お客様相談室のケースを基にした考察―(査読有)

発行年月日:2012年3月31日

掲載誌名:『HOSPITALITY』、日本ホスピタリティ・マネジメント学会

巻数:第19号

頁:43-51

概要:本研究は、「お客様相談室」のケース・スタディから、相談室の価値創造と、価値創造における市場情報の活用に関するフレームワークを提示する。お客様相談室の価値には、「コミュニケーターの顧客への直接的な価値(顧客に適切に対応すること等)」と「お客様相談室の社内組織への価値(市場情報を社内で活用すること等)」の2つがあることがわかった。そして、相談室の価値創造を発展させ、それに一條・徳岡(2007)の議論を加えて、縦軸に企業内と市場を、横軸に目に見える世界と目に見えない世界をとる価値創造における市場情報活用のフレームワークを提示した。


[学会発表]

発表者名:大野富彦

題名:インフォーマル組織に関する一考察-市場情報活用におけるプロセス視点の提示-

発表年月日:2012年5月13日

発表学会名:経営情報学会

開催場所:東京経済大学

概要:企業は環境に適応するために戦略を策定し、その実行のために新たな組織を新設したり変更したり強化したりする。企業の成長とともに組織構造は複雑化の方向であり、市場情報を活用するうえでは、マーケティング部門やお客様相談室等の位置づけと役割が時間の経過とともに、あるいは、戦略に応じて複雑に変化していく。一方で、企業には市場から様々な情報が流れてくるが、その入り口であるチャネルも多様化・複雑化している。本稿は、筆者の市場情報活用に関する研究で発見した事項を発展させて、インフォーマル組織の役割を再考していく。そして、市場情報活用におけるプロセス視点を提示する。


発表者名:大野富彦

題名:市場情報が流れる組織マネジメント―「場」の観点からの考察―

発表年月日:2012年8月5日

発表学会名:日本ホスピタリティ・マネジメント学会

開催場所:熊本学園大学

概要:本稿の目的は、企業組織に流れる市場情報を経営に活かす組織マネジメントについて、場の概念を手掛かりに考察し、仮説を提示することである。場の議論では、個人は自律的な存在であると同時に協力的な存在でもあり、組織は「情報的相互作用の束」として描かれる。本稿では、組織メンバーは、階層の中での自分の役割を認識しているからこそ、企業と企業外やフォーマルとインフォーマルの境界を越えて自律的に行動しているのではないか、という仮説を提示する。

柿本敏克(社会心理学研究室)

[著書]

著者名:安藤香織・杉浦淳吉(左は編著者)・柿本敏克ほか9名

書名:暮らしの中の社会心理学

単・共の別:共著(分担部分は単著)

発行年月日:2012年3月

発行所名:ナカニシヤ出版

総頁数:169

概要:社会心理学の各分野の専門家が、恋愛、ネット、買い物、就職、省エネ行動等、多くの人が暮らしの中で疑問に思う身近なトピックスからそれぞれの基礎知識を解説した。「話し合ってみよう」やエクササイズで体験的に楽しく学べるよう構成された大学教科書。

担当部分:集団間関係について論じた第2章とエクササイズ2を執筆した。


[その他報告書]

編者名:柿本敏克

題名:平成23年度群馬大学社会心理学セミナー報告

発行年月日:2012年3月

発行所名:群馬大学社会情報学部

総頁数:52

概要:平成23年度に社会情報学部主催で実施された第8回「群馬大学社会心理学セミナー」(白樫三四郎先生)および群馬大学社会心理学研究会主催・社会情報学研究センター共催で実施された第8回群馬大学社会心理学研究小集会(礒部智加衣先生)の講演録として作成された。


[学会発表]

発表者名:柿本敏克・細野文雄

題名:集団研究における仮説生成の道具としての仮想世界ゲーム電子版

単・共の別:共

発表年月日:2011年10月22日

発表学会名:日本シミュレーション&ゲーミング学会2011年秋季全国大会

開催場所:北海道大学

概要:仮想世界ゲームでは南北間の格差を背景とした集団間関係の展開をシミュレートできる。その電子版ではゲーム中の会話内容や取引などのすべて行為がサーバ上に記録されるため、データマイニング技術を利用した分析が可能となる。この特徴から、不特定多数の変数間にある隠れた関係を見出すこと、つまり仮説生成に利用することができる。本発表ではそうした仮説生成の具体例を取り上げ、仮想世界ゲーム電子版の仮説生成の道具としての有効性を論じた。


発表者名:細野文雄・柿本敏克

題名:仮想世界ゲームにおける会話特性

単・共の別:共

発表年月日:2011年10月22日

発表学会名:日本シミュレーション&ゲーミング学会2011年秋季全国大会

開催場所:北海道大学

概要:仮想世界ゲーム電子版を用いたゲームでは取引や会話などのすべての相互作用が記録されるため、具体的な取引・会話のやりとりの諸様相を調べることができる。本発表ではこの記録データのうち、特に会話記録について分析し、そこから得られた仮想世界ゲームにおける会話特性について報告した。ゲーム内での役職に応じて送信回数や頻度が異なることなどが見出された。


発表者名:細野文雄・柿本敏克

題名:仮想世界ゲームにおける社会ネットワークの特徴 ―発話状況からみた社会ネットワーク―

単・共の別:共

発表年月日:2012年3月16日

発表学会名:ネットワーク生態学研究会第8回シンポジウム

開催場所:慶応大学

概要:仮想世界ゲーム(広瀬、1997)は南北地域間の葛藤と協調のプロセスをシミュレートするシミュレーションゲームで、40名程度のプレーヤーが資源格差のある4地域に分かれ、生存や富・権力などを巡って地域内・地域間で競争/協力していく。これをコンピュータ上で実施できるようにした電子版を用いて行ったゲーム中の発話状況から、社会ネットワークを抽出し、分析して得られた特徴について報告した。

北村純(行政学研究室)

[講演]

講演者名:北村純

題名:政策・予算の執行

開催年月日:2011年12月15日

講演会名:平成23年度イラク行政官セミナー

開催場所:JICA 東京(東京都渋谷区)

概要:独立行政法人・国際協力機構[中東欧州部・東京国際センター]開催(実施主体:特定非営利法人・日本政治総合研究所)によるイラク行政官(政府職員・政府関係者)を対象とした「平成23年度イラク行政官セミナー」Country Focused Training for Iraq on“Seminar for Government Officials”(2011年12月12日~12月26日)における研修プログラムの1つとして、わが国の「政策・予算の執行」について概観的な講義および参加者との質疑応答を行った。


講演者名:北村純

題名:日本の行政制度とその実際

開催年月日:2012年7月16日

講演会名:平成24年度紛争影響国におけるガバナンス能力強化

開催場所:JICA 東京(東京都渋谷区)

概要:独立行政法人・国際協力機構開催(実施主体:特定非営利法人・日本政治総合研究所)による各国行政官(参加国=アフガニスタン、コートジボワール、リベリア、ネパール、南スーダンの政府職員・政府関係者)を対象とした「平成24年度紛争影響国におけるガバナンス能力強化」Capacity Development on Governance in Conflict-Affected Countries(2012年7月12日~7月24日)における研修プログラムの1つとして、「日本の行政制度とその実際」について、概観的な講義および参加者との質疑応答を行った。[簡易テキスト(A4判4頁)“Japan’s System of Government”]

杉山学(経営管理研究室)

[学術論文]

著者名:杉山学

題名:データ包絡分析法によるJR と大手私鉄の事業活動効率比較 ―DEA とInverted DEAのウィンドー分析による大手私鉄各社(在西日本)の推移―

発行年月日:2012年3月31日

掲載誌名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:19

頁:17-45

概要:本研究は、国鉄の分割・民営化から約24年が経過し、本当にJR は国鉄時代の事業活動から、大手私鉄並みの事業活動に改善されたかを、データ包絡分析法(DEA:Data Envelopment Analysis)の諸手法を用いて実証的に検証、評価することが目的である。これにより、国鉄の分割・民営化に対する本来の目的が達成されたかを議論でき、一連の政策決定が妥当なものであったかを議論する上で、重要な資料を提示できると考える。第5報である本論文では、第2報の論文「データ包絡分析法によるJR と大手私鉄の事業活動効率比較 ―DEA/ウィンドー分析によるJR 旅客各社の推移―」と、第3報の論文「データ包絡分析法によるJR と大手私鉄の事業活動効率比較 ―Inverted DEA/ウィンドー分析によるJR 旅客各社の推移―」での分析の際に、既に分析済みであるが、掲載できなかった大手私鉄の中でも西日本で事業活動している鉄道事業者7社について、企業的側面である“効率性の追求”の面から評価したDEA の結果と、公共的側面である“非効率性の改善”の面から評価したInverted DEA の結果を検証し、考察を行った。すなわち、副題の「DEA とInverted DEA のウィンドー分析による大手私鉄各社(在西日本)の推移」を中心に報告した。


[講演]

講演者名:杉山学

題名:ビジネスプラン策定スキル① ~事業構造と競争関係のデザイン~

開催年月日:2011年11月26日

講演会名:平成23年度群馬大学公開講座「社会起業家特論(ビジネスプラン策定スキル)」

開催場所:群馬大学社会情報学部

概要:平成23年度群馬大学公開講座として、「ビジネスプラン策定スキル① ~事業構造と競争関係のデザイン~」という題目の講演を行った。具体的な内容として、ビジネスプラン策定において「決定理論」と「ゲーム理論」の考えを活用した合理的な意思決定を企業活動の例題にて解説を行った。


講演者名:杉山学

題名:金融ビジネスの基礎知識③ ~総合評価手法~

開催年月日:2012年8月9日

講演会名:平成24年度群馬大学公開講座「企業・産業分析スキル(金融ビジネスの基礎と実際を知る)」

開催場所:群馬大学サテライト高崎

概要:平成24年度群馬大学公開講座として、「金融ビジネスの基礎知識③ ~総合評価手法~」という題目の講演を行った。具体的な内容として、総合評価をして合理的な意思決定支援を行う階層分析法(Analytic Hierarchy Process:AHP)を、身近な例題の意思決定に用い、合理的に結論を導き出す解説を行った。

西村淑子(行政法研究室)

[学術論文]

著者名:西村淑子

題名:公法上の法律関係に関する確認訴訟の動向

発行年月日:2012年2月

掲載誌名:判例タイムズ

巻:1360

頁:60-67

概要:改正事件訴訟法施行後の確認訴訟に関する裁判例のなかから、①在外邦人選挙権訴訟、②道路交通法上の違反行為により付加された点数に係る確認の訴え、③助成金の支給を受けられる地位にあることの確認の訴え、④産業廃棄物処理施設に係る許可を必要としないことの確認の訴え、⑤国家斉唱の義務に係る確認の訴え、⑥教職員の自己申告提出義務の不存在確認の訴えを取り上げ、確認訴訟の適法性の判断において問題とされる法律上の争訟性、公法上の法律関係、確認の利益について検討し、問題の所在を指摘した。


著者名:西村淑子

題名:建築制限付土地の収用と補償の価額

発行年月日:2012年10月

掲載誌名:別冊ジュリスト(行政判例百選Ⅱ)

巻号数:

頁:524-525

概要:最高裁昭和48年10月18日判決(民集27巻9号1210頁)は、建築制限等の課せられた土地が収用の対象となった場合、損失補償額の算定にあたって基準とすべき価格について、建築制限等が課せられたことにより低く評価された価格か、それともそのような制限が課せられていなければ成立したであろう価格かが争われた事案であり、本判決は、土地収用法72条によって補償すべき「相当な価格」とは、被収用地が、建築制限等を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格をいうと判示したものである。本稿では、土地収用法72条にいう「相当な価格」の意義について解説し、本判決、最高裁昭和28年12月23日判決(民集7巻13号1523頁)及び最高裁平成14年6月11日判決(民集56巻5号958頁)との関係について検討した。


[学会・研究会等における報告]

報告者:西村淑子

題名:「群馬県における避難者の状況と課題」

開催年月日:2012年2月20日㈪13:00~17:00

報告会名:宇都宮大学国際学部附属多文化公共圏センター「福島乳幼児・妊産婦支援プロジェクト2011年度報告会『原発事故後の福島乳幼児・妊産婦の今、これから』

開催場所:宇都宮大学峰キャンパス基盤教育B棟1223教室

概要:本報告会では、「福島の今」と題して、二瓶由美子氏(桜の聖母短期大学)、鈴木和隆(うつくしまNPOネットワーク)が基調講演した。福島からの乳幼児妊産婦の避難現状について、栃木県における状況を阪本公久美子氏(宇都宮大学)が、東京都における状況を舩田クラーセンさやか氏(東京外語大学)が、群馬県における状況を、西村淑子が、それぞれ報告し、その課題と今後の支援のあり方について議論した。


報告者:西村淑子

題名:「福島県から群馬県への避難者の状況 ―乳幼児・妊婦の現状」、「ミナマタとフクシマ:過去から現在・未来を学ぶ」

開催年月日:2012年3月25日㈪

学会名:国際開発学会「原発震災から再考する開発・発展のあり方」研究部会

開催場所:東京外語大学本郷サテライト

概要:東日本大震災から1年が経過し、福島県から群馬県に避難してきた方々の置かれている状況、抱えている問題について報告し、今後の支援のあり方について検証した。また、平成18年版環境白書「環境問題の原点水俣病の50年」の内容をふまえ、戦後最大の公害事件の教訓を整理し、初期対応の重要性や、科学的不確実性のある問題に対する予防的な取り組みの重要性について指摘した。


報告者:西村淑子

題名:「福島原発事故の影響」

開催年月日:2012年7月7日㈯

会議名:第29回天草環境会議

開催場所:熊本県天草郡志岐集会場

概要:本会議は、天草環境会議実行委員会主催、熊本学園大学水俣学研究センター共催、一橋大学自然資源経済論プロジェクト企画協力によって開催されたもの。東日本大震災発生以降の避難等指示の状況、原子力災害対策措置法に基づく出荷制限指示の状況、福島県及び北関東の放射能汚染の状況、福島原発事故の被災者・避難者の置かれている状況、抱えている問題について報告した。

藤井正希(憲法研究室)

[学術論文等]

著者名:藤井正希

題名:「生存権(憲法25条)の法的性質論―いわゆる“言葉どおりの具体的権利説”の成立可能性について」(査読あり)

発行年月日:平成23年11月

掲載誌名:『清和法学研究』

巻数:第18巻2

頁:61-72

概要:現在の日本においても、社会の底辺で忘れ去られ餓死していく人びとが毎年、存在している。また、全国の生活保護受給者は、戦後の混乱期に記録された最多人数を超え、過去最多を更新した。この点、社会的経済的弱者を救済する最後のセーフティネットを強化して実効あらしめる最も端的かつ効果的な手段は、生存権(憲法25条1項)を直接の根拠にして国家に対する具体的な給付請求を肯定することである。旧来の学説においては、同条項を直接の根拠にして具体的な給付請求を肯定する見解は皆無に近かった。しかし、1990年代に入ってから、場合によっては憲法25条1項を直接の根拠にして具体的な給付請求を肯定する、いわゆる“言葉どおりの具体的権利説”が主張されるようになり、学説上、一定の支持を受けつつある。それでは、日本国憲法上、かかる解釈は果たして可能であろうか。本稿では、生存権の法的性質をめぐる従来の学説上の議論を十分に踏まえつつ、かかる法解釈の成立可能性を前向きに検証していく。

前田泰(民法研究室)

[学術論文]

執筆者名:前田泰

論題:日本における議論の整理

発行年月日:2012年7月

掲載誌名:家族〈社会と法〉

巻号数:28号

頁:15-40

概要:2011年11月に行われた日本家族〈社会と法〉 学会第28回学術大会のシンポジウム「父子関係成立のあり方の検討――嫡出推定・認知制度の見直し」における報告を掲載した。内容は、明治以降の日本における学説・判例を、嫡出推定・否認制度と認知制度とに分けて論点ごとに整理し、問題点について立法的提案を行ったもの。

松宮広和(情報法研究室)

著者名:松宮広和

題名:インターネットの自由及び開放性の維持を目的とする2010年のFCC の判断について(1)

単・共の別:単

掲載紙名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第19巻

発行年月日:2012年3月31日

頁:135-160

要旨:アメリカ合衆国のブロードバンド政策においては、近時の合衆国最高裁判所判決及びFCC による規制緩和によって、ケーブル・モデム・サービスを含むブロードバンド・インターネット・アクセス・サービスが、連邦通信法第I編のもとで、より緩やかな規制にもとづく情報サービスとして規制されることが確定した。しかし、「ネットワークの中立性」をめぐる議論の活発化とともに、FCC が、情報サービスのプロバイダーに対して、如何なる法的根拠のもとで、如何なる範囲で規制権限を行使し得るかという問題が、顕在化してきた。筆者は、本稿で、FCC が当該問題に関連して、初めて行った規則制定であるインターネットの自由及び開放性の維持を目的とする2010年のFCC の判断に対する検討等を行った。
本稿の(1)では、当該命令の解説を記した。


著者名:松宮広和

題名:インターネットの自由及び開放性の維持を目的とする2010年のFCC の判断について(2・完)

単・共の別:単

掲載紙名:群馬大学社会情報学部研究論集

巻数:第19巻

発行年月日:2012年3月31日

頁:161-187

要旨:アメリカ合衆国のブロードバンド政策においては、近時の合衆国最高裁判所判決及びFCC による規制緩和によって、ケーブル・モデム・サービスを含むブロードバンド・インターネット・アクセス・サービスが、連邦通信法第I編のもとで、より緩やかな規制にもとづく情報サービスとして規制されることが確定した。しかし、「ネットワークの中立性」をめぐる議論の活発化とともに、FCC が、情報サービスのプロバイダーに対して、如何なる法的根拠のもとで、如何なる範囲で規制権限を行使し得るかという問題が、顕在化してきた。筆者は、本稿で、FCC が当該問題に関連して初めて行った規則制定であるインターネットの自由及び開放性の維持を目的とする2010年のFCC の判断に対する検討等を行った。
本稿の(2・完)では、当該命令の翻訳(一部要約を含む)を記した。


[翻訳・編集等]

研究代表者名:松宮広和

報告書:科研研究題目:「次世代のネットワークが通信・放送の融合法制の実現に与え得る影響について」(若手研究(B))(平成22年度)報告書

単・共の別:単

報告年月日:2011年4月

研究支援者:独立行政法人日本学術振興会

研究期間:平成23(2010)年4月-平成24(2011)年3月

概要:標記と同名の科研研究に、研究代表者として従事してきた。その詳細については、[研究活動その他]の項目に記した、当該科研研究に関する記載を参照のこと。平成22(2010)年度は、特に、(1)「次世代のネットワーク」(NGN)を経由してサービスを提供することが想定される電気通信事業者に対する規制のあり方、及び(2)NGN を経由して提供されるものを含む「情報サービス」に対する規制のあり方、に関連する研究に従事し、その研究成果の一部を公表した。本報告書は、これらの研究の実施状況について記載したものである。


研究代表者名:松宮広和

報告書:科研研究題目:「次世代のネットワークが通信・放送の融合法制の実現に与え得る影響について」(若手研究(B))(平成23年度)報告書

単・共の別:単

報告年月日:2012年4月

研究支援者:独立行政法人日本学術振興会

研究期間:平成23(2011)年4月-平成24(2012)年3月

概要:標記と同名の科研研究に、研究代表者として従事してきた。その詳細については、[研究活動その他]の項目に記した、当該科研研究に関する記載を参照のこと。平成23(2011)年度は、特に、(1)「次世代のネットワーク」(NGN)を経由してサービスを提供することが想定される電気通信事業者に対する規制のあり方、及び(2)NGN を経由して提供されるものを含む「情報サービス」に対する規制のあり方、に関連する研究に従事し、その研究成果の一部を公表した。本報告書は、これらの研究の実施状況について記載したものである。


[研究活動その他]

研究代表者名:松宮広和

科研研究題目:「次世代のネットワークが通信・放送の融合法制の実現に与え得る影響について」(若手研究(B))(平成21年度-23年度)

研究支援者:独立行政法人日本学術振興会

研究期間:平成23(2011)年4月-

概要:上記の科研研究に、研究代表者として従事している。本研究は、近時にその実現に向けて検討が開始された通信・放送の融合法制のあり方についての研究の一部に位置付けられる。近い将来に情報通信の領域において重要な役割を果たすであろう「次世代のネットワーク」(NGN)が、レイヤー型の通信・放送の融合法制の実現に与え得る影響について、特にレイヤー型規制の導入に際して最大の課題となることが予測され、将来的にNGN を経由して提供されるであろう「放送類似のメディア・サービス」及びそれに対する規制のあり方を中心に追求することをその目的とする。より具体的には、(1)各国におけるNGN 及びそれに対する規制の現状又は将来的展望、(2)近時にはインターネットに代表される各種のネットワークを経由して提供される様になってきた、既存の「放送サービス」に類似する「放送類似のメディア・サービス」及びそれに対する規制の各国における現状、並びに(3)将来において、当該サービスが特にNGN を経由して提供される場合に発生し得る問題及びそれに対する政策のあり方、の3つを中心的課題として、融合法制の実現に貢献し得る成果の獲得を目指す。平成23(2011)年度は、当該研究題目に関連する研究に従事した。


研究代表者名:松宮広和

科研研究題目:「持続的な経済成長の促進を可能とするICT 利活用のあり方に関する総合的研究」(基盤研究(C))(平成24年度-27年度)

研究支援者:独立行政法人日本学術振興会

研究期間:平成24(2012)年4月-

概要:上記の科研研究に、研究代表者として従事している。本研究は、持続的な経済成長の促進を可能とするICT 利活用のあり方に関する総合的研究を行うことをその目的とする。具体的には、過去約15年間ICT の利活用で比類無い成功を収めてきた米国を参考に、(1)通信インフラストラクチャーの更なる整備・更新、(2)アプリケーション層における競争環境の整備、(3)クラウド化及びスマート・グリッド、並びに(4)公共サービスに関連するICT の利活用、の4つを中心的課題として、前記の目的に貢献し得る成果の獲得を目指す。本研究は、現在の我が国の最大の政策的課題(の1つ)である持続可能な経済成長の実現に、ICT が果たし得る役割についての有用な示唆を提供し得る点に、その意義を有する。平成24(2012)年度は、当該研究題目に関連する研究に従事してきた。


[研究会発表]

報告者:松宮広和

題名:「近時のアメリカ合衆国における移動体ブロードバンド規制の概要について―特に「ネットワークの中立性」とも関連するトラフィック/通信量の管理の問題を中心に―」

単・共の別:単

研究会名:情報通信政策研究会議(Information and Communications Policy Conference/ICPC)の2011年12月会合において、報告担当者として報告。

報告年月日:2011年12月4日

概要:本報告は、メンバー兼プログラム委員の1人として参加した、情報通信政策研究会議(Information and Communications Policy Conference/ICPC)の2011年12月会合のセッション2「移動体通信サービスにおけるトラフィックの増大がもたらす問題について、料金問題を含む事項について検討する」において行った。当該セッションの題名にも記される様に、近時におけるスマートフォンに代表される移動体の電子機器の普及にともなって顕在化してきた料金問題を含む移動体通信サービスにおけるトラフィックの増大がもたらす問題について、所謂「ネットワークの中立性」をめぐる議論と関連する問題を中心に、近時のアメリカ合衆国における移動体ブロードバンド規制との関連において考察を行ったものである。本報告では、特に我が国の法制度に対する有用な示唆にも重点を置いて報告を行った。当該報告の後、研究者、政策担当者及び情報通信関連事業者と、当該問題に対する質疑応答を行った。当該会合の詳細については、ICPC のWWW サイト<http://icpc.gr.jp/wordpress>(visited Oct. 5, 2012)を参照のこと。